【連載】新体制特集『Don’t quit!』第2回 プロップ鶴川達彦×CTB高橋吾郎

ラグビー男子

 第2回は、プロップ鶴川達彦(文構4=神奈川・桐蔭学園中教校)とCTB高橋吾郎(スポ4=福岡・修猷館)の4年生対談。委員・寮長として、最上級生として、そしてラストイヤーを迎えた1人の選手として――。リーダーとしての意識、昨季の振り返り、自分自身のプレーについてなど、『いま』の率直な思いを語る。

※この取材は3月1日に行われたものです。

「まずは自分がルールや規律の部分を守る」(鶴川)

真剣な表情で役職に関して話す鶴川

――全国大学選手権(大学選手権)後のオフはどのように過ごしていたのですか

高橋 地元の福岡に帰って、高校の同級生や地元の友達に会ったりして、リラックスして過ごしました。

鶴川 僕も高校の友達と会って、食事に行ったりしていました。

――リフレッシュはできましたか

鶴川 はい。できました。

――役職についてお伺いします。委員は主将から任命されると聞いたのですが、その中でも寮長はどのようにして選ばれるのですか

高橋 まず加藤(広人主将、スポ4=秋田工)と黒木(健人副将、教4=宮崎・高鍋)と大藤(伊織主務、スポ4=東京・学芸大附国際)が選ばれたので、その3人で話し合って決めたことだと思います。

――委員、寮長就任を聞かされたときの心境はどのようなものだったのでしょうか

鶴川 4年生なって自分たちが中心になってやっていかなければならないというところで、嬉しい反面、責任も感じました。

高橋 自分が最上級生になって、役職がなくてもリーダーシップをとっていかなければならない立場だとは思っていました。ですが、寮長になったので、寮内のことは徹底して厳しくやっていこうと思いますし、私生活から規律高いものにしていきたいと思いました。

――役職に就いてから意識の変化はありましたか

鶴川 まだ試合が始まっていないので、委員会が何度も開かれたわけではないのですが、何度か開かれた中で、まずは自分がルールや規律の部分を守って、下級生にも声掛けをしていくことでチームの規律を守る、ということを実践していこうという意識になりました。

高橋 寮長になったことで、今まで以上に寮の掃除のことや、散らかっていて汚いところが気になるようになりました。

――4年生はどのような代だと思いますか

高橋 お互いに干渉しすぎないというか、仲良し集団ではないですね。しっかり個人が意思を持っているというのはあるかなと思います。

鶴川 悪い意味ではなく、他の代に比べて仲がいいというわけではないですね。あまりベタベタしないですし。だからと言って、仲が悪いわけではないです。

高橋 サバサバしてるよね。

――学年によってカラーが違うのですね

鶴川 1つ下と2つ下の代は、仲がいいと思います。特に1つ下は仲がいいですね。

――加藤主将はどのような人でしょうか

鶴川 ラグビーに関して真面目で、昨季も体を張ってチームを引っ張ってくれていたと思います。

高橋 本当に真面目な人間だと思いますし、1年生からずっと試合に出ていて、昨季もある意味リーダーに近い立場でもあったと思うので、キャプテンは妥当だと思います。真面目な部分だけでは足りないところも出てくると思うので、そういうところは僕たちが補っていけたらなと思います。

――主将はやはり加藤選手かなという思いは、主将就任以前からあったのですね

鶴川・高橋 そうですね。

「しっかり指摘し合えるような環境を作っていきたい」(高橋)

今季の意気込みを語る高橋

――昨シーズンの振り返りをしていただきたいと思います。鶴川選手はプロップにコンバートしましたが、個人としてはどのようなシーズンでしたか

鶴川 スクラムを強みにしていくということを、昨年の最初のミーティングで言われて、強みにはできたと思うのですが、試合を左右するようなスクラムには到達できなかったと思っています。なので、ことしはそこを目指してやっていきたいと思います。あと、自分は他のプロップに比べてフィールドプレーでもっと存在感を出さなければならないのですが、そういう面では昨年は物足りなかったかなと思います。

――高橋選手はAチームとBチーム、どちらも経験したシーズンとなりました。個人としては、昨シーズンはどのようなシーズンでしたか

高橋 春はAで出してもらう機会も多かったのですが、結果が出なくてきつい時期でした。そこで夏にケガをして離脱してしまって、チームが帝京大や東海大と試合をしていく中でもどかしい思いはありました。復帰してからは一応メンバーには入ることができたのですが、CTB中野将伍(スポ2=福岡・東筑)と黒木のカベを破ることができなかったというか、ずっとリザーブには入っていたものの試合に出られない状況が続いていたので非常に悔しかったのはありますね。ジュニア選手権に関しては、本当はすぐにカテゴリー1に復帰しなければならなかったと思うのですが、結果が出なかったので、ことしは必ずカテゴリー1に復帰しなければならないと思います。

――チームとして昨季良かった点というのは、先ほど鶴川選手がおっしゃっていたようにスクラムなのでしょうか

鶴川 そうですね。自分の中ではスクラムが1番良かったと思います。

――スクラム・ブレイクダウン・チームディフェンスの3点を強みにしていくということで1年間やってきたと思いますが、ブレイクダウンとチームディフェンスの出来はいががでしたか

鶴川 特にチームディフェンスのところで、春から積み重ねてはきたのですが、まだまだ修正点が多いままシーズンを終えてしまったなと思っています。

――修正点というのは具体的にはどのような点ですか

鶴川 FWのハードワークのところで、自分たちはまだまだだったなと思いました。

――FWは昨季のスタメンの多くが卒業しますね

鶴川 今季も引き続きスクラムを強みにしていかなければならないですし、昨季よりもさらに強くしていかなければならないと思っています。前の4人が全員卒業してしまった中で、プロップの経験は浅いのですが、去年のAチームのスタンダードは自分が1番よく知っているので、そこをみんなにしっかり伝えていけたらなと思います。

――大学選手権の同大戦をあらためて振り返っていかがですか

鶴川 まずスクラムの面から言うと、最初に自分たちがアーリーエンゲージを取られてしまって、その後消極的になってしまった部分があったので、そこに悔しさが残りますね。あとは、FWがさっき言ったハードワークの部分で同大の勢いに圧倒されてしまったというか、相手の空気に飲まれてしまったという感じがありました。

高橋 外から見ていて、勝負の大事なところでBKがミスしてしまったり、スクラムやラインアウトで取れなかったりと、大事なポイントを押さえ切れなかったことがああいう結果につながったのかなとは思います。

――アウェーの雰囲気というのはやはりプレーに影響するものですか

高橋 あれはさすがに影響するんじゃないですかね

鶴川 でも、その勢いを跳ね返せなかったのは、実力がまだまだ足りなかったということですね。

――BKではスタメンだった本田宗詩前副将(平29スポ卒=福岡)が卒業しますが、本田選手の存在というのはやはり大きかったのですか

高橋 大きかったと思いますね。人をまとめるような方ではないのですが、同大戦でも1人でトライを取り切っていましたし、そういう力を持っていた方だったので。でも、今季もWTBには足が速くて才能のある人間がたくさんいるので、その穴を埋める人間は出てくると思います。

――昨シーズンの戦いで得た、今シーズンにつながるようなものはありますか

鶴川 今季も昨季と大きく変わる部分はなくて、スクラムとチームディフェンスとブレイクダウンを強みにしていくので、そこの下積みというのが昨季得た財産だと思います。

高橋 この前のファーストミーティングでもあったのですが、確実に一昨年よりはディフェンスがデータ的にも向上していました。ブレイクダウンについても、FWもBKも去年1年間で意識が変わったと思うので、鶴川が言ったようにそこからさらに積み上げてレベルアップできればなと思います。

鶴川 あとはストレングスの部分で、みんなかなり体が大きくなったので、そこもよくなったと思います。

――ファーストミーティングを終えて、本格的な練習が始まったと思いますが、FWとBKでそれぞれの練習の雰囲気はいかがですか

鶴川 主にユニットの練習をしているのですが、スクラムやラインアウトのところで、去年は4年生がかなり声を出して、盛り上げて引っ張ってくれていたので、雰囲気が悪いわけではないのですが、声が少なくなってきているなとは感じます。なので、そこは4年生からどうにかしなくてはいけないなと思います。

高橋 元から上のチームにいる4年生が宗詩さん(本田前副将)くらいだったので、あまり大きく雰囲気が変わったというわけではないですね。ですが、去年も練習してきて勝負所でミスをしてFWに迷惑をかけてしまうシーンもたくさんあったので、ことしは細かい部分までしっかり指摘し合えるような環境を作っていきたいなと思います。

――春シーズンの個人の目標を聞かせてください

鶴川 ことしの今の段階ではスクラムがまだ強みになっていないので、そこをしっかり強みにしていくというところと、フィールドプレーでしっかり走って、ディフェンスでもアタックでもしっかりボールに絡めるようになる、というのが春の目標ですね。

高橋 ことしはアタックであれば『グレートイニシアティブ』、ディフェンスであれば『アグレッシブハント』というチームのスローガンがあるんですよ。それを体現できるような選手になって、Aのスターターで試合に出て、帝京大、東海大、明大、慶大と強い相手との試合が続くのですが、しっかり結果を出していきたいと思います。

――そのスローガンは具体的にはどのようなことを指しているのですか

高橋 アタックに関しては、みんなでイニシアティブを取って、状況を把握して、仲間を動かすだとかそういったところをしっかりやっていこうと。ディフェンスに関しては、内側の選手がどんどん攻撃的に前に出ていこうというものでです。

――日本一を目指すにあたって、委員と寮長としてどのような役割を果たしていきたいと考えていますか

鶴川 まずは自分が、私生活でもラグビーの面でも目標とされるような選手になっていきたいと思います。あとは、それを下級生たちにしっかり発信していくというところですね。

高橋 寮を規律高いものにしていくことと、プレーヤーとしては鶴川のようにAチームでバリバリ出ているわけではないので、自分が赤黒を着て帝京大に勝つために努力していくことが、一番大事なことだと思います。そういう姿で後輩を巻き込んでいけたらいいなと思います。

――どのように主将と副将を支えていきたいと思っていますか

高橋 加藤と黒木だけでは気づかないチームの事ももちろんあると思うので、そこはどんどん発言していきたいなと思います。そして、もちろん加藤と黒木はAチームを勝たせることに集中すると思うので、後輩や色々な人間に気を配っていきたいと思います。

鶴川 加藤は去年の詠真さん(桑野前主将、平29年スポ卒=現ヤマハ発動機)のように熱くばーっと話すタイプではなくて、プレーで引っ張っていくタイプだと思います。FWは特に上級生が少ないので、自分が声を出したりプレーで引っ張ったりして、加藤がやりやすい環境を作っていきたいと思います。

――今シーズンの意気込みと、応援してくださっているファンの方へのメッセージをお願いします

高橋 去年は試合に出ることができずに辛い思いをしたので、まずはチーム内のレギュラー争いに勝って、自分が赤黒を着て試合に出て『荒ぶる』を勝ち取りたいなと思います。ずっと優勝から遠ざかっていてファンの方も悔しい思いをたくさんされていると思うのですが、それでも早慶戦早明戦をはじめたくさんの方が応援してくれて。ことししっかり結果を出して、応援してくれる方たちに恩返しじゃないですけど、そういうかたちで感謝の気持ちを示せればと思います。

鶴川 去年を振り返ってみて、日本一にならないとだめだということがよく分かったので、ことしは結果を残したいと思います。勝てない時代が続いてもワセダは他のチームに比べてファンが多くて、それがワセダの強みというか他のチームにはない点だと思うので、ファンの方の期待にしっかり応えることができるよう、しっかり結果を残したいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 本田理奈)

今季の目標を書いていただきました!

◆鶴川達彦(つるかわ・たつひこ)(※写真右)

1995(平7)年5月21日生まれ。181センチ、110キロ。神奈川・桐蔭学園中教校出身。文化構想学部4年。ポジションはプロップ。昨季プロップにコンバートした鶴川選手ですが、プロップ1年目とは思えない活躍ぶりでした。2年目の今季は、スクラムに加えて、元BKの鶴川選手ならではのフィールドプレーにも注目です!色紙の言葉は『スクラム』

◆高橋吾郎(たかはし・ごろう)(※写真左)

1996(平8)年3月27日生まれ。174センチ、85キロ。福岡・修猷館高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはCTB。今回の対談を楽しみにしてくださっていたそうです!昨季はリザーブでの出場も多かった高橋選手。ラストイヤーとなる今季は、CTBの熾烈(しれつ)なポジション争いに食い込み、スタメンを勝ち取ってくれるはずです!色紙の言葉は『初志貫徹』