帝京大に惜敗 リベンジは秋へ持ち越された

ラグビー男子

 強い日差しが照りつける中、早大は菅平サニアパークで帝京大戦に挑んだ。試合開始早々から勢いに乗った早大は、立て続けに3トライを決めリードを奪う。その後は帝京大に3トライを返上されてしまい、同点で試合を折り返した。後半も先に得点したのは早大であったがすぐに追いつかれ、試合は拮抗(きっこう)する。試合終了間際、帝京大に逆転トライを許し28-35。惜しくも敗れ、帝京大へのリベンジは秋へと持ち越された。

インゴールに飛び込むフッカー佐藤

 開始直後から試合は動いた。22メートル内からの脱出を図った帝京大のキックを、ロック池本大喜(文構3=東京・早実)がチャージ。相手インゴールに転がった楕円球を池本がそのまま抑え、先制に成功する。その後も敵陣でのマイボールスクラムからBKで展開。大外でパスを受けたWTB槇瑛人(スポ4=東京・国学院久我山)が相手の守備網を抜け、サポートに入ったSH宮尾昌典(スポ2=京都成章)がインゴールを駆け抜けた。さらに前半14分、左隅でのラインアウトモールからフッカー佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がボールを持ち出しグラウンディング。序盤に流れをつかんだ早大は3トライを挙げ、一気に点差を広げた。だが中盤以降に早大は得点を挙げられず、ここから帝京大の反撃を受け、21-21の同点で試合を折り返した。

相手を振り切りインゴールへ向かうCTB松下

 後半、早大は帝京大のオフサイドなどから度々チャンスを迎える。しかしミスが重なり、なかなか好機を生かしきることができずにいた。11分、敵陣22メートル付近へのキックを相手がノックオン。ここでのスクラムを起点として、NO・8相良昌彦主将(社4=東京・早実)が激しく体を当て、徐々にゴールラインへと前進する。その直後にできたラックから、宮尾がCTB松下怜央(スポ4=神奈川・関東学院六浦)へとパス。松下が持ち前のフィジカルでディフェンスを次々に突破し、インゴールへ飛び込んだ。7点を追加し再び早大リードの展開に。だが19分に帝京大がトライを決め、同点に追いつかれてしまう。両校とも好機でトライを取り切れず、ここからしばらく試合は膠着(こうちゃく)状態となる。36分、帝京大が50:22を成功させ、これが帝京大の決勝トライに結び付く。試合終了間際まで攻める姿勢を崩すことなく闘ったが、28-35で惜しくも帝京大に敗れた。

 春のリベンジを誓い、挑んだ帝京大との一戦。「春シーズンから、取りきるところを取りきれないという部分がまだ改善できていない」(相良主将)。勝負どころでのミスやパスの乱れなど、トライへとつなげられる場面を生かせなかったことが敗因となってしまった。だが、モールやスクラムでは帝京大を押し返す場面も見られ、春、夏を通して着実に成長を遂げている。また、夏合宿を通しての進化を選手一人一人が感じることができたという点で収穫があったといえる。次の帝京大との対戦は、関東大学対抗戦。今度こそ帝京大にリベンジを果たし、『荒ぶる』をつかむべく日々研鑽(けんさん)だ。

(記事 山田彩愛 写真 冷水睦実、谷口花)

コメント

NO・8相良昌彦主将(社4=東京・早実)

――春からのリベンジに向けて、どんな気持ちで試合に臨みましたか

 春と同じ「戦う気持ち」というテーマで戦いました。そういう気持ち的な部分は、プレーに体現されていてすごくよかったと思います。しかしやはり春シーズンから、その取りきるところを取りきれないという部分がまだ改善できておらず、こうした結果になってしまいました。

――今日の試合はモールへのこだわり感じましたがいかがですか

 セットプレーに関しては、春シーズンからずっとやってきた中で手応えを感じていました。それをどんどん生かしていこうという意識で挑みました。モールやスクラムを練習していたので、その成果が出たのかなと思います。

――モールディフェンスについてはいかがですか

 モールディフェンスに関してはうまくいったところもありました。ですが、何本か取られてしまった部分は、練習の中でも課題となっていたタイミングが少しあっていなかったのかなと思います。もっと相手が力を出せない状態で、みんなで一斉に入るというところができていればよかったと思います。それができたシーンではしっかりと止められていたので、そこは収穫だと思います。

――スクラムの手応えはいかがでしたか

 昨年対抗戦(関東大学対抗戦)で帝京と対戦したときには、ほとんどがペナルティを取られるぐらいの感覚でした。今日は江良颯(帝京大)選手が出場してなかったこともありますが、1本もスクラムでペナルティを取られなかったり、逆にこっちが少し押し込む場面もあったりしたので、成長を感じています。

――全体のディフェンスについてはいかがですか

 やはり接点で毎回食い込まれる分、セットが遅くなってしまってる部分がありました。順目にまくりすぎて人数が合わなくなり、うまくディフェンスできなかった部分があったので、練習から前を見る癖というのをもっとつけていけたらと思います。

――次戦の京産大への意気込みをお願いします

 この4年間京産大とは試合をしていませんが、昨年の選手権(全国大学選手権)の準決勝を見る限り、やはりフィジカルはすごく強いチームだと思います。自分たちが苦手とする相手だと思うので、しっかりとこの2日間でディフェンスを準備して行きたいと思います。

フッカー佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)

――今の率直なお気持ちを教えてください

 春シーズン負けた帝京大相手に、スコアは近くなりましたが勝ち切れないということが僕たちの課題だと思っています。もっとトライにつなげられるチャンスもありましたし、いらない失点もあったので、(夏合宿)残りの2試合に向けて、修正していい状態で対抗戦(関東大学対抗戦)に入れるようにしたいです。

――ラインアウトについてはいかがですか

 基準がいろいろ変わって、僕自身もラインアウトでミスしてしまいました。僕がスローを全てきれいに投げられていたら、勝てていた試合だったと思うので、しっかり自分のミスを受け入れて、これからの2試合や対抗戦に向けて準備していきたいです。

――何か手応えを感じた部分はありますか

 相手がフルメンバーではなかったとしても、スクラムはいい状態で組めましたし、ボールキャリーの部分でゲインもできていたと思うので、そこは自分の中の成長ポイントだと思います。

――秋に向けての課題はありますか

 個人としてはゲインはできていますが、試合の勝利に直結するプレーがまだできていないと感じています。チームを勝たせられるような選手になっていきたいです。

――次回の京産大戦に向けての意気込みをお願いします

 僕自身、初めて戦うことになります。関西のチームでもあり、どのようなチームなのか分からないので、相手にフォーカスするのではなく、自分たちにフォーカスして、今日出た課題を修正していきながら試合をできたらいいなと思います。

――合宿の折り返しを迎えると思いますが、残りの合宿に向けての意気込みをお願いします

 これからゲームメイクの期間に入ってきます。僕たちが成長できる時間は限られているので、1回1回の試合や練習を有意義な時間にして、いい状態で対抗戦に入れるようにしたいです。僕たちの最終的な目標は『荒ぶる』なので、達成できるように夏合宿を有意義なものにしたいです。

CTB松下怜央(スポ4=神奈川・関東学院六浦)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 春シーズンの帝京大戦に僕は出ていませんでしたが、戦う意識を出すというところで試合の結果としては負けてしまいました。自分の通用する部分や、チームとしてやってきたことを出し切ることができました。ですが、アドバンテージが出ているときに取りきれなかったり、最後のところがこだわりきれていないと思うので、そこを詰めていきたいです。

――自身の通用した部分とは

 フィジカルの部分です。帝京大もフィジカルの強いチームだと思いますが、その中で相手をかわしてトライをしたシーンや、ゲインをきれたところが良かったと思います。

――そのトライシーンを振り返っていただけますか

 昌彦(相良主将)がいいゲインをしてくれて、自分の前にスペースができたので、そこを狙っただけです。気持ちよくトライできたのは良かったですし、チームの雰囲気が落ちていた状況だったので、勢いづけるようなプレーができて良かったです。

――BKのアタックについて振り返ってください

 帝京大がディフェンスを上げてくるチームだったので、まずはセンターが中心となって前でポイントを作るということを意識していました。外側にスペースが空いているので、そうした部分で外側にパスを出すなどをしました。自分たちが夏合宿をやっている中で練習してきたことを、BKではやれていたかなと思います。僕らはセカンドワークということを意識して取り組んでいます。一次攻撃に参加した後も、順目逆目に入ってアタックラインに参加するという部分はまだできていないので、そこはこれから練習を積んでいきたいです。

――京産大に向けての意気込みをお願いします

常に戦う意識を持って、細部にこだわって取り切るところを意識して、勝ちたいと思います。

WTB岡﨑颯馬(スポ3=長崎北陽台)

――久しぶりのA戦となりましたが、どのような気持ちで試合に臨みましたか

 今日はチームとして、帝京大と「戦う気持ち」をもってしっかり戦おうというテーマがありました。その中で僕がそれを一番体現しようということと、チームとして戦う中で一つにならないといけないと思っていたので、苦しい状況であったり、うまくいかない状況の中で、常に声を出し続けるというのを意識して試合に臨みました。

――今日の試合を振り返っていかがですか

 入りの部分はいい流れで入れたのですが、自分たちの流れが来ないときや、苦しい時間帯に我慢できないことがありました。その部分はやはり大事にしたいですし、ベーシックスキルの部分ができずに、相手ボールになってディフェンスの時間が長くなってしまったので、苦しい時間でもそこはしっかりと継続できるようにしていかないといけないと思いました。

――WTB起用に関してはいかがですか

 僕自身どちらもできるということが強みだと思います。いつセンターをやれと言われてもできるように、ウイングとしても良いプレーができるように準備していきたいと思います。

――体を張った場面が多く見られました。その点については

 そうですね。外を抜かれたらチームに悪い流れが来てしまうので、大外にいる選手としてそこを僕が仕留めることです。相手のアタックの流れも食い止めることができると思うので、そこは意識してやっています。

――夏合宿を通して、現在のご自身のコンディションは

 夏合宿前半は非常に厳しいトレーニングもあって、コンディションはあまり良くないです。その中でも、しっかりと僕がチームに対して良いエナジーを与えることを残り一週間継続してやっていきたいなと思います。

――次戦の京産大に向けて意気込みをお願いします

 80分間通してコンスタントにプレーし続けるというのが今のチームの課題です。あとはチームがまだ一つになりきれていないなと感じているので、準備期間は短いですが、しっかりやることを明確にしてやっていきたいです。

 

夏季オープン戦
早大 スコア 帝京大
前半 後半 得点 前半 後半
21 21 14
28 合計 35
【得点】▽トライ 池本、宮尾、佐藤、松下 ▽ゴール 伊藤(4G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
井元 正大 文4 東京・早実
佐藤 健次 スポ2 神奈川・桐蔭学園
亀山 昇太郎 スポ2 茨城・茗渓学園
前田 知暉 社4 東海大大阪仰星
池本 大喜 文構3 東京・早実
村田 陣悟 スポ3 京都成章
小池 航太郎 商3 東京・早実
◎相良 昌彦 社4 東京・早実
宮尾 昌典 スポ2 京都成章
10 伊藤 大祐 スポ3 神奈川・桐蔭学園
11 岡﨑 颯馬 スポ3 長崎北陽台
12 吉村 紘 スポ4 東福岡
13 松下 怜央 スポ4 神奈川・関東学院陸浦
14 槇 瑛人 スポ4 東京・国学院久我山
15 小泉 怜史 文構4 東京・早実
リザーブ
16 安恒 直人 スポ2 福岡
17 川﨑 太雅 スポ3 東福岡
18 平山 貴喜 スポ4 北海道・函館ラサール
19 藤井 将吾 スポ3 大阪・早稲田摂陵
20 永嶋 仁 商3 東福岡
21 細矢 聖樹 スポ2 国学院栃木
22 守屋 大誠 政経3 東京・早実
23 久富 連太郎 政経3 島根・石見智翠館
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦(平16人卒=佐賀工)