【連載】対抗戦開幕特集 『THE 15』 第1回 プロップ鶴川達彦×フッカー貝塚隼一郎×プロップ千葉太一

ラグビー男子

 早大のフロントローには、頼りになる男たちがそろっている。今季からプロップに転向した鶴川達彦(文構3=神奈川・桐蔭学園中教校)、3年時から赤黒の3番を背負っている千葉太一(教4=東京・早実)、そして今夏ラグビー蹴球部に復帰した貝塚隼一郎(政経4=埼玉・早大本庄)だ。セットプレーのカギを握るこの三人に、秋に向けた意気込みを伺った。

※この取材は9月9日に行われたものです。

「チーム内のスクラムに対する認識も変わってきた」(千葉)

スクラムに対する手応えを話す千葉

――春シーズンは2勝7敗で終わる苦しい結果となりました。振り返ってみていかがですか

鶴川 ケガ人が多かったかなという印象です。

千葉 春シーズンはチーム作りに着手していました。アタックの練習を全くやっていなかったため、ボールは後ろに下がる一方でエリアもどう取るか分かっていませんでした。けが人も多かったのですが、それ以前に負け込んでしまっていたので、自信がなくなっていたと思います。

――貝塚選手は春シーズンの試合をご覧になっていましたか

貝塚 Bチームの試合を1回と東海大との試合を見ていました。一番驚いたのはみんなの体が大きくなっていたことですね。それと1年生が活躍していたことにも驚きました。春シーズンはチームとして勝ちにこだわっていなくて、土台を築いているという印象はありました。試合に出ていた選手は苦しかったと思いますが、結果としてはいい経験だったのではないかと思います。

――春シーズンはスクラムにこだわってきました。どのような練習をされていたのですか

鶴川 僕はプロップを始めたばかりだったのでひらすら姿勢をとるなど、基本的な練習をしていました。

千葉 5月の練習までは8人でスクラムは全く組んでいませんでした。一対一で組んでから1分でどれくらい耐えられるかというところから始めて、次第に組む人数を増やしていきました。トップリーグの練習方法にのっとった練習だったと思います。

――伊藤雄大スクラムコーチ(平17人卒=東京・国学院久我山)が来てからスクラムを組む上で変わったことはありますか

千葉 いつもスクラムを見てくれているので、僕たちが見えていない部分にも的確な指示を出してくれます。さらにメンタル面でも指示をもらいます。ピンチの場面で何をすべきなのかを考えることなど、試合の心構えも説いてくださるので非常に助かっていますね。伊藤コーチは自分たちに足りない部分を教えていただき、頼りにしています。

貝塚 スクラムを組む上での気持ちの持っていき方も指導してくださります。FWの8人全員で押していくなど細かい部分も教えてくださるので非常にありがたいと思っています。

――スクラムの練習はどのような雰囲気で行われていますか

千葉 悪くないと思いますよ。かたちになってきて、結果が出てきたので、チームの強みにはなっていると思います。AチームとBチームのお互いでスクラムを高めていければいいと思っています。フランカーのスクラムに対する理解度も上がり、チーム内のスクラムに対する認識も変わってきたと思います。東海大や明大などスクラムが強いチームはフランカーの理解力が高いです。早大もだいぶかたちになってきました。

――バックローからの声かけも増えましたか

貝塚 そうですね。細かい部分も伝えてくれるので非常にありがたいです。

――実際に試合中にスクラムを組んでみて変わったと感じたことはありましたか

千葉 春シーズンと比べると長い時間スクラムを組めるようになりましたね。長い時間スクラムを保つことで、8人で固まって低く押し込むという自分たちのかたちができてきていると感じています。もう少し突き詰めたいですね。

貝塚 去年と比べると、チームとしてスクラムを強みにするという明確な意識があるので、その意識は強く感じます。しかし、なおさら結果を出さなくてはならないというプレッシャーも同時に強く感じますね。

鶴川 スクラムで優位に立っている試合では早大が試合を有利に運べて、精神的に優位に立つことが多くなりました。

――スクラム以外にもディフェンスやブレイクダウンもチームとしてこだわってきました。それぞれどのような練習をされていましたか

千葉 最初はディフェンスとブレイクダウンを分けて練習していました。現在は練習の前にランニング、レスリング、ブレイクダウン、ディフェンスの4つのサーキットで分けて練習しています。時間ごとに区切って、ポジションごとに分かれて取り組んでいます。そうすることでチーム内でのコミュニケーションが取りやすくなっていますし、成果も出ているのではないかと感じています。

貝塚 チームディフェンスに関しては、試合中の苦しい場面でいかに高いパフォーマンスを継続するために、息の上がった状態での練習もしていますね。

鶴川 短いサーキットの中で勘を失わないようにしながら、少しずつ積み上げて練習しています。

――春シーズンはディフェンスが崩れてしまい、トライを取られる場面がありました。その原因は何でしょうか。

鶴川 ディフェンスの時間が長すぎて、我慢しきれなかったのが原因の一つだと思います。

千葉 アタックの練習をしていなかったので、アタックの時にボールを下げてしまいました。そうなるとキックを蹴ってもエリアを獲得できず、相手に有利な状態で走られたのが原因だと感じています。また相手のアタックに対して、前に出ずそのまま受けてしまったことがディフェンスの崩壊に直結したのではないかと思います。

貝塚 そんな感じじゃないですかね。出てないのであまり分からないですけど(笑)。

一同 (笑)。

――ブレイクダウンの点で春シーズンはいかがだったでしょうか

千葉 ただ(接点に)入るだけでしたね。ダブルタックルで相手に入っただけでボールを取るまでいきませんでした。夏に向けての修正点はこの部分でしたね。ダブルタックルに入ってからボールに絡みにいくまでの流れをさっき言ったサーキット練習の中にも取り入れています。ボールを取らないことにはラグビーは始まらないので。

――夏の試合ではブレイクダウンの練習の成果は出ましたか

貝塚 バックローを中心にディフェンスの局面でラックの下に頭を差し込んで、プレッシャーをかけられていました。

千葉 帝京大戦や東海大戦でよく出てたよね。

――山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭)が就任して、チームで変わった部分はありますか

千葉 すごく変わった部分が多いですね。

鶴川 貝塚さんが一番分かるんじゃないですか。

貝塚 なんだろうなあ。まず、チームとしてまとまりができたと思います。服装、戦術などみんなが同じ方向に向かっていくのを山下監督は大事にしていると感じますね。

千葉 チームカラーが明確になったのは事実ですよね。チームに統一性が生まれました。去年はぶれてしまう部分があったので。ことしはラグビーの王道のような土台があって、そこから戦術を広げている感じがしますね。私生活にしろ、ラグビー生活にしろ、大きく変わった気がします。

――山下監督の印象についてお聞かせください

鶴川 やる時は厳しく、練習以外では軽く接してくれているという感じですね。

貝塚 オーラがありますよね。

千葉 迫力がすごいです。

――山下監督と話される機会はありますか

千葉 山下監督から話かけてくるよね。

貝塚 グラウンドでは話しますね。個人的な話はあまりしないよね。食事の時やお風呂に入っている時に少し話す程度です。

――山下監督とは個人的な話はあまりしませんか

貝塚 あまり関わらないですね。

千葉 監督たちは練習のビデオ見ていたりしていて、僕たちに絡んでいる時間がないというのもあると思います。食事の時ぐらいですかね。でも食事の時もずっとコーチ陣で話し合っているので、話しかける暇はないですね。

――しかし、その分練習は研究されているのですね

千葉 そうですね。レビューは必ずしてくれるので。

貝塚 どこがいいか悪いかはっきり言ってくれるのでありがたいですね。

――春シーズンで見えた課題や収穫があれば教えてください

鶴川 収穫としてはやはりスクラムではないかと思っています。

貝塚 課題はディフェンスだったと思います。ディフェンスでほころびがあって、夏はその部分を修正すると山下監督もおっしゃっていました。

鶴川 あと、ラインアウトモールも課題ですね。

――ラインアウトモールはアタックの一環として練習していなかったのですか

鶴川 そういうわけではないのですが、ディフェンスしかやってこなかったですね。

千葉 ラインアウトはボールに合わせてタイミング良く上げる練習しかしてないです。モールまで着手する余裕がなかったです。

――春シーズンで一番印象に残っている試合はありますか

千葉 慶大戦と東海大戦ですね。慶大戦でパフォーマンスが酷すぎてレギュラーから降ろされてしまいました。そこからなかなかレギュラーに戻れなかったので、東海大戦は死にもの狂いで戦った記憶があります。

鶴川 東海大戦で熱中症で倒れてしまい、情けなかったです。

――貝塚選手は早大に本格的に復帰されたのはいつごろでしょうか

貝塚 7月の中旬くらいですかね。

――久しぶりの練習に参加してみていかがでしたか

貝塚 不安はありましたね。一つ上の学年として戻ってきてチームでどれだけできるかも分からなかったので。

――新チームに慣れるのには時間がかかりましたか

貝塚 僕が戻ってきた時は基礎的な練習をしていたので、慣れやすかった気はします。

――復帰した経緯を教えてください

貝塚 最初に部のほうから声をかけていただきました。本当は断るつもりでいたのですが、2週間くらい考える時間をもらい、早大に戻る決断をしました。

――復帰の決め手は何だったのでしょうか

千葉 聞いたことないね。

貝塚 とても迷っていて、戻っても戻らなくてもどちらでもいい経験にはなるかなと思っていました。でも、選ぶなら厳しい方を選ぼうと考えました。早大は大学日本一を目指していてとても厳しいと聞いていたので、自分がチームの日本一にどれだけ貢献できるかを挑戦してみたかったからですかね。

――4年生の時は早大に復帰することは考えていましたか

貝塚 全く頭には入っていなかったですね。

――復帰すると聞いて家族や同期の反応はどうでしたか

貝塚 家族は僕の好きなようにしなさいとずっと言ってくれていました。このことは復帰を決める上で後押しにもなりました。自分で考えて決断したので、復帰には全く後悔していません。同期も最初は驚いていましたが、励ましてくれました。応援してくれるみんなのためにも頑張らないといけないですね。

――貝塚選手の復帰を聞いた時、千葉選手と鶴川選手はどう思いましたか

千葉 性格的にもポジション的にも戻ってくるなら貝塚さんしかいないと思っていました。スクラムの核になる選手が欲しかったので良かったですね。貝塚さんが帰ってきてからスクラム内のコミュニケーションが取りやすくなったのも事実です。

鶴川 僕はあまり関わったことがなかったので、僕としては1年生が新しく入学してきた感じでしたね。

一同 (笑)。

――貝塚選手は、鶴川選手がプロップに転向して驚かれましたか

貝塚 驚きました。ちゃんとしゃべれるか不安でしたね(笑)。ほとんど絡みなかったもんね。

鶴川 そうですね。

――貝塚選手から見て昨年と比べてチームとして変化したと感じる部分はありますか

貝塚 1年生が生き生きとプレーしているのが一番変化した部分かなと感じています。

千葉 あれだけ伸び伸びとプレーされるとこっちも感化されるよね。

――やはり1年生に脅威を感じる部分はありますか

千葉 BKで1年生が伸び伸びとプレーしているのを見ると、4年生としては複雑ですが、チームとしては頼りになるなと思いますね。ラグビーの知識が豊富なので僕も学ぶ部分があると思いますね。

――千葉選手は春シーズン、Bチームでプレーする機会も多かったと思います

千葉 メンバー表を見た時は、まじかと思いましたけど、自分のパフォーマンスを見たらしょうがないとも思いました。練習中はスクラムでAチームを圧倒することしか頭にありませんでしたし、実際圧倒できたのでスカッとはしました(笑)。

鶴川 Aチームの時にそれくらい頑張ってくれればいいのに…。

一同 (笑)。

千葉 いら立ち具合がね。その気持ちはいまでも持ってるよ。

――そんなに燃えていたのですか

鶴川 いつにない気迫がありました。

千葉 ブォォンってね。

貝塚 いま出せよ(笑)。

千葉 なんでBチームに落ちたんだろう、と。自分の弱さ、未熟さというのを痛感しました。Aチームを倒しても何にもならないことは分かっていたんですけど、何かやらなきゃいけないと思っていたので。とりあえずスクラムだけは見せておこうと思って、スクラムを頑張りました。

――コーチ陣から何か声を掛けられたりはしましたか

千葉 「やってくれ」とだけ言われていました。実際東海大とのA戦B戦で結果を残して戻れたので、良かったです。

――昨年と比較してスクラムの組み方など変化はありますか

千葉 フッキングしなかったことですね。最初フッキングしないと言われた時は驚きましたけど、コーチ陣の目を見たらやり抜くんだろうなということが伝わってきて、ついていくしかないと思いました。チームのモットーの一つに「16本の足で押す」というのがあるんですけど、フッキングをすると1本の足が抜けてしまうので、春はフッキングをしないでずっと押していました。春は土台づくりということで、強みをつくっていく上でも通していかなきゃいけない部分かなと。春の試合で経験値を得られたのは良かったと思います。

貝塚 組み方自体は去年と比較してもそんなに変わっていません。でもフッキングをしないことだったり、8人で絶対にまとまって押すということだったり、チームとしてのこだわりや意識の部分で変化は感じました。

千葉 あと平均的に体重も増えたよね。

――ウエイトトレーニングでも変化はありますか

鶴川 トレーニングは去年から変わっていました。体の面で変わった要素としては、やっぱり食事ですね。

千葉 量がしっかりとれるよね。去年は主食がご飯一つだったんですけど、ことしから二つに増えて、ご飯とうどん・そばみたいなものがセットであります。あとは自分たちがどこまで増やさなきゃいけないかが紙に書いてあって、どれだけ(量を)とらなきゃいけないか目で見て分かるようになりました。

貝塚 あと昼食も出るようになりました。去年までは寮生も含めて昼食は各自でとっていたんですけど、ことしから学校が無い時は昼食も出てしっかり食べています。

――千葉選手は最上級生になって変化はありましたか

千葉 スクラムの核になるのは間違いないと思っていましたし、もっとフィールドプレーも頑張らなきゃとも思っていました。オフシーズンにいろいろアドバイスとか聞いた時にも、僕はもっとスクラムやフィールドで頑張らなきゃというのは言われていたので、その点に関しては去年に比べて意識高くできているかなと思います。

――チームへの意識などでも変化はありましたか

千葉 優勝したいという気持ちは毎年一緒です。前は自分たちの代で優勝したいという気持ちもあったんですけど、いまは純粋に、日本一という夢をかなえたいという感じですね。ファンのみなさんにも毎年「頼むよ!」と言ってくださるんですけど、毎年裏切ってしまっているので。ことしはいろいろ変わりましたし、大学日本一に向けてやらなきゃいけないと最上級生として思います。

――千葉選手はよく「桑野詠真主将(スポ4=福岡・筑紫)を日本一の主将に」と仰っていますが、桑野主将に対しての気持ちも大きいですか

千葉 詠真(桑野主将)は僕にとっての良き理解者なので。僕の中では部内でコミュニケーション取りやすいのは詠真と加藤(広人、スポ3=秋田工)で、この2人がいるからこそチームでやっていけている部分があります。僕もあまり人としゃべるのが得意じゃないので。

貝塚 いやいやいや、得意じゃなくはないでしょ(笑)。

千葉 あと詠真は、1年生の時から自分たちの代の先頭で突っ走ってくれていたので。キャプテンもあいつ(桑野主将)しかいなかったですし、引っ張ってきてくれた詠真を勝たせたいという思いはずっとあります。

――次に鶴川選手に伺いたいと思います

千葉 お!

貝塚 これがきょうの本題ですよ。

――なぜプロップに転向されたのでしょうか

貝塚 これは聞きたい。

鶴川 監督・コーチ陣から呼び出されて、「プロップやってみないか」と言われました。最初は戸惑ったんですけど、話を聞いているうちに僕も試合に出られるのだったらプロップしかないと思って決めました。

――その場で決断されたのですか

鶴川 そうですね。

――決め手となった言葉はありますか

鶴川 「日本一になるためには僕がプロップになることが必要」と言われました。

――BKからFWに転向されて、BKでの経験が生かされたことはありますか

鶴川 パスとかはFWの中ではできると思います。

貝塚 普通のBKよりうまいですもん。

千葉 鶴川が真ん中のポッドでアタックに入ってくれているんですけど、そのポッドからパスを外に放れるようになりました。身体が強くて当れるだけじゃなくパスも持っているので、BKに裏で通したりもできて。鶴川はなくてはならない存在ですね。

貝塚 フィールドではやっぱり強いですよね。

――鶴川選手自身プロップをやって良かったことはありますか

貝塚 いっぱいあるだろ。いくらでも出てくるよ。

鶴川 …。貝塚さんと仲良くなれたことですかね。

一同 (笑)。

鶴川 スクラムで押せたときの快感ですかね。

千葉 これはラグビーやっている人にしか分からないですね。

――逆につらいことはありますか

千葉 それしかないでしょう。

貝塚 いや、それはないよな。

鶴川 臭いですし…。

一同 (笑)。

鶴川 スクラムは身体中痛くなるので、そういう部分はきつくなりましたね。

――同じポジションの佐田涼祐選手(社4=東京・早実)の印象は

鶴川 僕がスクラムで分からないことも、すぐ教えてくれます。

貝塚 (佐田選手は)面倒見良いよな。

鶴川 例えば練習中スクラムで押されて、自分の中で何が悪かったのか分からない時とか、すぐ佐田さんが教えてくれます。

――鶴川選手のプロップとしての強みは何でしょうか

鶴川 いまのところはフィールドプレーなんですけど、今後はスクラムが強みと言えるようにしていきたいです。

貝塚 かっこいいな。

「まだ詰めが甘い」(鶴川)

夏を経ての反省点を振り返る鶴川

――今年初めて網走合宿が行われましたが、どのような練習をされていましたか

貝塚 練習内容はいまと変わらないですね。

鶴川 あとはアタックの導入です。

千葉 いままでディフェンスばかりだったのからアタックが増えたことで、エリアごとに何をするというのが明確になりました。

――菅平合宿では例年より試合数が多かったと思いますが、体力面ではきつく感じましたか

貝塚 試合はもちろんきつかったですけど、リカバリーもしっかり取ってくれていたので、体としては例年の菅平合宿に比べるときつくなかったんじゃないかと思います。

――菅平での試合結果に関してはいかがですか

貝塚 みんな夏の網走、菅平でやってきたことに対しての手応えは感じていたと思うんですけど、結果としてまだ何も残せていないので。そこで満足することなくやっていきたいというのが僕の印象です。

鶴川 良い試合はできるようになったんですけど勝ち切れていないので、まだ詰めが甘いとは感じます。

千葉 同じです。あとアタックをやり始めてみんな少し生き生きし始めたのはありますね(笑)。ディフェンスばかりしていると体力的にきつくなってくるというのが春あったので。アタックすると陣地も取れますし、体力的にも気持ち的にも余裕が出てきたかなと思います。

――貝塚選手は再びの菅平合宿でしたが体力面での問題は

貝塚 体力面では問題ありませんでした。

千葉 なかったよね。一番走ってました。

――復帰前から体力づくりはされていたのでしょうか

貝塚 全くしていなくて、運動という運動もしていませんでした。この7月の期間とか網走とかで、予想以上に体力は戻ってきたと思います。体重に関しては、あともう少しですね。

――復帰後初の試合はいかがでしたか

貝塚 中大戦だったんですけど、すごく緊張しました。普通の試合に向けての緊張だけじゃなくて、5年生として試合に出ることへのプレッシャーや不安はありましたね。

――貝塚選手が復帰してチームで変わったことは

千葉 セットプレーです。いままでは僕から鶴川へのコミュニケーションばかりだったんですけど、中間に貝塚さんがいると貝塚さんからもいろいろ言ってくれたりして。コミュニケーションを取ってくれる人が帰ってきてくれたので、すごくやりやすいです。スローもすごくうまいですし、セットプレーの精度も上がっていると思います。

――8月21日の帝京大戦でスクラムトライを取りましたが、スクラムに対しての手応えはいかがですか

貝塚 春からの積み上げがあったので、それを結果として出すことができたんじゃないかと思います。

千葉 そうですね。重い相手に屈しなくなったというのはあります。

――東海大戦のプロップの選手が日本代表経験者ですが、組んでみていかがでしたか

鶴川 春はほんとに何もできなかったんですけど…。

千葉 そう、お前が熱中症だったからな。

一同 (笑)。

鶴川 夏も勝つまではいかなかったですけど、春より手応えは得られました。

千葉 僕はもう3年目なので慣れました。

――夏合宿で見えた課題はありますか

千葉 精度や球際のところ…、あとラインアウトだよね。

貝塚 ラインアウトがFWとしては大きいです。あとはやっぱりゴール前で(トライを)取り切るべきところで取り切れない、そういった精度のところですかね。

鶴川 試合の中で良いプレーができる時間帯もあるんですけど、時間帯によっては精度が低くなってくるので、80分間通してできるスキルと体が必要になってくると思います。

――オフには何をされていましたか

鶴川 僕は寝ていました。

貝塚 実家に帰ったり、飲み会に行ったりしました。

千葉 充実したオフを過ごしました。旅行に行ったり実家に帰ったり、心と体をリラックスできる場所にいましたね。

「自分たちの全てを出して圧倒して勝つ」(貝塚)

秋への意気込みを話す貝塚

――関東大学対抗戦(対抗戦)の初戦を約1週間後に控えて、チームの状態はいかがですか

鶴川 またケガ人が増え始めているんですけど、それでも初戦はしっかり相手を圧倒しなくちゃいけないと思います。

千葉 足元をすくわれないようにしたいですね。ただ個人プレーだけで勝っていたらチームとしての成長はないと思うので、チームとして自分たちのスタイルでしっかり勝ち切りたいと思います。

貝塚 まずは一つ一つの試合で結果を残すというところと、ターゲットとして筑波大戦があるので、自分たちの全てを出して圧倒して勝つというところをしっかりとやっていきたいですね。

――やはりチームとして筑波大戦は意識されていますか

貝塚 そうですね。ひとつの大きなターニングポイントと捉えています。

千葉 去年負けているので。

――全国大学選手権(大学選手権)の出場枠がひとつ減りましたが

千葉 (出場枠が)減っても、帝京大はともかく早大、慶大、明大、筑波大、青学大どのチームにもチャンスはありますし、逃す可能性もあります。一試合一試合相手も死にもの狂いで来ると思うので、僕たちは常にチャレンジャーのイメージを持って戦い続ければいいと思います。

――勝てるという手応えは夏合宿等を経て得られましたか

千葉 勝てるイメージはつかめましたね。

貝塚 そうですね。イメージはできたんですけど、そこまで持っていくだけのスキルや体力はもっとできるところがあると思います。これからの練習で自分たちの強みをちゃんと出せるように、良い準備をしていきたいですね。

――今回対戦を楽しみにしている相手は

鶴川 明大ですね。早大と同じスクラムに力を入れているチームなので、そこで勝負するのが楽しみです。

貝塚 どの試合も楽しみではあるんですけど、帝京大戦で何か残したいです。

千葉 筑波大、帝京大、明大の3つですかね。筑波大は昨季しっかり勝とうといった試合で自分たちのミスとかで負けていますし、帝京大は夏であれだけの結果だったので、新しい自分たちを見せたいです。明大は昨季の早明戦で勝てなかったのが悔しかったので、ことしはしっかり勝って大学選手権に向けて頑張っていきたいというのが今の思いです。

――対抗戦のキーポイントはどこでしょうか

貝塚 スクラムですかね。どの相手も押しにきますし、準備もしてくると思います。それでもいかに自分たちの強みとしてしっかり勝っていけるかがチームの勢いに関係してきますし、重要になってくると思います。

――それぞれキーマンを挙げるとしたら

千葉 鶴川くんじゃないですかね。

貝塚 まさにキーマンですね、鶴川くんは。

鶴川 自分の中では中野(将伍、スポ1=福岡・筑紫)ですね。規格外です。

千葉 あと本田くん(宗詩副将、スポ4=福岡)で。彼はしっかり点を取ってくれるWTBで信頼しているので、彼にボールを集められるように僕たちが頑張っていきたいと思います。

――最後に対抗戦に向けての意気込みをお願いします

鶴川 (全国大学選手権への)出場枠が減ったということもあって落とせる試合はないので、一戦一戦結果を残せるように頑張りたいと思います。

貝塚 対抗戦を通じて結果を出したいです。良い試合をするかではなく、良い結果を残したいと思います。

千葉 対抗戦は優勝します。それしかありません。

――ありがとうございました!

(取材・編集 尾澤琴美、服平周)

前に出続けるスクラムに期待です!

◆貝塚隼一郎(かいづか・しゅんいちろう)(※写真中央)

1993(平5)年12月1日生まれのAB型。172センチ、92キロ。埼玉・早大本庄高出身。政治経済学部4年。ポジションはフッカー。

◆千葉太一(ちば・たいち)(※写真左)

1994(平6)年9月22日生まれのB型。176センチ、117キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。ポジションはプロップ。

◆鶴川達彦(つるかわ・たつひこ)(※写真右)

1995(平7)年5月21日生まれ。181センチ、110キロ。神奈川・桐蔭学園中教校高出身。文化構想学部3年。ポジションはプロップ。