石川県選抜に勝利! 卒部選手は有終の美を飾る

ラグビー男子

 前日から降り続いた雨も上がり、太陽に照らされた石川・金沢市営球技場。卒業した4年生を中心に結成されたオール早稲田は、石川県選抜選手が集結したオール石川と対戦した。この試合は石川県ラグビー協会の創立70周年を記念して、石川県のラグビーを盛り上げていくために開催されたもの。試合だけでなく、地元の子どもたちとラグビーを通じて交流するイベントも催された。

 お互いにミスを重ねる形で始まった前半。相手のディフェンスに捕まったFB河瀬諒介(スポ4=大阪・東海大仰星)の苦し紛れに出したパスが乱れる。そのこぼれ球に反応した相手選手が、そのままインゴールへと駆けたが、トライ寸前でノックオン。いきなりピンチに見舞われる。しかしここから相手のペースに呑(の)まれることなく、自分たちの攻撃に転じられた。河瀬やCTB長田智希(スポ4=大阪・東海大仰星)を中心としたBKメンバーで徐々に敵陣へと侵攻していく。前半17分には、敵陣5メートルで相手ペナルティーからのスクラムをそのまま押し切り、NO・8田中智幸(政経4=東京・早大学院)がトライ。早大が待望の先制点を挙げる。前半25分には、相手ペナルティーからのラインアウトでチャンスを生むと、フッカー原朋輝(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が左サイドで得点。セットプレーから得点を重ね、前半を21ー5で折り返した。

 

インゴールへ向かう河瀬

 後半は両チームともにメンバーを大幅に入れ替えスタートした。後半に入り、早大のディフェンスラインの隙が目立つように。そのギャップを突かれ、何度もゲインを重ねられる。ここで早大はしぶとくタックルで止め、粘り強くボールに絡みにいき、簡単には得点を与えなかった。それでも、じわじわと自陣に攻め込まれていく。そして後半開始時には開いていた点差も、後半を折り返す頃には21ー17にまで詰め寄られていた。しかし後半26分、早大の主軸として4年間活躍し続けたエース河瀬がチームを勢いづける。パスの軌道にうまく切り込み、相手のディフェンスを突破するとそのままインゴールへ。早大にとって久しぶりの追加点をもぎ取る。だが相手も負けじと反撃に出ると得点を奪い、試合は一進一退の攻防に。試合終了間際のスコアは、35ー29と接戦となった。リードはしていたが、球を出し逃げ切るのではなく、最後まで闘志をみせた早大。最終局面で河瀬が相手ディフェンスをかわし、CTB米田圭佑(政経4=島根・石見智翠館)にパス。その米田がスピードに乗ってインゴールを駆け抜けた。そして42ー29で試合終了。会場には、両チームの選手を讃(たた)える温かい拍手が沸き起こった。

 

試合終了後、長田前主将を胴上げする選手たち

 卒業生にとって赤黒を身に纏(まと)い、フィールドに立つのも最後となる。「このチームで闘えたことは一生の思い出になる」(森谷)。4年間を共にした同期たちと、最後につかみ取った勝ち星。それはかけがえのない思い出として、選手たちの心に刻まれたのだろう。これから新たなステージへと歩みを進める卒業生たちが、それぞれの舞台でますます輝くことを願っている。

 

※記事中の学年は2021年度のものです。

(記事 山田彩愛、写真 森田健介、谷口花)

 

4年生の皆さんお疲れ様でした!

コメント

SH森谷隆斗(商4=東京・早大学院)

――久しぶりにSHとして試合に出てみていかがでしたか

 10ヵ月ぶりの試合で本当に緊張しました。改めてラグビーの難しさと楽しさを身に染みて感じました。

――プレーヤーとして出場するのは久しぶりだと思います。何か準備などはされましたか

 早く走る、誰よりも持久力をつけるというようなことは無理だと思ったので、とにかく怪我をしないために筋トレをしました。おかげさまで大きな怪我もなく、無事に試合を終えることができました。あとは一応パスも投げていました。

――早大選手として最後の試合となりますがどんな気持ちですか

 僕は少し特殊で選手をやめている身ですが、最後にもう一度試合をさせてもらう機会をいただけたので、とにかく幸せでした。このチームで闘えたことは一生の思い出になると思います。

――ラグビー部での4年間の経験を今後どのように生かしていきたいですか

 いつか部に恩返し出来ればと思います。

NO・8田中智幸(政経4=東京・早大学院)

――引退後久しぶりの試合はいかがでしたか

 引退後ほとんど体を動かしていなかったので、試合前はうまくやれるか不安でしたが、いざ始まると試合を楽しむことができました。

――前半でトライを決めました。振り返ってみていかがですか

 自分がトライを取ったシーンはスクラムトライだったので、自分というよりはFW全員で取ったトライという印象です。

――早大での4年間はどんなものでしたか

 辛いことや悔いが残ることもありますが、最高の同期と過ごせた4年間はとても充実していました。

――今後ラグビーとはどのように関わっていきますか

 会社のラグビー部やクラブチームでプレーヤーとして関わりたいなとは考えていますが、まだ決まっていません。

CTB長田智希(スポ4=大阪・東海大仰星)

――今日の試合はいかがでしたか

 卒部後に再び早稲田のジャージを着て試合ができたことがすごく嬉しかったです。また、オール早稲田での試合ということで、今までとは少し違った雰囲気の中で試合をすることができ、貴重な経験となりました。

――久しぶりに同期とプレーした感想をお聞かせください

 今までに何度も一緒に試合に出て戦ってきたメンバーはもちろん、赤黒を着て初めて一緒に試合をしたメンバーもいて、本当にいい時間だったと思います。みんなのおかげで試合を楽しむことができました。

――子どもたちと触れ合っていかがでしたか

 ラグビークリニックなどには参加することができなかったので、また機会があればラグビーを通じて子供たちと交流したいと感じました。

――今後の個人の抱負を教えてください

 私の目標は日本代表です。新たな環境でさらに成長した姿をお見せできるように頑張ります。