準決勝で流通経大に屈し、連覇ならず

ラグビー男子

 桜吹雪が舞う中、今年もラグビーシーズンの到来を告げるYC&AC JAPAN SEVENSが行われた。昨季の覇者として、連覇を懸けて臨んだ今大会。初戦の中大戦、続く日野自動車戦はスペースを上手く使いながらトライを積み重ねたものの、CHAMPIONSHIP準決勝では後半に攻め切ることができず。連覇こそ成しえることはできなかったが、手応えを感じる大会ともなった。

 初戦の中大戦では安定した試合運びを展開する。前半に岸岡智樹(教3=大阪・東海大仰星)、中野将伍(スポ3=福岡・東筑)を中心とした攻撃を展開して順調にトライを積み重ね、前半だけで19―0とリードして折り返す。後半は中大に1トライを許したものの、40-7と大きく点差を突き放して完勝。順調にCHAMPIONSHIPトーナメントへ駒を進めた。CHAMPIONSHIP1回戦は今季からトップリーグへ昇格する日野自動車レッドドルフィンズとの対戦。序盤は日野自動車の規律あるディフェンスを崩せず攻めあぐねていたものの、前半3分に左大外にポジションを取っていた丸尾崇真(文構2=東京・早実)が大きくゲイン。右へ展開して、フリン勝音(スポ4=福岡・筑紫丘)のディフェンス裏へのキックに岸岡が反応して先制点を挙げる。その後、一度は日野自動車に追いつかれたものの、後半は終始早大ペースで試合を進めて準決勝へと駒を進めた。

アタックの中心となった岸岡

 続くCHAMPIONSHIP準決勝は昨年の大会では初戦で対戦した流通経大との対戦となった。強力な外国人選手が攻守の中心であるチームだ。そのため、「ポゼッションを高くしてプレーしようとした」(丸尾崇)と自分たちのペースで試合を展開することを目指したが、先に試合を動かしたのは流通経大だった。1分、ムゼケニエジ・タナカ・ブランドン(流通経大)にディフェンスが引きつけられると、フォローに入った選手にオフロードパスを通され、そのまま失トライ。先制トライを流通経大に許したものの、早大も2分、丸尾崇が相手選手を弾きながら大きくゲインしてそのままインゴールへ飛び込む。その後互いに1トライずつを挙げて前半は14-14の同点で試合を折り返した。しかし、差が出たのは後半だった。開始早々に流通経大に勝ち越しを許すと、3分には敵陣ゴール前からカウンターを仕掛けられ、これが決勝トライに。早大も大外のスペースを使ってゴール前まで攻め込む機会があったものの、得点を挙げることはできずにノーサイド。14-24で敗れ、連覇を懸けた今大会は準決勝で涙をのむ結果となった。

何度もゲインを見せてチャンスを生み出した佐々木(写真左)

 中大戦、日野自動車戦ではディフェンスラインにできたスペースを上手く突破しながらゲインを重ねてトライを挙げた。しかし、流経大戦では「先にスペースを取られたりしていいアタックができなかった」(桑山聖)と振り返る通り、ギャップを生み出せず、逆に外国人選手に対する対応で人数をかけた結果、早大のディフェンスにギャップが生まれ、そこを突かれてしまった。その一方で「ディフェンスのところは最後までハードワークしていた」(桑山聖)と振り返る通り、15人制のチーム作りにもつながる一定の成果も得ることができた。きょうの大会の経験をチーム力の向上につなげていきたい。

(記事 新開滉倫、写真 坂巻晃乃介)

☆PICK UP PLAYER

定位置奪取へ。丸尾崇が躍動を見せた

 きょうの3試合を通じて大外にポジションを取り、果敢にゲインを見せたのが丸尾崇だった。スペースが空いたと見るや積極的にゲインを仕掛ける。さらに、持ち前のフィジカルの強さを生かして、1対1の局面でも当たり負けすることなくボールキャリーを見せた。CHAMPIONSHIP準決勝の流通経大戦の同点トライを挙げたシーンはまさにその象徴だ。きょうはアタックのキープレーヤーとして機能した一方、課題を尋ねられると、「ハードワークですね」と口にした。バックローにとってハードワークは不可欠であり、丸尾崇にとってもポジション争いで勝つためにはより求められる要素となる。昨季赤黒デビューを果たすなど高い潜在能力を秘めているだけに、丸尾崇の今後の成長に注目だ。

結果

1回戦 ○早大40-7中大 CHAMPIONSHIP1回戦 ○早大33-7日野自動車 CHAMPIONSHIP準決勝 ●早大14-24流通経大 

早大登録メンバー
名前 学部学年 出身校
◎桑山 聖生 スポ4 鹿児島実
伊藤 大貴 スポ4 愛知・春日丘
丸尾 崇真 文構2 東京・早実
岸岡 智樹 教3 大阪・東海大仰星
加藤 皓己 創理3 北海道・函館ラサール
中野 将伍 スポ3 福岡・東筑
桑山 淳生 スポ3 鹿児島実
佐々木 尚 社4 神奈川・桐蔭学園
フリン 勝音 スポ4 福岡・筑紫丘
佐藤 健 商4 東京・早大学院
緒形 岳 スポ4 新潟・新発田
田所 賢汰 社2 埼玉・早大本庄
貝塚 陸 スポ4 東京・本郷
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)
コメント

相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)

――CHAMPIONSHIP準決勝敗退という結果をどのように受け止めていますか

セブンズは昨日しか練習期間がなかったので、結果についてはそこまで深くは受け止めていないですね。

――きょうチームとしてフォーカスした部分はどこでしょうか

コミュニケーションとそれに対する反応の部分の2点にフォーカスしました。

――コミュニケーションという面では桑山聖選手が声を出していました

そうですね、よく意識してやっていたなと思います。

――きょうの大会で得た収穫はどの部分ですか

一人一人持ち味を出すべき選手が出したと思いますし、その部分を見ることができたのは収穫かなと思います。

――東日本セブンズへ向けて一言お願いします

学生たちはきょうの大会で準決勝で負けたことについてかなり悔しがって、もう一回リベンジしたいと思っているみたいので、そこに向けた準備をしっかりさせたいと思います。

桑山聖生ゲームキャプテン(スポ4=鹿児島実)

――CHAMPIONSHIP準決勝敗退という結果をどのように受け止めていますか

前回大会優勝したので、連覇を目指してこの大会に臨んだんですが、負けたことは率直に悔しいです。

――きょう個人として、チームとして意識した部分はどこでしょうか

個人としてはハードワークし続けることです。アタックもディフェンスも最後まで動き続けることを意識したんですが、最後の試合はディフェンスのところで帰り切れなかったりとか、動けていない部分があったのでそこは反省点として出ました。チームとしてはアタックはBKの選手が多くて、そこが強みだったのでその部分と、ディフェンスではコミュニケーションをとってハードワークしてディフェンスし続けようと話をしました。

――コミュニケーションという言葉が出ましたが、きょうは試合中非常に声を出していましたね

自分自身の課題がコミュニケーションの部分だったので、ラグビーのプレーとしてそこは去年くらいから意識していることを今回も意識して望みました。

――アタックでは大外の選手で取り切る形が多く見受けられました

真ん中に上手い岸岡を置いて、外側の尚(佐々木尚、スポ4=神奈川・桐蔭学園)や崇真(丸尾崇真、文構2=東京・早実)といった速くて強い選手でトライを取りにいこうというプランだったんですけど、最後の試合は先にスペースを取られたりしていいアタックができなかったです。ただ、逆にセットプレーからいいアタックができたことは、スペースの取り方だったなと思います。

――きょうの大会での収穫はどの部分でしょうか

それぞれがランナーとして強いというのが再確認できたのと、ディフェンスのところは最後までハードワークしていたので、そこは次に繋がるかなと思います。

――次の東日本セブンズへ向けて一言お願いします

昨年は準決勝敗退という結果に終わったので、去年取れていないタイトルで、YC&ACも取れなかった分、チーム一丸となって優勝目指して頑張りたいと思います。

丸尾崇真(文構2=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

流通経大戦はポゼッションを高くしてプレーしようとしていたんですが、最初のキックミスですぐ相手ボールになってしまって。自分たちがボールを持ったらアタックできたましたし、怖くはなかったんですけど、ポゼッションを高く維持できなかったのが残念です。

――準決勝の後半は得点ができませんでしたが、前半と後半で違った点はありますか

疲れが出たと思います。

――全試合通じてトライを決めましたが、ご自身のアタックの調子はいかがでしたか

1トライを取って気持ち的に楽になってからは自由にできました。思いっきり走れたかなと思います。

――きょうは主に大外でプレーされていましたが、何か意識はされましたか

ポジション的に僕が大外にいて、僕の1つ内側の桑山聖生さんが勝負して、僕がボールを貰うというプレーをしていましたね。元々そういうポジションなので、ずっと外にいました。

――きょう浮かんだ課題などはありますか

ハードワークですね。ずっと動き続けるという点で、きょうはまだまだだったと思うので、そこは修正したいです。

――セブンズだと15人制と比べてプレーでも変わる部分というのはあるのでしょうか

そうですね。ただ、ハードワークについては15人制でも必要になってくるので、ずっと動けるようにしたいです。

――今後の意気込みをお願いします

まずは15人制でいいチームを作って、しっかり戦えるように頑張りたいと思います。