早大の新人戦初戦の相手は宿敵・慶大。要所で春の強化ポイントであるディフェンスが光ったが、オフェンスは振るわず。前後半合わせて2トライと決め手に欠けた。アタックの練習をしていないとはいえFWはセットプレー、BKはハンドリングの部分でミスが目立ち連携の未熟さに課題が残る。今季、1年生が中心で組まれる試合はこれが初めてであり、新人のフレッシュなプレーが見たいところだったが後半にチームが崩れ14ー33で敗北した。
最初に仕掛けたのは慶大新人だった。前半9分、グラウンド中央付近でペナルティーをクイックで持ち込まれ、一気にゴール前へ侵攻される。ディフェンスが粘るもスクラムで押し込まれ崩れたところを狙われトライを献上。0-7と先制を許した。しかし、ターンオーバーから早大新人も攻め込み、速いテンポで攻撃を展開。最後はフランカー幸重天(文構1=大分舞鶴)が飛び込みすぐに取り返し同点に追いつく。その後も早大新人はキックを使い優位な陣地でプレーを進めようとするが、一進一退の攻防が続き得点が動かないまま終盤へ。前半30分、スクラムのボールをスティールされ攻め込まれると、自陣でのプレーが続く。個々の接点では決して負けていないが、相手FWの、ラックの上を越える意表を突くトライでさらに失点すると、終了間際にもう1トライを奪われ7-21で前半を終える。終盤は気力が切れたのか、ディフェンスの戻りも遅く立て続けにトライを許してしまった。
ゲームキャプテンを務めたNO・8三浦駿平(スポ1=秋田中央)。この日の対法大A戦でリザーブ入りを果たすなど、ポテンシャルは高い
追い付きたい早大新人であったが、後半も停滞が続いた。途中、慶大新人の連続ペナルティーで22メートルラインを越え得点のチャンスを得るが、やはりミスが重なりあと一歩が届かない。ラインブレイクしてもフォローが遅く攻撃にテンポが出ないもどかしい時間が続いた。しかし後半27分、FB加藤皓己(創理1=北海道・函館ラサール)のナイスタックルで相手がボールを落とすと、CTB船越明義(社2=東京・早大学院)がそれを拾い上げ独走トライ。14-21と差を縮める。これを機に追い上げたい早大新人であったが、試合時間残り5分、終了間際とゴール前で受け身になったことで連続失点を許し試合終了。前半と同じかたちで失点を重ね14-33で敗北を喫した。
攻守で存在感を示した加藤皓
チームのコンセプトであるディフェンスが1年生にも浸透してきているのは感じた。しかし、お互いミスが目立つ慌ただしい試合展開の中でも早大新人の不安定さは際立った。抜けたところへのフォローやペナルティー時の切り替え、スクラムの精度など入部から3ヶ月ということもあり全体の完成度がまだ粗い。現状を打破するにはSO宇野明彦(スポ1=神奈川・横須賀)が「日々の練習で改善」と言うように、練習を重ねるしかない。次の明大新人戦まで練習あるのみ。フレッシュマンたちはまだまだ発展途上だ。
(記事 高橋団、写真 大庭開)
新人早慶戦 | ||||
---|---|---|---|---|
早大新人 | スコア | 慶大新人 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
1 | 1 | T | 3 | 2 |
1 | 1 | G | 3 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
7 | 7 | 計 | 21 | 12 |
14 | 合計 | 33 | ||
【得点】▽トライ 幸重、船越 ▽ゴール 宇野(2G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
コメント
フッカー森島大智(教1=東京・早実)
――試合を振り返っていかがでしたか
自分たちのミスから全てが始まっていて、余計なことをしてしまったり、やるべきことが徹底できてなかったり、そんな試合でした。
――スクラムは前半と後半で修正した点はなにかありますか
前半は、押そう押そうという意識が先行したが故に、自分がコントロールしなくてはいけないところがコントロールしきれていなくて、全員が一体になれなかったのですが、後半からは、集まる前からお互い声を掛け合って全体でコミュニケーションを取れたんじゃないかと思います。
――ラインアウトの感触はいかがでしたか
ただ取れればいいと考えがちでした。でも本当はそれだけじゃなくて、次にどうプレーするのかということまで考えなくてはいけなかったと思います。
――後半の終盤に連続失点となりましたが、FW陣のディフェンスについて、なにか修正点はありますか
タックルを受けてしまう場面が多くありました。ちゃんと前に出て、自分たちがやろうとしているディフェンスを前後半通じて徹底させないと絶対に勝てないです。そのためには普段練習でやっていることを全面に出していかないと意味がないので、そういうところから改善していきたいと思います。
――自身の持ち味となるプレーはどこだと思いますか
今後こうなりたいという意味で、セットプレーを安定させてスクラムも引っ張っていけるような選手になっていきたいです。
――次戦の意気込みをお願いします
きつい場面でも、自分のタックルで流れをかえられるようにありたいです。
フランカー幸重天(文構1=大分舞鶴)
――新人戦でしたがどのような意気込みで試合に臨んだのですか
1年生とはいえ相手は慶大ですし、早大のプライドを持って戦おうとみんなで話していました。
――タックルが良かったと思いますが、ご自身で振り返ってみていかがですか
一番止めなければならないゴール前で自分たちFW陣が受けてしまって、体を張り切れなかったのが、敗因になってしまったと思います。
――チームディフェンスに関してはいかがですか
後半になってどんどん走らなければいけないところで走れなくなって、相手のやりたいアタックを受けてしまって、体を張り切れなかったです。
――ペナルティーの後など戻りが遅いように感じました
そうですね。ゲインされてしまいました。
――それは体力的な問題でしょうか
そうですね。あとは意識と気持ちですね。
――ラインアウトの安定性に欠けてしまっていましたが、どうでしたか
後半になって三浦(駿平、スポ1=秋田中央)が抜けて、きつくなって、合わなくなってきたと思います。
――次の明大との新人戦に向けてどのような点を修正したいですか
ことし早大新人としても、ブレイクダウンとセットプレーとディフェンスというのをメインでやっているのですが、ディフェンスとセットプレーが崩壊してこんな試合になってしまったので、あと2週間、ディフェンスとセットプレーにフォーカスして練習していきたいと思います。
――明大との新人戦への意気込みをお願いします
まずは自分の責任を果たして、ディフェンスだったり体を張り続けることだったり、単純なことをチームのためにやり続けたいと思います。
SO宇野明彦(スポ1=神奈川・横須賀)
――きょうのゲームコンセプトはなんでしたか
敵陣で戦うことを意識して前にキックを蹴って陣地を取り、そこでで練習でやってきたディフェンスをしながら相手のミスを待つ、というものです。
――後半はキックの数が減りましたが
相手のバックスリーが対応してきたので、空いているスペースがなかなか見つからず蹴れませんでした。それから、敵陣に入れていたので、もう少し攻めようとしていました。
――BKは前に出てタックルできていた印象がありましたが、いかがでしたか
まだまだSO、CTBあたりが強いタックルで押し返すことができていないので、そこが反省です。前に出たうえで、強い押し返すタックルをしていきたいです。
――オフェンスでは、ラインブレイク後のフォローが少なかったと感じましたが、振り返っていかがですか
まだ切り替えが遅くて、2人目3人目の寄りが遅かったです。もっと(フォローが)両サイドに付くようにしてキャリアーに選択肢を多く与えてやりやすいように声を出していきたいです。
――ハンドリングミスや、パスミスについての反省はありますか
日々の練習でもっと改善して、うまくなれるように頑張っていきます。
――次の新人戦に向けて、どのようにチームを組み立てていきますか
自分の指示でチームを動かして、エリアマネジメントを特にしっかりします。ディフェンスでは前に出て良いタックルを自分からやってチームを鼓舞できるように頑張っていきます。
WTB藤浪魁(基理1=東京・本郷)
――新人戦での慶大との対戦でしたがいかがでしたか
自分は今まで練習ではSHをやっていましたが、この試合はWTBのポジションでプレーをして、思い切りプレーはできたのですが課題の多くの残る試合になりました。
――具体的にはどういった課題が残りましたか
FWで押されていてしまったかな、と。ことしワセダはチームディフェンスを主に練習してきたのですが、そこでしっかりディフェンスできなかったことが課題です。
――ピッチは濡れていましたが、キック処理などはどうでしたか
ピッチが濡れていたことは特に問題なかったのですが、ボールがやはり濡れて滑りやすくなっていて、自分も一度ミスをしてしまったので、そこが良くなかったです。
――アタックにはどのような意識で臨みましたか
外でもらってから、足の速さを生かしていこうというのを意識していました。
――フォローディフェンスをする場面が多かったと思いますが、このことについてはいかがですか
本当は自分がフォローディフェンスしなくても前でしっかりとめられるのがいいんですけど、抜けてきた選手は自分がしっかりとめようと思っていました。
――では最後に、藤浪選手の持ち味としているプレーを教えてください
ボールをもった後の鋭いステップと足の速さをいかしたプレーが得意です。
FB加藤皓己(創理1=北海道・函館ラサール)
――オフェンスでは、フォローが少なかったりハンドリングミスがあったり、そういったミスが見受けられましたが、そのあたりはどう思われますか
勝負をしなくてはいけないような、肝心なところでミスが多くてトライを取りにいけなかったのが課題として残りました。必要のないオフロードだったりとか余計なミスで自分たちの首を絞めていたので、そういうことを減らして次の早明戦に挑みたいと思います。
――ディフェンスでは、FBとして後ろから見てFWの戻りなどはいかがでしたか
相手が攻めてくるところをタックルで差し込まれて、さらにFWの戻りが遅くなるという悪循環が起きていまいました。まずは、タックルで前に出られるとFWも楽に回れていいディフェンスができるようになるんじゃないかなと思います。
――後半、体力的にはいかがでしたか
相手も含め全員疲れているのは同じなので、その中でどれだけ走れるかということが大切だと思っていて、きょうはここぞというときに走れたので、個人手には良かったんじゃないかとおもます。
――この試合を振り返って、次回への意気込みをお願いします
今回の課題を次の試合までにしっかりと修正できれば、絶対に勝てると思うので頑張っていきたいと思います。