互角の勝負を見せるも、痛恨の逆転負け

ラグビー男子

 照りつけるような強い日差しの下、早大Dは5月に行われた定期戦ぶりに東大と対戦した。前半は東大に先制トライを許したものの、攻勢を崩さずトライを量産。35-19の16点リードで前半を終えた。しかし後半は随所で綻びが見え、苦戦を強いられる。しぶとくディフェンスを固めるが、終盤のラストワンプレーで逆転負けを喫し、42-43と悔しい敗戦となった。

 開始早々、東大ボールスクラムからボールを大きく展開され、先制トライを献上。しかし11分、相手ボールラインアウトからのパスワークをCTB鳥海雄図(教3=東京・早実)がインターセプトし、そのままインゴールへと駆け抜けた。14分には、モールで押し込まれトライを奪われるが、16分のウォーターブレイク明けから一気に早大がリードを見せた。22分、FWがフェーズを重ね、じわじわと敵陣に侵攻。その後、今試合で大学デビュー戦となったFB福島秀法(スポ1=福岡・修猷館)が相手のディフェンスを力強く突破し、インゴール左へ。31分には、SO茂木陸生(社2=埼玉・早大本庄)とCTB田尻遥也(文2=埼玉・早大本庄)が見事な連携パスを披露し、トライへとつなげた。終盤には、素早い連携からWTB米重颯己(スポ4=北海道・函館ラサール)が左サイドを走り抜け、アシストしたSH井上泰志(スポ2=福岡・東筑)がフィニッシュ。鳥海のコンバージョンキックもすべて成功し、35-19の16点リードで試合を折り返した。

 

デビュー戦から存在感を示したFB福島

 前半とは打って変わって、追う展開となった後半。開始早々から自陣深くに攻め入られてしまう。東大モールを粘り強く防御する早大Dであったが、根気よくアタックを継続する相手を抑え切れず、早々に2トライを許す。だが、12分にはFWとBKの連携から勢いよく自陣を飛び出し、敵陣へ。素早くボールを展開し、そのままトライに結んだと思われたが、ゴール手前で惜しくもノックオンになり、得点とはならなかった。しかしその直後、東大ボールスクラムをインゴールまで押し返した早大Dがペナルティートライを獲得し、貴重な7点を追加。42-31とリードを広げたものの、それ以降はシーソーゲームに。互いに得点を挙げられないまま時間が経過した。そんな均衡を破ったのは東大。32分、39分と細かくフェーズを重ねられ、あっけなくトライを奪われる。その後、左中間から東大キッカーがゴールを成功させ、42-43のわずか1点差で早大Dは逆転負けを喫した。

 

ディフェンスを力強く振り切るSO茂木

 前半につかんだリードを瞬く間に奪い返され、タフな戦いを強いられた今試合。ゲームキャプテンを務めたフランカー梅澤未遊(法4=東京・早大学院)は「チーム全体としてテーマを徹底できずに、自分たちのプレーができなかった」と悔しさをにじませた。随所でのパスの乱れなど細かな課題が浮き彫りとなった一方、自陣深くでしぶとく東大の攻撃を阻み、全体でチャレンジできたことは収穫といえるだろう。今試合で明白となった課題を来月に控える夏合宿、その先の秋にどうつなげていくか。今日の悔しい敗戦を糧に、さらに進化していく彼らの姿から目が離せない。

(記事 谷口花、写真 高松寛之、山田彩愛)

 

コメント

フランカー梅澤未遊(法4=東京・早大学院)

――今日の試合テーマは

 全体として、『中間層』ボールを持っていない時の動きというものを意識していて、あとは『コール』、誰が何をするのかをコールしていこうということをテーマとして掲げていました。

――改めて試合を振り返っていかがですか

 今日は、個人としてもチームとしてもボールを持っていない間の動きはもっとできたというのが反省点として残っていて、またコールの部分に関しても特に後半は誰が何をするのかをお互いにわかっていない時間が増えて自分たちのアタックができなかったのでそこに課題が残る試合でした。

――前半のウォーターブレイク後で流れが変わりました

 スタンドオフの茂木(陸生、社3=埼玉・早大本庄)がチームを鼓舞してくれて、戦術の部分においても色々言ってくれたことが(流れに)つながったのかなと思います。

――後半の敗因は

 チーム全体としてテーマを徹底できずに自分たちのプレーができなかったというところと、あとは自分のキャプテンとしての責任の部分なのですが、チームがミスであったり、プレーの面で苦しい時間を迎えていた中で良い方向に持っていくことができなかったこと、僕が持っていけなかったということがリーダー陣の責任だと感じています。

――個人のプレーはどのように評価できますか

 チームとしてコンタクトを重視しようという中で、僕自身まだまだ前に出なければいけないし、もっと前に出れたなというのが反省として残っています。最後チームが逆転トライをされてしまったという時に、僕はピッチに立っていられなかったというのがスタミナの部分でも課題だなと思います。

――夏に向けて意気込みをお願いします

 これから合宿にチーム全体で入っていく中で、今日の敗北という結果を次につなげられるように、個人としてもチームとしても一つでも上に上がれるような練習をしていきたいと思います。

プロップ下間元貴(スポ3=秋田)

――今の率直なお気持ちは

 もう本当に悔しいです。やってきたことが、スクラムに関しては出せたのですが、全体としてターゲットにしていたことができなかったです。今後どのように修正していくのかが課題になるのかなと思います。

――スクラムの話がありましたが、セットプレーについて振り返っていただけますか

 僕はこの前まで2番(フッカー)をやっていて、1番になってから3回目くらい(の試合)ですが、それなりにスクラムが組めたことが良かったです。これから、上のレベルでも通用するように練習を継続していきたいです。

――チーム全体のセットプレーについては

 スクラムは、目標が完璧に達成できなかったので、普段の練習からチームとして意識を高めていかなければいけないなと思いました。ラインアウトに関しては、(今まで)やってきたことが今日は出せていなかったので。練習でやってきたことを発揮するのが大事かなと思いました。

――ご自身のプレーで評価できる点は

 やはりスクラムですかね。初めて1番で出場したのですが、少しでもチームに貢献できたのかなと。これからコンタクトやブレイクダウンのところでも力を発揮できるようにしていきたいです。

――後半、東大に押される時間が続きましたが、そこで流れを変えられなかった原因や、今日の敗因については

 自分たちから前で体を当てるだったり、エナジーという気持ちの部分が足りていなかったですね。体をもっと当てて、練習でやってきたことを出せれば、この点差で負けることはなかったのかなと思います。

――夏合宿に向けての意気込みをお願いします

 夏合宿は、部員それぞれの勝負の期間になると思います。日々、自分が持っている力を全部出して、練習の一つ一つを大切にしていきたいです。

FB福島秀法(スポ1=福岡・修猷館)

――デビュー戦となりましたが今日の試合を振り返っていかがですか

 初めてにしては、久しぶりのラグビーだったので出来たところと出来なかったところがありました。フィットネスの部分が全然足りなかったので、そこを今からつけていこうと思います。

――前半良いラインブレイクなどありましたが個人のプレーは振り返っていかがですか

 今の段階だったら結構できていたかもしれないですが、もっと上のレベルを目指さないといけないので頑張りたいと思います。

――今後メンバー入りしていくなかで今の自分に何が必要ですか

 今は一番に体力をつけないといけない、フィットネスのところをつけていかなければと思うので、個人練などをしていきたいと思います。

――夏に向けて意気込みをお願いします

 まずはマックスの状態に戻して、メンバー入りしていきたいと思います。

 

 

ジュニア夏季オープン戦
早大D スコア 東大
前半 後半 得点 前半 後半
35 19 24
42 合計 43
【得点】▽トライ 鳥海、福島、清、田尻、井上 ▽ゴール 鳥海(5G)※認定トライ1
※得点者は早大のみ記載
早大Dメンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
下間 元貴 スポ3 秋田
西野 直樹 法4 東京・早大学院
飯田 開登 教3 愛知・千種
萩原 武大 スポ1 茨城・茗渓学園
佐土原 脩 基理3 埼玉・早大本庄
折戸 健介 法2 東京・早実
◎梅澤 未遊 法4 東京・早大学院
谷口 宗太郎 人1 福岡・修猷館
桝谷 連太郎 スポ2 東京・本郷
10 茂木 陸生 社3 埼玉・早大本庄
11 吉松 立志 スポ4 宮崎・高鍋
12 鳥海 雄図 教3 東京・早実
13 田尻 遥也 文2 埼玉・早大本庄
14 清 透馬 商2 茨城・茗渓学園
15 福島 秀法 スポ1 福岡・修猷館
リザーブ
16 武内 陸 法4 埼玉・早大本庄
17 蜂谷 謙介 基理3 東京・早大学院
18 池田 裕哉 スポ2 東京・明大中野
19 細川 大斗 社3 東京・早実
20 山下 広一朗 創理1 東京・早大学院
21 井上 泰志 スポ2 福岡・東筑
21′ 清水 一志 社4 東京・早実
22 下原 一輝 文構4 東京・早大学院
13′ 玉川 皇一 創理1 東京・青山学院
23 米重 颯己 スポ4 北海道・函館ラサール
14′ 荒田 明彦 商1 北海道・函館ラサール
22′ 小澤 ジョージィ スポ1 千葉・流経大柏
23′ 米重 皓己 商2 北海道・函館ラサール
15′ 高栁 壮史 創理1 東京・早大学院
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦(平16人卒=佐賀工)