【特別企画】早明対談『Infinity』 第3回 CTB吉村紘×CTB廣瀬雄也(明大)

ラグビー男子

 観客が沸き上がる満員の早明戦。幼い頃から見てきた憧れの舞台で、この二人は再び対峙する。第3回は、東福岡高出身のCTB吉村紘(スポ4=東福岡)とCTB廣瀬雄也(明大)の対談をお送りする。同じく時を共にしてきたお二方。現在はそれぞれ12番を背負い、チームのアタックに欠かせない存在となっている。来る2度目の早明戦への思いや自身の注目ポイント、高校時代の青春を幅広く語り合う。

 

※この取材は12月20日に行われたものです。

 

第一印象

――まず初めに他己紹介ということで、互いにどういう選手なのか教えてください

吉村 雄也(廣瀬)は高校から一緒にプレーをさせてもらってたのですが、当時からとても頼もしかった印象です。10番と12番でやらせてもらっていて、僕から(廣瀬に)アイデアを聞くこともありました。ラグビー勘のところも優れていますし、キャリーも強い。ロングパスとロングキックは、本当に雄也の武器だと思います。

廣瀬 (高校)2年生の時からSOとCTBで紘さん(吉村)と組ませてもらっていたのですが、ラグビー以外でのウエイトトレーニングの時もパス練の時も紘さんと二人でやっていました。3年生の中でも一番信頼関係というか、一番会話もしてましたし、一番過ごした時間は多かったのかなと思います。

――それではお二人のプライベート面はいかがですか

廣瀬 (吉村と)帰る方向とかが一緒だったのですが、学年も違うのでたまに一緒に帰ったりしていました。大学入ってからも何回かご飯行きましたし、一緒に東福岡に顔を出しに行ったりした感じですね。プライベートな話は、ウエイトの時にちょくちょくしていました(笑)。

吉村 懐かしい(笑)。

廣瀬 そうですよね(笑)。

吉村 雄也のイメージは、真面目。でも遊ぶときは遊ぶ人です。でも僕は、雄也の真面目なところをすごくリスペクトしていました。

――第一印象とかは覚えていますか

吉村 雄也の第一印象か… 本当にデカいなと思いましたよ。(廣瀬は)確か最初はSOやっていて、鳴り物入りみたいな感じで入ってきて、「廣瀬雄也が(東福岡高に)入ってくる」というのはなんとなく知っていたのですが、いざ実際に見てみると、でかいなって思いました(笑)。

廣瀬 僕が東(東福岡高)に入る前に、(吉村が)1年生から東のジャージーを着てメンバーに入っていたというのはすごく印象的で、その時からどんな人なのって思っていました。いざ入部してみると、王様みたいな、キングみたいな感じでした(笑)。オーラがすごくて、最初近寄れなかったですよ(笑)。

――お二人の出逢いは高校なんですね

吉村・廣瀬 そうですね。

廣瀬 僕はずっと知ってましたけど(笑)。

吉村 俺も知ってたよ。知ってたというか見てたよ(笑)。

廣瀬 紘さんは、鞘ヶ谷ラグビースクール出身で、中学の試合も結構見ていたので、「なんだこのSOは」って思ってました。

吉村 雄也に褒められるとなんか変な感じしますね。本当に思っているのか思ってないのか(笑)。

一同 (笑)。

廣瀬 ずっと思ってますよ!

――その第一印象から何か変わったところありましたか

吉村 最初は真面目だなと思っていたのですが、やっぱり年々慣れというのがあるので、だんだんいじられるようにはなりましたね(笑)。

廣瀬 (笑)。

吉村 でもさっき雄也も言ってくれましたが、僕も後輩で雄也が一番コミュニケーション取っていた方なので、雄也とかが僕のことをいじって、周りの人が「え、いじるの」みたいなのちょっとあったよな(笑)。

廣瀬 ありましたありました。紘さんと過ごす時間が長くなるにつれて、「この人意外といじれるな」みたいな、意外と距離縮めれるんだなというのは僕にしか感じないなと思っていました(笑)。

吉村 仲良かったよな。

廣瀬 はい、仲良かったっす。

吉村 仲良くしてよ、これからも。

廣瀬 そりゃあしますよ(笑)。

――ちなみにこれから行ってみたいところとかありますか

吉村 え~ 雄也と行くなら、やっぱり福岡だな!

廣瀬 そうっすね。福岡ですね。でも紘さんと二人なんて考えられないですね(笑)。

吉村 グローバルアリーナ行こうよ。

廣瀬 なんでですか。

吉村 パン屋さん、パン屋さん。

廣瀬 ああ、美味しいっすよね。確かに、福岡ならではのご当地がいいですね(笑)。懐かしさを思い出しながら。

 

東福岡高での一番の思い出

ウエイトトレーニングも一緒にやっていたそう(本人提供)

――東福岡高での練習はきつかったのですか

吉村 練習時間は、多分他の学校に比べたら短かったのですが、一緒に練習する選手たちが特に低学年の選手とかは大きいので、コンタクト練習が多かったです。なので、練習時間が長くて疲労というよりは、体をぶつけた時の痛みというのが結構ありましたね。

――廣瀬選手もそのような感じでしたか

廣瀬 そうですね。でも違う観点からで話すと、僕と紘さんは電車通学の中でも家がすごく遠かったんですよ。朝も早くて、夜帰るのも遅かったので。練習もきつかったですが、あまり家にもいられなくて家族と過ごせる時間もなかったので、体力的というか、精神的にきつかったというのは結構ありました。

――朝は早くてどれくらいだったんですか

廣瀬 僕は6時の電車に乗ってましたが、紘さんの方が早いですか?

吉村 そうだね。5時40分とかやったね。

廣瀬 それで僕たち毎回同じ電車に乗ってるんですよ。僕とかは特に田舎の方なので、東京みたいに、最寄りが近くてとか、駅がすぐあってとか、すぐ電車が来てとかじゃないので、毎回お母さんに車で10~15分くらいかけて(駅まで)送ってもらってましたね。それが結構大変でした。

――大変でしたね。帰りも遅かったとのことですが

廣瀬 そうです。21時くらいでしたね。

吉村 その中で、雄也が僕よりもちょっと早く着いて、ウエイト場にラックというのがあるのですが、それをいつも場所取りしてくれてました(笑)。

廣瀬 紘さんのために早く行きました(笑)。

吉村 ありがとう、その時は(笑)。

廣瀬 ハハハ(笑)。

――廣瀬選手から見て吉村選手はどんな副将でしたか

廣瀬 いつもウエイトの時からずっと一緒にいて長く時間を過ごしていたので、副将の紘さんは僕からすると本当の吉村紘さんみたいな感じでしたね。プレー中も本当に頼もしかったです。高校生っていろいろ迷ったりすることがあると思うのですが、紘さんは常に冷静に状況判断をしていたので、見てても一緒にいても安心感があるというか、「なんでそんなことが分かるんだろう」みたいな、高校生なのにすごく大人に感じていましたね。

吉村 大人ぶってたでしょ?

廣瀬 ぶってないでしょ。本当のことはわからないですけど(笑)。

――反対に廣瀬選手はどんな後輩でしたか

吉村 雄也は本当に親しみやすくて、学年関係なくコミュニケーション取りやすい存在でしたね。ラグビー中もプライベートでも。僕も雄也のことを頼っていましたし、頼もしかったです。全部が上手いので!

――吉村選手自身が高校3年生の時の代はどのような代でしたか

吉村 大変でしたね(笑)。

廣瀬 そうですね。

吉村 一個上のスターが抜けてどうなるんだろうみたいなところがあったのですが、最終的にはひとりひとりが100%の力を出し切って、ハードワークし続けるチームだったんじゃないかなと思います。そこに一個下の雄也とかのサポートがあって、ベスト4までいけたのかなと思います。

――廣瀬選手の代はいかがでしたか

廣瀬 紘さんたちの代の時から(試合に)出ている選手が多かったのでやりやすい部分はありましたね。いざ新チームになると、スタメンがほぼ3年生だったというのはやりやすかったです。言うこともきちんと言える代だったかなと思います。

――東福岡高でのお二人の印象深い思い出は何かありますか

吉村 思い出というか、雄也が菅平合宿中に、自陣22メートル内から蹴って、デッドボールラインを超えるキックを蹴ったことあるんですよ。「こいつマジか」って思いましたよ。超えてしまったガッカリというよりも、そんな飛ぶのかという驚きが大きかったことは今でも覚えています。

廣瀬 10番12番で組んできましたし、いろいろな思い出はあるのですが、ラグビーでの思い出というよりかは、紘さんのプライベート話を聞く時がすごく面白かったです。

吉村 言わなくていいよ(笑)。

廣瀬 詳しくは言わないですけど、紘さんも人間なんだってちょっと楽しんでました(笑)。ラグビーだけが好きな人だと思っていましたし、僕にしか知らない話とかいろいろしてくれたので、意外とちゃんと人間です。面白いです。

吉村  (笑)。

廣瀬 一番の思い出ですね。

 

慶大戦でボールキャリーするCTB廣瀬

――東福岡高あるあるを教えてください

吉村 夏の授業中はパンツとシャツで授業を聞いている人が数人いることです。特に体育の後はその格好の人が多かったですね(笑)。先生も最初は怒っていましたが、最後は諦めていましたね。僕はちゃんと制服着ていました!

――廣瀬選手はそのような格好で授業受けていたのですか

廣瀬 いや、廣瀬はちゃんと着ていました(笑)。

――同期の中で仲が良かった選手はいらっしゃいますか

吉村 僕は中森隆太(立正大)です。今年ブレイクした人ですよ。雄也も仲良いよね?

廣瀬 はい、1回ご飯行きました。

吉村 僕ら同じ電車で、中森も一緒に帰ることが多かったんですよね。彼はすごく自主練をするんですよ。だから僕にパスを投げてもらったり、最後までウエイトトレーニングをしたりと、なんだかんだ一緒に過ごす時間が長かったですね。

廣瀬 僕は森山雄太(明大)です。もう0歳から一緒で、オフで実家帰った時も絶対に毎日会っているくらいなので(笑)。家族みたいな感じですね、小さい頃からずっと一緒です。

――お二人共通で仲の良い選手はいらっしゃいますか

吉村 仁(永嶋、社3=東福岡)とかも同期だもんね?

廣瀬 そうですね。

吉村 あと雄也の先輩で、原口虎太郎(明大)という人がいます。僕の同期で(笑)。

――皆さんで仲が良いのですね

吉村 そうですね。仲が良いですね。

廣瀬 出たがっていましたよ、この対談に(笑)。「吉村黙れ」と言いたかったって言っていました。

一同 (笑)

吉村 そういう奴です。誰でもいじりたがる人なので(笑)。それこそ先週末(12/18)にあった4年生の早明戦でも原口とは話しましたね。

 

地元の観光スポット

――お二人は出身も福岡なのですか

吉村・廣瀬 そうです。

 

――それでは福岡のオススメの場所を教えてください!

吉村 でも出身、同じ福岡やけど少し違うよね。雄也から言ってよ、地元周辺のところ。

廣瀬 福岡って意外と何もないですよ。ご飯が美味しいくらいで(笑)。2泊すると言われたら困りますよね、何を紹介したら良いのか(笑)。地元自慢を挙げると、世界遺産があることくらいです。ただ世界遺産と言っても名前言っても皆分からないレベルの世界遺産です。

――ちなみにお名前を聞いてもよろしいですか

廣瀬 宗像大社です。

――吉村選手の地元周辺には何かありますか

吉村 観光のオススメで言うと、うどんが美味しいですね。資さんうどんってよく名前聞くと思うのですが、チェーン店があって、あれは北九州発祥なんです。結構オススメです。

――帰省された時に必ず行く場所や食べるものなどはありますか

吉村 僕は帰省した時は必ずお刺身を食べます。東京と全然違うよね?

廣瀬 もう全然違いますね。

吉村 東京の刺身盛りなんて、刺身盛りではないよね(笑)。

廣瀬 ちがいますね(笑)。糸島という場所があるのですが、そこもお魚が有名です。牡蠣小屋という所があって、七輪で牡蠣や帆立を焼いて食べることができて、そこを東の時の友達がやっているので、帰省したら必ず行きますね。紘さん行きますか?

吉村 あのね、糸島行ったことないんだよね。

廣瀬 そうなんですか!? 福岡県民じゃないですよそれ(笑)。

吉村 オフでも籠ってたからさ、家に(笑)

廣瀬 北九州遠いですもんね。

吉村 行けなかった(笑)。

――唐突ですが、お互いにキャッチコピーを付けてみてください

吉村 北九州って成人式とかで話題になるじゃないですか(笑)。でも誤解されたくないので、方言混じりで『キタキューやけど、ヤンキーじゃないけん』。恥ずかしいですね、自分で言うのも(笑)。

廣瀬 これって自分のですか?

――一応、お互いに付けていただきたくて…

吉村 あ、そういう事! なんか俺だけ恥ずかしいな(笑)。雄也に付けるのね(笑)。

廣瀬 難しいですね(笑)。

吉村 じゃあ雄也は、『ラグビーの貴公子』で! プレースタイルもそうですし、あとはなびく髪ですね。プレースタイルでは、時々おしゃれなプレーを入れてくるので。

廣瀬 ええ、難しい。それこそ紘さんじゃないですか?

吉村 いやいやダメだよ。

廣瀬 パクられました、僕。考えていたやつを。

吉村 そういうの言ってきそうやけん、早めに言った(笑)。

廣瀬 困らせないでください(笑)。じゃあ紘さんは、『キタキュウが生んだキング』。フフフ(笑)。

吉村 いじってるじゃんそれ(笑)。

廣瀬 いやいじってないです(笑)。悪い意味のキングではなくて! 僕たち明治でも皆言っているのですが、紘さんにSOやCTBに立たれることが一番嫌なんですよ。ラグビーのフィールドを上から見ているみたいなイメージです。個人技で抜かれてトライを取られるというよりかは、ディフェンスを崩されて相手のチームアタックでトライされる方がメンタル的にもくると思うのですが、紘さんがSOやCTBにいる時は、それをしてきます。スペースを見られて嫌なことをしてくるというか、そういった意味でフィールドを支配しているということで、キングです!

 

熱い絆

共に12番として戦う吉村と廣瀬

――この前の早明戦ではお互いに12番で対戦されていました。やはりお互いに意識する部分はあったのでしょうか

吉村 僕は、雄也をチームとして意識していました。(廣瀬は)明治のキーマンなので、高校がどうというよりもチームとして抑えないといけないポイントだと思って試合に臨みましたね。その時も雄也が全部ゴールキック決めたので、僕自身もプレッシャーをかけられていました。あれはうざかったですね、「外せ」と思いながら見ていました(笑)。

廣瀬 今でも敵同士でラグビーをするっていう事自体慣れていなくて、紘さんは味方でいたら安心感がありますし、やっぱり10番、12番の相性があるじゃないですか。いざ相手になると本当に嫌でした。早稲田の10番、12番に入る人は誰であってもキーマンだと思いますし、本当に上手いアタックをしてくるので、チームとしてもしっかりと紘さんや10番の野中君(野中健吾、スポ1=東海大大阪仰星)をおさえていかなければいけないと思って臨みました。あとは、僕たち2人ともキッカーなのでそこだけは負けたくないなと思っていました。でも紘さんも全部決めてきたので、うざかったです(笑)。

吉村 俺もうざかったよ(笑)。

一同 (笑)。

――やはり対戦できる嬉しさはありますか

廣瀬 ありますね。

――今、お互いに聞きたいことはありますか

廣瀬 高校の時、紘さんが早稲田決まった時にずっと早稲田に僕を誘ってくれたんですよ。あれが結構嬉しかったのですが、それって本音だったのか聞きたいですね。

吉村 本音ですよ、もちろん。だってねえ、一緒にやっていたので。俺が高3の時でしょ。

廣瀬 そうです。ずっと練習しながら「お前は早稲田、早稲田」って(笑)。

吉村 それは多分、当時良い関係性でプレーできていたことからそう言ってたんじゃないかなと思います。

廣瀬 僕はもう一回紘さんと一緒にラグビーやりたいです。高校の時の状態じゃなくて、二人ともスキルとか、考え方とかレベルアップしていると思うので、もう一回どこかで一緒にラグビーできる機会があるといいなと思っていますね。

吉村 頑張ろう!

――吉村選手は廣瀬選手に聞きたいこと何かありますか

吉村 じゃあラグビー的なことで質問なのですが、キックの練習って週何回くらいやっているの? コンバージョンとか。

廣瀬 コンバージョンは別に(いつやるかは)決めてないですね。やらなきゃって時に、気持ちで決めてやっています。でもあんまり多く蹴らないようにしています。

吉村 やっぱりそうだよね。

廣瀬 去年は週に2日くらい蹴ってました。その2日間でめちゃくちゃバンバン蹴っていたんですよ。そしたらあまり調子が良くなかったので、今年は蹴りたいなと思った時に蹴っている感じです。

――他に質問は思い浮かびそうですか

廣瀬 僕もう一ついいですか! どれくらいラグビー見ていますか?

吉村 あんまり大人のチーム見ないんだよね。だから本当に対戦相手しか見ない。

廣瀬 まじですか。僕、ラグビー見られないんですよね。

吉村 ああ、確かに疲れるよね。80分もね(笑)。

廣瀬 自分の練習も、自分の試合も、対戦相手も見られないんですよ。

吉村 そうなの!?

廣瀬 見たくないですね。あまり印象付けたくないです。

吉村 なるほどね。

廣瀬 見ること大事っていうじゃないですか。紘さんは見ているのかなって。

吉村 めちゃくちゃ多くではないけど、このチームってこんな感じなんだってインプットできるくらいには見る。たまに知っている先輩が出る試合とか、インターナショナルのテストマッチで注目カードみたいな試合とかは見るかな。

廣瀬 ありがとうございます。

――互いのプレーで羨ましいところや自分にほしいところはありますか

吉村 僕は雄也の特徴である、長い距離も難なく投げるパスとか、キックの距離っていうのは本当に羨ましいですね。本当にください!(笑)。

廣瀬 僕は紘さんの冷静さですね。僕は試合中にうまくいかないことがあると焦っちゃうので。絋さんは一番分かっていると思うのですが(笑)。

吉村 雄也よくコーチに怒られてたもんな(笑)。東のうるさいコーチに(笑)。

廣瀬 (笑)。

吉村 でもそのコーチは、うるさいっていじられても怒るような人じゃないんですよ(笑)。むしろ喜ぶんじゃないかな、そのまま書いて良いですよ(笑)。

一同 (笑)。

廣瀬 紘さんはメンタルも強くて、何を言われても自分のプレーを貫き通して冷静に状況判断しているので、そこは今も変わらないですね。本当に羨ましいですね。

 

絶対に負けられない一戦へ

明大戦で相手を置き去りにするCTB吉村

――再度全国大学選手権準々決勝で対戦することになりましたが、今のお気持ちはいかがですか

吉村 今はこうやって仲良いですが、キックオフの笛が鳴ったら本気で向かっていくぞっていう気持ちですね。それは雄也だけに限らず、明治の選手全員に対して。マインドの面で負けていたら、早稲田の勝利はないと思うので。国立(での対戦)で入りから散々狙われたので、チャレンジしていきたいなと思います。

廣瀬 対抗戦(関東大学対抗戦)2位と3位のどちらかが年を越せないというカードが正直すごく嫌ですよね。ベスト8で当たるので…。早明戦って下馬評とか関係ないじゃないですか。去年だって僕たち一回も早稲田に勝っていなかったですが、選手権(全国大学選手権)は勝ちましたし、本当に何があるか分からないので、そう意味で本当に怖い相手です。絋さんともう一回対戦できることは楽しみです。ここで明治が早稲田にもう一度勝てたら、自分たちも大きく成長できると思うので、楽しみといえば楽しみです。

――改めてお二方それぞれにとって早明戦はどんな舞台ですか。

吉村 満員の中の早明戦というのが、僕が早稲田を志した一つの理由でもあるので、その試合に出られるっていうのはすごく幸せなことだなと思います。一方で、楽しみというよりも、僕たちの戦いを超えて、大学、OBとかのもっと大きなものが、明治と早稲田はそれぞれ後ろに控えているので、そのプレッシャーからも逃げずに早稲田らしく明治にチャレンジしていきたいなと思います。

廣瀬 僕も紘さんと一緒で、明治側から早明戦というものに憧れてきました。まず校歌から他の大学と全然違いますし、試合の結果で大学の背景とかジャージーの価値も変わってくるので、そういったプレッシャーがある中でお互いラグビーできるというのは幸せだと思います。楽しみたいです。学年を重ねるたびに早明戦の大事さ、重要さを感じていきたいですね。

――早明戦における自身の注目ポイントを教えてください

吉村 僕はプレースタイル的にパスとか、キックとか、ゲームコントロール的なところを評価されがちなのですが、ボールを持ってない時の動きを見てほしいですね。例えば、キックチェイスとかタックルとか、タックルしてすぐ起きてポジショニングするとかそういうところも見てほしいです!

廣瀬 じゃあ僕はボールを持っている時で(笑)。

吉村 みんな見ているでしょ。既に(笑)。

廣瀬 そうですかね(笑)。やっぱり自分の自信になるプレーでもあるし、明治の監督方が評価してくれている部分でもあるので、キックだったり、ゲームコントロールの面では絶対に早稲田さんに負けたくないですね。ボール持っていない時の僕がコミュニケーションをどう取っているのかとかも見てほしいですが、キックやパスとかでしっかり早稲田さんにとって嫌なアタックをできているかを一番見てほしいです!

――それでは互いに向けてメッセージをお願いします

廣瀬 早稲田関係なく一番仲が良かった先輩なので、正直ベスト8で当たるのは、早いというか、できれば決勝とかで当たりたかった相手ではあります。僕は3年生で来年がありますけど、紘さんは早稲田のジャージーを着て試合に出るラストです。でもだからといって、手加減はしないよっていうのは言いたいです。

吉村 最後棘ありましたね(笑)。雄也は、世代屈指のプレイヤーとして周りから注目されていると思うので、現状に満足せず、どんどん大学ラグビーを盛り上げていってほしいなと思います。ベスト8で当たりますけど、僕も容赦しないので。しっかりと勝たせてもらいます。

――では最後に今週末の早明戦に向けて意気込みをお願いします!

廣瀬 どのチームも日本一を目指してこのシーズン頑張ってきていると思うので、お互いこの戦いでは負けられないです。早稲田さんに対してできる限りの100%の準備をして、明治のファンに良いプレー、そして良い報告ができるように頑張りたいと思います!

吉村 早稲田は『荒ぶる』というのが前提ですが、次の試合は最後の試合だという覚悟でチャレンジするのが僕のマインドなので、当日までの一日一日を最後の練習だと思って今も過ごしています。その覚悟や、早稲田に対する思いをプレーで体現します!

 

――ありがとうございました!

 

(取材・編集 浦島明、谷口花、芳田彩歌)

 

早明戦への意気込みを書いていただきました!

◆吉村紘(よしむら・こう)(※写真左)

2000(平12)年10月7日生まれ。175センチ。84キロ。東福岡高出身。スポーツ科学部4年。最近のマイブームは『香水』だと話すおしゃれな吉村選手。信頼する後輩である廣瀬選手との掛け合いで場を盛り上げてくださいました。廣瀬選手もうらやましがる持ち前の冷静な状況判断力は、高校時代からだそうです。『年越し』をかけた重要な一戦。趣味に限らず、優れた戦術眼を生かしたおしゃれなプレーの連発で早大の攻撃を操ります!

◆廣瀬雄也(ひろせ・ゆうや)

2001(平13)年4月7日生まれ。179センチ。92キロ。東福岡高出身。明治大学。商学部3年。オフはスタバで課題をしているという廣瀬選手。時折吉村選手へいじりを入れながら、対談をにぎやかにしてくださいました。最近は、明大で仲の良い中山律希選手、林哲平選手と遠くまでサイクリングに行くことが多いそうです。正確無比なキックはもちろん、体格を生かしたボールキャリーでチャンスメークするアタックにも注目です!