【連載】新体制特集『WASEDA FIRST』第3回 フランカー永嶋仁副将×CTB岡﨑颯馬副将 

ラグビー男子

 新体制対談第3回目に登場するのは、今年度副将に就任したフランカー永嶋仁(社4=東福岡)とCTB岡﨑颯馬(スポ4=長崎北陽台)だ。昨年の結果を踏まえ、副将という立場からチームとどう向き合っていくのか。新体制発足から約2カ月経った今、二人の胸中に迫った。

※この取材は3月15日に行われたものです。

お互いの印象

終始和やかな雰囲気で行われた副将対談

――お互いの第一印象は覚えていますか

永嶋 覚えてないな・・・(笑)。

岡﨑 僕らは幼稚園、小学校くらいから出会っているんです。僕のラグビースクールと仁のラグビースクールが年に1回交歓会みたいなことをやっていて、お互い小さい頃からラグビーをしていたのでそこで初めて出会いました。

永嶋 颯馬は昔、結構ぽっちゃりしていて。なんかぽっちゃりしているのによく動けるなというのがすごい印象に残っています。

岡﨑 僕は、仁のラグパンのお尻に『ながしまひとし』とひらがなで書いてあった印象が強いです(笑)。プレーにおいては、よくタックルする印象がありました。

――岡﨑選手は、ぽっちゃりしていたということはFWだったのですか

岡﨑 いや、僕はずっとBKでFWはしたことがないです。とにかく、小さい頃は太っていました(笑)。

――高校時代に連絡は取り合っていたのですか

岡﨑 いや、してないです。たまにある九州代表の集まりで一緒になるくらいでした。

――第一印象から変わったことはありますか

岡﨑 高校とかも一緒にやっていましたが、大学に入ってからでいうと、(永嶋は)東福岡でキャプテンをやっていたのでしっかりしているイメージが強かったんです。でも、今は本当にチームのみんなで楽しいことをするのが好きなので、そのオンオフの切り替えはすごいと感じています。

永嶋 颯馬も本当に一緒です。すごくグラウンドで真面目だから、その印象が強かったですが、普段はすごくふざけるし、はっちゃけるので、グラウンド内外でこんなに変われるんだと思いました(笑)。

――お互いの好きなところや尊敬するところを教えてください

永嶋 僕は結構、人に対して厳しく言うことを躊躇(ちゅうちょ)してしまいますが、颯馬は正しいと思ったことを素直に人に伝えることができるので、そこはすごくいいなと思います。

岡﨑 仁は、ラグビー面でいうとチームのために体を張ることができるので本当にすごいと思っています。ラグビー以外でいうと、本当に同期やチームメンバーが大好きだと思います。同期の誕生日とかを盛大に祝おうとする姿を見ると、本当にいいなあ、同期大好きなんだなあと思います(笑)。

永嶋 そうなんです(笑)。幹事のようなことをすることが多いです。

「悔しさの残る1年だった」(岡﨑)

昨シーズンを振り返る岡﨑

――では昨年1年間を振り返ってどのようなシーズンでしたか

岡﨑 決勝まで行ったという経験がチームにとってプラスになると思いますが、それ以上に決勝の舞台で50点差をつけられて負けたことがすごく悔しいです。個人としても満足いくような試合をあまりできなかったので、悔しさの残る1年でした。

永嶋 チームが決勝まで行き、そこで自分は試合に出させてもらいましたが、それでも早稲田のフランカーとしてはまだまだ力不足だったというか、もっとできたのではないかという悔しさがすごくあります。

――今お話にもありましたが、全国大学選手権(大学選手権)決勝の帝京大との差は、改めてどのように感じていますか

岡﨑 帝京大学は、チームで勝つことに対して、15人全員が自分にできることを常に探して、追求していくという意識があったと思いました。実際に試合をしてその意識の差を感じました。もちろん早稲田も勝つことを目指していましたが、帝京大学は目の前の勝負に勝つこと、1対1で勝つこと、にまず集中していたと感じたので、その意識の部分が自分たちに足りなかったと思っています。

永嶋 僕は、ベンチから試合を見ている時間が長かったですが、早稲田はトライを取ったり、取られたり、その都度すごく一喜一憂していると感じました。対して帝京は、トライを取られても落ち着いていて、試合を通して絶対に勝つというのを意識していたと思います。そこに差を感じました。

――それを受けて、今年チームで高めていきたいところはありますか

岡﨑 やはり、80分通して早稲田が常に先手を取っていくというところを意識したいと思っています。早稲田は帝京大学や明治大学に比べると体も大きくないですし、スター選手は少ないと思います。でも、相手よりも先に仕掛けることを80分通して継続できれば、きっといい結果につながってくると思うので、そこは試合だけでなく練習時から意識していきたいです。

永嶋 FWでいうと、今年は昨年よりもさらにサイズが小さくなって飛び抜けた選手がいなくなるので、全員でタックルしてこぼれ球に反応するとか、本当に小さいことに普段から真摯に取り組むことが試合に生きてくると感じています。

――個人のプレーとして高めていきたいことは

岡﨑 早稲田が今まで大事にしてきた部分である当たり前のこと、誰でもできるようなことをより自分から先にできたらと思っています。こぼれ球に反応したり、フォローにいったりというようなことをより意識してやっていきたいです。

永嶋 人より多くブレイクダウンに頭を突っ込んだり、ジャッカルやタックルだったり、あまり大きいプレーではないですが、誰かがしないといけないようなプレーを自分が率先してできたらと思っています。

「誰よりも成長して強くならないと」(永嶋)

笑顔で取材に答える永嶋

――昨年からリーダーになるのは意識していましたか

岡﨑 僕は、昨年委員を務めさせてもらったので、今年は何らかのかたちでリーダーになるのではないかと感じていました。

永嶋 昨年の委員のメンバーを見た時、リーダーとして引っ張っていく立場にFWがあまりいなかったので、自分もその可能性があるのではと少し感じていました。

――実際、副将に決まった時どのように感じましたか

岡﨑 4年生としてチームを引っ張っていかなければならないという気持ちが大きかったので、身がより引き締まりました。また、副将という立場はチームに大きな影響力を与える立場なので、もっと自分が頑張らないといけないと思いました。

永嶋 副将という立場にはなったのですが、僕自身、昨年の最後しか試合に出ていないので同じフランカーの選手に比べても見劣りする部分はあると思います。だからこそ4年生ですが、誰よりも成長して強くならないといけないなというのはすごく感じています。

――どのようにチームビルディングに貢献していきたいですか

永嶋 僕は大祐(伊藤、スポ4=神奈川・桐蔭学園)と颯馬に比べてジュニアでプレーする時間や下級生と話す時間も多かったので、できるだけいろいろな人と話して、チームがより一つになるようなこと、全体がつながるようなことをできればと思っています。

岡﨑 昨年のチームは終盤に一体感が生まれて、大学選手権の最中にチーム力が向上していったと思いますが、今年はそのチームの結束力を早めるために、まずは同期をまとめて後輩たちをどんどん巻き込んでいけるようにしたいです。同期とラグビー以外でコミュニケーションを取ったり、同じポジションの後輩選手たちと一緒に練習したりして、まとまりを作っていけたらと思います。

――伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)はお二方から見て、どんな人ですか

永嶋 オンオフが一番はっきりしている人で、普段はふざけたりしますが、ラグビーになるとスイッチが変わって、誰よりも真面目で、自分にも周りにもすごく厳しくなります。1番ストイックだからこそみんながついて行こうと思うし、僕もそこについて行けるように頑張るし、それが大祐の良さだと思っています。

岡﨑 ラグビーが誰よりも好きだと思うし、誰よりも勝ちたいという思いが強いと思います。それに負けないように僕らもやりますし、僕らがついて行くだけではだめだと思うので、一緒に引っ張っていけるように頑張りたいです。

――具体的にどのように主将を支えていきたいですか

永嶋 僕は行動で示したいので、常に周りの選手に声をかけたり、嫌なプレーや痛いプレーを自分が1番にしたりして、仲間についてきてもらいたいです。大祐が少しでもプレーに集中できるようにサポートしたいと思います。

岡﨑 特にサポートをしようという思いを持たずに、ただ自分がやるべきことを全力でやります。早稲田が目指すべきものを僕が誰よりも追っかければ、きっとそれが大祐のサポートにもつながると思うので。自分がやるべきことを今までよりも全力でやれれば良いかなと思っています。

「目の前の勝負に勝つ」(岡﨑)

今季の意気込みを熱く語る岡﨑

――新チームが始動して数カ月経ちますが、実際に副将になってご自身の中で変化したことはありますか

永嶋 自分の行動、成長によって自分の発言にも重みが出てくると思うので、まずは自分にフォーカスして練習に臨んでいます。

岡﨑 チームが決めたことに対するコミットを誰よりも意識することを心がけるようになりました。大祐が今1番言っているのは「グラウンドに入ったらスイッチをオンにしてマインドを変えていこう」ということなので、それを意識して、グラウンドではスイッチオンにして練習に取り組めています。そこのコミットに関しては、すごく意識できていると思います。

――BK、FWの主力の選手が卒業されましたが、そこをどう工夫して埋めていきますか

永嶋 それこそ今、体づくりに重きを置いて取り組んでいるのですが、いなくなった4年生の場所は学年関係なく奪い合いだと思っているので、部内での競争力を高めていくことでよりチームの力が上がっていくのかなと思っています。

岡﨑 昨年いた4年生のメンバーには、トライを取りきってくれる大事な選手がたくさんいて、チームの苦しい場面で助けてくれることが多かったように思います。そういった人たちがいなくなるのは正直、今思うとチーム力が下がるのかなと不安に思う部分もあります。それでも今年は今年のチームの色がありますし、早くそこを見つけて詰めていけば昨年の結果を超せるのかなと思います。まずは自分たちのBKの強みを磨いていければ良いかなと思います。

――今季はどんなチームにしたいですか

永嶋 飛び抜けている選手がいない分、一つのこぼれ球やミスに厳しく、ベーシックの部分で基準を高く持てるチームを目指したいと思っています。

岡﨑 勝ちにこだわるチーム、常に全員が勝つためにこだわれるチームを目指しています。先程も言ったのですが、帝京大のプレーを見て、目の前の勝負に勝つことが試合全体の勝敗につながると感じました。試合に勝つだけではなく、目の前のことやポジション争いにも勝っていかないとあの(決勝の)舞台で勝つことは難しいと感じたので、そこにこだわれるチームを目指したいと思っています。

――春シーズン特に意識して取り組みたいことは

永嶋 春だからといって負けていい試合は1つもないと思うので、全部に全力で挑戦したいと思います。この期間でフィジカルをアップしてきたので、一対一の局面では絶対に負けたくないです。

岡﨑 去年からずっとやっている早稲田が大事にしてきた部分、こぼれ球の反応とか当たり前のことを、春の時点でまず定着させる。そこだけは他のどの大学にも負けずにやっていきたいと思います。

――今季、自分自身の注目ポイントを教えてください

永嶋 僕はタックルとジャッカルだと思っています。昨年はタックルの部分でチームに迷惑をかけてしまったので、そこの精度を高く持って、しっかりジャッカルでボールを取ってくる。あまり大きなプレーではないですが、そういうところに注目してほしいと思っています。

岡﨑 僕はボールを持った時に注目してほしいと思っています。今までパスで味方を生かしながらプレーしていましたが、自分がボールを持った時は自分でも前に運んでゲインしてチームのアタックに勢いを与えるプレーをしたいと思います。

――改めて今シーズンの個人、チームとしての目標をそれぞれ教えてください

永嶋 個人としては試合に出続けて、早稲田のフランカーが1番似合う存在になる。そして、その自分の姿勢で周りを引っ張りたいと思います。チームとしては『荒ぶる』を獲る。その一つだけです。

岡﨑 個人としての目標は試合に出続けることと、僕が一番勝ちにこだわる姿勢を見せることです。チームとしては『荒ぶる』を獲るのも目標ですが、まずは春シーズンしっかり全勝することと、対抗戦(関東大学対抗戦)も1位で突破することにこだわっていきたいと思います。

――ラストシーズンへの意気込みをお願いします

永嶋 『荒ぶる』にチャレンジできる最後の年で、僕にとってはラグビーラストイヤーなので、本当に悔いのない1年にしたいと思っています。

岡﨑 日々、昨日の自分より成長できるように過ごします。その日々の積み重ねが最終的に『荒ぶる』という結果につながると思うので、一日一日を大切にして、その日やり残したことがないように、グラウンドにいる間はラグビーのことをしっかり考えていきます。日々成長して、最後は『荒ぶる』をつかみたいです。

――最後に、ファンの方々へメッセージをお願いします

岡﨑 いつも応援していただいて、すごくうれしいです。もっともっと僕らも頑張るので、もっともっと応援していただけるとありがたいと思います。

永嶋 昨年以上に熱い早稲田を見せることができるように頑張るので、今年も応援よろしくお願いします。

――ありがとうございました!

(取材・編集 川上璃々、戸祭華子、濵嶋彩加)

今シーズンに向けて意気込みを書いていただきました!

◆岡﨑颯馬(おかざき・そうま)(※写真右)

2001(平13)年11月20日生まれ。177センチ。88キロ。長崎北陽台高出身。スポーツ科学部4年。リフレッシュ方法はスイーツを食べることだという岡﨑選手。プリンやフィナンシェ、カステラをよく食べるそうで、プリンは特に焼きプリンが好みだとおっしゃっていました。取材中には、岡﨑選手の言葉一つ一つに強い責任感が表れており、今年にかける熱い思いが伝わってきました。ラストイヤーも持ち前のエネルギー溢れるプレーでチームを活気づけてくれること間違いなしです!

◆永嶋仁(ながしま・ひとし)(※写真左)

2001(平13)年4月8日生まれ。179センチ。94キロ。東福岡高出身。社会科学部4年。歩くのが好きで、よく吉祥寺の井の頭恩賜公園で散歩をしているという永嶋選手。対談中は、取材に緊張した様子で、質問に答えるたびに隣にいる岡﨑選手の顔色をうかがっていました。最後の撮影ではお互いに背比べをするなど仲睦ましい姿も見られ、副将お二人のコンビネーションの良さを感じました。自身、ラグビーラストイヤーともなる年。チームの副将として、そして一選手として全力で取り組む永嶋選手の勇姿にご注目ください!