全国大学選手権決勝の悔しい敗戦から約1カ月、春の兆しが感じられる早大上井草グラウンドで4年生の追い出し試合が行われた。一部参加できなかった選手はいたものの、参加した4年生全員が赤黒に袖を通し、和気あいあいとした雰囲気の中下級生と最後の交流を楽しんだ。
トライを狙う鏡
まず行われたのは、4年生チームと下級生チームの対戦だ。BK陣の小泉怜史(文構4=東京・早実)がフランカーとしてスクラムを組むという場面や、相良昌彦(社4=東京・早実)がコンバージョンキックをする姿があり、笑いの絶えないイレギュラーなプレーを展開した。試合終盤には、ケガにより試合復帰とならなかった鏡鈴之介(法4=東京・早大学院)が小西泰聖(スポ4=神奈川・桐蔭学園)のロングパスをキャッチ。そのまま鏡が相手をかわしてトライに成功すると、4年生全員が駆け寄り、共にトライを喜ぶ姿が見られた。また、主務としてチームを支えた川下凜太郎(法4=東京・早大学院)や小西結トレーナー(スポ4=埼玉・大宮)をはじめとする4年生スタッフが選手と一緒にボールを回す姿も見られ、4年生全員で上井草での思い出を刻んだ。
植野のタックルを受ける小池
続いて、学年ごとに4年生へ指名制でメッセージを伝えるという恒例行事が行われた。清水翔大(文2=東京・早実) は兄の清水一志(社4=東京・早実) を指名し、兄弟ならではの微笑ましい掛け合いでグラウンドを沸かせた。小池航太郎(商3=東京・早実) は、高校の先輩にあたる植野智也(法4=東京・早実)に思いの丈を述べた後、低く強いタックルを受け2人で痛々しい様子を見せるなど、会場が笑いの渦に包まれた。また、最後にはファンとの交流時間も設けられ、笑顔でサインや記念写真に応じる選手たちの様子がうかがえた。
部の集合写真
部員全員で目指した『日本一』という目標。惜しくもあと一歩届かなかったが、長い戦いの中、特に4年生の団結力はチームの大きな力になっていた。そんな4年生がそれぞれの道へ新たな一歩を踏み出し、早大ラグビー蹴球部も新体制が始動する。「100回試合をやって100回勝てるようなチームになってほしい」(相良)。強い想いを託された伊藤大祐(スポ3=神奈川・桐蔭学園)率いる新チームは、どんな戦いを繰り広げてくれるのか。今年こそ、会場を『荒ぶる』で染めるために。いま、早大の新たな挑戦が始まろうとしている。
(記事 川上璃々、写真 谷口花、山田彩愛氏)
コメント
相良昌彦(社4=東京・早実)
――今日の追い出し試合を振り返っていかがですか
久々にみんなに会えたので、とても嬉しかったですし、楽しかったです!
――決勝が終わってから今日までどのように過ごされたのですか
たくさん遊びました(笑)。ヨーロッパに2週間くらい行って、その後は地元の友達と遊んだりとか、ライブやご飯行ったりして遊びました。
――改めてどんな4年間でしたか
最初は順調だったのですが、途中からうまくいかないことの方が多くて、きつい時期もありました。それでもラグビーが好きだという気持ちや早稲田ラグビーという仲間がいて、一緒に乗り越えられて、ここまでやってきました。本当に良い4年間でした。
――同期への想いをお願いします
同期は、去年からすごくコミュニケーションを取るようにしたり、ミーティングしたりしてて。正直、自分たちはすごく仲が良いわけじゃないのですが、最後は4年生の早明戦や最後の自分たちの(大学選手権準々決勝での)早明戦でさらに結束が深まったりして、本当に同期のおかげで決勝まで行けたと思っているので、すごく感謝してます。
――それでは後輩へのメッセージをいただけますか
やはり日本一という目標を掲げる以上、言うことは簡単なことですが、サインプレーとか、最後のずる賢くあがいたところで、小手先だけじゃ勝てない相手というか、日本一は取れないということを体験したので、しっかりとベースを磨いて、100回試合をやって100回勝てるようなチームになれるように、新キャプテンの言うことをよく聞いて、みんなで頑張ってほしいなと思います。
――早稲田ラグビーはどんな場所でしたか
本当にすごく恵まれてる場所だったなと思います。ファンの方がいっぱいいたり、施設も充実したりしていますし、100%ラグビーに集中できる環境だったので、ラグビーをするためには、本当に最高の場所だったなと思います。
――最後に次のステージに向けて意気込みをお願いします!
すごく難しいチームに行くと自分でも思っています。後輩たちに一日一日を大事に過ごしてほしいって言ったように、自分も一日一日で学ぶこともたくさんあると思うのですが、その毎日でチャレンジし続けて、活躍できるように頑張っていきたいと思います!
鏡鈴之介(法4=東京・早大学院)
――追い出し試合はいかがでしたか
久しぶりにグラウンドに立ってラグビーをできたので楽しかったです。
――ファンの方と交流してみていかがですか
思ったよりもいろんな人に応援してもらえていたんだなと思いました。そういう人の支えでこうやって4年間続けられたので交流できて嬉しかったです。
―― 下級生にメッセージをお願いします
どのカテゴリーでも自分を見失わずにやってほしいと思います。常に謙虚にやり続けて、ちょっとやそっとの努力じゃ多分帝京に勝てないので優勝できるように頑張ってほしいと思います。
――次のステージに向けて意気込みをお願いします
舞台は変わると思うのですが、自分の強みを生かして、できることだけやるというのはラグビーと変わらないと思うので、そういうところで頑張っていきたいです。
植野智也(法4=東京・早実)
――今日の追い出し試合を振り返っていかがですか
久しぶりにできたラグビーでした。みんなで色々と盛り上がることができて、すごく楽しかったです。
――小池航太郎(商3=東京・早実)選手からも言葉がありましたね
そうですね(笑)。あいつには色々迷惑かけられましたし、僕も迷惑をかけました。とても良い後輩ですね。友達のような後輩です。
――早大での4年間を振り返ってみていかがでしょうか
楽しいことばかりではなかったのですが、4年間最後までやり遂げることができましたし、なんでラグビー部に入ったのかを思い出したと同時に、すごく達成感というか、その何かすごい大きなものを得られたなというのがあります。
――早稲田ラグビーはどんな場所でしたか
「呪い」ですね(笑)。その良い面がこの4年間でやっと分かったという感じがしています。
――同期への思いは何かありますか
同期には本当に感謝しかないです。色々と迷惑もかけたと思いますが、同期がいたからラグビーを4年間続けられたというのは間違いないので、本当に感謝しています。
――後輩へメッセージありましたらお願いします
とにかくラグビーを楽しんでほしいと伝えたいです。
金井奨(人4=群馬・太田)
――追い出し試合を終えていかがでしたか
4年生のみんなと最後にラグビーができてすごく幸せでしたし、下級生とも交流できたのがすごく楽しくて思い出になりました。
――ラグビー部で過ごした時間を改めて振り返ってどんな4年間でしたか
赤黒を着て試合に出るとか、『荒ぶる』をとるという目標は叶わなかったのですが、そこは後輩に託したいです。個人としては、悔いなく終われて、とても良い4年間だったなと思います。
――一緒に過ごした同期の存在についてどう感じていますか
本当に支えだったなと思っています。この4年間を耐えられたのも同期がいたからですし、つらい時に共有し合えたのも同期でした。みんなと出会えて良かったと思います。
――改めて後輩に向けてメッセージをいただけますか
『荒ぶる』は後輩に託したので、1日1日を大切に過ごして、『荒ぶる』を最後にとってもらえたらなと思います。
――金井選手自身の次のステージでの目標や意気込みを最後にお願いします
早稲田で過ごした時間が良かったと振り返ってから思えるように、4年間で学んだことを生かして、これからも頑張ります!
小泉怜史(文構4=東京・早実)
――今日を振り返っていかがですか
最後の上井草でできるラグビーは嬉しいような悲しいような複雑な気持ちでした。
――4年間を振り返っていかがですか
楽しいことよりもつらいことの方が多かったのですが、人生においてすごくいい経験だったし、今後ラグビーを続けていく上で財産になったなと思います。
―― 下級生にメッセージをお願いします
決勝で負けてそこから得るものは必ずあると思うので、何をすればいいのかをしっかり考えてほしいなと思います。出ていた選手は出てない選手に伝えるというのが仕事ですし、最終的にいいチームを作っていって大学選手権(全国大学選手権)で優勝してもらえればなと思います。
――今後の活動に向けて意気込みをお願いします
今の日本のラグビーはレベルが上がっているので、本当に今から(自分のスキルを)一段二段レベルアップしないといけないです。日々努力して試合に出て活躍できればいいなと思います。