春を締めくくる練習試合として、早大Bは東海大Bと対戦した。蒸し暑い中行われたこの試合。早大Bはセットプレーは安定していたが、ディフェンスラインのギャップを突かれるシーンが目立ち、失点を重ねてしまう。前半終了間際から敵陣でのプレーが続いたが、逆転まではつなげることはできず、春シーズン最後の練習試合を勝利で飾ることはできなかった。
試合は開始早々に動いた。開始1分、早大Bは東海大Bにノーホイッスルトライを許してしまう。さらに、その後も東海大Bのアタックの時間が続き、自陣でのプレーの時間が続く。17分にはターンオーバーされた後、外へ展開されると、ディフェンスのギャップを突かれて失点。さらに、22分、26分と立て続けにトライを許し、苦しい展開に。しかし、早大Bはセットプレーが安定していたこともあり、徐々に敵陣でのプレー時間が増えていく。そして、35分FB水谷彰裕(商2=東京・早大本庄)のゲインから、ボールをCTB桐ヶ谷稜介(スポ2=群馬・太田)へとつなぎ、最後はインゴールへ持ち込んでトライ。ゴールも決まり、前半を7-26で折り返した。
スクラムでは終始相手を圧倒した
後半の立ち上がり、早大Bは主導権を握り敵陣深くで攻める時間が続く。そして8分、CTB野口祐樹(人3=群馬・太田)からのオフロードパスを受けたSO中野厳(社3=東京・早大学院)がインゴール中央へ飛び込み、反撃ののろしを上げた。試合は、ここから点の取り合いとなる。14分に敵陣22メートル付近のラインアウトからモールで押し込まれ、失点を喫する。すると、早大Bは22分にターンオーバーからロック丸尾隆大郎(社2=東京・早実)が大きくゲイン。その接点から大外へ展開し、最後はフッカー森島大智(教1=東京・早実)のトライで得点。その後、お互いに1トライずつ挙げて、最終的に26-38でノーサイド。後半の追い上げも一歩及ばず、惜敗した。
キレのあるステップでゲインを見せた水谷
この試合では、セットプレーの精度が高く、不用意なミスからの失点は少なかった。セットプレーの成功率を高めることはマイボールでプレーできる時間を増やすことにつながる。春に浮き彫りになった課題を着実に克服しつつあるように思われた。しかし、前半ではディフェンスラインのギャップを突かれたシーンが散見され、ディフェンスも以前から取り組んできた課題であるだけに修正が必要だろう。春シーズンは負けが続いたが、夏の厳しい練習を経て、一回りも二回りも成長した早大に期待せざるを得ない。8年ぶりの日本一奪還へ、厳しい夏がいよいよ始まる。
(記事 新開滉倫、写真 尾澤琴美、成瀬充、高橋里沙)
練習試合 | ||||
---|---|---|---|---|
早大B | スコア | 東海大B | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
1 | 3 | T | 4 | 2 |
1 | 2 | G | 3 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
7 | 19 | 計 | 26 | 12 |
26 | 合計 | 38 | ||
【得点】▽トライ 桐ケ谷、中野厳、森島、貝塚 ▽ゴール 宇野(1G)、野口(2G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大登録メンバー | |||
---|---|---|---|
背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 佐田 涼祐 | 社4 | 東京・早実 |
2 | 周藤 直也 | 社4 | 東京・早大学院 |
後半0分交代→17森島 | |||
3 | 千葉 太一 | 教4 | 東京・早実 |
4 | 三浦 駿平 | スポ1 | 秋田中央 |
後半7分交代→20水野 | |||
5 | 吉満 慎吾 | 人3 | 東京・本郷 |
6 | ◎堤 悠 | 政経4 | 東京・攻玉社 |
7 | 幸重 天 | 文構1 | 大分舞鶴 |
8 | 中山 匠 | 教1 | 東京・成城学園 |
後半20分交代→19丸尾 | |||
9 | 杉本頼亮 | スポ3 | 京都・桂 |
後半25分交代→21貝塚 | |||
10 | 宇野 明彦 | スポ1 | 神奈川・横須賀 |
後半3分交代→22中野厳 | |||
11 | 加藤 皓己 | 創理1 | 北海道・函館ラサール |
12 | 野口 祐樹 | 人3 | 群馬・太田 |
13 | 桐ケ谷 稜介 | スポ2 | 群馬・太田 |
14 | 緒形 岳 | スポ2 | 新潟・新発田 |
15 | 水谷 彰裕 | 商2 | 埼玉・早大本庄 |
後半0分交代→23千野 | |||
リザーブ | |||
16 | 井上 大二郎 | スポ2 | 愛知・千種 |
17 | 森島 大智 | 教1 | 東京・早実 |
18 | 小澤 祐仁 | 法2 | 東京・早大学院 |
19 | 丸尾 隆大郎 | 社2 | 東京・早実 |
20 | 水野 孟 | 基理3 | 東京・早実 |
21 | 貝塚 陸 | スポ2 | 東京・本郷 |
22 | 中野 厳 | 社3 | 東京・早大学院 |
23 | 千野 健斗 | 人2 | 東京・成蹊 |
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |
コメント
プロップ佐田涼祐(社4=東京・早実)
――Aチームの後半のスクラムについてどう評価していますか
最初は順調に(スクラムを)組めていたのですが、相手が3人代わってからは勝っているのにコントロールできなかったです。そこは修正点だと思いますが、常に優勢だったとは思います。
――FW陣は4年生が多かったですが、同学年だからこそできる息の合ったプレーもありましたか
同期とやるのは楽しいので、あったのかもしれないですね。
――Aチームの試合はオフェンスでリードしながら、個人技での1トライに留まりました。その点について、どう考えていますか
1人のキャリアのドライブなど一人一人が頑張らなきゃいけない細かいところをさぼったり、できなかったりして、攻撃が積み重ねられませんでした。結局、相手に張られたままだったので、一つ一つのプレーがもっとできればよかったと思います。
――Bチームのスクラムも優位に組めていたのではないでしょうか
優勢でしたね。コントロールできました。
――春の戦いを振り返っていかがですか
負ける試合ばかりでモチベーションを上げるのが難しかったと思います。理由は、明らかに課題に上がっていることをやり切れなかったり、選手自身の問題もあると思います。その中でも確実に少しずつ積み重なっている部分はあると思うので、ちょっとは自信になりましたが、物足りなかったという気持ちもあります。
――収穫や課題は見つかりましたか
個人としては、僕の武器であるスクラムは引き続き磨いていきたいと思います。ディフェンスは明らかにできていないと思うので、そこを余裕を持ってできるようにするのが僕の課題です。チームとしては、もう少し元気がほしいなという気持ちがあります。勝つことももちろん大事なんですが、やっていて楽しいことが一番大切だと思うので、そこは課題だと思います。
――夏合宿に向けて、意気込みをお願いします
頑張ってスタメンに戻って、Aチームで赤黒を着れるように頑張ります。
プロップ千葉太一(教4=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
春やってきたことの集大成を出せればいいかなと思っていました。
――スクラムで貢献していた印象を受けました
まだまだです。まだ東海大の方が何枚も上手です。
――具体的な改善点などありますか
フロントの枚数が少ないのはいいと思いますが、一人一人がレベルアップしていかないと、この夏以降は戦えないと思います。
――今シーズンを振り返っていかがでしたか
自分の実力の無さでBに落ちたりだとか、いろいろありましたけど、良いシーズンだったのかなと自分では思います。
――AチームBチームどちらでも戦われて、感じたことなどありますか
強いチームでやることを、上から下まで徹底してやらないといけないと思います。弱いチームは徹底できていないということが顕著に出たかなと。A、Bは別として、Cでも(相手が)強くなると別のことをやってしまう。それだといけないと思います。
――夏に向けての意気込みをお願いします
夏もう一度帝京大や東海大とやる機会をいただいているので、そこに向けてチームを建て直していきたいと思います。桑野詠真(スポ4=福岡・筑紫)を日本一のキャプテンにするために、まず4年生から全力で頑張っていきたいと思います。
ロック三浦駿平(スポ1=秋田中央)
――ケガの回復具合はどうですか
もう大丈夫です。
―AチームとBチームの両方の試合に出て、感じたことはありますか
Bチームとは接点の強さが違いました。
――B戦ではセットプレーが安定していましたが、意識していたことはありますか
特に自分は身長が高いので、自分はラインアウトとキックオフを自分の中で頑張ろうと決めていました。そこはしっかりとできたので良かったと思います。
――後半に追い上げる展開となりましたが、チームの中でハーフタイムで話し合ったことはありますか
まず、気温は高かったんですけど、暑さに負けないで自分たちのプレーをしっかりしようと話しました。
――ディフェンス面を振り返っていかがでしたか
自分は足が止まってしまって、思うようなディフェンスやタックルができなかったと思いました。
――春シーズンがひと段落しましたが、この春を振り返ってみていかがでしたか
怪我で半分以上練習に参加できなかったんですけど、その分、夏にしんどい練習をたくさんやって上のチームでプレーできるように頑張りたいです。
――最後に夏の期間頑張りたいことを教えてください
フィットネスの向上ですね。
WTB緒形岳(スポ2=新潟・新発田)
――後半、大きくゲインするなど好プレーが見られました。ご自身で振り返っていかがですか
前半はポジショニングなど分からない部分が多くて、ディフェンスの立ち位置などで迷ってしまいました。そういうところで体力を使ってしまって、ボールを持って走らなければいけないところで走れないという場面が多かったです。後半は要所で自分がボールをもらいたいときにいいかたちでボールをもらって、しっかり走れたので、結果ゲインできました。
――ディフェンスに関してはどうでしたか
SHだと後ろから声で指示して動かすことが多いのですが、WTBだと横と連携して動くので、そこがやってみて難しいなと思いました。味方とコミュニケーションを取って、連動して動くという部分がまだまだだなと思います。あと、個人のコンタクトの部分が弱いので、まだまだですね。
――きょうはWTBでの出場でした
WTBはボールを持つ回数が少ない分、しっかりゲインしたり得点につながるプレーをしなくてはいけないと思うのですが、そういうプレーにつながらないのは自分のスキルが足りないところだと思います。SHと違ってもっと積極的にやっていいところだと思うので、そこはもっとやらなくてはいけないと思いました。でも、欲しいときに要求できたのは良かったと思います。
――春シーズン全体を振り返って、どのようなシーズンでしたか
今シーズン春からいっぱい試合に出させてもらっていて、色々なことを試合や練習で経験できました。昨年と比べてずっと濃い3ヶ月でしたし、みんなでミーティングで夏からワセダは伸びていこうと話しているので、気持ちを切らさないようにして、夏も自分にとって勝負だと思って、追い込んで頑張りたいと思います。
――夏合宿ではどのようなところを意識して練習していきたいですか
自分でもっとアピールして上のチームに絡んでレギュラーを勝ち取らないといけないと思うので、学年関係なく同じチームの人や上のチームの人ともっとコミュニケーションを取ってやっていければいいなと思います。
FB水谷彰裕(商2=埼玉・早大本庄)
――きょうはA戦とB戦両方にほぼ全てに出場しました。振り返っていかがですか
バックスリーはWTBとFBから声を出そうとやっていっいて、途中トライを決められて点を取られて声を出せなかったところもありましたが、トライできて少しは流れを変えられたかなと思います。
――2試合出場はかなり体力的にも厳しいところがあったと思います
きつかったですね(笑)。B戦の終わりはもう足が動かなかったです。前半の最後にトライを演出できましたが、それ以降は大変でした。
――B戦に出ることは初めから予定されていましたか
B戦80分、A戦は何分かという感じでしたが、実際はA戦60分で、B戦も裏がいなかったので。
――A戦ではキックで進めてトライを決めました
前半に僕のミスで終わってしまったので強気にいこうと思っていました。たまたまですね(笑)。
――1つトライを決めたことでアピールにもなったと思います
ステップとスピードが自分の強みだと思っているので、そこがアピールできて良かったです。久しぶりにトライできて良かったです。
――A戦では野口竜司選手(東海大)に外側から抜かされてしまった印象でしたがどうお考えですか
周りもうまくて別次元でしたね。そこは反省点です。
――後半戦は流れが良くなりましたが、その要因は何であるとお考えですか
前半は簡単にトライされていたところを、後半はみんなで戻ってタックルをして粘れて、そこでトライをとって流れに乗れたので良かったなと思います。やっていて前半よりきつくなかったです。
――ハーフタイム中にその点については指示などはありましたか
山下監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)から「春の最後だからやることやってこい」と言われて、みんな気合いが入ってそれがかたちになりました。
――B戦は体力的にも厳しい試合でしたが、振り返っていかがですか
途中から足が止まってしまってチームに貢献できませんでした。でも、試合の途中で古庄さん(史和ヘッドコーチ、平15教卒=国学院栃木)に「思い切っていってこい」と言ってもらってトライにつながったので、そこは良かったかなと。
――この春シーズンを振り返っていかがですか
去年からケガでずっとチームを離れていて、みんなが一番きついことをやっている時も練習できていませんでした。復帰してまだ3週間ですが、そこでできるアピールはできたかなと思っています。
――ことしはどのような夏にしていきたいですか
ケガをしているバックスリーの先輩方も帰ってくるので、頑張ってついていきたいです。
――これから夏、秋に向けての抱負をお願いします
今シーズン初めて赤黒を着れたので、秋も着られるように夏合宿でアピールをしていきたいです。