対抗戦に向け弾みになる1勝!

ラグビー男子

 前回帝京大との試合を40ー24で勝利した早大は、菅平サニアパークで昨年度の対抗戦(関東大学対抗戦)王者、明大と対戦した。菅平合宿の締めくくりとなるこの1戦は、お互いにトライを取り合う展開に。早大は開始早々にスクラムから攻撃を展開して先制点を奪い、前半を1トライ差のリードで折り返す。後半は相手の素早いテンポに対応しきれず追い上げを受けたものの、なんとか粘りを見せ、38―34で勝利した。

 前半8分、SO吉村絋(スポ3=東福岡)の巧みなハイパントキックが敵陣10メートル付近で相手のノックオンを誘う。開始早々に好機を得た早大は、ファーストスクラムから左に展開。吉村、CTB長田智希(スポ4=大阪・東海大仰星)とつなぎ、最後はWTB松下怜央(スポ3=神奈川・関東学院六浦)がグラウンディング。先制点を挙げた。この得点で流れに乗りたい早大だったが、ミスもあり明大にトライを2つ取り返され逆転を許す。厳しい状況の中、起点となったのはルーキーNO・8佐藤健次(スポ1=神奈川・桐蔭学園)だった。「オフェンス面ではゲインすることができた」(佐藤)と語ったよう、26分に佐藤は力強いゲインを見せる。攻撃の起点を作り、最後は吉村がインゴールに飛び込んだ。すると、29分にもFB河瀬諒介(スポ4=大阪・東海大仰星)が抜け出し最後に長田がトライ。39分には佐藤のタックルが相手の反則を誘いPGを獲得すると、これを吉村が40メートルほどの長い距離から確実に決めた。立て続けに得点を重ねた早大。終了間際にトライを許したものの、リードを守り24―17で前半を折り返した。

 松下は2試合連続の先制点奪取となった

 

 後半開始早々にモールから失点したものの、流れは崩れなかった。14分にはフェーズを重ね、最後は河瀬のオフロードパスからフランカー相良昌彦(社3=東京・早実)がトライ。プレーを自身の反則によって止めることなく、攻撃を継続できたことが奏功した。24分にはSH宮尾昌典(スポ1=京都成章)から、CTB岡﨑颯馬(スポ2=長崎北陽台)へパスがわたる。「(内側の)スペースを突いてくれた」(吉村)という鋭いカットインから最後は岡﨑が冷静にパスを送り、長田がインゴールへ。リードを広げる得点となった。しかしその後は「余計な失点」(吉村)と語られたよう、明治に2本のトライを許す。明大のテンポの早い攻撃にディフェンスが対応しきれず、終盤に点差を詰め寄られてしまった。試合を通してトライ数は相手に劣ったものの、吉村によるコンバージョンキック、PG成功により、最終スコア38-34で接戦を制した。

 後半に河瀬からのパスを受けトライを挙げた相良

 

 勝利することはできたが、今夏菅平で連勝中の明治のプレッシャーからか、ラインアウト、スクラムで劣勢になる場面が多く見られた。また、相手の早いテンポや多彩なステップに苦しみピンチになる場面も散見された。しかし、タイトな試合でも積極的なアタックを継続できたことや、明大と対戦することで新たな課題が見つかったことは、チームの成長にとって充実した勝利であったことに間違いはない。関東大学対抗戦まで残り2週間。課題を修正し、秋には圧倒的な勝利を期待したい。

(記事 森田健介、写真 内海日和、塩塚梨子)

コメント

長田智希主将(スポ4=大阪・東海大仰星)

――今日の試合の感想をお願いします

 今日の試合は勝ち負けももちろんなんですが、自分たちのすべきこと、内容にしっかりこだわっていこうという中で、たくさん課題が見つかった試合だと思います。

――具体的に課題はどのようなところが挙げられますか

 トライを取り切れなかった部分だったり、試合の終了間際に相手にペースをつかまれてトライを取られた部分だったり、やりきれなかった部分、そういったところが主に課題だと感じます。

――点の取り合いが続くような試合でしたが、試合中チームにどんな声かけをされていましたか

 ディフェンスを崩されることが多かったので、そのなかでディフェンスをどのように修正していくかというところと、ミスが起きた時に次自分たちがどうするのかというのを話しました。

――ハーフタイムではいかがですか

 ハーフタイムでもディフェンスの修正の部分と、アタックはこのまま継続しようという話をしました。

――明治大に対してどのような対策をして臨んだのか、また実際にやってみてどうだったか教えてください

 明治大は順目に早い、ワイドに攻撃してくるアタックだったので、それに対して早くセットしてディフェンスしていこうという話をしていました。実際やってみると、あのような展開ラグビーをしてくるチームはなかなかいなくて。帝京大だったらシンプルに縦に突っ込んでくるだけだったのですが、それに加えて横の動きが出たところで課題がたくさん見つかったと思います。

――ご自身の2回のトライシーンを振り返っていただけますか

 どちらもチームとしてアタックを継続しようとしている中で、全員が我慢してアタックし続けて、最後にスペースが空いたところにトライできたのでよかったです。

――個人の良かった点、課題を教えてください

 (チームが)試合の入りにこだわっている中で、自分自身も入りにこだわれたというのはあるんですが、試合が進むにつれて疲れが出て足が動かなかったところが一番の課題だと思います。

――この夏は同志社大、帝京大、明大に勝ちましたが、率直に感想はいかがですか

 この3戦勝てたというのはチームにとって大きいのですが、今日も含めて課題がたくさんあるので、これからそれを克服しつつ、チームとして成長していけたらと思います。

――最後に秋シーズンに向けて意気込みをお願いします

 僕たちの目標は日本一だけなので、そこを軸にしつつ、一つ一つ自分たちがやるべきことをしっかりやって勝てたらと思います。

 

フランカー相良雅彦(社3=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 夏の3連戦で3連勝をすることが目標で、それを達成できたことはよかったです。最後に点を取られてしまう場面もあったので、改善すべき部分も多くあったと思います。

――明大に対してチームとして意識したことはありますか

 特に明治にフォーカスするポイントはありませんでした。いつも通り、自分たちのディフェンスで体を当てることを意識しました。

――ご自身のディフェンスを振り返っていいかがですか

 自分としては抜かれた部分はなかったので、そこはよかったと思います。もっとターンオーバーにつながるようなビックタックルやジャッカルが決められたらよかったです。

――トライシーン振り返ってください

 まあごっつあんトライなのですが(笑)。河瀬さんが良いパスをくれたので、それを置いただけです。

――アタックで意識したことはありますか

 特にはありません。味方がスイープしやすいように寝方にはこだわりました。味方のことを考えてプレーをしていましたね。

――この夏合宿で成長したいと思っていることはありますか

 ディフェンスのワークです。セカンドマンのタックルやジャッカルのところで成長したいと思っていました。しかし、結局この3連戦でジャッカルは1回しかできずに、それに関しては全くできていなかったので、そこは課題です。

――秋への意気込みを教えてください

 この3連戦で、相手の大きなFWを止めることが勝ちにつながると分かりました。まだまだ半年あるので、FWのレベルアップを貪欲にして対抗戦に臨みたいと思います。

 

WTB松下怜央(スポ3=神奈川・関東学院六浦)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

 自分がファーストトライを取ったことで、チームを勢いづけることができたのでよかったです。試合内容はあまり良くなかったですが、大事な夏の3連戦全て勝つことができてよかったです。大学選手権に優勝するために、明大にはどこかで必ず当たらなければいけないので、その相手に勝ち切れたというのは一番大きかったです。

――2試合連続先制トライですが、どうでしたか

 1試合目は自分が先制すると思っていなくて、それはそれでうれしかったです。しかし、2試合目はWTBなのでしっかり自分で先制してチームを勢いづけたいと試合の最初から思っていて、それを実現できたのでうれしかったです。

――アタックで意識したことはありますか

 明大は身体が大きいしディフェンスもうまいので、自分の強みであるボールキャリーで前に出ることによって、ゲインしてアタックから流れを作るということを意識してやりました。

――春はCTB、夏はWTBと、ポジションが変わっていますが何か意識していることはありますか

 自分の持ち味のボールキャリーがあるのでそれで前に出るという意識でやっています。ポジションで何か変えたということは特にありません。

――明治と戦った手応え、感じたことはありますか

 自分たちの強みであるアタックを継続していればトライを取り切れるということが分かりました。ディフェンスでのタックルで前に出られず、逆に前に押し返すというディフェンスをしていけば、ボールをターンオーバーできるということも分かったので、そこも強みにしていきたいです。

――秋の意気込みを教えてください

 どこのポジションかは分かりませんが、今はWTBとしてたくさんトライを取りたいです。最後は優勝して『荒ぶる』を取りたいと思います。

 

SO吉村紘(スポ3=東福岡)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 勝てたことはよかったと思います。しかし、前半の最後と後半の最後に必要ない失点があったので、そこは自分たちの甘さだと思います。

――トライシーンを振り返っていかがですか

 得点を取れたことはよかったのですが、チームがうまく形を作って取ったトライではなかったので、その部分ではSOとしてうれしいトライではなかったです。ですが、しっかりスコアできたことはよかったと思います。

――ご自身のゲームメイクについて評価してください

 余計な失点があったことはゲームメイクの課題だと思うので、もっとうまくキックを使って、80分間通して相手より高いワークレートで戦えるようにコントロールする必要があると思っています。

――キックについて意識していることはありますか

 「空いていたら蹴る」ということですね。自分の判断で蹴ることもありますし、チェイスしてくれる選手がいないことには良いキックにはならないので、チーム内のコミュニケーションと、「空いていたら蹴る」ということを意識しています。

――ご自身も積極的にアタックをしている印象でした

 明大は外側で結構プレッシャーをかけてきて、内側ではスペースが多いという印象を持っていたので自分が突くシーンもあったと思います。最後の長田さん(長田智希、スポ4=大阪・東海大仰星)のトライも、そのスペースを岡﨑(岡﨑颯馬、スポ2=長崎北陽台)が突いてくれたことによるトライでした。

――チームとしての課題はありますか

 80分間通して支配し続けるという部分がまだ全然できていませんし、恐らく誰もこの合宿中全勝だったという結果に満足していないと思うので、もっと頑張っていきたいと思います。

――秋シーズンに向けた意気込みをお願いします

 日本一につながるシーズンにしたいと思っているので、結果にこだわってハングリーに頑張っていきたいと思います。

 

NO・8佐藤健次(スポ1=神奈川・桐蔭学園)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 試合の入りであったり、前半と後半の最後の絞めなければならない場面で自分たちのツメの甘さが出てしまって、点数的にも(点差が)近いゲームになってしまいました。それ以外はよかったところが多いと思いますが、やはりツメの甘さが出た試合だと感じました。

――今日のセットプレーを振り返ってどうでしたか

 スクラムは小林賢太さん(スポ4=東福岡)が出るまで安定しませんでした。どのメンバーで組んでも明治や帝京に負けないセットをするのがFWの役目だと思うので、1から作り直していきたいです。

――自身のプレーを振り返って今日の良かったところ、悪かったところはどこだと思いますか

 オフェンス面ではゲインすることができたので良かったですが、ディフェンス面ではタックルミスであったり前半最後のコミュニケーションミスがありました。個人でもチームでもツメの甘さが出た試合でした。

――大学に入学してからの試合で高校時代との違いは何でしょうか

 まず時間が60分から80分に増えたことがあります。20分間はメンタル的にも身体的にもしんどく感じます。あとはコンタクトの部分で大きな差がありますが、少しずつ慣れてきました。1年の段階から早稲田の顔という選手になるためには、更にコンタクトレベルを上げていかなければいけないと思っています。

――秋の対抗戦に臨むにあたって、高校時代のライバルで対戦が楽しみな選手はいますか

 帝京の青木恵斗選手と明治大学の秋濱悠太選手は高校時代にずっと一緒にいた3人で、それが早帝明で別れたので、その2人と戦うことができればうれしいですしとても楽しみです。

――秋の意気込みについて教えてください。

 夏合宿の3連戦に全て勝利していいかたちで終われましたが、まだ課題が多くあるのでそこを修正して一戦一戦勝っていきたいです。個人としてもストロングポイントを存分に発揮してチームの勝利に貢献したいです。

夏季オープン戦
早大 スコア 明大
前半 後半 得点 前半 後半
24 14 17 17
38 合計 34
【得点】▽トライ 松下、吉村、長田2、相良 ▽ゴール 吉村(5G、1PG) 
※得点者は早大のみ記載
 
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
小沼 宏太 スポ4 茨城・清真学園
川﨑 太雅 スポ2 東福岡
亀山 昇太郎 スポ1 茨城・茗渓学園
大﨑 哲徳 スポ4 東京・國學院久我山
桑田 陽介 スポ4 愛知・明和
相良 昌彦 社3 東京・早実
植野 智也 法3 東京・早実
佐藤 健次 スポ1 神奈川・桐蔭学園
宮尾 昌典 スポ1 京都成章
10 吉村 紘 スポ3 東福岡
11 松下 怜央 スポ3 神奈川・関東学院六浦
12 長田 智希 スポ4 大阪・東海大仰星
13 岡﨑 颯馬 スポ2 長崎北陽台
14 槇 瑛人 スポ3 東京・國學院久我山
15 河瀬 諒介 スポ4 大阪・東海大仰星
リザーブ
16 原 朋輝 スポ4 神奈川・桐蔭学園
17 小林 賢太 スポ4 東福岡
18 木村 陽季 社4 東京・早実
19 前田 知暉 社3 大阪・東海大仰星
19’ 藤井 将吾 スポ2 大阪・早稲田摂陵
20 小池 航太郎 商2 東京・早実
20’ 小柳 圭輝 社4 東京・国学院久我山
8’ 小川 瑞樹 文4 東京・早実
21 河村 謙尚 社4 大阪・常翔学園
22 久富 連太郎 政経2 島根・石見智翠館
22’ 三浦 称児 人2 大分舞鶴
23 今駒 有喜 文3 東京・早実
14’ 小泉 怜史 文構3 東京・早実
15’ 平田 楓太 スポ3 福岡・東筑
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦監督(平16人卒)