関東大学ジュニア選手権もついに最終戦を迎えた。早大Bは未だ1勝しか挙げることができておらず、入れ替え戦へのリスクを減らすためにも最終戦は勝利で終えたいところだった。試合の入りからスクラムとブレイクダウンで優位に立つと、ラインアウトからのモールで得点を重ねる。また、3トライを決めたWTB緒形岳(スポ3=新潟・新発田)を筆頭にBK陣もトライを積み重ね、62-7と快勝した。
試合開始1分、マイボールスクラムで反則を奪うと、タッチに蹴り出し好機を得る。敵陣22メートルライン付近のラインアウトからモールで押し込み、フッカー峨家直也(商2=兵庫・報徳学園)がグラウンディング。先制点を奪った。そして、ハーフ団のハイパントキックを用いた戦術が効いてくる。8分、そのハイパントキックを緒形やロック沖野玄(商1=北海道・函館ラサール)がチェイスし日大Bにプレッシャーをかけ、ブレイクダウンでたたみかけてターンオーバー。CTBフリン勝音(スポ2=福岡・筑紫丘)が抜け出すと、最後はWTB勝浦秋(スポ4=愛知・千種)にボールが渡った。その後、ペナルティーが重なり、日大Bにじわじわと攻め込まれる時間帯が10分ほど続いたが、35分、38分、41分に立て続けに3トライを決め、着実に相手を突き離す。41-0でハーフタイムを迎えた。
ラインアウトからのモールで4トライを奪った
後半にメンバーが変わり、スクラムに前半ほどの安定感はなくなったが、チームは崩壊せずに持ちこたえた。2トライを追加した後、日大Bにフェーズを重ねられ、徐々に自陣へと侵入を許す場面もあった。だが、ここで相手の反則でマイボールスクラムとなり、パスを受けたFB佐々木尚(社2=神奈川・桐蔭学園)がラインブレイク。CTB高橋吾郎(スポ3=福岡・修猷館)からフリンへとパスをつないでトライを決めた。しかし、試合終了間際にペナルティーからゴールに迫られると、サイドディフェンスで粘り切れず失トライ。無失点とはいかなかったが、計10トライの猛攻で地力の差を見せつける勝利となった。
ケガから復帰した佐々木。きょうはFBでの出場となった
去年カテゴリー2に降格した早大B。格の違いを見せつけ、カテゴリー1へ返り咲くことを誰もが期待しただろう。しかし、全試合を終えて結果は2勝2敗。昇格どころかカテゴリー1との入れ替え戦に出場することすらできなかった。きょうの試合では、強みとして鍛え上げてきたスクラムとブレイクダウンで優位に立ったことがこの結果につながっている。チームでやろうとしていることをBチーム以下の選手にもいかに徹底させるかが、Bチーム以下の成長、ひいてはAチームの成長にもつながるのではないだろうか。
(記事 本田理奈、写真 浅野純輝、高橋里沙)
関東大学ジュニア選手権 | ||||
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早大B | スコア | 日大B | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
7 | 3 | T | 0 | 1 |
3 | 3 | G | 0 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
41 | 21 | 計 | 0 | 7 |
62 | 合計 | 7 | ||
【得点】▽トライ 峨家2、中山2、勝浦、吉満、緒形3、フリン ▽ゴール 吉田(6G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 佐田 涼祐 | 社4 | 東京・早実 |
2 | 峨家 直也 | 商2 | 兵庫・報徳学園 |
3 | ◎小笠原 優 | 商4 | 秋田 |
4 | 沖野 玄 | 商1 | 北海道・函館ラサール |
5 | 吉満 慎吾 | 人3 | 東京・本郷 |
6 | 西田 強平 | スポ2 | 神奈川・桐蔭学園 |
7 | 増原 龍之介 | 教1 | 広島・崇徳 |
8 | 中山 匠 | 教1 | 東京・成城学園 |
9 | 吉岡 航太郎 | スポ3 | 国学院栃木 |
10 | 吉田 重治 | スポ2 | 富山・高岡第一 |
11 | 勝浦 秋 | スポ4 | 愛知・千種 |
12 | 高橋 吾郎 | スポ3 | 福岡・修猷館 |
13 | フリン 勝音 | スポ2 | 福岡・筑紫丘 |
14 | 緒形 岳 | スポ2 | 新潟・新発田 |
15 | 佐々木 尚 | 社2 | 神奈川・桐蔭学園 |
リザーブ | |||
16 | 井上 大二郎 | スポ2 | 愛知・千種 |
17 | 鷲野 孝成 | 基理2 | 神奈川・桐蔭学園 |
18 | 武田 雄多 | 文1 | 東京・早実 |
19 | 中尾 悟 | スポ1 | 神奈川・桐蔭学園 |
20 | 堤 悠 | 政経4 | 東京・攻玉社 |
21 | 貝塚 陸 | スポ2 | 東京・本郷 |
22 | 桐ケ谷 稜介 | スポ2 | 群馬・太田 |
23 | 作田 蓮太郎 | 教3 | 東京・早実 |
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |
コメント
フッカー嵯家直也(商2=兵庫・報徳学園)
――本日は快勝となりました
入りが良かったですね。帝京大戦が来週にあるので、それに向けて気合が入っていました。
――前半は、スクラムやモールで押し込む場面も多かったと思います
前半はモールでトライも取れました。スクラムも何個か悪いところがありましたが、前半は修正できたかなと思います。
――悪いところというと、スクラムが上がったところでしょうか
そうですね。
――後半は、前半と比べて勢いが落ちた印象です
メンバーが変わって、僕がまとめきれませんでした。僕がスクラムの中心なので、そこから崩れたかなと思います。
――ブレイクダウンではターンオーバーする場面もありました
強みにしてやっているところなので勝てて良かったなと思います。
――ダブルタックルも機能し、日大を1トライに抑えました
基本的にアタックの時間が長かったんですけど、ディフェンスもちゃんと止められたと思います。ゴール前だけ修正していきたいです。
――ご自身もトライを取ったり、惜しいところまでゲインするなど、アタックで活躍していましたね
惜しかったですけど(笑)。とりあえず、ボール持ったらドライブしていかないとだめなので、前を意識していました。
フランカー増原龍之介(教1=広島・崇徳)
――試合を振り返っていかがでしたか
前半からブレイクダウンやディフェンスの際に頭をしっかり差し込んで相手にプレッシャーをかけることを意識していて、それができていたことは良かったです。ただ、タックルで相手を早く倒すという点は反省点だと思います。
――レフェリーと言葉を交わす機会が多く見受けられました。何を話していたのですか
スクラムでの相手の反則や、見て欲しい部分を伝えたり、ブレイクダウンで相手が首を持ってきたりしていていたので、その辺りについて話していました。
――ブレイクダウンで意識されたことはありますか
僕は身体が小さいので、低く相手に刺さって足をかくということを意識していました。
――スクラムの際には伊藤雄大スクラムコーチ(平17人卒=東京・国学院久我山)から指示を受けていましたが、具体的にはどのような指示を受けていたのですか
スクラムが回った時にフランカーが前に出るフォーヘッドというものがあるのですが、これをレフェリーの方から注意されていて、改善点などの指示を受けていました。
――モールやスクラムで効果的に追加点を重ねていた印象でした。何が要因だと思いますか
これまではサインが出ていても、サイン通り実行できなかったり、伝え忘れがあったりなど課題点があったのですが、これを練習で修正できたということが大きかったと思います。
――残りのシーズンへの意気込みをお願いします
今はBチームですが、ここからAチームへ食い込んでいけるように努力していきたいと思います。
SO吉田重治(スポ2=富山・高岡第一)
――関東大学ジュニア選手権で今季初のスタメンでした
そもそもケガで全然ラグビーをしていなかったので、緊張はありました。SOは攻撃の起点で責任が重いので、そこをきちんとできるように考えていました。
――慌てる場面も見受けられましたが、緊張があったのですか
緊張もあったのですが、突然切り替わったときに焦ってしまうことがありました。自分の中で考えが整理できていなくて、周りの声を聞いてすぐに対応することができないので、そこはもっと練習の中で修正できるようにしたいです。
――ハーフ団がパントキックキックを蹴って緒形選手などがチェイスすることが多かったですが、狙っていたのですか
それはオプション練習通りのプレーでした。あれでプレッシャーをかけることができて良い流れになったと思います。
――WTBがよく走っていた印象を受けましたが、大外に回すのは意識していたのですか
そうですね。きょうセットプレーはだいたい外に回して、そこでゲインできたのでよかったです。
――ディフェンスを振り返っていかがですか
ハーフタイムにも言われたのですが、相手に食い込まれる場面が多くて、最後に結局トライを取られてしまいました。最後は自陣まで持っていかれたのが原因なので、そこは修正していかなくてはいけないと思います。
WTB緒形岳(スポ2=新潟・新発田)
――きょうの日大戦は落とせない一戦だったと思いますが、どのような気持ちで臨みましたか
チームとしてのやることをみんなで遂行することですね。個人としても来週の帝京大戦に向けてしっかりアピールするということは自分の中にあったんですけれど、チームとして強みにしているチームディフェンスやブレイクダウンを徹底してやることを意識して臨みました。
――トライを挙げ活躍されていました
僕のスキルも多少は出せたと思うんですけど、チームとしてアタックしていく中で最後はWTBである自分に回ってきてトライできました。個人のトライだとおごることなくやっていきたいです。
――広範囲に攻撃に参加していましたが意識してやっていたのですか
片方に寄ることなく、中央で相手のミスマッチのFWを抜きに行く戦術があるので、意識してやっていました。
――きょう他に意識していたことはありますか
バックスリーの選手が勝浦さんと(佐々木)尚というケガから復帰した二人だったので、二人としっかりコミュニケーションを取ることですね。きょうはジュニアの最終戦だったので絶対勝つということと、来週はワセダが全員意識している帝京大戦なのでそこに対するアピールを意識しました。
FB佐々木尚(社2=神奈川・桐蔭学園)
――ケガからの復帰戦ということでしたが、実際に試合出ていかがでしたか
春は基本的にWTBでの出場だったのですが、今回はFBをさせてもらいました。FBはWTBと違って前線ではなく一番後ろから試合が見えるので、きょう特に後ろからオーガナイズしてイニシアティブをちゃんととれたと思います。
――大きくゲインする場面が見られました
ブレイクダウンを制圧できたので、ボールの支配率が高くなり、結果オフェンシブなラグビーができて外にボールがいいかたち来たので、その点においては良かったと思います。
――大量得点になったことについてはいかがでしたか
今言った通り、ワセダの強みであるブレイクダウンがきょうは徹底できたのでそれが大量得点につながったと思います。
――1トライに抑えましたが、ディフェンスはどうでしたか
BKのディフェンスが悪くてトライにつながったということはないのでBKはしっかりディフェンスができたと思うのですが、FWのゴール前の近場のショートサイドに攻めこまれてしまったので、FBである自分が後ろからしっかりラインを整えていきたいなと思います。