帝京大Bに敗戦も、手応えを感じる収穫の多い一戦に

ラグビー男子

 炎天下の中、帝京大・百草グラウンドで行われた早大Bの春季最終節。『ファーストキャリアへのプレッシャー』(SH島本陽太ゲームキャプテン、スポ4=神奈川・桐蔭学園)をテーマに、帝京大Bと対戦した。前半はテーマ通りの好守と、FW陣がスクラムで健闘を見せ善戦。しかし後半開始早々、相手にトライを奪われ主導権を握られると受け手に回る時間が続く。好機でのミスも絡み、最終スコアは7-48。内容以上に点差のついた敗戦となった。

 ジュニアとはいえ、タレントのそろった相手に対抗すべく、前線からプレッシャーをかけ続けた早大B。SO吉岡麟太朗(スポ3=東京・本郷)の好タックルなどで奮闘するものの、強力な相手FWの圧力に負け、12分で2トライを奪われる展開に。しかし、20分、早大に待望の初得点が生まれる。相手の反則によって獲得した、敵陣中央でのマイボールスクラムからだった。中央から右に展開すると、CTB金子礼人 (法2=福岡・西南学院)が相手のタックルを受けながら力強く前進しトライ。ゴールキックをFB仲山倫平(法2=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)が冷静に沈め、7点を返した。再開後、相手が体を当てて勝負しにきたところでも、早大Bは寄りの早いディフェンスでプレッシャーをかけ続け、ノットリリースザボールを誘う。この良い流れに続きたい早大Bは、素早いパス回しや、CTB岡本大輝(スポ4=東京・本郷)の力強いゲインなどで相手ディフェンスを崩しにかかる。しかし、激しいタックルを受け、なかなか敵陣で攻撃を展開できず。「自分達のペースに持ってこれなかった」(島本)と7ー19で前半を終えた。

多彩なアシストで好機を演出したSO吉岡

 好守を見せたものの、ターンオーバー数が少なかった前半の反省から、「仕留めの部分にこだわろう」(岡本)と臨んだ後半。しかし、開始から王者の強さを感じる展開となった。開始2分、相手にラインアウトを献上。形成されたモール自体は守ったものの、帝京大Bの素早い攻撃に反応できずインゴールを受け渡す。その後、フィジカルの強い相手に対し、守備を固めていた内側での突破は許さなかったが、外側を突かれ始める。中央からのロングパスや相手BK陣の個人技で、大外から4トライを奪われた早大B。後半は無得点で、ノーサイド。7ー48で悔しさの残る敗北となった。

相手ディフェンスの突破を図るCTB金子

 岡本が「局面で見ると互角以上に戦えているシーンがあった」と振り返るように、テーマでもあるディフェンスでは強力FWの突破を拒んだり、フィジカルの強い相手に対し「全く当たり負けしていないというのが率直な感想」(HO安恒直人、スポ3=福岡)と収穫が大きかった今試合。それだけに、チャンスでのミスが悔やまれる内容となった。再戦する夏合宿まで約1カ月半、「ミスに厳しく上井草で取り組んでいきたい」(島本)と選手たちは意気込む。

(記事 戸祭華子、写真 川上璃々)

コメント

SH島本陽太ゲームキャプテン(スポ4 =神奈川・桐蔭学園)

――今日のチームテーマを教えてください

 『ファーストキャリアへのプレッシャー』です。

――そのテーマの遂行度合に点数をつけるとしたらどのくらいですか

 70点くらいですね。

――前半を振り返っていかがでしょうか

 ディフェンス面では、相手にプレッシャーをかけられていて良かったです。ただ、疲れてきた時にホールドスピードが遅くて、相手に自由にボールを持たせてしまう場面が何度かありました。また、敵陣に入った時に取り切らないといけない場面で簡単に倒れたり、ミスをしてしまい自分達のペースに持ってこれなかったのが反省点です。

――ディフェンスでは、全体として前線からプレッシャーをかけている姿が印象的でした

 内側はプレッシャーをかけることができていましたが、外側を流すのか上げるのか統一されていなくてゲインされる場面が何度かあったので、そこを修正していきたいです。

――後半の振り返りをお願いします

 後半のファーストプレーで自分たちのミスから反則をしてトライを取られるシーンや、それ以外にも自分たちのミスから相手にトライされるシーンが多々あったので、上井草でもう一度ミスに厳しく取り組んでいきたいと思います。

――相手のフィジカルや当たりの強さはどのように感じていましたか

 一対一で負けているとは思いませんでした。この春やってきたことが間違いではないと感じました。

――夏以降のシーズンに向けて意気込みをお願いします

 取り切らないといけない場面で取り切れないと今回のような試合になってしまうと感じたので、次の帝京大戦まで約50日間で個々のスキルを伸ばすことはもちろんのこと、ミスに厳しく上井草で取り組んでいきたいと思います。

HO安恒直人(スポ3=福岡)

――まず、今日の個人としての今試合のテーマと、実際の遂行度合いを教えてください

 .今日はフィールド、スクラムともに前に出続けることをテーマとしました。スクラムはいい感触をもっていましたが、フィールドではキャリーが高くなったり、タックルを外されたりとあまり良くなかったです。

―― フィジカルの強い帝京大と戦うにあたりFW陣として意識していたことは

 セットプレーを安定させることです。また、もしうまくいかなくても、切り替えてフィールドに集中しようと声を掛け合いました。

――ディフェンスでは、全体として前線からプレッシャーをかけている姿が印象的でした。FW陣として声かけあっていたことはありましたか

 帝京はFWが強いチームなので、そこでは絶対に負けないと試合の前から話していました。そこの意識が自然とディフェンスに出たと思います。

――後半を振り返っていかがですか

 後半は入りが良くなかったと思います。雰囲気が悪いまま後半を過ごしてしまいました。そこでの切り替えや修正ができるようにチームのレベルを上げる必要があると感じました。

――実際に体感した帝京大の当たりの強さはいかがでしたか

 全く当たり負けしていないというのが率直な感想です。

――最後に、夏合宿や秋シーズンへの意気込みをお願いします

 これからの試合で全て勝てるように、また、個人としてさらに成長できるよう日々の練習を頑張ります。

CTB岡本大輝(スポ4=東京・本郷)

――個人のテーマを教えてください

 アタックではボールキャリーの時に必ずゲインラインを越えること、ディフェンスではターンオーバーを2つ以上することを個人的な目標としていました。また、4年生が少なかったので、積極的にコミュニケーションを取る声かけを意識しました。

――今日の試合を振り返って

 局面で見ると互角以上に戦えてるシーンがあったと思います。しかしながら、スコア的に差があるように、チャンスで取り切る力や球際の部分で相手を下回っていたため、大差がついてしまったと思います。

――ディフェンスでは、全体として前線からプレッシャーをかけている姿が印象的でした。BK陣として意識していたことは

 チームとして前半焦って1人で行ってしまうことがありました。しっかりユニットを組んでグループで動くこと、そしてコミュニケーションをとって細かいところを意識していこうと話しました。

――後半を振り返っていかがですか

 後半は仕留めの部分にこだわろうとハームタイムに話がありました。しかし、後半の入りでスコアを許してしまうなど、自分達の甘さが出たと思います。またチャンスは何度かありましたが、生かしきれず後半無得点に終わったことは、Bチームの1番の課題だと思います。

――最後に、今後の意気込みと目標をお願いします

 夏は秋の対抗戦(関東大学対抗戦)に向けてアピールできる最後のチャンスだと思うので、まずは個の強さやスキルを上げていく必要があると感じています。また、夏合宿に帝京大学と練習試合があるので、勝利できるように、チームとしては球際の部分に拘って練習していきたいと思います。

 

春季オープン戦
早大B スコア 帝京大B
前半 後半 得点 前半 後半
19 29
合計 48
【得点】▽トライ 金子(1T) ▽ゴール 仲山
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
山口 湧太郎 スポ2 神奈川・桐蔭学園
安恒 直人 スポ3 福岡
下村 勇貴 文3 東京・早実
萩原 武大 スポ2 茨城・茗溪学園
若松 泰佑 文構3 東京・早実
山本 竜大 教3 東京・早実
宮本 大生 文構4 埼玉・早大本庄
永井 新之助 スポ3 東京・早実
◎島本 陽太 スポ4 神奈川・桐蔭学園
10 吉岡 麟太朗 スポ3 東京・本郷
11 三浦 哲 文構3 東京・早実
12 岡本 大輝 スポ4 東京・本郷
13 金子 礼人 法2 福岡・西南学院
14 鈴木 陽結 政経4 東京・早大学院
15 仲山 倫平 法2 ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ
リザーブ
16 清水 健伸 スポ1 東京・国学院久我山
17 勝矢 紘史 スポ2 長崎北陽台
18 亀山 昇太郎 スポ3 茨城・茗溪学園
19 小野 史裕 スポ3 東京・本郷
20 岡村 圭悟 スポ3 東京・本郷
20´ 中島 潤一郎 教2 神奈川・桐蔭学園
21 清水 翔大 文3 東京・早実
22 森田 倫太朗 スポ1 兵庫・報徳学園
22´ 池本 晴人 社1 東京・早実
11´ 溝井 颯太朗 スポ3 北海道・函館ラサール
24 高栁 壮史 創理2 東京・早大学院
15´ 黒川 和音 人2 茨城・茗渓学園
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦(平16人卒=佐賀工)