春季オープン戦 ４月６日 対中大 早大・上井草グラウンド
満開に咲き誇る桜が新たなシーズンの幕開けを告げる。前日に入部式を終え、新入生を迎え入れた早大は今年度の初陣として中大との一戦に臨んだ。シーズンの行方を占うこの試合には、多くの観客が早大・上井草グラウンドに足を運び、新チームの船出を見守った。試合開始直後、早大はＳＯ服部亮太（スポ２＝佐賀工）のキックで果敢に敵陣へと攻め込むが、中大ディフェンスのプレッシャーに押され、得点に結びつけることができない。しかし、昨季から強化してきたスクラムで主導権を握ると得点を重ねていき、36ー０と大幅にリードを広げて試合を折り返した。迎えた後半、早大は前半から大きくメンバーを変える。中大アタックの時間が続き、ついにインゴールを明け渡してしまうものの、フレッシュなメンバーが勢いを取り戻し、60ー７でノーサイド。今年度初の対外試合を見事に白星で飾った。
ディフェンスに仕掛けるＦＬ田中勇
中大ボールのキックオフで試合が幕を開けた。早大は服部のキックで果敢に中大陣内へと進入する。ゴール前まで攻め込み、幾度も得点のチャンスが訪れるが、中大の接点でのプレッシャーに押され、なかなか得点に結びつけることができない。しかし、昨シーズンから強化してきたスクラムが功を奏し、主導権を握る。前半11分、敵陣ゴール前でのスクラムで何度もペナルティーを奪うと認定トライとなり、７ー０と先制する。これで勢いに乗った早大は、ＦＬ多田陽道（商２＝東京・早実）のビッグゲインで敵陣深くまで攻め込むと、服部がＦＢ植木太一（人２＝神奈川・関東学院六浦）へのキックパスを見事に通し、インゴールにグラウンディング。追加点を挙げた。左隅の難しいゴールを服部が沈め14ー０とする。続く21分、早大ボールのスクラムからＳＨ糸瀬真周（スポ４＝福岡・修猷館）がそのまま持ち出してラインブレイクをすると、ＢＫに展開し、最後はＷＴＢ西浦岳優（社２＝東福岡）がゴールラインに飛び込んだ。前半25分にはＬＯ栗田文介（スポ４＝愛知・千種）が中大からボールをもぎ取ると、ＣＴＢ黒川和音（人４＝茨城・茗渓学園）からの鋭いパスを受け取った服部が相手のディフェンスラインを切り裂き、トライラインを叩き割る。26ー０とリードを広げた。さらにその直後、黒川がボールを再獲得し、ＦＷが起点を作ると、またも黒川がラックの背後から勢いをつけて走り込み、トライラインをこじ開けた。試合終了間際にもＦＷがフェーズを重ねると最後はＰＲ勝矢紘史（スポ４＝長崎北陽台）がグラウンディング。36ー０と大きくリードを広げて前半を折り返した。
コンバージョンキックを蹴るＳＯ服部
早大は前半から大きくメンバーを変えて後半に臨んだ。更にリードを広げたい早大だったが、中大の攻撃の時間帯が続き、ついに失点を許してしまい、スコアは36ー７となった。勢いを取り戻したい早大はＳＯ田中大斗（教２＝東京・早実）とＷＴＢ山下恵士朗（スポ２＝早稲田佐賀）が細かなパスを繋いでグラウンド右隅を駆け上がり、敵陣深くへと攻め込む。後半26分、ＳＯ仲山倫平（法４＝ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ）がディフェンスの背後にキックを蹴り込むと、ＣＴＢ平野仁（スポ２＝神奈川・法政二）が持ち前の長身を活かして再獲得。大外でボールを受け取ったＦＢ高栁壮史（創理４＝東京・早大学院）がディフェンスを抜ききり、待望のトライを挙げた。ＣＴＢ島田隼成（スポ２＝福岡・修猷館）のキックも決まりリードを広げると、後半29分、仲山がラインブレイクしボールを繋ぐ。山下恵が次々と相手ディフェンスをかわし、最後はＦＬ野島信太郎（教３＝東海大大阪仰星）がトライラインを駆け抜けた。続く31分には島田のショートパントを野島がキャッチ。パスを受け取った山下恵がライン際を走り抜け55ー７とした。試合終了間際、早大ボールのスクラムから田中大がディフェンスの背後にボールを転がすと、快足の高栁の胸にボールが収まる。そしてラストパスを受け取った平野がダメ押しのトライ。60ー７でノーサイドの笛が鳴り、勢いを取り戻した早大が今シーズン最初の対外試合で勝利を収めた。
インゴールを走るＷＴＢ高栁
細かなミスはあったものの終始リードを保ち、今年度最初の対外試合を見事に白星で飾った早大。最上級生のプライドや下級生の活躍が目立ち、収穫が多い試合となった。ゲームキャプテンを務めたＦＬ田中勇成（教４＝東京・早実）が「昨年と同様に勝ちにこだわりながら、チーム内での競争を強化させ、個人としてもチームとしても成長していきたい」と述べたように、『荒ぶる』獲得に向けて春シーズンは重要になってくる。今試合を通じて、チーム野中が進むべき方向性が見えてきたはずだ。限られたチャンスを仕留め切り、勝利を手繰り寄せた先に昨年度届かなかった景色が待っている。
（記事 大林祐太 写真 村上結太）
コメント
◆ＦＬ田中勇成（教４＝東京・早実）
ーー今試合のチームのコンセプトを教えてください
このプレシーズンにかけてやってきたことをチャレンジして出していこうと思って試合に臨みました。
ーーシーズン最初の試合でしたがいかがですか
自分たちがずっと取り組んできたディフェンスについては徹底してやろうという話が出ていて、アタックに関しては色々試行錯誤している段階なのでたくさんチャレンジしていこうという話をしていました。そこを詰めていければ試合でもっといいプレーができるのかなと思います。
ーー今試合の反省点を教えてください
ディフェンスの部分ではいいところもあったと思うのですが、規律の部分やもっとプレッシャーをかけられる部分があったと思うので、これらが課題だと思います。
ーーどんな春シーズンにしたいですか
去年と同様に勝ちにこだわって、秋に向けてチームとしても個人としても競争を激化させたり、成長していきたいなと思います。
ーーラストイヤーの意気込みをお願いします
あっという間に終わって終わってしまうと思いますし、どれだけこの１年にかけられるかは４年生次第だと思うので、そこを見てもらいたいです。
◆ＣＴＢ黒川和音（人４＝茨城・茗渓学園）
ーー個人のゲームコンセプトは何ですか
個人としてはゲインラインバトルをテーマにして試合に臨みました。
ーー試合中、自身のディフェンスが目立ちましたが、いかがですか
センターとしてチームのディフェンスを引っ張るという役割があったので、自分自身がＦＷを前に出させて、最終的には自分が仕留められるよう、自分が好きな状態でディフェンスができるように意識していました。これがいくつかできたのでよかったです。
ーーＢＫのテーマは何ですか
ディフェンスだったらＦＷをコントロールすることです。前を見て相手の情報をスキャンしてＦＷにそれを伝えてコントロールすることを意識しました。アタックでは繋がり続けることを意識しました。
ーーどんな春シーズンにしたいですか
日本一を目指すにあたって、春は基礎という点でもチームに勢いをつけるという点でもとても重要なので、自分自身が４年生として怪我せず試合に出続けることと、最終的には全勝で終われるようにしたいです。
ーーラストイヤーの意気込みをお願いします
自分自身は４年生だから何かする、というよりも、Ａチームの12番で出場し続けるという強い気持ちを持ってプレーしていきたいと思います。
◆ＷＴＢ山下恵士朗（スポ２＝早稲田佐賀）
ーー今試合の個人としてのゲームコンセプトを教えてください
自分の強みであるステップを最大限生かすために、たくさんボールを貰うということを意識していました。
ーー後半の序盤、中大に流れを持っていかれてしまった要因は何だと思いますか
いい攻めはできていたかなと思うのですが、得点まで結びつけることができず、攻めきることができなかったことで、劣勢になってしまったと思います。
ーーどう修正していきましたか
細かなミスが多かったので、あまり無理せずに継続することをチーム全体で意識するようにしました。
ーー何度もライン際でゲインするシーンが見られましたが、今試合を振り返って自身の出来はいかがですか
昨日の新人試合であまりボールに触れなかったので、今日は積極的にボールをもらって仕掛けることができてよかったと思います。
ーー春シーズンにどんな成長をしていきたいですか
同期に植木、健想（健想、社２＝神奈川・桐蔭学園）、西浦などが居て、高いレベルの中で切磋琢磨して自分も赤黒を着れるように努力したいです。
早大メンバー
