『荒ぶる』目前で悔しい敗戦 全国大学選手権準優勝に終わる

ラグビー男子

全国大学選手権 1月13日 対帝京大 秩父宮ラグビー場

 冬晴れの秩父宮ラグビー場に集まったのは19000人の観衆。チーム佐藤はラストゲームとなる全国大学選手権(大学選手権)の決勝に臨んだ。対するは4連覇を狙う王者・帝京大。最強の敵との死闘は、前半から激しい動きを見せた。早い時間に帝京大が2トライを先制するも、すぐさま早大が反撃。23分までに2点差まで追い上げた。終盤、突き放しにかかる帝京大に攻め込まれるも、堅いディフェンスでアタックラインを押し返し、ピンチを凌いで前半を終えた。後半に入るとすぐにペナルティーゴールで逆転に成功する。しかしその後は思うように攻撃を展開できず、帝京大に連続得点を許し、15ー33とシーズンを悔しい敗戦で締め括った。

ラインブレイクするHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

 前半、早大は帝京大に先に流れをつかまれる。開始1分のファーストスクラムでペナルティーを奪われ、早大陣地深くまで攻め込まれる。このピンチを中盤まで押し戻すも、アンストラクチャーの場面から右サイドの帝京大FL青木恵斗がゲイン。ライン際の攻防から内側にボールをつながれ、そのままインゴールを割られた。さらに8分のスクラムでも早大が反則。フリーキックからFWに押し込まれ、青木に追加点を許した。それでもゲームを立て直すことができるのが今年の早大。すぐさま反撃に転じた。15分に敵陣ゴール前ラインアウトのチャンスを得る。モールからすぐにボールを展開するとCTB福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)が勢いよくディフェンスに仕掛ける。コンタクトの瞬間にバックフリップパスを放ち、横に走り込んだFB矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がこの日初めてのチャンスをものにした。さらに23分、敵陣22メートルライン上でのラインアウトから、ボールを大きく展開する。速いテンポで連続攻撃を仕掛け外側に数的有利を作り出すと、そのスペースにSO服部亮太(スポ1=佐賀工)が長く鋭いパスを通す。ボールを受け取った福島から大外のNO・8鈴木風詩(社4=国学院栃木)に渡ると、タックルを受けながらもゴール左隅に飛び込んだ。早大が2点差まで迫ると、その後はこう着状態が続く。迎えた終盤、帝京大の勢いが加速。早大は自陣で何度もピンチの場面を迎えた。36分には早大陣地深くで帝京大の波状攻撃がチーム佐藤を襲う。しかし出足の早いディフェンスで徐々に押し返し、21フェーズ続いた長いディフェンスの末、帝京大のミスを誘った。まさに1年間磨き続けてきたディフェンスの集大成。完璧な守備でピンチを凌ぎ切り、12ー14で試合を折り返した。

FB矢崎のトライを喜ぶ選手たち

 後半は開始早々に帝京大が反則を犯し、早大が敵陣でペナルティーキックのチャンスを得る。チームの選択はショット。CTB野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)がゴールを決め、幸先よく逆転に成功する。しかしその後はうまく反撃の流れに乗り切れず、6分にトライを返され再びリードを許した。その後は20分間スコアが動かず、一進一退の激しい攻防が続いた。その間に早大はSH宮尾昌典(スポ4=京都成章)とHO安恒直人(スポ4=福岡)を投入。実力のある4年生による流れの変化に期待した。しかし、先にゲームを動かしたのは帝京大だった。早大が思うようにゲームを進められない時間が続く中、25分のスクラムで早大が痛恨のペナルティー。ゴール前ラインアウトのピンチを招くと、アタックを継続されリードを広げるトライを献上した。15ー28と逆転には2トライ2ゴールが必要になる展開で終盤を迎える。逆転を目指して攻撃を仕掛け続ける早大だったが、徐々に勢いを増す帝京大ディフェンスの圧力に押し返され、自身のミスも重なり得点につなげることができない。焦りが見え始めた77分、帝京大が中盤からパスを細かくつなぎ大外でラインブレイク。そのままディフェンスを振り切られ、ダメ押しとなるトライを奪われた。その後、ノータイムの中でも果敢に帝京大陣地に攻め込む早大だったが、最後まで王者の牙城を崩すことは叶わなかった。最終スコアは15ー33。無念の敗戦で悲願の日本一を逃した。

円陣を組み士気を高める選手たち

 磨き上げたディフェンスを存分に発揮し、粘り強さを見せつけた前半。しかし、もう一つの武器であるスクラムでは相手に主導権を握られ、流れを引き寄せられない苦しい展開が続いた。「22メートル内に入ってもスコアできなかった」と佐藤が悔しさを滲ませるように、後半はさらに圧力を強めた帝京大のディフェンスに阻まれ、好機を生かしきれなかった早大。それでも、「歴代の中でも本当に素晴らしいキャプテンだった」と大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)が語るように、この1年間で佐藤が築き上げた『強い早稲田』は、間違いなく日本一を狙えるチームへと成長を遂げた。作り上げた礎は確かなものであり、次世代の早大を支えるプライドになるだろう。これからも続く早大の挑戦を見届けていきたい。

(記事 西川龍佑 写真 安藤香穂、村上結太)

※試合後インタビューは別途コメント集として掲載いたします。

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