2ヵ月に渡り開催された関東学生春季大会(春季大会)も、残すところ日大戦のみとなった。春季大会第4戦の法大戦に52―24で勝利を収めた早大は、日大戦を前に慶大、天理大、明大との試合に臨んだ。この強豪校との3連戦は、この春に取り組んできたことを実践するまたとない機会だったが、結果は1勝も手にすることはできず、実力差を露呈。いい形で春シーズンを締めくくるためにも、日大戦は絶対に負けられない一戦となる。
この3連戦で課題として明確になったことは、後半の戦い方である。慶大戦では試合終盤までリードを奪っていたものの、ラストワンプレーでトライを献上して逆転負け。続く天理大戦では自分たちのミスから後半だけで6トライを許す。そして今季王者・帝京大に春季大会で勝利を飾っている明大との一戦では、ディフェンスで奮闘を見せたが後半のチャンスを決め切れずに、5–29で敗戦を喫した。戦術面においては、今年は前に出るディフェンスに着手している早大。選手各自の的確な状況判断、そして前に出る勇気がこの戦術においては肝といえる。春季大会で現在挙げている2勝はこのディフェンスシステムがうまくはまったかたちとなったが、フランカー佐藤真吾主将(スポ4=東京・本郷)が「気持ち的に前に出られなかったのかなと思います」と明大戦後に語ったように、実力のある強豪校との試合ではなかなか発揮できていないのが現状だ。また、早明戦で崩壊したスクラム、ブレイクダウンでの攻防についても修正も図り、日大戦という実戦の舞台で春から積み重ねてきたことをものにしていきたい。
ここ3試合FWの核の一人となっているロック三浦駿平(スポ3=秋田中央)
そして、対する日大は強力な1年生の外国人選手を擁し、力強いアタックを特徴とするチームである。特に、NO・8ハラシリ・シオネは1年生ながら、春季大会4試合で挙げたトライ数は9。早大は天理大戦では外国人選手の対応で後手に回り、「外国人選手に勝てるような1対1の力、フィジカルなのか、スキルなのかという問題ですけど、そこを上げていくしかない」と相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)が口にしているため、1対1の局面で早大がいかに外国人選手を食い止めることができるか注目が集まる。
天理大戦では個の強い相手にディフェンスで力負けした
現在の早大は週ごとに異なるテーマを設定し、その遂行に励んでいる。そして春季大会では内容と同時に結果も追求してきた。だが、最終戦を前に2勝2敗と決して満足のいく結果を残せていない。日大とは現在同じ勝ち点で並んでおり、勝利したチームが2位で終えられる可能性がある。創部100周年を迎えた今年、悲願の『荒ぶる』を達成するために——。この一戦で勝利を飾り、秋からの関東大学対抗戦につなげていきたい。
(記事 石井尚紀 写真 石名遥)