初夏の陽気のなか行われた明大Bとの練習試合。前半は失点こそ許したものの、自陣でのディフェンスで粘りを見せ、簡単にはトライを奪わせない。しかし後半、大幅にFWのメンバーチェンジをすると、セットプレーの安定感を欠いてしまう。そこを起点に明大Bに大量得点を許し7-74で敗北。一方のアタックでもたびたび敵陣深くまで攻め込みチャンスを演出するが決めきれず、わずか1トライ。安定したセットプレーの重要性を思い知らされる結果となった。
試合開始直後、早大Bは相手のキックミスからチャンスを得る。幸先よく得点したい場面だったが、敵陣でのラインアウトを失敗し、チャンスを生かしきれない。それどころか一気に自陣まで攻め込まれてしまった。しかし、自陣でのモールディフェンスやタックルで粘り強く耐え、ついに相手のペナルティーを誘った。このまま失点を防ぎたいところだったが、タックルミスやキック処理のもたつきなどの細かいミスが響き、3トライを奪われてしまう。0-24とまずまずの点差で折り返した。
1年生らしい思い切ったプレーで、トライにつながる突破を見せた武田誠
後半は完全に明大Bのペースだった。FWのメンバーががらっと変わった早大Bは、スクラムで相手に優位に立たれてしまう。スクラムで押し負けると、相手にすばやく外に展開され、FWのディフェンスが追いつかない。また、マイボールスクラムでたびたびターンオーバーされてしまった。加えてラインアウトも安定せず、思うようにアタックにつなぐことができない。そんな中、「練習から意識していた場面だった」と中央付近の連続攻撃からCTB武田誠太郎(社1=島根・石見智翠館)が抜け出してラインブレイク。パスを受けたWTB佐々木尚(社2=神奈川・桐蔭学園)がトライを決め、一矢報いた。しかし、後半コンスタントにトライを献上した結果、50失点。7-74と大敗した。
ディフェンスでは裏に出られる場面が目立った
セットプレーの安定感を欠き、大量得点許したきょうの試合。セットプレー・ディフェンス・ブレイクダウンを柱に掲げている以上、このような大量失点はあってはならないことだ。しかし、タックルから相手を越える場面も何度か見られるようになり、わずかながらも確実に進歩はしている。セットプレーの安定と、ディフェンス力の向上。春シーズンも残りわずかとなった。負けが続く苦しい状況ではあるが、そのような状況下でも一歩一歩勝利へ進んでいってほしい。
(記事 本田理奈、写真 大庭開、橋本望)
練習試合 | ||||
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早大B | スコア | 明大B | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
0 | 1 | T | 4 | 8 |
0 | 1 | G | 2 | 5 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
0 | 7 | 計 | 24 | 50 |
7 | 合計 | 74 | ||
【得点】▽トライ 佐々木 ▽ゴール 広瀬(1G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 佐田 涼祐 | 社4 | 東京・早実 |
後半0分交代→16井上 | |||
2 | 三隅 寛己 | 法2 | 東京・早実 |
後半19分交代→17尾島 | |||
3 | 千葉 太一 | 教4 | 東京・早実 |
後半0分交代→18小澤 | |||
4 | 吉満 慎吾 | 人3 | 東京・本郷 |
後半0分交代→19水野 | |||
5 | 三輪 達哉 | 文2 | 三重・桑名 |
6 | 堤 悠 | 政経4 | 東京・攻玉社 |
後半13分交代→21中山 | |||
7 | 西田 強平 | スポ2 | 神奈川・桐蔭学園 |
8 | 佐藤 健 | 商2 | 東京・早大学院 |
後半0分交代→20幸重 | |||
9 | 杉本 頼亮 | スポ3 | 京都・桂 |
後半33分交代→22貝塚 | |||
10 | ◎広瀬 泰斗 | 政経4 | 東京・早大学院 |
11 | 高橋 駿 | 文構4 | 東京・早実 |
後半13分交代→25伊藤 | |||
12 | 武田 誠太郎 | 社1 | 島根・石見智翠館 |
後半37分交代→24野口 | |||
13 | 千野 健斗 | 人2 | 東京・成蹊 |
14 | 佐々木 尚 | 社2 | 神奈川・桐蔭学園 |
15 | 作田 蓮太郎 | 教3 | 東京・早実 |
リザーブ | |||
16 | 井上 大二郎 | スポ2 | 愛知・千種 |
17 | 尾島 拓樹 | 商2 | 東京・早実 |
18 | 小澤 祐仁 | 法2 | 東京・早大学院 |
19 | 水野 孟 | 基理3 | 東京・早実 |
20 | 幸重 天 | 文構1 | 大分舞鶴 |
21 | 中山 匠 | 教1 | 東京・成城学園 |
22 | 貝塚 陸 | スポ2 | 東京・本郷 |
23 | 船越 明義 | 社2 | 東京・早大学院 |
24 | 野口 祐樹 | 人3 | 群馬・太田 |
25 | 伊藤 大貴 | スポ2 | 愛知・春日丘 |
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |
コメント
SO広瀬泰斗ゲームキャプテン(政経4=東京・早大学院)
――きょうの試合、ゲームキャプテンとして意識したことはありますか
先週の慶大戦を踏まえて、ひとりひとりが体を張ってファーストタックル、ブレイクダウンを激しくしようとチームに言ってゲームに入りました。
――先週の慶大戦に比べてディフェンスの評価はどうですか
ブレイクダウンで何回かターンオーバーは出来たんですけど、結果この点差になってしまいました。何回ターンオーバーしようが失点してしまっては意味がないので、ほぼ評価に値するには至っていないです。まだチームディフェンスは作りきれていないかなという印象です。
――タックルも良くなりターンオーバーも増えましたが、ディフェンスの成長というのは感じていますか
非常に低いレベルではありますけど、多少なりとも少しは粘り強さが出たかなと思います。本当に若干ですけど。
――後半に入りスクラムから試合が崩れましたが、振り返っていかがですか
スクラムやラインアウトは攻撃の起点なので、非常に重要ではあるんですけど、それの確保が厳しいということで思ったようには攻められなかったです。その中でもBKとしての最低限の仕事はしようと考えていました。ただスクラムでターンオーバーされたりとか、やりたいことができなかったのでそこは残念です。
――チャンスでもトライを決めきれなかったことについては、どう考えますか
アタックの練習はあまりしていないとは言いつつも、BKのユニットの練習で2次攻撃、3次攻撃の練習は多少はしていました。先週からコーチの方にもBKとしての責任という部分で、トライを取りきってFWを助けろ、ということは言われていましたし、選手たちの中でもBKでトライを取れるところは取ろうと話していました。それでもチャンスを取りきれなかったのはスキル不足だと思うので、またしつこくしつこく言い続けていきたいと思います。
――春の試合はまだ続きますが、チームをどのように進めていきますか
引き続きチームディフェンスはこだわってやっていくとこなので、戦えるレベルにするということと、もっとひとりひとりが他人任せにしないで自覚を持って戦っていくのを継続していくだけです。
プロップ千葉太一(教4=東京・早実)
――試合を振り返ってみていかがでしたか
セットプレーが安定しないと試合にならないということを痛感した試合だったと思います。そこは反省すべき点ですね。
――セットプレーとは具体的にどのような部分ですか
ラインアウトでボールを確保しないといけないですね。明大や帝京大、東海大といったチームに通用するセットプレーを練習してきたのに、それが全然実っていないな、と。一人一人の認識の甘さ、精度に対する思いが足りないように感じました。
――前半のスクラムではペナルティーが両チームとも多かったですが、レフェリングと合わなかった部分もあったのでしょうか
そうですね。前半のスクラムでは勝てていたと思います。後半に関しては、良い悪いと言えるレベルまで達していないということを痛感しました。メンバーが変わっても、安定したスクラムを組んでいかなければいけないと思います。
――前半は自陣のディフェンスで粘る場面も見られました
そうですね。前半は4年生も多かったですし、そのプライドという部分が見えたかなと思います。
――この試合で出た課題はありましたか
セットプレーですね。明大や帝京大、東海大といった強いチームに勝つためにセットプレーを作り上げてきたんですけど、その今シーズンこだわっている部分で勝てなかったので。トレーニングを怠っているというわけではないんですけど、まだまだ足りないのかなと思います。どうやったら勝てるのかということを一人一人が真剣に考えないと、積み重なっていかないと思います。この試合では、現状を見せつけられたので、それを知れて良かったですね。山下監督(山下大悟監督、平15人卒=神奈川・桐蔭学園)が言っているように、セットプレー、ブレイクダウン、ディフェンスがキーになってくるので、そこをしっかり修正したいです。あしたリベンジの機会があるので、しっかり頑張りたいです。
CTB千野健斗(人2=東京・成蹊)
――ディフェンスの精度が向上しているように感じましたが、ご自身で振り返っていかがですか
セットプレーが安定していていなくてFWに最後いかれたり、近場をゲインされたり、スクラムでペナルティーを取られてそのまま自陣にいかれて点を取られたりしてしまいました。でもBKでのフェーズは悪くなかったと思います。
――CTB武田誠太郎選手(社1=島根・石見智翠館)との連携はどうでしたか
良かったと思います。1年生だったので、のびのびやってくれればいいと思って、声をかけてサポートしようかなと思っていました。
――後半に大量失点をしてしまいましたが、振り返っていかがですか
セットプレーが安定しなくなって、自分たちのやりたいことができませんでした。
――やはり課題はディフェンスでしょうか
そうですね。まずはセットプレーだと思います。
――ご自身の強みはどのようなところだと考えていますか
ディフェンスの部分です。周りとコミュニケーションを取って、チームディフェンスを最も体現できる選手になりたいです。
――前回の試合まではAチームでプレーしていました。Aチーム定着に向けての意気込みをお願いします
まだ試合が残っているので、残りの試合でアピールして、上にいきたいです。
CTB武田誠太郎(社1=島根・石見智翠館)
――この試合の感想はいかがでしたか
初めての試合ということで不安も少しあったのですが、ワセダで初めて試合に出られるということが嬉しかったですし、期待も大きかったので、楽しんでやることができました。
――アタックにはどういう意識で臨まれてましたか
明大も強い大学なので、自分がためらったら抜けないと思っていました。しっかり自分を出せるように思い切り良くやろうと思っていて、実際に試合で実践できたので良かったと思います。
――トライにつながる突破でした。あの場面は狙っていましたか
練習の時に指摘されていた所で、意識していた場面だったので、抜けたのは練習が結果にコミットしたおかげだと思います。
――ディフェンスについてはいかがでしたか
明大のFWが強くて、ワセダのFWが差し込まれてしまい、それに合わせてBKがディフェンスラインを上手く構築できれば良かったのですが、それができなかったです。
――自身が強みにしたいのはどんなプレーですか
強豪校と試合をする中で、自分がチャンスを作って周りのプレーヤーを生かせるようなプレーをもっとしたいです。
――次の試合に向けて修正していきたい点はどこですか
この試合はアタック面では回数は少なかったですが、自分のやりたいこと、持ち味を出せたと思います。ディフェンスではビデオを見直して課題を見つけて、修正していきたいと思います。