一時は勝ち越すが・・・。東海大に逆転負けを喫す/東海大戦

ラグビー男子

 劇的な帝京大戦の勝利から5日。菅平での夏合宿を締めくくる東海大との一戦が行われた。早大は、序盤に東海大の外国人選手を中心としたアタックに押し込まれ、0-14とリードを許してしまう。その後は、一時勝ち越しに成功したものの、後半になり再び東海大に押し込まれてしまい、21-28で逆転負け。関東大学対抗戦(対抗戦)開幕を前に、課題を残す内容となった。

 「最初の20分で自分たちが受けてしまった」(ロック中山匠、教3=東京・成城学園)と語る通り、序盤の主導権は東海大に握られてしまう。3分、敵陣での東海大ボールスクラムから外国人選手を止められずに大きくゲインを許し、そのままインゴールまで持ち込まれて先制を許すと、15分にも外国人選手を起点に攻撃を展開されて失トライ。ゴールも決まりスコアは0-14と東海大にリードを許す展開となる。早大も敵陣で攻めるチャンスはあるものの、パスミスなどが出てしまい、なかなか攻め切ることができない。そんな状況を打破したのは得意のモールだった。28分、35分と敵陣ゴール前ラインアウトからモールを形成し、そのまま押し込みトライ。ゴールも決まり、14-14と試合を振り出しに戻して前半を終了した。

持ち味であるモールから2トライを挙げた

 後半、最初のトライを奪ったのは早大だった。4分、敵陣10メートルライン付近からラインアウトを獲得すると、右へ展開。最後はフランカー幸重天(文構3=大分舞鶴)がインゴールへと飛び込んで、勝ち越しに成功する。その後はメンバーを変えつつ戦う早大だったが、再び東海大に主導権を握られる展開となる。帝京大戦でも見せた粘り強いディフェンスで耐えしのぐ場面もあったものの、24分、敵陣でターンオーバーされると、そこからオフロードなどでつながれてそのままインゴールを明け渡し、同点とされてしまう。そして、試合終了間際、早大のミスから自陣ゴール前スクラムを献上すると、そのスクラムを押し込まれて勝ち越しトライを許してスコアを21―28とされ、ここでノーサイド。要所で東海大に力で押し込まれ、悔しさの残る逆転負けとなった。

 

CTB中野将伍(スポ3=福岡・東筑)の復帰戦ともなった

 「東海大のアタックに対してのアジャストが遅くて外国人選手にも受けてしまった部分があった」(中山)と振り返る通り、きょうは試合序盤に東海大のアタックを受けてしまい、敵陣に入った後もアタックで攻め切れなかったことが、結果に影響した。ミスの多さはこの夏合宿3試合通じての課題であり、強豪校との試合では小さなミスから試合の形勢をひっくり返されかねないだけに、減らしていかなければならないのは言うまでもないだろう。この合宿のテーマの一つである『コミュニケーションと連携』の部分を継続して高め、対抗戦開幕までにはさらにパフォーマンスを高めたい。

(記事 新開滉倫、写真 坂巻晃乃介、石塚ひなの)

夏季オープン戦
早大 スコア 東海大
前半 後半 得点 前半 後半
14 14 14
21 合計 28
3/3 4/4 スクラム成功率 2/2 3/3
8/10 5/5 ラインアウト成功率 3/3 8/9
【得点】▽トライ 宮里2、幸重 ▽ゴール 齋藤(3G)
※得点者は早大のみ記載。
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
鶴川 達彦 文構4 神奈川・桐蔭学園中教校
後半0分交代→16千野
◎宮里 侑樹 スポ4 沖縄・名護商工
後半0分交代→17鷲野
小林 賢太 スポ1 東福岡
後半0分交代→18土田
中山 匠 教3 東京・成城学園
後半17分交代→20松井
下川 甲嗣 スポ2 福岡・修猷館
後半24分交代→19大崎
柴田 徹 社3 神奈川・桐蔭学園
後半13分交代→21佐藤真
幸重 天 文構3 大分舞鶴
後半21分交代→22西田
丸尾 崇真 文構2 東京・早実
後半21分交代→23沖野
齋藤 直人 スポ3 神奈川・桐蔭学園
後半24分交代→24貝塚
10 岸岡 智樹 教3 大阪・東海大仰星
後半13分交代→25島本
11 古賀 由教 スポ2 東福岡
後半0分交代→26桑山聖
12 中野 将伍 スポ3 福岡・東筑
後半24分交代→27船越
13 桑山 淳生 スポ3 鹿児島実
後半24分交代→28伊藤
14 長田 智希 スポ1 大阪・東海大仰星
後半0分交代→29佐々木
15 河瀬 諒介 スポ1 大阪・東海大仰星
後半0分交代→30梅津
リザーブ
16 千野 健斗 人4 東京・成蹊
17 鷲野 孝成 基理4 神奈川・桐蔭学園
18 土田 彬洋 スポ2 茨城・茗渓学園
19 大崎 哲徳 文構1 東京・国学院久我山
20 松井 丈典 スポ4 愛知・旭野
21 佐藤 真吾 スポ4 東京・本郷
22 西田 強平 スポ4 神奈川・桐蔭学園
23 沖野 玄 商3 北海道・函館ラサール
24 貝塚 陸 スポ4 東京・本郷
25 島本 雄太 創理2 神奈川・桐蔭学園
26 桑山 聖生 スポ4 鹿児島実
27 舩越 明義 社4 東京・早大学院
28 伊藤 大貴 スポ4 愛知・春日丘
29 佐々木 尚 社4 神奈川・桐蔭学園
30 梅津 友喜 スポ3 岩手・黒沢尻北
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)
コメント

ロック中山匠(教3=東京・成城学園)

――結果として逆転負けという結果になりました。この結果をどのように受け止めていますか

形としては逆転負けだったんですけど、最初の20分で自分たちが受けてしまった結果取られてしまった2本のトライがあったので、あれがなければ自分たちの試合運びができたのではないかと思います。

――前半押し込まれてしまった要因で考えられることは何でしょうか

今回の試合は自分たちのアタックシステム、ディフェンスシステムをやっていこうという話だったんですが、そこで東海大のアタックが今までの試合にないような深いラインを作ってくるようなチームで、そこに対してのアジャストが遅くて外国人選手にも受けてしまった部分があって、そこで後手を踏んだかなと思います。

――一方でアタックではモールから2トライを挙げました

前のシーズンからモールは強みになっているかなと思うんですが、細かい部分で見ると最初押し込まれている部分があったり、カバーできているのはいいんですが、他のモールでもミスはあったので、詰めていかないといけないかなと思います。

――個人としてはこの夏合宿3試合に全てスタメン出場をしましたが、振り返っていかがでしたか

僕はサイズの大きいロックではないので、運動量で頑張るしかないと思っていて。今年のチームが『Moving』をスローガンにしているので、それを自分が体現していかないといけないと思っています。まだまだできる部分があると思います。

――ライバルの多いポジションですが、ポジション争いについてはどのように考えていますか

選手は多いですけど、それぞれ個性が違います。僕はケガをしないことが大事だと思っていて、ケガをすると上のチームでは使ってもらえないですし、やるべきことをやりつつケガをしないことが大事かなと思います。

――この春、夏通して成長したポイントなどはありますか

『Moving』というスローガンが決まってから、自分のプレースタイルにも合っている気がしますし、やるべきことが明確になったかなと思います。

――今後に向けて一言お願いします

この夏合宿でいい流れをつかめているかなと思います。ただ、この夏合宿の3試合はすべてセットプレーが安定していないので、そこで取れていればメンツが揃ったBKで取り切れた部分もあってのに、と思う反省もあったので、セットプレーのところでロックなので絡む部分が多いと思うので、ディテールを詰めていきたいと思います。

CTB中野将伍(スポ3=福岡・東筑)

――復帰初戦となりましたが、どのようなことを意識して臨まれましたか

自分の役割と自分のスペースを考えて攻めようと思って臨みました。

――具体的にはどのような役割を期待されていましたか

チームとしてゲームラインの攻防を意識していたので、アタック、ディフェンスともにゲインを取りにいくことです。

――ただ、ミスが多いように感じましたが、ここについてはいかがでしょうか

前半からゴール前含めてミスが多くてもったいないところがあったので、ミスが多くて取り切れなかった部分も含めて接戦で勝てなかったところかなと思います。

――BKのアタックでも帝京大戦に比べてタテへの突破が少ないように感じました

自分たちのCTBに対して詰めてきているところで、そこで上手くコミュニケーションを取れれば外のスペースも上手く攻められたと思うんですけど、まだコミュニケーションやFWを使った連携が取れてなかった分、空いたところに運べなかったかなと思います。

――コミュニケーションと連携はこの合宿のテーマでしたね

FWを動かすなど細かいコミュニケーションを取れてない部分があるので、細かいところまで揃えられるようにしたいなと思います。

――試合の結果としては逆転負けとなりましたが、結果についてはいかがですか

勝ち切らないと意味がないので、ミスが多い部分で(トライを)取っていれば、という場面もあったので、もったいないところが多かったかなと思います。

――今後へ向けて一言お願いします

久しぶりの早大での試合だったので、対抗戦まで時間があるのでもっといいコミュニケーションと連携を取って、いいアタックとディフェンスができるように筑波大戦に向けて練習していきたいです。