上級生となり委員にも選ばれたCTB長田智希(スポ3=大阪・東海大仰星)、SH河村謙尚(社3=大阪・常翔学園)、プロップ小林賢太(スポ3=東福岡)の3人。昨シーズンの振り返りから今季への意気込みまで幅広く語っていただいた。
※この取材は3月27日に行われたものです。
「うれしいという気持ちの反面、自分もそこに立ちたかったという悔しさも同時にこみあげてきました」(河村)
――昨シーズンのチーム成績をどのようにとらえていますか
河村 (全国大学選手権で)優勝して終わることが出来たので、一番いい結果だったかなと思います。
小林 11年ぶりに優勝することが出来たので、結果自体は一番いいものが残せたのではないかなと思います。
長田 一緒ですね(笑)。ただ、個人としてのチームに対する貢献度はまだまだだと感じているので、今シーズンはもっと頑張っていきたいです。
――個人として昨シーズンはいかがでしたか
小林 スクラムの部分で、(全国大学選手権)決勝でも明治大学さんにプレッシャーをかけられる場面が多くあったので、セットプレーの安定という面でまだまだ課題があるなと感じました。今年しっかりと修正していきたいです。
河村 春シーズンでは出場の機会をいただいて、Aチームとしてプレーすることが出来ていたのですが、最後の大学選手権ではリザーブに入ることも出来ないという状態でした。なので、今年は絶対に競争に勝って、9番のユニフォームを着て優勝出来るように頑張っていきたいです。
――長田選手、小林選手は大学選手権の決勝に出場されました。あの試合はやはり得るものが多かったですか
長田・小林 はい。
長田 あれだけの人数の前で試合をするということが初めての経験でした。良い経験が出来たと感じています。
小林 大学選手権の決勝で初めて新国立(競技場)で試合をさせていただいて。今までは秩父宮 (ラグビー場)で試合をすることが多かったので、新国立での試合という舞台を3年生以下の選手が経験出来たということはとても大きかったと思います。
――優勝した瞬間はいかがでしたか
河村 試合中は外から見ていて結構ドキドキしていていました。優勝が決まった時はとてもうれしいという気持ちの反面、自分もそこに立ちたかったという悔しさも同時にこみあげてきました。
小林 とてもうれしいという気持ちで、早稲田に来て良かったなと感じました。
長田 一番はうれしいという気持ちでした。しかし自分としてはあまり納得のいくプレーが出来なかったので、その面で少し悔しいという気持ちもありました。
――小林選手は先日ジュニア・ジャパンに選出され、初優勝を果たされました。ジュニア・ジャパンでの経験はどのようなものでしたか
小林 フィジー、サモア、トンガという体の大きくてフィジカルをどんどん使ってくるチームとの試合でした。国内でそのようなチームと対戦する機会はあまりないので、そういう経験が出来たというのは本当に大きかったです。チーム内でも、国内の様々な大学やチームから集まってきた選手と一緒にプレーしたので、周りのレベルの高さや意識の部分でも影響を受けましたし、尊敬する部分も多かったです。
――やはり国内の対戦相手との大きな違いはフィジカルの部分でしたか
小林 フィジカルの部分が大きかったです。しかしその中で自分たちが通用する部分も多くあったので、そのことは日本のラグビーをやっていく中で、自分たちの大きな財産になったと感じています。
――影響を受けた他大学の選手はいらっしゃいましたか
小林 近畿大学の紙森君(紙森陽太)がすごいと思いました。試合の次の日にもウエイトトレーニングをするなど、僕が絶対にしないようなことをやっていたので。
――お三方は委員に就任されました。どのような形で選出されたのですか
河村 くわしくはあまり分からないのですが、キャプテンにハーフ団で試合に出ていた上級生があまりいないので、その中で僕がハーフ団の代表として意見を言ってほしいということを言われました。それで決まったのかなと思います。
小林 深い理由はよく聞いていないのですが、丸尾さん(丸尾崇真主将、文構4=東京・早実)に委員をやってほしいということを言われ、僕が「やります」と答えました(笑)。
――丸尾主将の指名というかたちなのですか
一同 どうなんですかね…その辺はあまり分からないです。
――ポジションがきれいに分かれていますが
小林 去年、おととしはそのようになっていなかったので、バランスよく「なっちゃった」という感じですね(笑)。
長田 僕も呼ばれて、委員をやってほしいと言われて、「頑張ります」と言っただけです(笑)。
――委員の仕事とはどのようなものなのですか
長田 キャプテンのように決まった仕事は特にないのですが、主将などリーダー陣が集まる場に参加して、チームの状態などに関するミーティングをしています。
――就任されて気持ちの変化などありましたか
長田 気持ちの変化はあまりありません。しかし今までは試合に出てはいたものの、チームを引っ張る立場ではなくとにかく自分のことを第一に考えてやってきました。なので、委員というチームを引っ張る立場になったことで、チームに対する発信などをもっとやっていかなければいけないと感じています。
河村 去年までは下級生として上級生に頼っていた部分がありました。練習でも上級生がチームをまとめてくれていたのですが、(委員に就任したことで)周りを見てチームの状況などを自分から発信するようになりました。
――部内ではどのような役割が求められると思いますか
小林 チームの中でこのような役割をいただいているので、下手なことは出来ないというか。しっかりリーダー陣の中に入って、みんなを先導していくような立ち位置になると思います。
小林選手(中央)の他己紹介をする河村選手(右)
――お三方の仲はよろしいのですか
一同 はい(笑)。
――オフの日は一緒に行動をしたりするのですか
長田 あまり行かないですね。
小林 長期オフになれば全員関西なので、帰った時に「一緒に行くか」となります。一回ユニバ(ユニバーサルスタジオジャパン)に行きました(笑)。
――ラグビーの部分で他己紹介をお願いします。
河村 (小林選手は)プロップ、FWの最前線なのにも関わらず、BK並みのパススキルを持っていますし、あまり試合では使わないですがキックも蹴れます。プロップとしては珍しいとても器用な選手だと思います。
小林 (長田選手は)『ミスターラグビー』っていう感じですね(笑)。思い通りのプレーが出来なかったとよく言うのですが、一緒にプレーしている身からすると、プレーの波がないというか。毎回いいプレーをしてくれるのでとても頼れる選手です。
長田 (河村選手は)元々ハーフの選手でなく、大学に入ってからハーフになりました。それにも関わらずすぐにAチームに絡んでくる、ラグビーセンスがある選手です。パスやキック、ラグビーに対する考え方などとてもセンスがあると思います。あとステップがすごいです。
――ラグビー以外の部分ではいかがでしょうか
河村 (長田選手は)ラグビーの時はすごく真面目で、ずっとウエイトトレーニングなどをしているのですが、ラグビー以外の部分になってくるとだいぶふざけていて、突然大声を出したりします。
小林 やばい人じゃん(笑)。
長田 そういうとやばい人になるな(笑)。
河村 みんなを和ませる感じの人ですね。
長田 (小林選手は)簡単に言えば、ジャイアンみたいな(笑)。人をいじるのが大好きです。実は結構真面目で、しっかりと考えているのですが、いつも騒いでいるという感じですね。真面目なので、授業の成績などはとても良いです。
小林 (河村選手は)ラグビー以外でも結構ラグビーを見ているなという感じで、海外ラグビーの選手などもとても詳しいです。みんなといるときは結構甘えん坊キャラで(笑)。長田とかに甘えています。かわいい一面もあります(笑)。
――オフの日はなにをされていますか
河村 特にこれといってはないのですが、たまにここら辺のメンバーで買い物に行ったりします。オフの日はこれ、という決まったものはないです。
小林 最近は(自動車免許)教習所に通っています。通い詰めていますね。
長田 結構寮にこもっていますね。最近ようやく外に出る意欲が湧いてきたのですが、ずっと寮にいるのが好きです。寮でYouTubeを見るか映画を観るかして一日つぶれますね。
「一人一人の「強くなろう」という意識がチーム全体にあるのかなと感じます」(長田)
――丸尾主将はどのような人だと思いますか
河村 熱い男という感じです。
長田 メンタル的な部分で試合とかでも一番闘志を持っている人ですね。
小林 二人が言った通り熱い人だと僕も思います。
――副将が二人選出されました。下川(下川甲嗣、スポ4=福岡・修猷館)選手と南(南徹哉、文4=福岡・修猷館)選手はそれぞれどのような人ですか
長田 丸尾さんが一人で突っ走っていくタイプで、下川さんと南さんは後ろから色々なところに気を配りながらチーム全体を見られるような人たちではないかなと思います。
河村 二人とも穏やかな感じで、誰とでもコミュニケーションが取れるという印象が僕の中ではありますね。
――長田選手は決勝の試合後のインタビューの中で「4年生にいいプレーヤーが多い」とおっしゃっていたのですが、4年生が抜けたことでの戦力の違いは感じていますか
長田 今は試合がないのでわからない部分もあるのですが、やはり齋藤さん(齋藤直人、令2スポ卒=現サントリー)だったり岸岡さん(岸岡智樹、令2教卒=現クボタ)だったり、絶対的なところが抜けてしまったという感覚が自分の中ではあるので、そういった意味では少し劣っているのかなと思います。
――後輩の台頭についてはどのように捉えていますか
長田 もうちょっと頑張ってほしいというのはありますかね。
小林 そうですね。
長田 完全に一緒に試合に出て、100%信頼してできるかと言われるとまだまだかなと感じますね。僕たちも含めてまだまだレベルアップしなければと感じます。
小林 僕は今年1年生で同じ高校の後輩が同じポジションに入ってきて、そういう部分では競争する選手が増えるので、自分も気を引き締めてこれからやっていかなければいけないなと思っています。
河村 長田が言ったように、意識が高い人は自分で考えて頑張ったりしている中で、気持ちがついてきていない(選手もいる)というか。下級生なので上級生に頼ってしまう部分もあるのですが、そういうところを自分で考えて頑張ってほしいかなと思います。
――注目の選手はいますか
小林 吉村紘(スポ2=東福岡)君です。ポジションは違うのですが、トレーニングや食事の面とかとても意識が高くて。今年はくるんじゃないかなと思います。
長田 僕は槇瑛人(スポ2=東京・国学院久我山)ですかね。ランニングとかフィジカルの部分とかで結構いいものを持っていると思います。去年は生かし切れていないところがあったんですけど、それをもう少しやればAチームにも絡んできて、試合に出られるレベルにまでいけると僕はずっと感じています。
河村 僕も一緒で槇瑛人です。同じ寮で同じ部屋なのですが、彼はすごくポテンシャルが高くて、足も速いですし身体もすごく強いです。長田も言ったように去年は(実力を)出し切れていなかったので、もっと自分からボールをもらっていくような選手になったらAチームでも活躍できるプレーヤーだと思っているので、期待しています。
「スクラムを中心にFWを引っ張っていけるように」(小林)
ファンの方々へのメッセージを考える皆さん
――これからレギュラー、メンバー争いも激しくなると思います。ご自身の強みを教えてください
長田 僕はディフェンスが自信のある部分で、タックルを含めてディフェンスラインの上がりだったり、全体とつながりながらディフェンスする部分だったり、チーム全体としてのディフェンスをリードしていくというところが強みだと思っています。アタックの部分だと、絶対的なフィジカルが僕にはあまりなくて。CTBはタテに出ていかなければならないポジションなのですが、他大学の選手と比較するとフィジカル的なところではあまり前に出られないので、少しずらして前に出ていくというところが強みかなと思います。
小林 僕はアタックとディフェンスだったらアタックの方が得意なので、そこが強みかなと思います。去年は自分自身あまり思い通りのキャリーができなかったので、身体を生かしたコンタクトの部分や、ショートパスを使ってゲインができるようにしていきたいと思います。
河村 得意なプレーはステップで相手を抜いていくことで、SHというポジションからあまり抜いていくということは多くはないと思うんですけど、自分で仕掛けるところは仕掛けていくというか。去年はそういう部分はチャレンジできていなかったので、抜いていくという強みが生かせるようにどんどん仕掛けていきたいと思います。
――反対に現時点で課題と感じているところはありますか
河村 課題はパスの精度ですね。SHはやはりどのポジションよりもパスが大事で、そこから攻撃が始まっていくので、そこを一生懸命練習して、完璧に投げられるようにしていきたいと思います。
小林 僕はスクラムとディフェンスのところです。スクラムは昨シーズンで試合中何度か押されている場面もあったのですが、それ以上に相手からプレッシャーを受ける場面も多くあったので、そこはしっかり修正していかないといけないなと思います。ディフェンスは、近場のディフェンスで差し込まれるところがあったので、近場のコンタクトのところを克服していきたいなと思います。
長田 フィジカルの部分ですね。アタック、ディフェンス両方で、1対1の局面で優位になる場面があまりなくて、アタックだとタックルで正面から入ると返されてしまったり、ディフェンスでも相手を仰向けに倒すようなタックルがなかなかできなかったりというところがあるので、そこが一番の課題かなと思っています。あとは基本的なパススキルやキックの精度がまだ足りないかなと感じています。
――新体制のチームでどのような存在になっていきたいですか
長田 BKの中で僕は1年生から出させてもらっているので、チームを、特にBKをプレーでも普段の練習でも引っ張っていけるようになりたいと思っています。
小林 僕も長田と同じで1年生から出させてもらっていて、FWを引っ張っていかないといけないと思っていて。その中でもスクラムはプロップが重要なポジションになってくると思うので、スクラムを中心にFWを引っ張っていけるようになりたいと思います。
河村 僕は去年とかはメンバーに入ることが確定していたわけではなく、今年は絶対メンバーに入って優勝するという目標があるので、まずはしっかりメンバーに入っていけるように努力していきたいと思います。
――今年度の目標を教えてください
長田 チームとしてはもちろん日本一です。個人としては、チームが苦しい局面を打開できるプレーを去年以上に出していきたいなと思っています。ディフェンスだったら先ほど言ったようなターンオーバーするようなタックル、アタックだったらゲインラインを常に超え続けるようなタテのプレーをできたらと思います。
小林 チームとしては日本一です。個人としては、去年の『決勝でスクラムトライを取る』という目標を成し遂げられなかったので、強化してその目標を達成できるようにしていきたいです。
河村 チームの目標は日本一。これは絶対的なものですね。個人としてはまずは試合に出ることで、その上でSHは周りを見ないといけないポジションなので、周りを見てしっかりチームをまとめていけるような選手になっていきたいなと思います。
――最後に、今年度の意気込みとファンの方々へのメッセージをお願いします
河村 意気込みとしてはメンバーに入ることを目標に誰よりも練習して頑張っていきたいと思います。去年優勝したことで、早稲田ラグビー部は世間からも注目される存在になってくると思うので、それにこたえられるように日々努力して成長して、2連覇できるように頑張りたいと思うので、応援よろしくお願いします!
小林 去年は試合中に何度もスクラムで押されて悔しい思いをしてきたので、絶対にどのスクラムも押せるようにトレーニングして頑張っていきたいと思います。それで日本一に貢献できるようにプロップというポジションの役割を果たしたいと思います。BKの早稲田と言われないように、FWも頑張るので今年もよろしくお願いします!
長田 今年もチームが目指す日本一に向けて、自分ができるところを精一杯頑張って貢献していきたいです。チームが苦しいときにタックルとタテのプレーで状況を打開できるようなプレーヤーになるために頑張ります。応援よろしくお願いします!
――ありがとうございました!
(取材・編集 栗林真子、横澤輝)
皆さん綺麗な字で色紙を書いてくださいました!
◆長田智希(おさだ・ともき)(※写真左)
1999(平11)年11月25日生まれ。179センチ。86キロ。大阪・東海大仰星出身。スポーツ科学部3年。なかなか自分のプレーには納得しないとおっしゃっていた長田選手。質問には丁寧に、ときに面白く答えてくださいました!今年は自身をも納得させる素晴らしいプレーに注目です!
◆小林賢太(こばやし・けんた)(※写真中央)
1999(平11)年6月2日生まれ。181センチ。115キロ。東福岡高出身。スポーツ科学部3年。色紙に「押します」と力強く書いて下さった小林選手。最後までパスとタックルのことも書こうかと悩んでいらっしゃいました。今年はスクラムだけでなく、小林選手の全プレーから目が離せません!
◆河村謙尚(かわむら・けんしょう)(※写真右)
1999(平11)年10月14日生まれ。171センチ。76キロ。大阪・常翔学園出身。社会科学部3年。昨シーズンには悔しさを感じたという河村選手。色紙に書いた通り、「貪欲」にメンバー入りを狙います。この選手が部内競争に火をつけることは間違いありません!