明大との前哨戦 勝利は今週末に託された

ラグビー男子

 「日本一に繋がるようなゲームにしよう」(FB平田楓太、スポ4=福岡・東筑)。青空が澄み渡る冬晴れの中で、早大は明大と対戦した。一人一人が特別な思いを持って臨んだ本試合。試合は両校共に4年生を中心に編成され、両校関係者に限定して行われた。前半は劣勢に立たされ、守勢が続く。果敢に攻め込む場面も見られたが、7ー21で試合を折り返すことに。後半は立ち上がりを修正し、一時は同点に追いついてみせた。だが、徐々に点差を開かれ、最終スコア26ー42で敗戦。明大への勝利は、今週末の再戦に託された。

 試合は早速動いた。前半2分、自陣右深くでの明大ボールのラインアウトからモールで押し込まれ、先制トライを許す。11分には素早い展開から大外を走り抜いた明大に得点を奪われ、2トライ差に。しかし、プロップ大木裕太(法4=東京・早大学院)やフッカー西野直樹(法4=東京・早大学院)らの前に出るプレーが光り、何度もピンチを打開した。27分には、FW陣のフェーズ攻撃からトライを挙げたかと思われたが、深くでジャッカルされトライとはならず。35分、明大に再びモールで押し込まれ、0ー21。しかし早大がくじけることはない。終盤に差しかかった38分、待望のトライが生まれた。起点は、明大のノックオンから得た敵陣左でのマイボールスクラム。左サイドで細かくパスを刻んだ後に、SO吉岡麟太朗(スポ2=東京・本郷)がわずかなギャップを突き、敵陣深くへ。勢いそのままに相手をかわし、最後は内側に弧を描きながら中央へトライを挙げた。吉岡自身がゴールも決め、7ー21でハーフタイムを挟んだ。

 

ギャップを突きトライを挙げたSO吉岡

 後半の立ち上がりは早大優勢となった。後半6分、敵陣22メートル付近での早大スクラムから明大に反則を誘発。その後の素早いリスタートから、WTB今駒有喜(文4=東京・早実)がビッグゲインし、一気に敵陣へと侵攻した。直後、NO・8小池航太郎(商3=東京・早実)がディフェンスの隙間を突き、相手を引きずりながらグラウンディングに成功する。さらに14分、自陣での明大アタックの途中に小池がインターセプト。そのまま左サイドにいたCTB下原一輝(文構4=東京・早大学院)、WTB和田遼(社4=埼玉・早大本庄)へと大きくパスがつながり、再びチャンスを得る。FW、BK共に連携を図り、最後はフランカー西浦剛臣(社4=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)がインゴールを陥れた。7点を追加し、同点に追いついた早大。しかし、明大も簡単な相手ではない。直後には逆転トライを奪われ、互いに取り合う展開へ持ち込まれた。23分には今駒のゲインをポイントに、早大アタックの時間に。すると、左への展開から、最後は吉岡が右大外で待つ今駒に長距離のキックパスを放つ。これを確実にキャッチした今駒が華麗にインゴールを駆け抜けた。26ー28としたものの、以降は2トライを献上。26ー42と突き放され、明大に軍配が上がった。部員席からは両校の健闘を讃える盛大な拍手が送られ、試合は終了した。

 

深くへ攻め入るWTB今駒。チャンスメークすると共に自身もトライを挙げる活躍を見せた

 ノーサイドの瞬間までひたむきさを体現し、明大戦を戦い抜いた4年生。攻撃の起点を生み、奮闘した3年生以下の活躍も特筆すべきだろう。些細なミスからチャンスを潰してしまう点には課題が露呈されるが、ピンチの場面ではFW選手を中心に粘りを見せ、強固なディフェンスで明大の得点機を阻止した。結果的に勝利とはならなかったものの、部員席の応援と共にチームの一体感が見受けられた前哨戦。次に控える明大戦は、一人一人が抱く日本一の目標を達成するためには逃れられない。全部員が燃える明大へのリベンジは、今週末の全国大学選手権準々決勝へ持ち越された。

(記事 谷口花、写真 川上璃々、戸祭華子、濵嶋彩加)

コメント

FB平田楓太ゲームキャプテン(スポ4=福岡・東筑)

――今日のジャージーについて

 セカンドジャージーです。どのジャージーもそうですが、より早稲田の重みというか、早稲田の代表として戦うという責任はありました。

――試合のテーマはいかがでしたか

 今日の試合のテーマは、先手選手一撃っていうところで、早稲田らしく、自分たちから仕掛けていこうという話がありました。もう一つは、『One for all, all for one』という全員で一つのことに向かって、しっかり仕事をしようっていう話もありました。

――改めて今日を振り返って

やっぱり色々なバックグラウンドを持ちながら4年間過ごしてきた4年生がしっかりと明治を倒すという同じ目標を持って戦い切れたというところは、勝ちはしなかったけどとても評価できるところだと思います。

――4年生中心のチーム編成となりましたがご自身が今日意識したことは

 今日はキャプテンを務めさせてもらったので、4年生もそうですし、3年生以下の選手にも思いっきりプレーをしてもらって、来週の試合、日本一に繋がるようなゲームにしようという風に、自分がしっかりとコントロールしていこうと思っていました。

――改めて明治はいかがでしたか

 そうですね、やっぱりタレント揃いというか、うまい選手がたくさんいたというのはありました。そこに対して、自分たちも同じ土俵で戦うのではなく、泥臭く早稲田らしいアタックをしたら通用できた部分もあったので、そこは評価できる点ではあると思います。ですが、やはり勝ち切れなかった原因というのは多々あるので残り少ないですが、どのカテゴリーでも取り組んで、日本一に向けてより一層練習に励みたいなと思います。

――ご自身も果敢に攻め込む平田選手らしいプレーが見られました。ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 自分自身の中では、迷いなくプレーしようということを心がけていて、やはり自分の持ち味であるボールキャリーのところとかは、積極的にやろうと思っていましたし、試合中も後ろから声をかけて一体感というか、全員が最後まで一生懸命ラグビーができるように意識していました。

――シーズンも残りわずかとなりました。意気込みをお願いします!

 今日は負けてしまいましたが、僕たちが目指すのはもちろん日本一ですし、それに向けてまだ時間はあるので、ここからまたさらにチーム一丸となって日本一を目指していきたいと思います!

プロップ大木裕太(法4=東京・早大学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

今日は明治という速くて強くて大きい相手に対して、自分たちのような小さいチームがどのように立ち向かっていくかを考えてプレーしていました。

――4年生中心のチームですが、今日意識したことはどんなことですか

 この試合はただの練習試合ではなくて、来週の早明戦に必ずつながる練習試合だと思っていました。なので、見てる人に何か遺せるような試合をしたいという気持ちで臨みました。

――敵陣深くでのフェーズアタックにも積極性が見られましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

 自分より大きい選手に対して自ら仕掛けていくことができたっていう部分ではいい点なのかなと思います。

――チームのセットプレーに関してはいかがでしたか

 前半ちょっとうまく行かない部分があって修正しきれなかったのですが、後半に向けて話し合って、うまく対応できました。それが後半に点差を詰めることにつながったのかなと思います。

――シーズンも残りわずかですが、今の心境はいかがですか

 残りのラグビー生活も少なくなってきたので、後悔のないように一日一日出し切っていきたいです。

――今週末に明大戦が控えていますが、どのようにコンディションを整えていきたいですか

 自分も絶対に試合に出る可能性はゼロではないと思うので、いつ出てもいいように常に万全な準備をしていきたいと思います。

ロック江島航(法4=早稲田渋谷シンガポール)

――4年生を中心としたチームでしたが、今日はどのようなことを意識しましたか

 入りのところで圧倒できるようにということですね。入りの部分をチームのテーマとしてもやってきました。

――味方の応援がたくさんありましたが、いかがでしたか

 最初は劣勢できつかったのですが、見てくれている他の選手や、Aチームの選手のためにも、来週勝てるようにという気持ちできつい場面も頑張りました。

――改めて今日の試合を振り返っていかがですか

 最初はFWのモールのところでやられてしまったのですが、後半修正できるところはできたので良かったと思います。あとはFWのゴール手前での粘りや、ディフェンスで体を張れたところも良かったと思います。

――ラインアウトについてはいかがでしたか

 相手の身長が高い中でどうやって取るかをずっと考えて練習してきたので、それを実践できたところは良かったなと思います。

――シーズンも残りわずかとなりますが、どのように練習に取り組んでいきたいですか

 チームが荒ぶるを取るために、自分にフォーカスするだけではなくて、チームにもフォーカスして、チーム全体に勢いをもたらせるような4年生としての仕事を毎日毎日こなしていきたいと思います。

SH清水一志(社4=東京・早実)

――今日の試合を振り返って

 今日は先手を取るということにフォーカスしていました。自分たちのやりたいプレーができたと思っていて、前半の最後の方は自分たちのリズムで敵陣でプレーできたので良いゲームだったと感じています。

――4年生のハーフとして意識したことはありますか

 泰聖(小西、スポ4=神奈川・桐蔭学園)という偉大なハーフがいて、僕は泰聖を追いかけてずっとやってきました。なので、今日は泰聖のためにも自分自身の強みを活かしたプレーをやろうと思っていました。結果として、リズムとテンポのあるプレーができたと思いますし、自分自身の強みを出すことができてよかったです。

――今日のアタックの収穫と課題は

 継続すればしっかり点を取れるということが自分たちの強みだと感じました。しかし、イージーなミスはまだまだ今後なくしていかないといけないと思うので、3年生以下と、Aチームの次の早明戦はしっかりそういったところにこだわってほしいです。

――今週末にはまた大学選手権の明大戦もあります。どのように練習に取り組んでいきたいですか

 自分も赤黒をめざすのはもちろんですが、メンバーに入った23人は優勝のために明治に勝つことが絶対条件なのでしっかり倒してほしいです。

 

ジュニア冬季オープン戦
早大 スコア 明大
前半 後半 得点 前半 後半
19 21 21
26 合計 42
【得点】▽トライ 吉岡、小池、西浦、今駒 ▽ゴール 吉岡(3G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
大木 裕太 法4 東京・早大学院
西野 直樹 法4 東京・早大学院
下村 勇貴 文2 東京・早実
萩原 武大 スポ1 茨城・茗渓学園
江島 航 法4 早稲田渋谷シンガポール
西浦 剛臣 社2 ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール
梅澤 未遊 法4 東京・早大学院
小池 航太郎 商3 東京・早実
清水 一志 社4 東京・早実
10 吉岡 麟太朗 スポ2 東京・本郷
11 和田 遼 社4 埼玉・早大本庄
12 下原 一輝 文構4 東京・早大学院
13 金井 奨 人4 群馬・太田
14 今駒 有喜 文4 東京・早実
15 ◎平田 楓太 スポ4 福岡・東筑
リザーブ
16 武内 陸 法4 埼玉・早大本庄
17 川村 駿太 法4 北海道・函館ラサール
18 池田 裕哉 スポ3 東京・明大中野
19 岡村 圭悟 スポ2 東京・本郷
20 宮本 大生 文構3 埼玉・早大本庄
21 清水 翔大 文2 東京・早実
22 石田 大貴 社4 埼玉・早大本庄
23 吉松 立志 スポ4 宮崎・高鍋
24 米重 颯己 スポ4 北海道・函館ラサール
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦(平16人卒=佐賀工)