54ー17で青学大に快勝 大一番に向け弾みをつける

ラグビー男子

 秋の深まりを感じさせないような強い日差しが照り付けるセナリオハウスフィールド三郷で、関東大学対抗戦(対抗戦)第4節が行われた。試合開始早々にトライを奪われた早大だったが、その後は持ち前の攻撃力を発揮し、青学大を寄せ付けない。後半でさらに調子を上げた早大は試合全体で8つのトライを挙げ、54ー17と快勝し、対抗戦の残る3試合に向けて弾みをつけた。

 前半3分、ミスによって自陣22メートルライン付近でスクラムを献上した早大は、そのまま一次攻撃でトライを奪われ、立ち上がりを挫(くじ)かれることとなった。しかし5分、青学大のアタックをタッチライン際でパスカットし、ラックを作らずに逆サイドに展開。外側で余っていたFL村田陣悟(スポ4=京都成章)とWTB守屋大誠(政経3=東京・早実)が大きくゲインすると、その後も早いテンポでアタックを継続し、ペナルティーを獲得する。最後はラインアウトモールでインゴールをこじ開けた。前半の早い段階で同点に追いつくことに成功し、勢いに乗ると続く16分、青学大のダイレクトタッチから敵陣22メートルライン付近でラインアウトを得る。フェーズを重ねたアタックで青学大のオフサイドを誘発。敵陣ゴール前5メートルの位置でラインアウトモールを組み、HO安恒直人(スポ3=福岡)が早くも逆転のトライを挙げた。29分には敵陣ゴール前マイボールスクラムをインゴールまで押し切り、得点を追加。「去年の同じタイミングの試合と比べてFWの安定感も増した」と大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)も評するように、FWのセットプレーで優位に立ち、スコアは19ー7で試合を折り返す。

ボールを投げ入れるHO安恒

 前半の勢いをキープする早大は後半2分、継続したアタックから数的有利を作り、最後は守屋がインゴールを駆け抜けた。7分、青学大にペナルティーゴールを許すが、リスタート後すぐのスクラムでペナルティーを奪い、流れを渡さない。16分には、FB久富連太郎(政経4=島根・石見智翠館)がギャップを逃さず、鋭いランでディフェンスラインを引き裂き、そのままトライ。33ー10とさらにリードを広げていく。FW、BKが一体となった早大は、ディフェンスでも魅せる。28分、アタックのミスで一気にゴール前まで攻め込まれた早大だったが、規律を順守する丁寧な、力強いディフェンスで青学大のミスを誘う。さらにそのミスボールにいち早く反応したFL永嶋仁(社4=東福岡)からボールを受け取ったNO・8松沼寛治(スポ1=東海大大阪仰星)が大きくゲイン。素早くボールを繋ぎ、最後はSH細矢聖樹(スポ3=国学院栃木)からパスを受け取ったCTB伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が得点を挙げる。さらに37分には、伊藤のタックルからターンオーバーに成功し、ラックから持ち出した村田がインゴールに押し込んだ。試合終了間際に自陣ゴール前で相手ボールスクラムからトライを献上したが、ノータイムでもプレーを続け、最後はSO京山秀勇(人4=福岡・東筑)がインゴールにねじ込み、ノーサイド。54ー17と4連勝を飾った。

インゴールへと加速するFB久富

 FWのセットプレー、さらにはアンストラクチャーの場面で強さを見せた早大。しかし、「100パーセントやりきれていないところがある」と伊藤が語るように、試合の立ち上がりやキックオフの攻防など修正すべき課題も見えた。次戦は昨年覇者であり、今季2度敗れている帝京大。「小手先では通用しない相手」(大田尾監督)に対して細部までこだわった早稲田らしいラグビーを実現できるかが勝敗に直結するだろう。大一番に向けて闘志を燃やす赤黒戦士たちの躍動に期待が高まる。

(記事 村上結太、写真 川上璃々)

コメント

大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)

――今日の試合を振り返って一言お願いします

 今日の試合は直前にメンバー変更もあった中で、全体的にそつなくやってくれたかなと思います。ただ、もう少し迫力がほしいなと感じました。去年、同じタイミングで行われた立教戦では、もっと苦しい戦いを強いられていたので、それを考えれば、特にFWの安定感も増しましたし、ディフェンスでの成果が出ていると感じるので、いい状態ではあると思います。収穫としては、ある程度ある試合だったかなと思います。

――自陣からでもアタックを継続するシーンがよく見受けられましたが、ゲームコンセプトとして何かありましたか

 ボールを持ってアタックをするということは、自分たちのラグビーとしてずっとコンセプトとしてあったので、それを選手たちが実行してくれたのかなと思います。

――次の帝京戦に向けての修正点などはありますか

 修正ポイントはキックオフの攻防が1つあると思います。自分たちがどうやって脱出していくかというところと、レシーブに対してどうプレッシャーをかけていくかというところが、大きなポイントだと思っています。それから、やはり小手先では通用しない相手ですので、そういう相手に対して自分たちのラグビーをするために、春からコンタクトエリアを鍛えてきたので、そこでやり切れる感覚を持って、勝負のポイントを明確にしながら詰めていきたいなと思っています。

CTB伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――今日の試合を振り返って一言お願いします

 今日の試合は青学大さんが、すごくいいファイトをしてくれたので、いい課題が出たかなと思います。自分たちとしては7、8割できてきていると感じますが、100パーセントやりきれていないところがあるので、次の相手はターゲットとしてやってきていますし、プレーでもマインドの部分でも出しきれれば、いいかなと思います。

――特に、どこがやりきれていないと感じていますか

 自分たちのやりたい形はできていて、ちょっとしたところを詰めていくだけで、さらによくなっていくと思うので、スキルやマインドの部分で細かいところを詰めていきたいなと思います。

――キャプテンとしてこれから対抗戦のヤマ場を迎えるにあたって、今どのような気持ちですか

 ここからの三戦は相手も必死できますし、レベルの上がった試合になることは間違いないので、自分たちの力を出しやすい試合になると思います。僕自身が1番勝利に対してもっと闘争心を燃やして、今までのラグビー人生にはなかったような熱いものを持って取り組んでいきたいと思います。

HO安恒直人(スポ3=福岡)

――今日の試合のコンセプトを教えてください

 取り切るところで取り、ちょっとしたミスを無くすというのをチームとして心がけました。

――直前でのメンバー交代でしたが、今日のセットプレーはいかがでしたか

 スクラムでは相手からペナルティーを取れたり、モールでは2本トライを取れていたところもありましたが、あまり上手くいってない部分の修正力が、スクラムでは足りないところがあったので、そこは改善が必要だなと思いました。

――今後の意気込みをお願いします

 次から帝京、慶応、明治と自分たちがターゲットとしてる相手になるので、もう少し自分たちがやってきたことを生かしてプレーできるように頑張っていきたいです。

 

関東大学対抗戦

早大 スコア 青学大
前半 後半 得点 前半 後半
19 35 10
54 合計 17
【得点】▽トライ 安恒(2T)、松沼、守屋、久富、伊藤、村田、京山▽ゴール 野中(5G)、久富(2G)
※得点者は早大のみ記載
青学大戦早大メンバー
山口 湧太郎 スポ2 神奈川・桐蔭学園
後半38分交代→17門脇
安恒 直人 スポ3 福岡
後半38分交代→16清水
川﨑 太雅 スポ4 東福岡
後半38分交代→18亀山
細川 大斗 社4 東京・早実
後半35分交代→20鈴木
池本 大喜 文構4 東京・早実
後半26分交代→19若松
永嶋 仁 社4 東福岡
村田 陣悟 スポ4 京都成章
松沼 寛治 スポ1 東海大大阪仰星
島本 陽太 スポ4 神奈川・桐蔭学園
後半18分交代→21細矢
10 野中 健吾 スポ2 東海大大阪仰星
後半35分交代→22京山
11 福島 秀法 スポ2 福岡・修猷館
12 岡﨑 颯馬 スポ4 長崎北陽台
13 ◎伊藤 大祐 スポ4 神奈川・桐蔭学園
後半23分交代→23磯崎
14 守屋 大誠 政経3 東京・早実
15 久富 連太郎 政経4 島根・石見智翠館
リザーブ
16 清水 健伸 スポ1 東京・国学院久我山
17 門脇 浩志 スポ3 神奈川・桐蔭学園
18 亀山 昇太郎 スポ3 茨城・茗溪学園
19 若松 泰佑 文構3 東京・早実
20 鈴木 風詩 社3 国学院栃木
21 細矢 聖樹 スポ3 国学院栃木
22 京山 秀勇 人4 福岡・東筑
23 磯崎 錬太郎 商4 徳島・城東
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦監督(平16人卒)
関東大学対抗戦Aグループ星取表
  帝京大 明大 早大 慶大 筑波大 立大 青学大 成蹊大
帝京大

11/19 14:00

秩父宮

11/5 14:00

秩父宮

12/2 14:00

秩父宮

10/15 13:00

森エンジニアリング桐生スタジアム

○83‐0

13T9G

○80ー0

12T10G

○117ー5

19T11G

明大

11/19 14:00

秩父宮

12/3 14:00

国立

11/5 14:00

熊谷

○40‐21

6T5G

10/15 13:00

大和

○87‐7

13T11G

○93‐12

15T9G

早大

11/5 14:00

秩父宮

12/3 14:00

国立

11/23 14:00

国立

○38‐35
6T4G

○64ー7
10T7G

○54‐17

8T7G

○70‐7
10T10G

慶大

12/2 14:00

秩父宮

11/5 14:00

熊谷

11/23 14:00

国立

●18ー21

3T1PG

○28ー21

3T2G3PG

○31‐20

4T4G1PG

10/22 13:00

ウエスタンデジタルスタジアムきたかみ

筑波大

10/15 13:00

森エンジニアリング桐生スタジアム

●21‐40

3T3G

●35‐38

5T5G

○21ー18

3T3G

12/2 14:00

熊谷

11/19 14:00

AGF

11/5 11:30

熊谷

立大

●0‐38

熊谷

10/15 13:00

大和

●7-64

1T1G

●21ー28

3T3G

12/2 14:00

熊谷

11/5 11:30

秩父宮

11/19 11:30

AGF

青学大

●0ー80

敷島

●7-87

1T1G

●17‐54

2T2G1PG

●20‐31

2T2T2PG

11/19 14:00

AGF

11/5 11:30

秩父宮

12/2 11:30

熊谷

成蹊大

●5ー117

1T

●12‐93

2T1G

●7‐70

1T1G

10/22 13:00

ウエスタンデジタルスタジアムきたかみ

11/5 11:30

熊谷

11/19 11:30

AGF

12/2 11:30

熊谷

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、国立は国立競技場、熊谷は熊谷ラグビー場、敷島は群馬・アースケア敷島サッカー・ラグビー場、小田原は神奈川・小田原市城山陸上競技場、大和は神奈川・大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場、AGFはAGFフィールド。