帝京大にあと一歩及ばず 今季初黒星

ラグビー男子

 雲一つない秋晴れの下、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場で、関東大学対抗戦(対抗戦)第5節となる帝京大戦が行われた。これまでの対抗戦は両校ともに4連勝。全勝対決となったこの試合、主導権を握ったのは帝京大だった。早大は相手の強力なスクラムに対抗できず、9点ビハインドで前半を終える。後半はラスト5分で2トライを挙げ、必死の追い上げを見せたが一歩及ばず。最終スコアは22―29で、早大は対抗戦初黒星となった。

 

  強力なフィジカルを持つ帝京大相手には、やはりスクラムが試合のカギを握っていた。前半開始3分、自陣でのノックオンで早くも相手にファーストスクラムを与えると、これを完全に押され、早大はコラプシングの反則を犯してしまう。そこから自陣ゴール前のラインアウトを起点に攻撃を重ねられ、失トライ。先制点を許したのは今季初であった。その後、帝京大に対して粘り強いディフェンスを見せ、何度かアタックの契機をつくるが、自分たちのミスでなかなか敵陣に攻め入ることができない。さらに21分にもスクラムでコラプシングを取られると、24分にはマイボールスクラムを押され、ボールを拾われてトライを献上。その後も早大は攻撃の歯車がかみ合わず、肝心なところでミスを重ねてしまう。点差を縮めることができないまま迎えた39分、ようやくWTB槇瑛人(スポ3=東京・国学院久我山)がハーフウェーラインからゴール前まで独走。一気に敵陣に攻め込みチャンスをつくる。その後23フェーズにも及ぶ攻撃で、相手のノットロールアウェイからPGを獲得。最後にSO吉村紘(スポ3=東福岡)がこれを決め、3―12で前半を折り返した。

 

突破を図るフランカー相良昌彦(社3=東京・早実)

 

 9点ビハインドで迎えた後半、ここから立て直しを図りたい早大は反撃に出る。後半7分、CTB岡﨑颯馬(スポ2=長崎北陽台)が相手の隙を突き前進すると、プロップ小林賢太(スポ4=東福岡)、SH宮尾昌典(スポ1=京都成章)にボールがわたり、宮尾が相手を振り切ってインゴールへ飛び込んだ。これまでの流れを断ち切り、勢いに乗るかと思われた早大だったが、帝京大の壁は簡単に打ち破れなかった。またしてもスクラムの反則、自陣での反則が相次ぎ3トライを追加されると、33分の時点で19点差まで開いてしまう。しかし早大は諦めていなかった。34分に敵陣22メートルのラインアウトから右に素早く展開すると、槇がトライ。その直後にはFB河瀬諒介(スポ4=大阪・東海大仰星)がハーフウェーラインからの独走トライを決め、7点差まで追いついた。さらに相手のシンビンで数的優位に立ち、一気に早大のペースに持ち込む。試合終了残り1分、敵陣で相手のボールをターンオーバーし、これで決めれば同点という大きなチャンスをつくり出すと、早大の必死の反撃に会場からは自然と応援の手拍子が沸き起こった。ゴールラインまであと数メートルのところまで攻めたものの、最後に相手にボールを奪われ、22―29でノーサイド。意地の猛追を見せた早大だったが、1トライの差を埋めることはできなかった。

 

後半に独走トライを挙げた河瀬

 

 春から『FW8人で押す』という意識を持ち、例年以上に積極的に取り組んできたスクラム。しかし「相手のプレッシャーで自分たちのセットアップができなかった」と小林も話すように、試合を通して思い通りのスクラムを組むことができなかった。さらに、自分たちのミスで好機を生かせなかったことも課題の一つ。どれだけ相手のプレッシャーを受けてもミスをせず、準備してきたことを発揮できるかが今後の勝利のポイントとなる。ただ、スクラムで終始優位に立たれていたものの、最後に1トライ差まで追いついたことや、粘り強いディフェンスを見せたことは早大の成長の証でもあるだろう。 今季初めての黒星となったが、対抗戦は終わったわけではない。20日後には早慶戦、そしてその後には早明戦も控えている。この敗戦をバネにさらなる進化を遂げ、残りの2戦、全勝で対抗戦を締めくくりたい。

 (記事 塩塚梨子、写真 橋口遼太郎)

関東大学対抗戦
早大 スコア 帝京大
前半 後半 得点 前半 後半
19 12 17
22 合計 29
【得点】▽トライ 宮尾、槇、河瀬 ▽ゴール 吉村(1G、1PG)伊藤(1G)
※得点者は早大のみ記載
  

早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
小林 賢太 スポ4 東福岡
  後半38分交代→17小沼    
川﨑 太雅 スポ2 東福岡
  後半18分交代→16宮武     
木村 陽季 社4 東京・早実
  後半18分交代→18亀山    
村田 陣悟 スポ2 京都成章
  後半29分交代→19前田     
桑田 陽介 スポ4 愛知・明和
相良 昌彦 社3 東京・早実
植野 智也 法3 東京・早実
  後半14分交代→20小川     
佐藤 健次 スポ1 神奈川・桐蔭学園
宮尾 昌典 スポ1 京都成章
  後半33分交代→21河村     
10 吉村 紘 スポ3 東福岡
  後半33分交代→22伊藤    
11 松下 怜央 スポ3 神奈川・関東学院六浦
12 ◎長田 智希 スポ4 大阪・東海大仰星
13 岡﨑 颯馬 スポ2 長崎北陽台
14 槇 瑛人 スポ3 東京・国学院久我山
15 河瀬 諒介 スポ4 大阪・東海大仰星
リザーブ
16 宮武 海人 政経4 東京・早大学院
17 小沼 宏太 スポ4 茨城・清真学園
18 亀山 昇太郎 スポ1 茨城・茗渓学園
19 前田 知暉 社3 大阪・東海大仰星
20 小川 瑞樹 文4 東京・早実
21 河村 謙尚 社4 大阪・常翔学園
22 伊藤 大祐 スポ2 神奈川・桐蔭学園
23 小泉 怜史 文構3 東京・早実
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦監督(平16人卒)
 
関東大学対抗戦Aグループ得点表(11月3日現在)
チーム 勝ち点 試合 得点 失点 得失 トライ
明大 25 5 5 0 0 265 51 214 41
早大 20 5 4 0 1 270 56 214 41
帝京大 23 5 5 0 0 292 47 245 45
慶大 15 5 3 0 2 153 104 49 25
筑波大 5 4 1 0 2 55 50 5 7
青学大 0 4 0 0 4 30 205 -175 3
立大 0 4 0 0 4 12 282 -270 2
日体大 0 4 0 0 3 15 185 -170 2
関東大学対抗戦Aグループ星取表(11月3日現在)
  明大 早大 慶大 帝京大 筑波大 日体大 立大 青学大
明大

12/5 14:00

秩父宮

〇46-17

11/20 14:00

秩父宮

〇53-14
9T4G

〇46-10
8T3G

〇68-7
10T9G

〇52-3
8T6G

早大

12/5 14:00

秩父宮

11/23 14:00

秩父宮

●22-29

〇21-14
3T3G

〇96-0

14T13G

〇70-0
12T5G

〇61-13
9T8G

慶大

●17-46

11/23 14:00

秩父宮

12/4 13:00

秩父宮

●12-34
2T1G

〇43-5
7T4G

〇41-5
7T3G

〇40-14
6T5G

帝京大

11/20 14:00

秩父宮

〇29-22

12/4 13:00

秩父宮

〇17-7
2T2G1PG

〇91-18
13T13G

〇103-0
17T9G

〇52-0

8T6G

筑波大

●14-53
2T2G

14-21
2T2G

〇34-12

3T3G

1PT1PG

1DG

●7-17
1T1G

11/27 14:00

江戸川

11/20 11:30

秩父宮

11/7 13:00

青学大G

日体大

●10-46
1T1G1PG

●0-96

●5-43
1T0G

10/24 13:00

帝京大G

11/27 14:00

江戸川

11/7 13:00

日体大G

11/20 13:00

大和

立大

●7-68
1T1G

●0-70

●18-91
2T1G2PG

●0-103

11/20 11:30

秩父宮

11/7 13:00

日体大G

11/27 11:30

江戸川

青学大

●3-52
1PG

●13-61
1T1G2PG

●14-40
2T2G

●0-52

11/7 13:00

青学大G

11/20 13:00

大和

11/27 11:30

江戸川

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、足利は足利市総合運動公園陸上競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、明大Gは明大八幡山グラウンド、敷島は群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。