明大に惜敗も、実りある一戦に

ラグビー男子

 新体制発足から3ヶ月。相良昌彦主将(社4=東京・早実)が率いる早大は、関東大学春季大会(春季大会)初戦となる早明戦を迎えた。『荒ぶる』奪還を目指す早大にとって、この一戦は今シーズンの行方を占う重要な試金石となる。前半、早大はCTB松下怜央(スポ4=神奈川・関東学院六浦)のトライで先制に成功するものの、その後明大に2トライを許し追う展開に。後半も立ち上がりに失点するが、WTB槇瑛人(スポ4=東京・国学院久我山)らの活躍で終盤、同点に追いつく。粘りを見せた早大であったが、ラストプレーで再びトライを献上し敗戦。開幕戦を勝利で飾ることはできなかった。

 試合開始早々から非常に強度の高い戦いとなった。拮抗(きっこう)した展開が続く中、前半13分、早大は敵陣深い位置でのラインアウトモールで大きく前進。その後右に展開しながらフェーズを重ね、最後は隙を見抜いた松下がインゴールに飛び込んだ。先制に成功した早大であったが、その後は明大に攻め込まれる時間が続く。26分、自陣深い位置でのラインアウトからモールで押し込まれ、トライを献上。さらに39分にも防御の隙を破られ得点を許し、リードを広げられる。対する早大は、SH宮尾昌典(スポ2=京都成章)、SO伊藤大祐(スポ3=神奈川・桐蔭学園)を中心に素早いパス回しで攻撃を展開するが、追加点を挙げることはできず。5―14で前半を折り返した。

タックルで明大の攻撃を阻むNO・8相良主将

 追う展開となった後半立ち上がりの2分。ハーフウェーライン付近でボールを受けたWTB石田吉平(明大)に素早い連携から右サイドを切り裂かれ、いきなりトライを許してしまう。反撃に転じたい早大は10分、中央右寄りのラックから宮尾のパスを受けた槇が相手を寄せ付けずにインゴールを駆け抜け、得点は7点差に。それ以降はラインアウトのミスが重なり、なかなか攻撃の流れをつかみきれない。一方、明大の度重なる猛攻に対しては、相良主将を中心に粘り強い守備を見せ追加点を許さず、再び膠着(こうちゃく)状態が続く。迎えた33分、圧力をかける明大に対し中央付近から槇が大きくゲイン。最後はSH細矢聖樹(スポ2=国学院栃木)のパスから相良主将が飛び込み、ついに同点に追いつく。執念の追い上げを見せた早大であったが、44分、ラストプレーでインゴールをこじ開けられ、19―26で惜しくも敗戦。今年最初の早明戦は明大に軍配があがった。

インゴールに駆け込むWTB槇

 「敗れはしたものの非常に収穫の多い試合だった」と就任2シーズン目を迎えた大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)が話すように、スクラムやブレイクダウンなど春から取り組んできたフィジカルトレーニングの成果が随所に見られる試合となった。特にスクラムについては「かなりいい出だしではないか」と大きな手応えを感じているようだ。一方、「疲れてくるとダブルタックルをしても倒せないシーンが見られた」と、ディフェンス面での課題を口にした相良主将。また、ラインアウトでのミスも目立つなど、まだまだ完成されていない部分も散見される。1週間後に控えるのは、昨年の春季大会で敗れている東海大との一戦。開幕戦で見えた課題をいかに修正し、次戦につなげてくるか。日本一奪還に向け、新たなスタートを切った早大ラグビー蹴球部の成長に期待したい。

(記事 安岡隼人、写真 谷口花)

コメント ※記者会見、早稲田大学ラグビー蹴球部提供

大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)

――今日の試合結果についていかがですか

 春シーズン最初の試合ということでしたが、相手は明治さんで選手も非常に気持ちの入ったプレーを見せてくれたと思います。負けはしましたが非常に収穫のある試合だったと思います。

――佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)選手をフッカーにした理由をお教えください

 佐藤をフッカーにする案は、入学した昨年からありました。フィジカルなどの筋力的なレベルも非常に高く、スクラムの要や、ゲームの中でもチームの要として期待したいなと思いますし、今日は大変よくやってくれたのではないかとと思います。

――スローイングの精度などはこれからということでしょうか

 スローイングに関しては、非常にスキルや経験のいることだと思います。今日は190センチを超えるような選手を相手にした時に、プレッシャーが自分にかかっていることを本人も自覚していると思うので、これからの練習の精度につながるいい経験だったと思います。

――スクラムに関してはいかがですか

 始めてからまだ3カ月ほどですので、かなりいい出だしではないかなと思います。

――今日の収穫と課題についてお教えください

 今年は春からフィジカルの部分でサイズアップをするために、筋力トレーニングを中心にやっています。スクラムでは成果が出ましたし、ブレイクダウンの部分でも今やっていることはできたのかなと思います。初戦で敗れてしまったことに関しては残念ですが、初戦としては非常にいいパフォーマンスをしてくれたと思いますし、狙っているところについては収穫があったと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いいたします

 次戦は東海大戦です。非常に強い相手なので、コンディションをさらにあげて頑張りたいなと思います。

相良昌彦主将(社4=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 今日のテーマは『コリジョン』という部分で、前半の序盤は良かったのですが、前半終盤になるにつれて、ダブルタックルが弾かれたり、ブレイクダウンでプレッシャーをかけられず失点につながってしまったりしたので、そこが反省点かと思います。

――トライを決めました、振り返っていただけますか

 槇(瑛人、スポ4=東京・国学院久我山)がラインブレイクし、それについていき、空いているところに細矢(聖樹、スポ2=國學院栃木)が反応してくれたので、トライにつながりました。

――佐藤健次選手についていかがですか

 フィールドプレーに関しては、持ち味であるランでゲインしていました。ラインアウトでとれなかった部分は、自分たちのジャンパーの精度が悪かったと思います。彼は非常に短い時間でセットプレーもフィールドプレーも仕上げており、一流の選手だと思います。

――今日の収穫と課題についてお教えください

 アタックについてはミスが多かったと思います。今年は選手主体でやり、自分たちで考えてラグビーをするということをやっています。その面では、FWとBKが一体となったアタックでラインブレイクが何本かできましたし、そこは収穫ではないかと思います。今年はディフェンスが課題だと思っていて、前半の20分ほどまでは体をあてられていたと思いますが、疲れてくるとダブルタックルしても倒せないシーンが見られたので、そこは必ず改善しなければならない部分だと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

 来週の東海大戦に向けて、今日できなかった『コリジョン』の部分を修正し、次戦は絶対に勝てるようにしっかり準備したいと思います。

鏡鈴之介副将(法4=東京・早大学院)

――今日の試合はいかがでしたか

 ペナルティが多く、もっとこだわれる部分があったのかなと思います。ですが、全員が体を張っていましたし、収穫のある試合だったと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

 春シーズンだからといって、負けて良い試合はないと思うので、また全員で体を張って一からやっていきたいと思います。

槇瑛人(スポ4=東京・国学院久我山)

――今日の試合はいかがでしたか

 春の練習の成果が多く見られたのですが、それでも明大に勝てなかったので、まだまだ改善する部分があるのかなと思います。

――トライの状況を振り返っていただけますか

 純粋に、このスタジアムでトライを挙げられたことがうれしいです。ハーフの判断やいろいろな人のおかげなので、みんなに感謝したいと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

 次戦も東海大戦と、ハードな試合が続くので、しっかりリカバリーして良い準備をして臨みたいと思います。

 

関東大学春季大会
早大 スコア 明大
前半 後半 得点 前半 後半
14 14 12
19 合計 26
【得点】▽トライ 松下、槇、相良 ▽ゴール 伊藤(1G)、吉村(1G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
川﨑 太雅 スポ3 東福岡
  後半36分交代→17井元    
佐藤 健次 スポ2 神奈川・桐蔭学園
  後半34分交代→16渡辺    
亀山 昇太郎 スポ2 茨城・茗渓学園
  後半22分交代→18平山    
前田 知暉 社4 東海大大阪仰星
  後半8分交代→19池本    
鏡 鈴之介 法4 東京・早大学院
村田 陣悟 スポ3 京都成章
植野 智也 法4 東京・早実
  後半11分交代→20小池    
◎相良 昌彦 社4 東京・早実
  後半36分交代→24細川    
宮尾 昌典 スポ2 京都成章
  後半14分交代→21細矢    
10 伊藤 大祐 スポ3 神奈川・桐蔭学園
  後半14分交代→22吉村    
11 西浦 剛臣 社2 ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール
12 岡﨑 颯馬 スポ3 長崎北陽台
  後半11分交代→25久富    
13 松下 怜央 スポ4 神奈川・関東学院六浦
  後半30分交代→23今駒    
14 槇 瑛人 スポ4 東京・国学院久我山
15 平田 楓太 スポ4 福岡・東筑
  後半30分交代→26京山    
リザーブ
16 渡辺 駿斗 商3 東京・早実
17 井元 正大 文4 東京・早実
18 平山 貴喜 スポ4 北海道・函館ラサール
19 池本 大喜 文構3 東京・早実
20 小池 航太郎 商3 東京・早実
21 細矢 聖樹 スポ2 国学院栃木
22 吉村 紘 スポ4 東福岡
23 今駒 有喜 文4 東京・早実
24 細川 大斗 社3 東京・早実
25 久富 連太郎 政経3 島根・石見智翠館
26 京山 秀勇 人3 福岡・東筑
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)
関東大学春季大会Aグループ星取表
  帝京大 明大 早大 東海大 日大 大東大
帝京大

5/29 13:00

静岡・エコパ

6/5 13:00

早大G

6/19 13:00

帝京大G

〇21-0

不戦勝

〇21-0

不戦勝

明大

5/29 13:00

静岡・エコパ

〇26-19

6/15 13:00

福島・いわき

6/19 13:00

日大G

5/8 13:00

セナリオH

早大

6/5 13:00

早大G

●19-26

5/8 13:00

東海大G

6/12 13:00

早大G

5/22 13:00

早大G

東海大

6/19 13:00

帝京大G

6/5 13:00

福島・いわき

5/8 13:00

東海大G

5/29 13:00

東海大G

5/15 13:00

東海大G

日大

●0-21

不戦敗

6/19 13:00

日大G

6/12 13:00

早大G

5/29 13:00

東海大G

6/26 13:00

日大G

大東大

●0-21

不戦敗

5/8 13:00

セナリオH

5/22 13:00

早大G

5/15 13:00

東海大G

6/26 13:00

日大G

※帝京大Gは帝京大百草園グラウンド、静岡・エコパは静岡県エコパスタジアム、北海道・札幌は北海道札幌ドーム、福島・いわきは福島県いわきグリーンフィールド、早大Gは早大上井草グラウンド、東海大Gは東海大湘南グラウンド、セナリオHは埼玉県セナリオハウスフィールド三郷、日大Gは日大稲城グラウンド