届かなかったあと7点。悔いが残る準決勝敗退

ラグビー男子

 2週間前のYC&AC JAPAN SEVENSに続き、東日本大学セブンズ大会が秩父宮ラグビー場で行われた。明大に惜敗しCHAMPIONSHIP準決勝敗退という結果に終わった今大会。しかし、前回敗北を喫した流通経大にリベンジを果たすなど、成長が見られた。

  1回戦の北大戦は43−0で快勝し、続く流通経大とのCHAMPIONSHIP 1回戦。2週間前に敗北した相手ということもあり、チームとしてもこの流通経大戦に重きを置いていた。前半2分。佐々木尚(社4=神奈川・桐蔭学園)、伊藤大貴(スポ4=愛知・春日丘)と繋いだボールを岸岡智樹(教3=大阪・東海大仰星)が受け、敵陣10メートルラインで相手ディフェンスのギャップを突くと、そのまま走り抜けて先制トライ。その後のゴールも岸岡が決めて7-0と先制に成功する。1トライを相手に奪い返されたものの、7-5と2点リードして試合を折り返した。そして後半3分には、相手のミスしたボールを佐々木尚がターンオーバーし、これが復帰戦となった梅津友喜(スポ3=岩手・黒沢尻北)がパスを受けるとゴール左隅にねじ込む。その後キック処理のミスからムゼケニエシ・タナカ・ブランドン(流通経大)に隙を突かれあっさりとトライを許してしまうが、流通経大の反撃を食い止め、4点差を守りきり、14−10で勝利しCHAMPIONSHIP準決勝へと駒を進めた。

流通経大戦で決勝トライを挙げた梅津

 CHAMPIONSHIP準決勝の明大戦。前半3分にクイックスタートから岸岡が抜けて中央にトライし先制する。その後同点に追いつかれるが、前半終了間際に佐藤健(商4=東京・早大学院)がディフェンスラインの隙を突き、ハンドオフしながら前に展開。最後は走り抜けトライし、7点リードで前半を折り返す。後半は両チームともに1トライずつ決め、このまま勝利かと思われたが、残り1分で自陣ゴール前でペナルティーを与えると、明大に追いつかれ同点に。ラストプレーでもミスをターンオーバーされ、自陣ゴール前まで攻め込まれると、フェーズを重ねられてトライを奪われる。21—28でノーサイド。昨年に引き続き、再びCHAMPIONSHIP準決勝で涙をのんだ。

YC&AC SEVENSに続いて1対1で強さを見せた丸尾崇

  7人制は15人制に比べて時間が短いため、ボールポゼッションが重要になる。流通経大戦では、パスをつなぎ相手にボールを渡すことなくゲームの主導権を握った。昨シーズンで浮き彫りとなった外国人選手への対応ができたともいえるだろう。また今大会は、中野将伍(スポ3=福岡・東筑)や齋藤直人(スポ3=神奈川・桐蔭学園)ら主力が不在ながらも、梅津が試合に復帰するなど嬉しいニュースもあった。今回見つかった課題を15人制でどう修正することができるか——。「15人制で借りを返したい」(梅津)。来週には、いよいよ関東大学春季大会が開幕する。

(記事 石名遥、写真 元田蒼、小田真史)

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異色のコンバート。ラストイヤーに新たなポジションへ挑む

今季、NO・8からWTBへという異色のコンバートをした選手がいる。それが佐藤健(商4=東京・早大学院)だ。今季の7人制の大会は両大会共にメンバー入りを果たし、特に今大会では印象に残る活躍を見せた。CHAMPIONSHIP準決勝の明大戦、7-7で迎えた前半終了間際に明大のディフェンスラインにできたスペースを突破し、一時は勝ち越しとなるトライを挙げた。試合後、佐藤健は「あれはまぐれですね(笑)」と答えたが、スペースを見つけるや否や果敢にゲインを見せる積極性が生んだトライだといえる。現在はハンドリングスキルを磨いているというが、現在練習しているハンドリングが安定すれば、FWで必要とされたタテへの推進力を生かしつつ、WTBとして活躍が期待されるだろう。ラストイヤーに新たなポジションへ挑戦する佐藤健がWTBでどのようなプレーを見せてくるのか注目していきたい。

結果

1回戦

〇早大43-0北大

CHAMPIONSHIP 1回戦

〇早大14-10流通経大

CHAMPIONSHIP 準決勝

●早大21-28明大

早大登録メンバー
名前 学部学年 出身校
◎桑山 聖生 スポ4 鹿児島実
伊藤 大貴 スポ4 愛知・春日丘
丸尾 崇真 文構2 東京・早実
岸岡 智樹 教3 大阪・東海大仰星
加藤 皓己 創理3 北海道・函館ラサール
フリン 勝音 スポ4 福岡・筑紫丘
沖野 玄 商3 北海道・函館ラサール
佐々木 尚 社4 神奈川・桐蔭学園
佐藤 健 商4 東京・早大学院
貝塚 陸 スポ4 東京・本郷
田所 賢汰 社2 埼玉・早大本庄
梅津 友喜 スポ3 岩手・黒沢尻北
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)
コメント

佐藤健(商4=東京・早大学院)

――CHAMPIONSHIP準決勝敗退という結果をどのように受け止めていますか

YC&AC(JAPAN SEVENS)で流通経大さんに負けて、この2週間という短い時間の中でも外国人選手2人がどのような動きをしてくるかについて対策を練って挑めて結果を残せたので、短い期間で修正できてそれが結果に繋がった点ではよかったと思います。

――その流通経大戦については振り返っていかがでしょうか

ポゼッションを意識して、自分たちがボール持つ時間を長くしようというところで、僕は出ていなかったんですが、聖生(桑山聖生、スポ4=鹿児島実)を中心にゲームメイクをしてくれたので、そこが結果に繋がったと思います。

――ご自身の中ではきょうのセブンズに対してどのような意気込みで臨まれましたか

僕はそこまで足が速いわけではないので、ポゼッションを高めるために、外で孤立しないように、ボール持って倒れないようにしました。

――明大戦ではトライも挙げましたね

あれはまぐれですね(笑)味方を待ってクリアにブレイクダウンを出そうということで粘っていたら、前にスペースができていたので、思い切って前に走ったのがトライに繋がりました。

――今季からWTBにコンバートされたということですが、プレーしてみていかがでしょうか

WTBとして外から中を見るのはなかなか自分としてはできていなくて、BKから怒られているんですけど、楽しいです。

――FWからの転向ということで慣れない部分などはありますか

今後もWTBとしてやっていくのかも分からないですが、古庄さん(古庄史和スキルコーチ、平15教卒=国学院栃木)からも「ハンドリングをとことんやってくれ」と言われたので、言われたことをしっかりやっていきたいと思います。

――今季の意気込みを教えてください

4年生が雰囲気よく下の学年を引っ張るということで日々意識して取り組んで、それが春シーズンから結果に繋がっていけばいいかなと思います。

――個人としてはいかがでしょうか

個人としては外から僕が声をかけて、できたら僕がトライをできたらいいんですけど、チームから求められることを自分の中で理解してゲームでできたらと思います。

岸岡智樹(教3=大阪・東海大仰星)

――岸岡選手の中では、セブンズの大会はどのような位置づけですか

同じボールを使って同じグラウンドを使っているので、根本の部分は変わりません。その中で、人数が半分になり、一人分のスペースが増えるので、やりやすさもあり、一人の責任も増えます。僕の中では、あまり変わらないスポーツという感じです。

――今回の東日本大学セブンズにはどのような意気込みで臨まれましたか

2回戦で流通経大と当たるであろうという中で、YC&AC(JAPAN SEVENS)でも負けた相手なので、同じ相手に2度負けることは許されないという気持ちがありました。決勝を見据えながらも、一戦一戦が大事というところで、2回戦がキーポイントだと思っていました。

――昨日のセブンズに向けての練習はどのようなものでしたか

普段と違う作戦を取り入れる点での確認と、こういうことを明日やろうという練習ですね。

――YC&ACでは流通経大に敗れました。きょうに向けて、外国人選手への対応などの練習はありましたか

そうですね、ディフェンスでは外国人選手との1対1ではきつい場面もあるのですが、そこは必死で頑張ろうというだけでした。それよりも、アタックでのポゼッションを、どれだけボールを持っていられるかという点で、7人制は時間が短いので、ボールの支配率にこだわることがこの試合のテーマでした。

――岸岡選手はゲームを組み立てる立場にあったと思います。どのようにゲームを組み立てていましたか

YC&ACでは、端に中野将伍(スポ3=福岡・東筑)、桑山聖生(スポ4=鹿児島実)というランナーがいたので、そこで勝負しようというのがありました。そこで勝負しきれない部分を、真ん中にいる僕たちが、相手をかき乱すようにトライを取れればいいなと思っていました。今日は、流通経大戦の1本目のトライがあり、明大戦でもトライできたので、真ん中を崩したことで、端でのトライにつながる布石を打てたのかなと思います。

――準決勝の明大戦については振り返っていかがでしょうか

流通経大戦は、次のことを考えずにいこう、というところだったので、その次のことはあまり考えていなかったのですが、明大戦もプランは一緒でした。流通経大戦でやったことを明大戦でもやろう、自分たちのやれることを変えずに頑張ろうという点で、テーマはあまり変わっていなかったですね。

――来週からは関東大学春季大会が始まります

セブンズに出たメンバーが15人制でも軸になると思います。「セブンズだから」ということは特にやってきていません。15人制のことを、この2週間も練習してきています。15人制に通ずるものを拡張した上でのセブンズの試合だと思います。15人制でも、スキルを生かすプレーができればいいなと思っています。

梅津友喜(スポ3=岩手・黒沢尻北)

――今大会を振り返っていかがですか

YC&ACに自分は出ていなかったのですが、YC&ACで流通経大に負けたので、そこでのリベンジを果たしたというところが今回大きかったです。そこは今回できたので良かったです。ポゼッションをしっかりボールを持ってプレーすることができて、自分たちの流れでプレーすることが出来たのでその点ではリベンジも出来たし、自分たちのやりたいこともできたので良かったです。ただ、明治大とかになってくると個々の強くて速い選手にもっと対応できるように15人制でも課題が出てくると思うので、そういうところで負けないよう頑張っていきたいと思います。

――個人としての目標は何でしたか

今回は復帰戦でした。なのでまず怪我をしないということと、出来る限りトライを取るなど得点に絡むようにするというのが目標でしたが1トライで終わってしまいました。もっと体を鍛え直して15人制に臨んでいきたいなと思います。

――きょうの試合のゲームプランは何でしたか

流通経大戦では外国人プレーヤーがいて、その選手がボールを持ったときにディフェンスではしっかり人数かけること。あとは自分たちのマイボールでは時間を掛けて焦らずに自分たちでポゼッションして、その後に得点する機会につなげていけたらなという感じでやっていました。

――準決勝敗退という結果をどう受け止めていますか

接戦のところでしっかり勝ち切らなければいけないところで負けてしまったので、そういう部分は15人制でも最後のところの際のところとかはやっぱり一緒だと思うのでそこを15人制で借りを返したいなと思います。

――相良監督からは試合後に何か声を掛けられましたか

この敗戦をしっかりと次につなげようということで、きょう出た課題であったりだとか、自分がしなければいけないことというのをしっかり振り返って次に繋げていこうということを話されました。

――これからの目標を教えてください

15人制の試合が始まってくるのでパフォーマンスをし続けてしっかりスタメンとして試合に出続けるというのが今の目標ですね。

佐々木尚(社4=神奈川・桐蔭学園)

――きょうの試合はどのような意気込みで臨みましたか

『流通経済大学にリベンジをする』ただそれだけです。

―個人として意識した部分はどこでしょうか

ボールポゼッションを高める事と抜きどころで勝負する事の判断を心掛けました。

――北大戦でのトライも決めましたが、その2つのトライを振り返って

自分の持ち味が活かせたトライだったと思います。

――2戦目の流通経大戦は、YC&AC JAPAN SEVENSでも対戦した相手でした。前戦と比較していかがでしたか

前回と変わらず、外国人選手2人がキーマンとなり彼らを中心に戦術が組まれていました。

――流通経大戦へ向けた対策などは立てましたか

流通経大への対策として大きく2つあり、ボールポゼッションを高め相手に攻撃の時間帯を与えない事と、外国人選手がいないところを攻める事です。できるだけ長くボールを持ち、勝負どころでトライやゲインする事ができたので勝利に繋がったと思います。

――CHAMPIONSHIP準決勝敗退結果になりましたが、どう受け止めていますか

流通経大に勝って気持ち的にも油断していた部分がありました。去年も同じところで敗戦しているため準決勝以降勝ち抜く難しさを身にしみて感じました。

――7人制ラグビーの、15人制との違いや難しさについて、感じることはありましたか

競技として全く別のスポーツだと思いますが、7人制や15人制に関わらずWTBに求められている物は同じだと思います

――最後に、今季の個人としての目標をお願いします

結果でチームを引っ張っていきたいと思います。