後半の追い上げも及ばず、春季大会2敗目/筑波大戦

ラグビー男子

 真夏のような日差しの中、筑波大学のホームで関東大学春季大会(春季大会)の第2戦を迎えた。先週の日体大戦(●22−32)の敗戦を踏まえ何としても勝利したかったが、前半3トライを許し試合を折り返す。後半は徐々に調子を取り戻してトライを奪うが、逆転とまではいかず。21対38で2連敗を喫した。

 早大のキックオフで試合は幕を開けた。試合前半の主導権は筑波大にあり、早大は耐える時間が続く。開始早々から筑波大に攻め込まられ、ゴールラインに迫られる場面が何度も続くが、筑波大のミスにも助けられて何とか失点を免れる。しかし前半20分、先制点を許してしまう。ゴール前でフェーズを重ねられるとディフェンスラインのギャップを抜かれトライを決められた。早大も反撃に出たいところではあったが、筑波大の出足の鋭いディフェンスに苦しんだうえ、自分たちのミスが重なり攻撃の機会を得ることが出来ない。試合の主導権を奪えずにいると、前半29分に敵陣でのノックオンミスからボールを奪われそのままインゴールでトライを許してしまう。直後に早大に攻撃のチャンスが巡ってくるものの、ラインアウトでミスが出てしまいチャンスを活かすことができない。前半終了間際には守備の隙を突かれゲインでできた隙間からオフロードパスをされトライを決められてしまう。PGも献上してしまい0対24で前半を終えた。

スクラムでは筑波大からプレッシャーを受けた

 後半開始早々自陣でのスクラムにおいて、相手にターンオーバーをされそのままトライを許してしまう。「このまま0点で終わる訳にはいかない」とハーフタイムで話し合ったとSO加藤皓己(創理3=北海道・函館ラサール)が振り返るように徐々に調子を戻した早大。後半中盤に初トライが決まる。自陣でのスクラムからSH貝塚陸(スポ4=東京・本郷)が抜けフランカー佐藤真吾主将(スポ4=東京・本郷)がゲインしゴール前まで運ぶと、左にふってプロップ鶴川達彦(文構4=神奈川・桐蔭学園中教校)がトライを決めた。また中盤には加藤が敵陣ゴール前のスクラムからステップで相手をかわしインゴールへ。その直後にもCTB伊藤大貴(スポ4=愛知・春日丘)がチーム3トライ目を決め10点差にまで迫るが、試合終了間際に筑波大にトライを決められ、21対38で黒星を喫した。

得意の仕掛けるプレーでトライを奪った加藤

 試合後半は調子を若干取り戻したものの、前半の点差が響き逆転とはならなかった。相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)がミスに対する意識を指摘するように、ミスから相手にチャンスを与えてしまいトライを決められてしまう場面が見られた。次戦へ向けて見つかった課題の修正が求められるだろう。『鍛える春』、見つかった弱点を乗り越えステップアップしていく早大に期待である。

(記事 新藤綾佳、写真 石名遥、千葉洋介)

関東大学春季大会
早大 スコア 筑波大
前半 後半 得点 前半 後半
21 24 14
21 合計 38
3/3 5/5 スクラム成功率 1/1 4/4
2/4 1/2 ラインアウト成功率 6/7 3/3
【得点】▽トライ 鶴川、加藤、伊藤 ▽ゴール 梅津(3G)
※得点者は早大のみ記載
早大登録メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
鶴川 達彦 文構4 神奈川・桐蔭学園中教校
  後半40分交代→16小澤    
宮里 侑樹 スポ4 沖縄・名護商工
  後半40分交代→17峨家    
久保 優 スポ2 福岡・筑紫
  後半40分交代→18黒田    
三浦 駿平 スポ3 秋田中央
松井 丈典 スポ4 愛知・旭野
  後半34分交代→19沖野    
◎佐藤 真吾 スポ4 東京・本郷
柴田 徹 社3 神奈川・桐蔭学園
  後半30分交代→20板垣    
幸重 天 文構3 大分舞鶴
貝塚 陸 スポ4 東京・本郷
  後半34分交代→21堀越    
10 加藤 皓己 創理3 北海道・函館ラサール
  後半36分交代→22松本    
11 桑山 聖生 スポ4 鹿児島実
12 平井 亮佑 スポ2 福岡・修猷館
13 伊藤 大貴 スポ4 愛知・春日丘
14 安部 勇佑 スポ2 東京・国学院久我山
  後半15分交代→23岸岡    
15 梅津 友喜 スポ3 岩手・黒沢尻北
リザーブ
16 小澤 祐仁 法4 東京・早大学院
17 峨家 直也 商4 兵庫・報徳学園
18 黒田 瑛大 社2 埼玉・早大本庄
19 沖野 玄 商3 北海道・函館ラサール
20 板垣 悠太 基理4 東京・玉川学園
21 堀越 友太 社4 東京・早実
22 松本 悠汰 スポ3 大阪・天王寺
23 岸岡 智樹 教3 大阪・東海大仰星
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)
コメント

相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院) ※囲み取材から抜粋

――前回の日体大戦を踏まえ、どのような修正を図りましたか

日体大戦のときは戦う姿勢がなっていなかったので、そこの部分を選手たちで確認させました。それは4年生を中心にゲームをにらんで、試合のための練習をしていこうと話していて、空気は変わったんですが、きょうも結局練習とおりだったかなと思います。結局全部ミスで終わっているので、ミスに対する意識の低さですね。ミスはターンオーバーですし、相手にボールを渡すことになって流れを切ることになるので、今後の1、2点を分ける展開となったときにそこが勝敗を分けると思います。きょうも相手にボールを渡した結果スコアされているので。自分たちも継続しても我慢できずに無理してミスしてしまうとか。ポジティブなミスはいいんですが、イージーミスが相手に流れを渡していますし。

――前半、筑波大のボールポゼッションが高くなったのはそこが原因なのでしょうか

そうですね。ディフェンスで15分、20分我慢して、その結果1本取られたのはしょうがない部分もあるんですけど、自分たちにせっかく来たチャンスでボール持ってゲインするシチュエーションがあるんですけど、最後取り切れないとか、無理なパスするとか。我慢が足りないかなと思います。

――現在SOの加藤選手の評価についてはいかがですか

加藤は前が見えているので、仕掛けるSOというそこに強みがあると思いますし、ビジョンは持っていると思います。ただ、そのなかでフェーズを重ねると手詰まりになってしまうので、もう一歩成長すればよりいいプレーヤーになると思います。あとはディフェンスを確実にやってくれるのでそこは信頼できます。アタックと体張ってくれるところは彼の良さかなと思います。

――チームをこれからどのように強化していきたいですか

いまはやり始めたことを我慢強く積み重ねてより良くしていくだけだと思います。やりたいストラクチャーに関しても選手たちは大分できてきていると思うんですが、きょうの試合を見るとブレイクダウンのベーシックなスキルやボールキャリヤーのボディコントロールなどもう1回基本的なところの精度を上げてそれでやろうとしているストラクチャーがどう回るかだと思うので、時間がかかるものだと思うので結果に悲観せずに、問題点が出ることは悪いことではないと思うのでそこをレビューしながら、取り組んでいきたいと思います。僕の仕事は彼らのモチベーションが下向いたときにまっすぐ向かせることで、僕らがぐらついちゃダメだと思うので、前向いてやっていきたいと思います。

――日体大戦と比べて改善された点はどこでしょうか

FWでフェーズをつくらせているんですが、全く仕掛けていなかったですし、立ちもしないし仕掛けもしなかったのですが、きょうは「ポジショニングしよう」という話も出てきていましたし、前をこじ開けようという意識は出ているので、ランニングスキルやコース取りというところでまだ改善の余地はあると思います。

――春季大会2連敗という結果についてはどのように受け止めていますか

春は『鍛える春』が伝統だと思います。AチームとBチームで去年は力の差があったので、そういった力の差を縮めたいです。僕自身は選手をフラットに見ているので、試合に出してみたら色々変わってくると思うので、自信を失わせない程度にやりたいと思います。

フランカー佐藤真吾主将(スポ4=東京・本郷)

――第2戦ということですがどのようなところを意識して臨みましたか

入りですね。ファーストの部分で相手を圧倒しようというところで始めました。

――その試合の入りの部分でペナルティーから押し込まれてしました

ファーストファースト、って言ってそれが体現できなかったです。それで最初のほうにペナルティー取られて、自陣でずっとプレイをしてて。ファーストも何もないなって思いました。

――チームでフォーカスした点はどこですか

攻守にわたって動き続けるっていうことと、筑波大はブレイクダウンにかけてくるチームっていうのはわかっていたので攻守のブレイクダウンをしっかりすることですね。アタックに関しては相手がプレッシャーくるから強く組むってことと、ディフェンスのブレイクダウンでしっかりかけようということと、前回の試合でペナルティーが多かったのでそこの部分でノーペナルティでいこうと思ったんですけど、結果的にペナルティーが多く、ブレイクダウンも相手のほうが寄りが速くてかけられてしまったので全然ダメでしたね。

――後半戦の前に何を話されましたか

自分たちのミスでやられてしまっているということを。練習中からミスが多くて、その結果が試合中にも出たということですね。

――後半21点とかなり追い上げましたが、どういう点を修正しましたか

SOが岸岡(岸岡智樹、教3=大阪・東海大仰星)だったというのもあるんですけど。陣地を簡単に取れて、その後もSHからのアタックを相手が狙っていたので、そこでSOからのアタックに切り替えていくような形にしました。

――前後半を通してセットプレーが安定していませんでした

筑波大が本当に上手くて。去年もやられたんですけど。対抗戦でラインアウトの一番上手いんじゃないかというくらいでした。そこに僕らのリフトの精度とかが悪かったこともあったと思います。

――2連敗ということですが、次戦に向けての意気込みをお願いします

今年は帝京大とかとも戦えない分、結果で絶対に勝たなきゃいけないので。あとは今回自分たちのミスですごい終わってしまっていた部分が多かったので、ミスに対してもっと厳しくいくのと、ブレイクダウンのところも去年に比べて精度が少し下がっているなと感じたので。これからブレイクダウンも詰めていきたいと思います。

プロップ久保優(スポ2=福岡・筑紫)

――試合の入りの部分では攻めきれない場面が多く見られました

FWがもう少し自分たちから積極的に前に行けていたらと思いますし、相手がディフェンスでプレスをかけてきているのは分かっていて、それに気を取られすぎていらないパスとかが多くなってしまいました。自分たちのミスが多く、それが上手くアタックに繋がらなかったと思っています。

――ラインアウトやスクラムについてはいかがですか

ラインアウトは、全体的にコミュニケーションが取れていなくて焦ってしまいました。特に前半は相手にプレッシャーをかけられていたので、そこを修正できたらと思います。スクラムに関しては、去年のスクラムを修正して少し変わり、上手くやっているんですけど、1列目の自分たちが相手の1列目に対して圧力をかけられれば、相手に不安定なスクラムをされられなかったのではないかと思っています。

――春シーズンでの自分の目標や課題は

去年からプロップをさせてもらっているのですが、やはりスクラムが自分の課題です。自分がスクラムをしっかりできれば、チームもいい球出しができると思うので、スクラムやラインアウトなどのセットプレーをまずは意識したいです。ディフェンスの部分では、まだタックルが上手くできていないので、自分の守るべきところをしっかりと守れればチームのためになると思っています。

SO加藤皓己(創理3=北海道・函館ラサール)

――試合前半は攻める機会が少なく、またチャンスがあってもミスが目立っていましたがそれについてBKとしてはいかがでしたか

個人のSOとしてはやはり流れを変えれるようなキックや展開するプレーができなくて反省するところです。

――きょうのアタックプランはどういうものでしたか

最初はコンタクトの強いプレーで前に出ようという話をしていたのですが、相手の良いディフェンスに阻まれてしまい、プランとしてはあまり上手くいきませんでした。

――筑波大のディフェンスについてはいかがでしたか

上を目指していく上では筑波大のようなディフェンスがスタンダードになっていくと思うので、それに対して自分たちがより強くならなければいけないなと思いました。

――後半が始まる前にチームで話し合ったことを教えてください

このまま0点で終わる訳にはいかないということで攻める姿勢は絶対に変えてはいけない、勝ちに行くということを話しました。

――自身のトライシーンを振り返ってはいかがですか  

味方にパスをするか、自分で行くかというゴール前のせめぎ合いでした。前を見て自分で判断してトライできたのはよかったと思います。

――次の中大戦への意気込みを聞かせてください  

自分たちはまだまだ強くならなくてはいけないので、しっかり前進し続け今回の試合で出た課題も修正して1歩1歩ステップアップして行きたいです。