白星するり…残り時間10分で、法大に逆転負け

ラグビー男子

 蒸し暑い天候の中、早大は保土ヶ谷公園ラグビー場にて法大との一戦に臨んだ。5月中旬から続いていた関東大学春季大会も最終戦。Bグループながら1勝3敗と厳しい戦いを強いられており、最終戦は何とか勝利で終えたいところだった。しかし、残り時間10分の状態で12点をリードしていながら、法大に試合をひっくり返されてしまう。最終スコアは26-28。目前まで迫っていた春シーズン久々の白星を逃してしまう結果となった。

 風下に立って前半を迎えた早大は、5分に幸先良く先制点を挙げた。中盤でフェーズを重ねる中で、CTB中野将伍(スポ1=福岡・東筑)がディフェンスのギャップを突きラインブレイク。フォローに入ったWTB佐々木尚(社2=神奈川・桐蔭学園)にラストパスが渡った。セットプレーで圧倒し、試合を優位に進めるものの、アタックにはうまくつながらない。ディフェンスでも、後手に回る場面が目立った。一つ一つの接点で差し込まれてしまい、11分、15分と立て続けに失点。しかし、セットプレーで優位に立つ早大は21分、10m近くを押し切り、スクラムトライを奪う。その後は互いにチャンスをつくるもミスやペナルティーが響き得点には至らず。14-14の同点で試合を折り返した。

2トライを挙げる活躍を見せた佐々木

 後半も早大ペースで進んでいく。12分に佐々木がきょう2本目のトライを奪い、勝ち越しに成功。さらに16分、敵陣深くでのラインアウトからBKに展開し、SO岸岡智樹(教1=大阪・東海大仰星)が内側に走り込んできたWTB勝浦秋(スポ4=愛知・千種)にバックフリップパス。そのまま勝浦がインゴールまでボールを運び、法大を突き放した。追加点を狙い、中野将の力強いランなどでチャンスメークするも決め手を欠き、スコアが動かないまま試合は終盤へ。残り時間は10分となり、早大は5戦ぶりの勝ち星を手にする目前だった。「チームの中で油断が出た」と勝浦が振り返るように、ここからまさかの連続失トライ。12もあった点差をひっくり返されてしまった。ラストアタックに望みをかけた早大だったが、トライは奪えず。まさかの逆転負けでノーサイドとなった。

勝浦もついに今季初トライ。WTB争いはし烈になってきた

 「(重要な場面での)甘さや精度の低さが出てしまった」(ロック桑野詠真主将、スポ4=福岡・筑紫)。この試合の反省点はこの一言に尽きるだろう。ラグビーには、流れを変える一瞬がある。トライを取り切らなければいけない場面、逆に守り切らなければいけない場面。今季の早大は、そんなシーンでの甘さや精度の低さが目立つ。法大戦で言えば、最後の10分間がそれだ。目の前で逃したこの日の勝利。春シーズンで取り返すことができる機会は、もう来週の東海大戦しか残っていない。「スクラム、ブレイクダウン、チームディフェンス。そこをもう一回、徹底的にやる。」(桑野)。この一週間、早大の強みをもう一度見つめなおし、東海大との一戦に臨む。

(記事 進藤翔太、写真 尾澤琴美)

☆関東大学春季大会の全日程を終了

 今季で5回目を迎えた関東大学春季大会(春季大会)の全日程がこの試合をもって終了した。関東大学対抗戦(対抗戦)、関東大学リーグ戦それぞれの前年の順位によってグループ分けがされる春季大会。昨季の対抗戦で4位だった早大はBグループへ回った。慶大、青学大、大東大、法大、拓大と試合を重ね、勝ち星を挙げたのは拓大との一戦のみ。同グループでは、大東大が5戦全勝で1位となった。しかし、あくまでも本番は9月から始まる対抗戦だ。秋に飛躍を遂げるためにも、鍛錬の夏でどこまで力をつけられるかに注目したい。

過去の記事はコチラ



公式戦初戦、青学大にまさかの敗北/関東大学春季大会(16.05.15)


後半で逆転!拓大を下す/関東大学春季大会(16.05.22)


我慢の春。同大戦に続き、早慶戦でも大敗/関東大学春季大会(16.06.05)


チームの強み出せず。大東大に大差で敗北/関東大学春季大会(16.06.19)

関東大学春季大会
早大 スコア 法大
前半 後半 得点 前半 後半
14 12 14 14
26 合計 28
【得点】▽トライ 勝浦、佐々木2 ▽ゴール 岸岡(3G)
※得点者は早大のみ記載
早大登録メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
鶴川 達彦 文構3 神奈川・桐蔭学園中教校
鷲野 孝成 基理2 神奈川・桐蔭学園
柴田 雄基 文3 愛知・千種
山口 和慶 スポ4 福岡
◎桑野 詠真 スポ4 福岡・筑紫
加藤 広人 スポ3 秋田工
西田 強平 スポ2 神奈川・桐蔭学園
佐藤 真吾 スポ2 東京・本郷
吉岡 航太郎 スポ3 国学院栃木
10 岸岡 智樹 教1 大阪・東海大仰星
11 勝浦 秋 スポ4 愛知・千種
12 高橋 吾郎 スポ3 福岡・修猷館
13 中野 将伍 スポ1 福岡・東筑
14 佐々木 尚 社2 神奈川・桐蔭学園
15 梅津 友喜 スポ1 岩手・黒沢尻北
リザーブ
16 井上 大二郎 スポ2 愛知・千種
17 佐田 涼祐 社4 東京・早実
18 小澤 祐仁 法2 東京・早大学院
19 三浦 駿平 スポ1 秋田中央
20 中山 匠 教1 東京・成城学園
21 杉本 峻 商4 東京・早実
22 桐ケ谷 稜介 スポ2 群馬・太田
23 水谷 彰裕 商2 埼玉・早大本庄
※◎は主将、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)
コメント

ロック桑野詠真主将(スポ4=福岡・筑紫)

――試合全体を振り返ってみていかがでしたか

先週の試合と同じことで、一つ一つの接点のボールキャリーの強さとか、タックルの強さが足りないかな、と。あとは、(得点を)取り切るところでスコアする、守り切るところで守り切るという部分で、甘さや精度の低さが出てしまった試合だったと思います。

――大事な局面での甘さには、どのような原因があるのでしょうか

監督(山下大悟監督、平15人卒=神奈川・桐蔭学園)が言っていることを、一人一人が深く受け止められていないから、ということもあるかもしれないです。

――スクラムでは終始優勢でした

そうですね。最初は良かったんですけど、最後のスクラムでボールを出せなかったら、何も意味がないので。ああいう場面で取れないと、全然ダメだと思います。

――その最後のスクラムの場面を振り返って、何か原因はあったのでしょうか

いろいろと技術的な原因はあったんですけど、一つ言うなら、あそこで取ってやるという気持ちの部分が足りなかったのかなと思いますね。

――ラインアウトではターンオーバーする場面が目立ちました

そうですね。そこは練習してきた部分が出せたのかなと思います。

――ディフェンスでは、一番内側を突破されてしまう場面が目立ちました。原因は何だったのでしょうか

セットが遅れてしまって、ディフェンスが後手後手に回ってしまったのかなと思います。

――後半残り10分での逆転負けでしたが、率直な気持ちを教えてください

22m内や自陣に入られても、絶対にスコアをされないという思いが足りなくて、それが一つ一つのタックルの精度につながってしまいました。チームとしてディフェンスを強みにしていく上で、一人一人が絶対にスコアされないぞ、という気持ちをどれだけ持てるか。それがチームとしてのディフェンスの強さを生むと思うので。

――来週の対東海大戦で春シーズンが一区切りとなると思います。どこにフォーカスして一週間練習していきたいですか

春シーズンにやり続けてきた部分ですね。スクラム、ブレイクダウン、チームディフェンス。そこをもう一回、徹底的にやる。それだけですね。

――最後に、東海大戦に向けた意気込みをお願いします

春シーズンにやってきたことを出す場だし、どこまでできるかを試す場だと思います。今までやりたいことが全くできていないので。最終戦、東海大戦でどれだけできるか、もう一度チャレンジしたいと思います。

プロップ柴田雄基(文3=愛知・千種)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

最初の20分を制圧しようと話していて、先制点を取ったり敵陣でプレーできたのは良かったです。でも終盤に選手が変わったり疲れが出てくると、詰めの甘い部分があったというか。本当に最後の最後ができていなかったという印象です。

――スクラムは優位に立っていた印象ですが、手応えはいかがでしたか

前半は自分の組みたいかたちで組めていたのですが、相手が変わったことでスクラムの距離感などが変わって、対応し切れずに、最後の数本で受けてしまったという感じです。

――ターンオーバーし切れなかった部分もあったように見えました

相手がダイレクトフッキングしてNO・8が直接きたので、組んだ瞬間に制圧し切れていませんでした。一旦待ってから押してしまっていました。もっと早い段階からプレッシャーをかけられれば良かったのですが、それができませんでしたね。

――ラインアウトの安定感についてはいかがでしたか

風が強いというのもありましたが、やはりセットプレーは一連のプレーの起点になるので、まだまだ(安定感は)低いかなという印象です。

――ディフェンスの内側を破られてしまった印象を受けたのですがいかがでしたか

最初のアタックで外に回されて、内側の意識がいったん外にいってからという感じだったので、自分のプレーが切れてしまったのかなと思います。

――今シーズンを振り返っていかがでしたか

なかなか厳しい練習をしてきて結果が付いてきていませんが、自分たちがやっていることを信じてこれからもやっていこうと思います。今でももちろん勝たなければいけないし、結果を重視していないということではないですが、まだベース作りの部分なので。山下監督(山下大悟監督、平15人卒=神奈川・桐蔭学園)からもらっているものを自分たちで信じてやっていくだけですね。あとは強みにしているところをもっともっと伸ばしていけたらと思います。

――同じポジションの千葉太一選手(教4=東京・早実)についてはどのような印象ですか

とても器用な印象ですね。

――ご自身の強みは何だと思いますか

難しいですね…。フィットネスの部分などでは負けているので、身体を当てていけるところですかね。

――今シーズン成長したと思う部分はありますか

スクラムとディフェンスのセットです。

――柴田選手の理想の選手像を教えてください

プロップなので、セットプレー、特にスクラムで自分がいるかいないかで全然違うと言われるような選手です。

WTB勝浦秋(スポ4=愛知・千種)

――きょうの試合はいかがでしたか

今週のテーマは相手を圧倒することだったのですが、後半の最後に集中力が切れてしまい負けてしまいました。

――集中力が切れた原因は何でしょうか

2トライくらい差がついた時に、チームの中で油断が出てしまい、これが集中力が切れた大きな原因だと思っています。

――きょうの試合でトライを決めました

WTBとして、トライするのは使命です。今までの試合ではその試合を果たせなかったので、トライを決めることができて良かったです。

――サインプレーを使ってトライを狙いましたか

そうですね。サインプレーが上手く機能しました。

――BKで事前に決めていたアタックなどはありますか

アーリーキャッチ、ボールのスピードそして走り込んでボールをもらうこと、この3つをテーマに取り組んでいます。しかし、今回の試合ではこの3つが発揮することができませんでした。

――きょうのディフェンスはどうでしたか

広いスペースがある場合は相手がパスしてボールが浮いている間に、前に出るように意識しています。最初はできていた部分もありましたが、次第にその意識がなくなっていったと感じています。

――スタメンに定着してきました

まだ実感はないですね。1年生にも良いWTBがいるので、どうなるか不明ですね。

――チームの敗戦が続いています

勝ってこそ初めてチームの自信になると思います。これから一つ一つの試合を勝って、自信をつけていきたいです。

――ラストイヤーを迎えました

最後の年ですし、大学でラグビーをやるのも最後なので今まで以上に、ラグビーに割く時間を多くして取り組んでいきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

スタメンで出場して、WTBとしての使命を果たし、チームの勝利に貢献したいですね。