雨が降ったり止んだりと変わりやすい天気の中、早大Bは早大菅平グラウンドにて中大Bとの試合を行った。菅平合宿での練習試合の初戦となったこの試合、前半は一進一退の攻防が続く中、中大Bに先制トライを許すも、その後3トライを挙げて逆転に成功する。後半も早大Bの勢いは止まらず、トライを量産。今季Bチーム初勝利を挙げた。
前半早々、早大Bは敵陣右のラインアウトからモールを形成し、左へ展開しようとするがあと一歩のところでトライを奪えない。すると、そこからしばらく中大Bの攻める時間が続く。そして18分、自陣ゴール前左の相手ボールラインアウトからモールで押し込まれると、最後はFWにインゴールへ持ち込まれ、先制点を許す。しかし、早大Bは27分、FWが敵陣ゴール前でフェーズを重ねた後、左サイドへ展開。最後は大外に余っていたWTB桐ケ谷稜介(スポ2=群馬・太田)がインゴール左へ持ち込んで同点に追いつく。さらに、35分、敵陣ゴール前ラインアウトからのモールを押し込み逆転に成功。この後もう1トライを挙げた早大Bは17-5で試合を折り返した。
スクラムで圧倒し、トライを挙げた
後半、早大Bは前半の勢いそのままに果敢に攻め込む。7分、11分と敵陣ゴール前のマイボールスクラムを押し込んで立て続けにトライを挙げ、29-5とする。16分には、CTBフリン勝音(スポ2=福岡・筑紫丘)からのオフロードパスを受けたフランカー千野健人(人2=東京・成蹊)が、インゴールへねじ込む。さらに20分、敵陣10メートルライン付近のスクラムからパスを受けたフリンがグランドを駆け抜け、フォローへ来ていたFB作田蓮太郎(教3=東京・早実)へラストパス。キックも決まり、43-5とする。その後、中大Bに1トライを返されるも、終了間際にスクラムからトライを挙げて、48-12で快勝を収めた。
独走トライを決めた作田
この試合は網走合宿から本格的に取り組み始めたアタックが功を奏した。ここからさらに精度を高めていくことでより戦い方に厚みが増してくるだろう。さらに、スクラムでの安定度が増し、ストロングポイントの一つとなっている。一方、きょうは前半にペナルティーが多かった印象を受けた。しかし、「越えられるところは越えていこうと話していた」(WTB緒形岳、スポ2=新潟・新発田)と話しているように、積極的なディフェンスの結果でもあり、今後修正を重ねていくことでペナルティーの数を減らしていくことができるはずだ。8月21日は帝京大戦が控えている。「僕らは8月21日をターゲットにしている」(プロップ井上大二郎、スポ2=愛知・千種)と話しているように選手たちも意識が高まっている。どのような試合になるか、注目だ。
(記事 新開滉倫、写真 大庭開、木村綾愛)
ジュニア夏季オープン戦 | ||||
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早大B | スコア | 中大B | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
3 | 5 | T | 1 | 1 |
1 | 3 | G | 0 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
17 | 31 | 計 | 5 | 7 |
48 | 合計 | 12 | ||
早大登録メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 井上 大二郎 | スポ2 | 愛知・千種 |
2 | 鷲野 孝成 | 基理2 | 神奈川・桐蔭学園 |
後半0分交代→16峨家 | |||
3 | 柴田 雄基 | 文3 | 愛知・千種 |
4 | 三浦 駿平 | スポ1 | 秋田中央 |
後半0分交代→17水野 | |||
5 | 吉満 慎吾 | 人3 | 東京・本郷 |
後半0分交代→18樋口 | |||
6 | 千野 健斗 | 人2 | 東京・成蹊 |
7 | 西田 強平 | スポ2 | 神奈川・桐蔭学園 |
後半0分交代→19増原 | |||
8 | 中山 匠 | 教1 | 東京・成城学園 |
後半0分交代→20堤 | |||
9 | 吉岡 航太郎 | スポ3 | 國學院栃木 |
後半0分交代→21杉本頼 | |||
10 | ◎横山 陽介 | スポ3 | 神奈川・桐蔭学園 |
後半0分交代→22船越 | |||
11 | 桐ケ谷 稜介 | スポ2 | 群馬・太田 |
12 | 野口 祐樹 | 人3 | 群馬・太田 |
後半0分交代→23フリン | |||
13 | 宇野 明彦 | スポ1 | 神奈川・県横須賀 |
後半0分交代→24武田誠 | |||
14 | 緒形 岳 | スポ2 | 新潟・新発田 |
後半0分交代→25小川 | |||
15 | 作田 蓮太郎 | 教3 | 東京・早実 |
リザーブ | |||
16 | 峨家 直也 | 商2 | 兵庫・報徳学園 |
17 | 水野 孟 | 基理3 | 東京・早実 |
18 | 樋口 悦久 | 商4 | 大阪・早稲田摂陵 |
19 | 増原 龍之助 | 教1 | 広島・崇徳 |
20 | 堤 悠 | 社4 | 東京・攻玉社 |
21 | 杉本 頼亮 | スポ3 | 京都・桂 |
22 | 船越 明義 | 社2 | 東京・早大学院 |
23 | フリン 勝音 | スポ2 | 福岡・筑紫丘 |
24 | 武田 誠太郎 | 社1 | 島根・石見智翠館 |
25 | 小川 啓樹 | 社4 | 東京・早大学院 |
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |
コメント
SO横山陽介ゲームキャプテン(スポ3=神奈川・桐蔭学園)
――大学選手権以来の対外試合復帰となりましたが、感触はどうでしたか
まだ、全然です。ディフェンスの感触が良くなかったので、もっと前に出て止めるということを意識してやっていきたいです。
――けがの調子はどうですか
調子は8割くらいは戻っているのですが、ゲーム感覚がまだまだなので夏合宿の残りの試合で戻していけたらと思っています。
―― 山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)の元、新たな戦術が今季から導入されましたが、実践してみてどうでしたか
難しい、というか慣れなければならないので。頭で理解するだけでなく、身体で慣れるようにしっかりとやっていきたいです。
――春のリーグ戦でSOのポジションに台頭した岸岡智樹(教1=大阪・東海大仰星)についてはどのように思っていますか
結局はどっちが出ても勝てるチームになれれば良いと思っています。部屋も一緒でよく意見も交換していますし、お互いに刺激し合える関係を続けていきたいなと思います。
――ゲームキャプテンとして、どのようなゲームプランで試合に臨みましたか
ワセダがやりたいラグビーをしっかりこなすということと、身体を張るということの2つを意識してやっていこうと話していました。
――BK陣が全体的にキックを多用していた印象を受けましたが、横山選手からの指示でしたか
各々でのプレーもあるのですが、できるだけ色々な選手が蹴れた方が作戦の幅が広がるので、蹴っていこうとは話していました。
――次の試合に向けた意気込みをお願いします
どこのチームで出るか、まだ分からないですが、出れたら自分がやれることをやるだけなので、頑張っていきたいと思います。
SH吉岡航太郎(スポ3=国学院栃木)
――Aチームでの試合を振り返っていかがですか
北海道の網走で新しいアタックが導入されたので、試合で試すのは初めてでした。やってきたことをしっかりと出そうと思ってやって、やってきたことを出たところは出たので、加えて勝てたということが良かったと思います。
――Bチームでの試合を振り返っていかがですか
Bチームでもやることは同じだったので、横山のキックなど要所要所で助けられた部分もありましたが、Aの後半よりはやってきたことが出せなかったので、Bチームとしては修正して、また試合に臨みたいです。
――きょうは横山選手にボールを回して蹴るよりもご自身でキックされる場面が多かったですが、何か意図などはありましたか
裏が空いていたのが見えたというのもありますし、1年のSH齊藤直人(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が前半にやっていて、瞬間にひらめいたというか齊藤にインスピレーションを受けて、体が先に動きました。
――ボールの出し方などで気をつけたことはありますか
FWがスクラムを大切にしていて、ボールを出さずにずっと押すというプランで行っていて、押されたときにちゃんと出せないといけないと考えていました。スクラムの優劣を見て出せるときは出すように心がけました。
――きょうはBチームの試合では前半は押される展開が続いていましたが、後半はトライをする場面も増えました。何か狙っていましたか
スクラムの優劣はゲームの勝利を左右するのですが、FWが後半は本当に立て直してくれて助かりました。
――今後に向けてご自身の改善点や収穫点はありますか
1年の齊藤がずっといいパフォーマンスをしていくと思うので、僕も導入をミスしたら置いてかれてしまうので、いつか齊藤がミスしたりしたときに、僕が活躍できるように常に良いパフォーマンスをしていきたいです。
――夏合宿中の目標があれば教えてください
1番は齊藤を抜いて、Aチームでプレーすることです。チームとして帝京大を目標としてやってきたので、帝京大に勝つとまではいかなくても良い試合をできるように頑張りたいです。
フランカー千野健斗(人2=東京・成蹊)
――CTBからフランカーにポジションをコンバートしましたが、どのような経緯だったのでしょうか
春シーズンが終わった後に首脳陣から呼び出されて、僕のためにもチームのためにも変えたほうがいいのではないかと言われ、決まりました。
――難しい点はありますか
スクラムやラインアウトなどセットプレーに関わることが増えて、新しくFWのサインを覚えたりなどすることが難しいです。
――千野選手自信が持ち込んでゴールラインに迫ったりトライを決めたりする場面が見られましたが、アタックに関してどのような意識で臨んでいましたか
敵陣に入ったら、もうアタックのフォーメーションは決まっていました。FWがわいてくるようにサイドに走り込んでいくなど、積極的に顔を出してボールに絡んでいくことを意識していました。
――チームとして前半と比べ後半は攻撃している時間が長かったと思いますが、その要因は何だったと思いますか
スクラムで相手ボールを取ったりなど、セットプレーで勝っていたことが要因だと思います。スクラムでゲインしたり、セットプレーで相手のパスアップをしたり、それでBKのアタックもブレイクダウンも有利になったと思います。
――ペナルティーが多かった印象でしたがいかがでしたか
ブレイクダウンでのプレーの判断で、自分が倒れてしまうことがありました。
――夏合宿で強化している点は何ですか
一番強化しているのはブレイクダウンです。試合前でもエキストラでブレイクダウンの練習をして、相手のボールを近場で奪えるようにしています。
――次の試合に向けて改善したい点や意気込みを教えてください
この試合では、自分がブレイクダウンでの判断が甘くてペナルティーを取られてしまったので、そこの精度を高めたいです。
プロップ井上大二郎(スポ2=愛知・千種)
――きょうは天気の変わりやすい中難しいゲームだったと思いますが、振り返っていかがでしたか。
スクラムが自分たちで制圧出来ていたので、そこで優位に展開できたかなと思います。7月と8月の網走合宿にかけて、自分たちでやろうと決めていたことが、特に前半のB戦のチームではできていたかなと思います。
―今お話にもありましたが、網走合宿で意識してきたことは何でしょうか。
アタックですね。ディフェンスももちろん整備はしつつ、新しいアタックをやろうということで、今日それが全部出せたかというと思い通りにいかないところもあったんですけど、ゲインは出来ていたかなと思います。
――試合の話に戻りますが、久々のB戦での勝利となりました
自分も今年からBチームに入ったり下がったりという状態なので、まずは自分がしっかりアピールするということですが、勝てるのはやはり嬉しいですね
――セットプレーが今日も安定していました。特にスクラムはスクラムトライを奪えていましたが、セットプレーについてはいかがでしたか
最近網走合宿や菅平でも、個人的に調子が上がってきていて、それがいい感じに自分の形で組めたかなというのと、3番の柴田さん(雄基、文3=愛知・千種)がすごい出てくれたので、自分はそこについていくだけかなというところで、しっかりついていけて、崩せたかなというところですね。
――菅平合宿での残りの練習試合は帝京大、東海大戦ですが、この合宿で意識していきたいことは何でしょうか
僕ら、特に網走合宿に行っていた組は8月21日をターゲットにしているので、しっかり自分たちの形を出して、しっかり勝ちを狙って、東海大よりもまずは目の前の帝京大を意識して、そして東海大戦と意識してやっていきたいです。
WTB緒形岳(スポ2=新潟・新発田)
――Aチームの試合ではトライを決めました。振り返っていかがですか
ボールを取り返したとき、相手のディフェンスが整備されていませんでした。そんな中でSHの航太郎さん(吉岡)とやりたいことが一致して、裏に蹴ってくれて、良いところに落ちてバウンドしたというかんじです。
――Bチームの試合を振り返っていただきたいと思います。前半、両チーム共にペナルティーが多いように感じました。
ディフェンスラインについて、越えられるところは越えていこうと話していて、BKからFWにもっと越えていっていいとコールしていました。結果としてはペナルティーになってしまったのですが、積極的に越えにいっていたので、ポジティブに捉えられる部分は多かったと思います。
――きょうの試合では48得点と、点を取ることができていました
網走合宿でコーチ陣から新しい戦術を教えてもらって、それを浸透させるという意味でアタックをたくさん練習してきました。春ディフェンスにフォーカスしていた分、夏はアタックを練習していて、きょう点が取れたのは良かったと思います。
――菅平合宿ではどのようなところを重点的に練習しているのですか
夏にやってきたアタックについて、システムをしっかり全員が理解して遂行するということです。ディフェンスでは春に繰り返しやってきたのですが、甘くなってしまったというか、まだ点を取られてしまっているところがあるので、そこをしっかり修正したいです。ディフェンスの修正とアタックの理解と遂行をしっかりやって、帝京大戦がターゲットなのでそこに向けてがんばります。