韓国・高麗大との年に一度の定期戦が早大上井草グラウンドで行われた。昨年は情勢不安により中止となったため、今回の開催が2年ぶりの開催となった今回の定期戦。前半は「敵陣でしっかり戦った時間が多かった」(WTB桑山聖生、スポ4=鹿児島実)と振り返る通り、BKの展開を中心としたアタックで試合の主導権を握ったが、後半は自陣に押し込まれる時間が増えて展開が一変。55対12と試合には勝利したが、早慶戦でも課題となった後半の戦い方が課題となった。
前半、先制トライを奪ったのは早大だった。4分、敵陣ゴール前でのラインアウトからモールで押し込むと、桑山聖がステップで相手をかわしてインゴールへ飛び込み先制に成功。ゴールも決まり7-0とする。その後もハーフ団を中心にキックを使いつつエリアを進め、敵陣でボールポゼッションする時間が続く。また、ディフェンスでは今季取り組んでいるシャローディフェンスで高麗大にプレッシャーをかけられる場面が散見された。しかし、試合中盤から高麗大がサイズのあるFWのピック&ゴーを主体としたアタックに変更すると、「最初は受け手になってしまった」(フランカー西田強平副将、スポ4=神奈川・桐蔭学園)と振り返るように徐々に攻め込まれる時間が増加。ただ、フェーズを重ねられて自陣ゴール前まで攻めこまれる場面もあったが、粘り強く対応し失点を許さなかった。結局、BKのアグレッシブなアタックで着実にトライを積み重ね、33-0と点差をつけて試合を折り返した。
4試合ぶりとなるスタメン出場でトライを挙げたSH貝塚陸(スポ4=東京・本郷)
このままの流れで試合を進めたい早大だったが、後半は自陣でのプレー時間が増え、相手にボールポゼッションを握られる。さらに、ディフェンスで前に出ようという気持ちが逆にオフサイドなどのペナルティーの多さにつながり、なかなか自分たちの展開に持ち込むことができない。互いに1トライずつを奪うと、一旦は膠着(こうちゃく)した試合展開となる。その後は早大も徐々に修正を図り、28分には赤黒デビューとなったSH矢野翼(スポ2=愛知・明和)が右大外に初トライを挙げると、35分、終了間際にもトライを挙げて55-12でノーサイドを迎えた。
赤黒デビューとなったプロップ武田雄多(文3=東京・早実)
早慶戦同様に後半での戦い方が課題に残ったこの試合。スタメンで出場した選手の運動量の低下をどれだけカバーできるか、がポイントとなってくるだろう。ただ、チームとしても「少しずつ階段は登っている」(西田)と着実に成長しつつあるのは事実。ディフェンスでのプレッシャーはこの春シーズンを通して大きく成長している。次週以降、天理大、明大と強豪校との戦いが続く。残り少なくなった春シーズンだが、さらなる成長に期待したい。
試合後には両チーム入り交じり記念撮影が行われた
(記事 新開滉倫、写真 石塚ひなの)
定期戦 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | スコア | 高麗大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
5 | 4 | T | 0 | 2 |
4 | 1 | G | 0 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
33 | 22 | 計 | 0 | 12 |
55 | 合計 | 12 | ||
【得点】▽トライ 桑山淳2、鷲野、柴田、貝塚、加藤、桑山聖、安部、矢野 ▽ゴール 梅津(4G)、島本(1G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大メンバー | |||
---|---|---|---|
背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 武田 雄多 | 文3 | 東京・早実 |
後半0分交代→16大平 | |||
2 | 鷲野 孝成 | 基理4 | 神奈川・桐蔭学園 |
後半27分交代→17宮里 | |||
3 | 土田 彬洋 | スポ2 | 茨城・茗渓学園 |
後半0分交代→18入谷 | |||
4 | 中山 匠 | 教3 | 東京・成城学園 |
後半13分交代→19中野幸 | |||
5 | 星谷 俊輔 | スポ2 | 東京・国学院久我山 |
6 | ◎西田 強平 | スポ4 | 神奈川・桐蔭学園 |
7 | 柴田 徹 | 社3 | 神奈川・桐蔭学園 |
8 | 板垣 悠太 | 基理4 | 東京・玉川学園 |
後半13分交代→20沖野 | |||
9 | 貝塚 陸 | スポ4 | 東京・本郷 |
後半23分交代→21矢野 | |||
10 | 加藤 皓己 | 創理3 | 北海道・函館ラサール |
後半23分交代→22島本 | |||
11 | 桑山 聖生 | スポ4 | 鹿児島実 |
12 | 平井 亮佑 | スポ2 | 福岡・修猷館 |
13 | 桑山 淳生 | スポ3 | 鹿児島実 |
後半23分交代→23松本 | |||
14 | 安部 勇佑 | スポ2 | 東京・国学院久我山 |
15 | 梅津 友喜 | スポ3 | 岩手・黒沢尻北 |
後半23分交代→24南 | |||
リザーブ | |||
16 | 大平 純造 | 文3 | 東京・早実 |
17 | 宮里 侑樹 | スポ4 | 沖縄・名護商工 |
18 | 入谷 怜 | スポ4 | 愛知・南山学園 |
19 | 中野 幸英 | 文構3 | 東京・本郷 |
20 | 沖野 玄 | 商4 | 北海道・函館ラサール |
21 | 矢野 翼 | スポ2 | 愛知・明和 |
22 | 島本 雄太 | 創理2 | 神奈川・桐蔭学園 |
23 | 松本 悠汰 | スポ3 | 大阪・天王寺 |
24 | 南 徹哉 | 文2 | 福岡・修猷館 |
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院) |
コメント
フランカー西田強平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
――きょうのゲームにあたりチームにはどのような声かけをしましたか
高麗大戦という特別なゲームではあるんですが、練習でやってきたことを出そうという話をしていました。具体的にはディフェンスラインでの距離感と1対1の部分のところですね。
――距離感をどうしたのでしょうか
今までは狭かったんですけど、そこを広げていこうという話をしました。
――その意図は何でしょうか
広いエリアでまっすぐ出るというのが今回のディフェンスシステムなんですけど、それが縮まることで外のディフェンスが甘くなっちゃうので、全てのスペースで前に出るために、出やすくするために広げました。
――それは今までやってきたシャローディフェンスをバージョンアップさせたということですね
そうですね。前に出る分、斜めではなく真っ直ぐに出るために広がって真っ直ぐ出ようということですね。
――出来としてはプレーしていてどのように感じましたか
やろうとしている意志は出ているかなと感じました。ただ、今回は相手がピック&ゴーでつないでくるチームだったので最初は受け手になってしまいました。前半の終盤にそこを修正できたのはよかったと思いますが、メンバー変わった後半にそれができなくなってきたのは反省点かなと思います。
――途中から相手のプレースタイルが変わったことで動揺などはありましたか
そうですね、普段あのような戦い方をしてくるチームと戦ったことがなかったので、最初は受け手になってしまったんですが、チーム内でボールを殺しにいこうという話をできたのはよかったかなと思います。
――アタックでは前半と後半で大きく差が出ましたが、要因は何でしょうか
後半もそうなんですけど、ペナルティーが多くて自分たちの流れになかなか持っていけなかったことが原因だと思っていて。後半最初取られてしまったんですけど、切り返していくときに前に出る意識がペナルティーにつながったのがもったいなかったかなと思います。
――ご自身として現在再びAチームでもチャンスが得られていますが、この現状をどのように捉えていますか
数少ないチャンスをもらっていると思うので、そこで結果を出していきたいと思います。
――春シーズン残り少ないですが意気込みをお願いします
個人としてはいつまでもリーダーに慣れていないという時間はないので、とにかくチームに貢献していけるかということを自分自身もっと極めていけるよう頑張りたいと思います。チームとしては、少しずつ階段は登っていると思うので地道な階段を落とさないように、夏合宿で大きく成長できるように(チーム力を)伸ばしていきたいと思います。
WTB桑山聖生(スポ4=鹿児島実)
――きょうの試合はどういったところに重点を置いていましたか
ディフェンスの横の距離感を広く保つこととと、1対1をしっかり作るというところをきょうの試合では意識していました。
――先制トライを取りましたね
まあ(スペースが)空いていたので、しっかりトライできたかなと思います。
――前半はかなり押していく展開でしたが
風上というのもあって、しっかり敵陣で戦えました。自陣で戦う場面もありましたが、どちらかと言うと敵陣でしっかり戦った時間が多かったかなと思います。
――後半は前半に比べて逆に押される場面もありましたが
後半はミスがあって、自分も1回キックオフをダイレクトで取ってしまったんですけど、自陣でのミスから相手を自陣で戦わせることが多くなってしまったのが原因かなと思います。
――ここまでAチームでやってきて調子はいかがですか
連戦が続いていますが、悪い状態ではないと個人的には思います。ただその中できょうも課題も出ましたので、毎回毎回課題にひとつひとつ取り組んでいきたいと思っています。
――この後天理大戦、明大戦と続きますが、どんな試合をしたいですか
天理大さんも明大さんも強い相手なので、そこに今やっている自分たちのラグビーというのをどれくらいできるかというところを、さらに精度を高めてやっていきたいなと思います。
SH矢野翼(スポ2=愛知・明和)
――初の赤黒となりましたが、緊張はしましたか
はい、とても緊張しました。
―後半の途中からの出場となりましたが、グラウンドに入る前はどんな心境でしたか
緊張して全然覚えていないんですが、相手の足が止まっていたように見えたので、とにかくテンポを上げて攻めようと考えて入りました。
――意識した部分はテンポを上げることなんですね
ディフェンスの部分ではラックサイドを突かれる場面が多かったので、自分がコントロールしてディフェンスを揃えられればと思っていました。
――試合に入った後はコーリングも結構していましたね
はい、コーチ陣からもコーリングの部分でFWを引っ張るように言われていたので特にディフェンスのときに自分から動かしていこうと思っていました。
――Aチームでのデビュー戦でしたが、出来としてはいかがですか
緊張してパスを失敗した場面とか何回かあったので、もっと改善していきたいですね。
――AチームのSHでは現在色々な選手が起用されていますが、そこに関してはどのように思っていますか
今年のチームは流動的に色々なメンバーを起用されていて、僕も試合でチャンスをもらえたので、僕も試合でチャレンジして結果を残して上のチームに食い込めるように頑張りたいと思います。
――どこの部分でアピールしていきたいですか
自分はテンポの速さとディフェンスの部分でラインを整えるところもそうですけど、自分もタックルに入るぞっていうところを見せていければと思います。
――また、きょうはご自身でもトライを挙げましたね
外側(の選手)が結構大きい声で呼んでくれていて、相手の選手が外に向いているのが見えていたのでいけるぞと思って走っていきました。
――ちなみに大学入学以降トライを挙げたことはありましたか
いえ、初めてです。
――取ったときはどのような心境でしたか
「やっと取れた!」という感じですね。
――今後に向けて意気込みをお願いします
きょうチャレンジさせてもらったところ含めて自分の強みをどんどん出していけるように、これからもちょっとでも上のチームでチャンスもらえるように頑張っていきたいと思います。
――ちなみにライバルとしてる選手などはいますか
みんなライバルです。下から入ってきたので1人ずつ負けないように頑張っていきたいと思います。