【連載】対抗戦開幕特集 『THE 15』 最終回 ロック桑野詠真主将×ロック山口和慶

ラグビー男子

 連載の最終回は、桑野詠真主将(スポ4=福岡・筑紫)と山口和慶(スポ4=福岡)の4年生ロックコンビ。春季から主力として活躍している二人だ。最終学年として、『荒ぶる』への最後の挑戦となる今シーズン。FWの、そしてチームの核として臨む関東大学対抗戦(対抗戦)に向けた意気込みを伺った。

※この取材は9月8日に行われたものです。

「勝つために、ということを第一に考えている」(山口)

春シーズンを振り返る山口

――春シーズン全体を振り返ってみて、どんなシーズンでしたか

山口 練習もきつかったので、勝てない試合が続いて結果が出なかったというのは精神的にもきつい面が多かったですね。

桑野 たしかに勝てない時期は続いていたんですけど、春は自分たちでしっかりと考えて、悩みながらもハードワークできていたと思います。そういった積み重ねがあったからこそ、今の自分たちがあるのかなと思っています。

――ハードワークし続けているとのことですが、春の練習で特にきつかったことはありますか

桑野 特にこれが、ということはないですね。今も毎日きついですし(笑)。変わらずにハードワークしているので。日々のハードワークの積み重ねで、基礎の部分、基盤の部分が出来上がってきたと思います。

――レスリングやスプリングトレーニングも今季から本格的に導入されたと聞きました。その成果は実感されていますか

桑野 実感していますね。レスリングで言ったら、タックル後の動作などでの体のうまい使い方に生きていると思います。頭で考えなくても、体に染みついてきていると思いますね。ブレイクダウンの部分で、人に対しての体の使い方が良くなってきています。

山口 スプリントトレーニングは、悪い体勢からの切り返しに生きていますね。あとは、初速の動作で身についていると思います。

――スクラム、チームディフェンス、ブレイクダウンを三つの柱として強化を続けてきているとのことですが、春シーズンでの評価はいかがですか

桑野 春は全然だったと思いますね。それでも、基礎はできていたんじゃないかと思います。結果は出ていなかったんですけど、積み上げができていたと思います。

山口 ブレイクダウンなどでも、一試合を通じてはできていなかったかもしれないんですけど、部分的に見ればできていたところもあったと思います。プレーしていても、できてきている実感が少しは出てきていたと思いますね。

――山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)が今季から監督に就任して、環境も大きく変わったと思います。戸惑いなどはありましたか

桑野 監督が変わったことでコーチ陣も大きく変わりましたし、やるラグビーや練習も全く違うものになったので、そこに馴染むのはみんな少し時間がかかったというのもあるかなと思います。それでも、監督、コーチ陣がしっかりとミーティングを開いて、自分たちに対する落とし込みもしてくれていたので、早い段階で問題はなくなったと思いますね。

山口 寮の生活とかでも、勝つために、ということを第一に考えて生活するようになりました。そこは大きく変わったかなと思います。

――寮での食事も大きく変わったと聞きました。体づくりに役立っているという実感はありますか

山口 すごくありますね。例年だと、夏合宿終わった後に体重が落ちてしまっている選手も多かったんです。それが今季は、数値で見ても大きく落ちることはなかったですし、効果として表れているのかなと思います。

――シーズンを通して、体重が落ちてしまう期間もあったりしたのでしょうか

桑野 春の試合期で減ってしまったぶん、7月で一度体重を戻しました。それでも、シーズンを通してウェイトトレーニングをやっていない期間はないですし、年間を通してやっていくので、体重を落としていい期間はないと思います。

――例年に比べて4年生がAチームに少ない印象ですが、チームをつくっていく上で難しかったことはありますか

桑野 まだ発展途上のチームですし、まだまだこれからのチームなので、4年生が少ない中でもそのぶん下級生としっかりコミュニケーションをとってやっていかなきゃなと思います。それでも、FWには僕と山口と千葉(太一、教4=東京・早実)だけじゃなくて貝塚さん(隼一郎、政経4=埼玉・早大本庄)もぼくらと同じ目線でチームを見てくれています。加藤(広人、スポ3=秋田工)をはじめとして、4年生以外のFWメンバーたちもすごく成長していますし、意識を高く持ってやってくれているので、下級生ながらすごく頼りになる部分が多いです。なので、特に難しかったということはなかったですね。

山口 春から下級生がすごく成長してくれていると思います。頼もしいですね。

――貝塚隼選手の復帰はチームにどのような影響がありましたか

桑野 すごく良い影響を与えてくれていると思います。

山口 貝塚さんの存在は大きいよね。

桑野 あんまり褒めると良くないんですけど(笑)。貝塚さんの復帰はすごく大きいですね。セットプレーに関しても、フィールドプレーに関しても、他のフッカーに比べて一つ抜けていると思います。特に、スクラムが夏から伸びてきているのも、貝塚さんが7月に復帰したおかげもあるんじゃないかなと。これまでの経験を生かしてコミュニケーションをとってくれていますし、チームにとってすごくいいことだったと思います。

山口 周りのフッカーたちもいい刺激を受けていると思いますし、競争意識も生まれて良かったんじゃないかなと思いますね。

――貝塚隼選手の復帰を最初に聞いた時、どう思いましたか

桑野 僕はずっと復帰してくれって言っていたんですよ。ただ、チームの環境も大きく変わりましたし、難しいかなとは思っていました。それでも、監督やコーチ陣からも貝塚さんに復帰の要請をしたみたいで。(貝塚隼選手の復帰が)実現して、良かったなと思いました。

山口 最初は普通にびっくりしましたね(笑)。

――もし来年、チームに復帰してほしいと言われたらどうしますか

桑野 無理ですね(笑)。

山口 戻らないと思います(笑)。

――山口選手は、春シーズンの一時期スタメンから外れることもありましたが、その時期を振り返ってみていかがですか

山口 タックルとかが全然できていなかったですし、ただ単に実力が足りなかったんだと思います。それでも、それを機にさらに練習を積み重ねることもできたので、いま振り返れば良かったかなと思います。

――またスタメンに復帰したきっかけなどはあったのでしょうか

山口 山下監督からたくさん指摘も受けましたし、練習を積み重ねて、できなかったプレーも改善されたと思います。それが結果として出てきたので、もう一度メンバーに選ばれるようになったんだと思いますね。

――スクラムで成果が出てきていると思いますが、今季からプロップに転向した1番の鶴川達彦選手(文構3=神奈川・桐蔭学園中教校)の成長についてどう感じていますか

山口 すごく成長しているなと思いますね。4番として1番の鶴川を後ろから押していても、最初は姿勢が安定していなかったりして押しづらかった部分もありました。それでも、今は頼もしいですね。後ろについていてスクラムが楽しいくらいです。相当強くなってきていると思います。

桑野 たしかに成長はしていると思いますけど、まだまだ足りないですね。鶴川だけでなくみんなに言えることなんですけど、まだ伸びしろはありますし、もっともっといけるんじゃないかと思います。

――春シーズンを通して、結果が出ない中でチームの雰囲気はどうでしたか

山口 少し落ち込んでしまっていたというのはあると思いますね。精神的にもきつかったので。

桑野 そのような中でも、選手たちはみんな毎日の練習でハードワークしていましたし、手を抜いたりということはなかったので。練習の雰囲気自体は悪いことはなかったと思います。

――結果が出ないもどかしさなどはなかったのでしょうか

桑野 山下監督から、春は結果が出なくても基礎をしっかり積み上げていこう、という話がありました。なので、そこを信じてやっていこうという話はみんなでしていましたし、もどかしさとかはなかったですね。

――春シーズンの試合の中で印象に残っている試合はありますか

桑野 全部ですね。全部覚えています。あまりうまくいかない試合が多かったので、特にこれ、という試合はないですね。

山口 5月22日の拓大戦ですかね。スクラムを強みにしていこうとチームとしてやってきた中で、あれだけスクラムで自由にさせてしまったので。その試合はすごく印象に残っています。

――春のスクラムの出来はどう評価していますか

桑野 春は全然ダメでしたね。最終戦の東海大戦でもボコボコにやられて、全く歯が立たなかったので。春は全然ダメだったと思います。

山口 僕もそう思います。

――ヤマハ発動機とスクラムを組みに静岡まで出稽古に行ったということですが、その時のスクラムはいかがでしたか

桑野 ボコボコにやられました。相手にならないくらいでしたね。

――どんなところに違いを感じましたか

桑野 ヒットした後の重さだとか、FW8人のスクラムに対する意識の部分ですかね。ヤマハさんはバックローまで意識が統一されていました。お手本として見習うべきスクラムを間近で体感できたので、すごくいい経験になったと思います。

山口 僕たちがやろうとしているスクラムのかたち、FW8人、16本の足で押すということをヤマハさんは徹底してできていました。自分たちの目指すスクラムを実際に組み合うことができたので、本当にいい経験になりましたね。

――今季から新しく伊藤雄大スクラムコーチ(平17人卒=東京・国学院久我山)が就任しましたが、それについてはいかがですか

桑野 フルタイムコーチとしていてくれるので、何かあればいつでも相談できますし、ミーティングでもアドバイスをしてくれるので、大きい存在ですね。僕らのスクラムの原点である、FW8人全員、16本の足で押すということを練習から常に言い続けてくれるので、すごくいい影響を与えてくれていると思います。コミュニケーションもたくさん取ってくれますし、こう言ったら上から目線みたいになってしまうかもしれないですけど、とても良いコーチですね。

山口 プロップもロックも、いろいろと細かい技術的な部分まで教えてくれるので、すごく大きい存在ですね。あと、たまにブレイクダウンとかの練習に入ってくれることもあるんですけど、めちゃくちゃ強いです。

――スクラム専門というわけではなく、FW全体を担当しているのでしょうか

桑野 そうですね。スクラムだけではなくて、FWのディフェンスなども含めて、全体的に見てくれています。

――失点の多さが目立つ結果になりましたが、どのような点が原因だったのでしょうか

桑野 春はアタックを全く整備していなかったので、アタックの場面があっても手詰まりになってしまっていました。それが原因で、ディフェンスの場面でも受けてしまうところが多くなって、それが失点につながってしまったんだと思います。あとは、ディフェンスをしていても、どこでターンオーバーするのかということの意思統一がチームとしてされていなかったことも原因の一つですね。夏からは、ディフェンスの出口として、どんな接点でファイトしてターンオーバーするのかということだったり、アタックで言ったらどうやって敵陣に入っていくのかということもやっているので、そこは改善されてきていると思います。

山口 そんなに練習を積み上げられていなかったということもあって、やろうとしているディフェンスがチームに染みついていなかったのかなと思います。それと、試合を終えるたびに課題が出てくるんですけど、それを意識すると今までできていたことができなくなって、ということもありました。結局、やろうとしていることがまだ染みついていなかったんだと思いますね。

「少しずつみんなに自信がついてきた」(桑野)

桑野主将は、Aチームすべての試合でスタメン出場した

――ここからは夏の期間についてうかがっていきたいと思います。この夏振り返ってみていかがでしょうか

山口 一昨年よりも結果が出て、ちゃんと伸びたっていう実感が得られた夏でした。ディフェンスやスクラムなど、チームの重点とするべきところがしっかりと伸びたなと思います。

桑野 同じ感じですね。

――網走にも行かれたそうですね

山口 走ったりきついこともあったんですけど、やはり涼しいですし、やりやすい環境ではありました。

桑野 網走からアタックをやり始めました。身体も使った合宿なんですけど、頭も使った合宿だったので、良い合宿でした。

――夏の間に練習試合をいくつか組んでいましたが、その中で印象に残ったものはありますか

山口 東海大戦です。春はスクラムもブレイクダウンもすべてやられていたんですけど、そこでしっかり戦えたのでそこは自信になったと思います。

桑野 僕は帝京大戦です。チームとして8月21日をずっとターゲットにしてやっていたので。スクラムトライも取れましたし。試合を通して、ブレイクダウンやコンタクトの場面で戦えた時間と戦えなかった時間もあったので、良いフィードックができる試合だったと思います。後半離されてしまったんですけど、次につながるというか、反省も多く出た試合でした。

――帝京大からスクラムトライを取ったことは、自信につながるのではないでしょうか

桑野 そうですね。スクラムトライは自信になりました。だけど、スクラムでゲームをコントロールできるくらいのレベルまでいかないと勝てないので、そこはもっともっとこだわっていくところだと思います。

――夏に入って、帝京大や東海大などの強豪と良い試合をするようになりましたが、自分たちが変わった実感はありますか

山口 アタックを夏に練習したことでまだ春は(トライを)取り切れるイメージが沸かなかったんですけど、ちゃんと取ることができるようになりました。アタックを整備したことで、(トライを)取ることもできるし、守ることもできるようになったと思います。

桑野 春から積み上げてきたものが夏で試合に出て、少しずつみんなに自信がついてきたなっていうのは感じました。

――9月初めにはトップリーグのヤマハ発動機とも試合をしましたが、手ごたえはありましたか

山口 最初の方はスクラムとかでやられはしたんですけど、戦えているスクラムもあっ多と思います。どうしたら戦えるのかはっきり分かったので、それをこれから突き詰めていければなと思います。

桑野 FWはスクラムで少しやられてしまったんですけど、後半はスクラムでターンオーバーすることができたので、細かいところを突き詰めていきたいっていうのは試合後もみんなで話しました。

――スクラム、ディフェンス、ブレイクダウンの三要素の仕上がりはいかがですか

山口 ディフェンスはしっかり前に出てワンラインになって止めるっていうのが(方針として)あるんですけど、ヤマハなどの大きい相手に対しても前で止めることができているので、これからも継続したいと思います。

桑野 まだまだです。まだまだっていうのは、これからシーズンを通して伸びていかないと日本一は絶対取れないですし、まだまだこだわってやっていかないといけない部分ではあると思います。

――ラインアウトに関してはいかがでしょうか

山口 ラインアウトはまだ上手くいっていない部分が多いですね。サインのコール出しだったりみんなの意思統一だったり、そういうのがまだまだです。練習量が足りないっていうのはありますし、モールも強みにしていく上で、そこは成功率を高めていかないといけないです。

――モールはいつごろから着手したのでしょうか

山口 7月やったっけ。

桑野 7月です。

――昨季と変わったところは

桑野 違いますね、全然。

山口 全然違うね。密着をもっと意識するようになって、一人ひとりが切れずに全員で押すっていう意識するようになりました。

――話は変わりますが、この夏で一番楽しかったことは何ですか

桑野 網走?

山口 網走のバーベキューです。

桑野 網走はみんな3人部屋だったのに、山口と二人部屋だったので。

――寂しくはなかったのですか

桑野 いや、それが良くて(笑)。狭いんですよ、3人だと。3人部屋に二人だったので、広くて楽しかったです(笑)。

――イベントは何かありましたか

山口 網走でバーベキューをOBの方がして下さって。菅平もなんかあったっけ。

桑野 菅平もバーベキューしたよ。

山口 あ、そうですね。菅平もそうだ。

――帰省はしましたか

桑野 してないですね。

山口 してないです。

桑野 オフはあったんですけど、地元帰ったら気持ち切れるかなと思って帰りませんでした。

――地元が恋しくなったりとかは

桑野 いや、もうないですね。ある?

山口 いや、ないっしょ(笑)。来年、帰るから。福岡で就職するので、今はもうなにもないです。

――桑野選手はこの夏帰っていないとなると、次に帰るまでかなり空くのではないですか

桑野 いや、就職する前に少し帰るので。社会人になっても福岡とかで試合がありますし、別に帰んなくてもいいかなって思いますね(笑)。

――ラグビーの合間のオフはどのように過ごしましたか

桑野 オフは同期と遊びに行ったり飲みにいったりですね。

山口 同じ感じです。

――この夏は、評価するとしたらずばり何点でしたか

桑野 100点です(笑)。

山口 90くらいですかね。ラグビーとしては結果が出ているのでいいんですけどね。

――網走でアタックを整備されたとお聞きしましたが、ロックとしてはアタックでどのような関わり方をしていくのでしょうか

桑野 アタックだと相手の強いフランカーやロックにあたりにいって、しっかりと良い球を出すっていう。僕らのところで裏に出ようとかはないんですけど、次に裏に出るための良い球を供給するっていうのを心掛けています。

――春シーズン、桑野選手は大外にいることも多かったと思いますが、それはなぜでしょうか

桑野 春はシステム的にそうだったんですけど、夏から変わりました。

――中央と外、どちらが好きですか

桑野 真ん中ですね。外にいても速くないですし、暇なので。(中央で)しっかり頭から突っ込んで、ブレイクダウンでボールを出してBKがトライを取ってくれればいいので。僕は外にいるより、ブレイクダウンでしっかり球を出してあげたほうがいいですね。

――この夏、例年よりも試合数が詰まっていたと思いますが、コンディショニングの面で問題はありませんでしたか

桑野 ことしは山下監督が「夏合宿は試合合宿」と言っていたので、練習も試合に向けてしっかり調整してもらえますし、そこは特に問題はなかったですね。

山口 試合の間が短くても、リカバリーとかもやってちゃんと万全の状態で試合を迎えることができました。

――網走は練習合宿だったのですね

桑野 そうですね。7月上井草で結構走っていたので、そこも含めて7月と網走は走りました。

――そこでフィットネスが強化された実感はありますか

桑野 そうですね。そこで走り込めたので。

――ロックもWTBも同じメニューなのですか

桑野 距離が違います。フランカーと変わらないぐらいです。

――きつくないのですか

桑野 まあ、そんなですね(笑)。

山口 他を知らんもんね。

――スクラムは相当組み込みましたか

桑野 組みましたし、今も組んでます。耳が痛いです。やばいんですよ。 痛すぎて耳がちぎれそうなんですよ。

山口 僕もちょっと(耳が)固まってきました。

――どの大学よりも組んでるという自信はありますか

桑野 組んでますね。組んできた時間も違いますし、グラウンド以外のところでもみんなでしっかりコミュニケーションを取ってやっているので、かけている時間というのは違うと思います。

――ロックとして、押し込みが強くなっているという実感はありますか

桑野 スクラムは組んだ感覚がまったく違います。ロックがヒットする前にしっかり低い姿勢で当たっているので、去年とこだわっている部分が違います。

――山口選手は、ポジションがロックやNO・8など、いろいろ動いたと思いますがロックに戻っていかがでしょうか

山口 ロックはやっぱり楽しいですね。結構走ったりとかもしないといけないですし、ラインアウトとかスクラムとか任されていることが多いっていうのは大変ですけど楽しいです。

――ロックのイチオシポイントは何ですか

桑野 スクラムは、フロント3人だけのおかげじゃないよって(笑)。ロックもバックローもNO・8もあってこその、FW8人のスクラムであるっていうのはラグビーを見ている皆様には理解していただきたいです(笑)。あれはプロップだけが強い、というよりもFWが強いから、8人が頑張っているからああいうふうに組めているんだっていうのを分かってほしいですね。(ロックというポジションは)結構地味なので、あんまり分からないじゃないですか。ロックが押してるとか。

――山口選手はロックのイチオシポイントは

山口 イチオシっていうか、やっぱり目立たないですよね。

――最近の寮の様子はいかがでしょうか

山口 みんな楽しくやっていると思います。みんな仲良いですし、寝る時間とか食事とかを意識した生活ができているとは思います。

――部屋割りについてはいかがでしょうか。最近変わったとお聞きしました

桑野 僕、秋から1人部屋になったんですけど、結構寂しいですね(笑)。でもまあ、いろいろ考える時間ができますし、良いですね。

――前はどなたと一緒でしたか

桑野 中野将伍(スポ1=福岡・東筑)です。1年生と一緒でした。

――山口選手はどなたとご一緒ですか

山口 今は鶴川(達彦、文構3=神奈川・桐蔭学園中教校)と中山(匠、教1=東京・成城学園)です。みんな大人しいのでのんびり過ごせて僕は好きですね。

「日本一になるという強い決意を持って日々過ごしていきたい」(桑野)

対抗戦に向けた抱負を語る桑野主将

――秋に向けて、現在のチームの状況はいかがでしょうか

山口 今の強みをより強みにするために、一からしっか強くするという感じで充実した練習ができています。

桑野 シーズンを通してまだまだ成長していかなければならないので、まだ成長は止めてはいけないですし、一つ一つの練習からしっかり集中をしてやっています。さっき山口も言ってたんですけど、強みをさらに強みにするっていうことで練習しているので、すごく良い時間を過ごせていると思います。

――秋シーズンの活躍を期待している選手はいますか

桑野 僕はFWなので、加藤です。1年生のころから出ていて、すごく頼もしいですし。

桑野 あと、残りのシーズンは半年もないぐらいですけど、4年生には絶対に最後まで諦めて欲しくないですし、そこの部分では4年生に最後期待したいというか、諦めずに最後までやって欲しいなっていうのはあります。

山口 僕は鶴川です。後ろで押していて分かるんです。今もまだ全然、そんなに良くはないですけど、それでも押せているので、あいつが完璧だったらスクラムは多分すごいことになると思います。めっちゃ良くなるなと思って。そこの部分には期待していますね。

――秋シーズンでヤマ場になる試合はどこでしょうか

桑野 10月2日の筑波大戦を今ターゲットにやっているので、まずはそこで絶対に結果を出したいです。内容にもこだわりますし、そこの部分でどれだけ自分たちがやってきたことを出せるかっていうのを目標にやっています。

山口 僕としても筑波大です。

――去年は筑波大に敗北しましたが、リベンジの思いはありますか

桑野 筑波大も去年とは全然違いますし、ワセダも全然違うので、もちろん負けたことにはリベンジっていう気持ちもありますけど、特別な感情はなく、しっかりと結果を出して内容にもこだわるっていうことを意識しています。

山口 自分に求められている役割を全部やり切っていきます。

――帝京大との試合もターゲットになるかと思います

桑野 そこはまた筑波大戦が終わったら考えます。筑波大戦から帝京大戦まで時間がありますし、間に試合もあるので、またそこでしっかりと考えていきたいです。一戦一戦負けられないので。

山口 筑波大戦よりも先は考えてないです。

――大学選手権の出場枠が例年から1枠減ったことについてはいかがでしょうか

桑野 一戦も落とせないので、一試合一試合集中して波がないようにしたいです。

山口 負けられない戦いが続くなっていうぐらいですね。

――伝統の一戦である、早慶戦と早明戦に対する特別な感情はありますか

桑野 特にないですね。

――あくまでも対抗戦の一試合と捉えているのしょうか

桑野 はい。絶対に落とせない試合っていうことで向こうも相当気合入っていると思います。早慶戦・早明戦は、毎年下馬評関係なく、絶対に競った試合になるので、そこでどれだけ自分たちの勝ちたい思いが強いかっていう部分での勝負だと思います。

――山口選手は早慶戦、早明戦で先発出場するのは初めてですね

山口 そうですね。とりあえず、ケガせずに…。

一同 (笑)。

山口 出たい気持ちはありますね。

――緊張はしないのですか

山口 多分いつもと変わらないと思います。

――あんまり緊張されないのですね

山口 そうですね。あまり緊張はしないです。

――桑野選手もあんまり緊張しないタイプですか

桑野 いや、しますよ(笑)。

一同 (笑)。

桑野 しますけど、楽しみの方が大きいですね。緊張よりも、わくわくしますね。

――初めて出たのはいつですか

桑野 2年のときの早慶戦です。結構テレビで見ていた光景だったので、やっぱりすごいなっていうのは感じました。

――昨年は年越しを果たせませんでしたが、その経験から活かせる反省などありますか

桑野 去年、一昨年も含めて、シーズンを通してしっかり準備するということが大切かなと思います。前々からの準備、つまり練習が大事になってくるので、絶対にそこをおろそかにしないということを毎回意識しています。

山口 試合に出られていないっていうのはやはり不本意なかたちなので、ことしはまずケガせずに試合に出て、自分のやるべきことをしっかりと明確にやっていきたいと思います。

――自分のやるべきこととおっしゃいましたが、どのようなプレーをしたいですか

山口 しっかり前でタックルすることだったり、ブレイクダウンでプレッシャーをかけていくような働きをしたいです。

桑野 やっぱりセットプレー、ラインアウトやスクラムをしっかり安定させるっていうことと、いつでも前に出てプレッシャーをかけて、ブレイクダウンで力強いプレーをするということですね。

――4年生ということで、最後の秋になりますが、思うことはありますか

桑野 そんなにないですね。毎年2年生だからとか、3年生だからとかはなく、対抗戦は日本一を懸けた勝負ということで準備してきたので、そのメンタルは変わらないですし、今季はシーズンを通してどんどん成長していくっていうチームにしていきたいです。

山口 僕もそんなに考えたことはないですね。一戦一戦成長しながら最後までやりきれたらいいなと思います。

――後輩に残したいものはありますか

桑野 残すっていうよりも、自分たちが日本一に向けてしっかり本気で考えて、一試合一試合ファイトして、練習からしっかりファイトすることで後輩が何か感じ取ってくれたらいいなっていうのはあります。

山口 4年生になってちゃんとタックルとかにいけるようになったと思うんですけど、(前と)変わった姿を見せられたらいいなと思います。

――最後に秋シーズンへ向けて一言お願いします

桑野 日本一に向けて突き進んでいって、さっき言ったように、これからシーズンが深まるごとにどんどん成長していけるチームにしていきたいです。そのためにも、一回一回の練習を大事にして、準備を怠らずに、絶対に最後の大学選手権の決勝にいって、日本一になるという強い決意を持って日々過ごしていきたいです。

山口 今はしっかりと成長できていると思うので、この成長を止めることなく、やり切れるように向上心を持って日々の練習に取り組んでいきたいと思います。

――ファンのみなさんへ一言お願いします

桑野 去年も最終試合の東海大戦が終わって、ファンの方からいろんな言葉をいただきましたし、やっぱりことしも声を掛けてもらったり頑張ってくれっていう言葉をいただきました。ここ数年間、結果が出ていないので、絶対に今年は結果を出して、恩返しをできたらいいなっていうのは思います。必ず日本一になって、周りに感動を与えられるような、感動を分かち合えるような、そういうチームになっていきたいなと思います。

山口 今まで以上にサポートを感じられる場面があったので、そういうことに関しては忘れずに、しっかり自分たちの全力を出し切って、勝って結果を残したいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 佐藤諒、進藤翔太)

対抗戦では4年生ロックコンビに注目です!

◆桑野詠真(くわの・えいしん)(※写真右)

1994(平6)年10月11日生まれのAB型。191センチ、106キロ。福岡・筑紫高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはロック。

◆山口和慶(やまぐち・かずよし)(※写真左)

1994年(平6)6月14日生まれのA型。181センチ、100キロ。福岡高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはロック。