6月に入り、春シーズンもいよいよ中盤。早大Bは、慶大日吉グラウンドにて慶大Bと対戦した。敵陣でプレーする機会も多かったものの、慶大Bの固いディフェンス網を崩し切ることができない。それとは対照的に、慶大Bはチャンスをしっかりとものにし、トライを重ねていく。後半には、途中から入った佐田涼祐(社4=東京・早実)、柴田雄基(文3=愛知・千種)の両プロップを中心にスクラムで圧倒し試合をリードするも、終わってみればスコアは7-59。前後半を通じてディフェンスの甘さが目立ち、大差をつけられての敗戦となった。
キックオフ直後のブレイクダウンでプレッシャーをかけ、ペナルティーを得た早大B。ラインアウトからモールを組み、前進を試みるも、慶大Bに押し返されてしまう。BKも決め手を欠き、得点には至らない。すると前半10分、逆に自陣深くでのラインアウトからモールで押し切られ失トライ。その後はブレイクダウンで先をとられ、テンポの良いアタックを展開されてしまった。コンスタントに得点を許し、前半だけで5トライを献上。0-35で試合を折り返した。
たびたびブレイクを許してしまった
後半に入っても戦況は変わらず。後半開始のキックオフからノーホイッスルでのトライを許すと、スクラムでの劣勢も響き、10分、15分、21分と立て続けに失点してしまう。それでも25分にフロントローを総入れ替えし、スクラムで圧倒し始める。すると31分、ゴール前でのスクラムからフェーズを重ね、最後はWTB佐々木尚(社2=神奈川・桐蔭学園)が裏のスペースへショートパント。みずからボールを押さえ、トライを挙げる。そこからはフランカー佐藤健(商2=東京・早大学院)が効果的なサポートを見せるなど、アタックにもリズムが生まれた。しかし、ここでタイムアップ。後半の最後に一矢報いたものの、7-59でノーサイドを迎えた。
トライを奪われ肩を落とす選手たち
今季はAチーム、Bチームともに、前半で大きくリードされる試合が目立っている。「試合の入りをどれだけ精度高くできるかが重要」(SO広瀬泰斗ゲームキャプテン、政経4=東京・早大学院)との言葉通り、まずは試合の入りでリズムをつくっていきたいところだ。勝ち星が遠く、厳しい戦いが続く早大。それぞれの試合で出ている課題をどれだけ修正できるかに注目したい。
(記事 進藤翔太、写真 栗村智弘、鎌田理沙)
練習試合 | ||||
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早大B | スコア | 慶大B | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
0 | 1 | T | 5 | 4 |
0 | 1 | G | 5 | 2 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
0 | 7 | 計 | 35 | 24 |
7 | 合計 | 59 | ||
【得点】▽トライ 佐々木 ▽ゴール 広瀬(1G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 井上 大二郎 | スポ2 | 愛知・千種 |
後半25分交代→16佐田 | |||
2 | 三隅 寛己 | 法2 | 東京・早実 |
後半25分交代→17周藤 | |||
3 | 尾澤 祐仁 | 法2 | 東京・早大学院 |
後半25分交代→18柴田雄 | |||
4 | 入谷 怜 | スポ2 | 愛知・南山 |
前半4分交代→20小柴 | |||
5 | 三輪 達哉 | 文2 | 三重・桑名 |
6 | 佐藤 健 | 商2 | 東京・早大学院 |
7 | 西田 強平 | スポ2 | 神奈川・桐蔭学園 |
8 | 堤 悠 | 政経4 | 東京・攻玉社 |
9 | 栗原 慶 | 文構2 | 埼玉・早大本庄 |
前半40分交代→21堀越 | |||
10 | ◎広瀬 泰斗 | 政経4 | 東京・早大学院 |
11 | 作田 蓮太郎 | 教3 | 東京・早実 |
前半19分交代→24高橋駿 | |||
12 | 野口 祐樹 | 人3 | 群馬・太田 |
後半33分交代→22船越 | |||
13 | 高橋 吾郎 | スポ3 | 福岡・修猷館 |
前半40分交代→23中野厳 | |||
14 | 佐々木 尚 | 社2 | 神奈川・桐蔭学園 |
15 | 伊藤 大貴 | スポ2 | 愛知・春日丘 |
リザーブ | |||
16 | 佐田 涼祐 | 社4 | 東京・早実 |
17 | 周藤 直也 | 社4 | 東京・早大学院 |
18 | 柴田 雄基 | 文3 | 愛知・千種 |
19 | 近田 和 | 法2 | 東京・早実 |
20 | 小柴 大和 | 法2 | 北海道・函館・ラ・サール |
21 | 堀越 友太 | 社2 | 東京・早実 |
22 | 船越 明義 | 社2 | 東京・早大学院 |
23 | 中野 厳 | 社3 | 東京・早大学院 |
24 | 高橋 駿 | 文構4 | 東京・早実 |
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |
コメント
SO広瀬泰斗ゲームキャプテン(政経4=東京・早大学院)
――この試合のゲームプランはどのようなものでしたか
チームの事情で、BKはそれなりにメンバーが揃っていたんですけど、FWはなんとか合わせてという感じでした。セットプレーとかサインプレーに関してはあんまり期待していないというと少し語弊があるのですが、それよりもこれまで自分たちがやってきたチームディフェンスでアタックにつなげるというプランをチームとして共有していました。
――ゲームキャプテンとしてどのようなことを意識しましたか
先発として出ていた4年生が少なかったので、後輩を引っ張るためにプレーや声掛けを意識しました。10番というポジションでもあるので、FW・BK共に小まめに声を掛けようと思っていました。
――ディフェンスはいかがでしたか
慶大のしつこくタテにくるプレーを試合前にもしっかり止めようと話していたのですが、そこでブレイクされて簡単にゲームを取られてしまったので、まだまだ甘いなという感じです。
――ご自身のキックの出来はいかがでしたか
きょうはあまり蹴る機会がなかったというか、攻める機会があまりなかったので蹴ることも少なかったです。でも例えば蹴らなければならない場面で蹴らなかったりとか、使わないキックを使わないという選択ができなかったりとかがあったので、そこが自分の反省点です。
――この試合での収穫は何ですか
後半の最後の方、メンバーが変わったということもあるのですが、相手の攻めにやっと対応できたかなという感じでした。でも特別これといった収穫はなかったです。
――1年生の岸岡智樹選手(教1=大阪・東海大仰星)とどのような差を出していきたいですか
自分が特にこだわってやっていきたいのは、身体を張る部分です。ことしはチームディフェンスをやっていこうというのがテーマなので、そこは自分の強みにしていきたいです。岸岡はパスやキックのスキルに長けているので、自分は身体を張るという部分では絶対に負けないようにしたいと思います。
――次戦に向けて修正したい点はありますか
Aチームでもよく課題として出ているのですが、試合の入りをどれだけ精度高くできるかが重要だと思います。試合の入りの部分でチームディフェンスを発揮してどれだけ前に出られるかがキーになってくると思います。
プロップ佐田涼祐(社4=東京・早実)
――後半途中からの出場でしたが、どんなことを意識して試合に臨みましたか
試合の流れが良くなかったので、セットプレーを安定させて、ブレイクダウンでファイトして、チームの士気を上げられたらなと思っていました。
――その言葉通り、スクラムで圧倒する場面も目立ちました。手応えはありましたか
スクラムでは圧倒できたと思います。
――スクラムへのこだわりはまだまだ継続していくのでしょうか
そうですね。フィールドにいる選手も、グラウンドの外のコーチ陣もそういう思いでいると思います。
――ご自身のプレーを振り返ってみていかがでしたか
もっとターンオーバーしたかったですね。あとは、タックルの精度が甘かったです。もっとダブルタックルなどで、ターンオーバーにつながるタックルをしたかったです。
――タックルの後に、立ち上がって越えていくという場面が少なかった印象です
そうですね。そのために、いま練習で何度も反復しています。タックルに入ったあとのプレーで受けてしまったり、越えていかなきゃいけないんですけど、立ち上がって終わってしまうという部分があるので。そこについてはみんなで強化しているところですね。
――ボールタッチの回数が多かった印象ですが、振り返ってみていかがでしたか
そうですね。僕もボールを持って当たるというプレーは嫌いじゃないので。積極的にやった結果だと思います。
――体が大きくなったように見えますが、コンタクトプレーなどで手応えはありますか
ことしに入ってから、当たり負けているなと思うことがあまりなくなりましたね。去年に比べて5、6キロ増えているので。体重が増えたおかげだと思います。
――春シーズン、これまで厳しい結果が続いていますが、それについてはいかがですか
結果が出ていないのは、僕たちがコーチから求められているものをしっかりこなせていないからだと思うので。それでも、少しずつ何かをつかめてはきていると思うので、それを少しずつ積み重ねていきたいと思います。
――春はそういう期間なのでしょうか
そうですね。積み上げていく期間だと思います。
――明日の試合でもリザーブに入っていますが、どんなプレーをしたいですか
僕が試合に出たら、セットプレーでは全部圧倒したいです。フィールドプレーでもしっかりファイトして、ほかのフロントローに負けないようなプレーをしたいと思います。
――あすの試合ではプロップでの出場になるのでしょうか
たぶんフッカーになると思います。始めたばかりのポジションなのでどこまでできるかはわからないのですが、しっかりチャレンジしていきたいと思います。
フランカー佐藤健(商2=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
前半は自分たちのやりたかったことができなくて、ペースがつかめなかったのですが、後半の最後の方は自分たちのやりたかったことができたと思います。最初から「入りを意識しよう」と臨んだ試合だったので、そこは駄目だった点です。
――佐藤選手は、ボールの近くに積極的に行く場面が多くみられました
自分の強みが、ディフェンスというよりキャリアーと自負しているので、そこは積極的にもらいに行こうという意識はあり、このようになりました。
――早大のディフェンスが突破されてしまう原因は何だとお考えですか
FWのディフェンスセットですね。慶大はFWが順目に走ってSHからパス、という単調なアタックだったのにも関わらず、自分たちが相手より早いセットをできなかったのが、良いタックルにつながらなかったのだと思います。
――きょうの試合は前半にセットプレーで不安定な場面が多く見られましたが、振り返っていかがですか
メンバーという問題はありますが、そういうことは関係なしに僕たちは「FWを強みに」と掲げて練習をしているので、そこは誰が出ても強めに押していけるスクラムにしていかなければと思います。
――一次攻撃から、BKが大外にボールを回す場面が多かったですが、フランカーとしてはいかがでしたか
特に気にならなかったです。アタックどうこうより、ディフェンスをしっかりやろうと臨んだ試合だったので、アタックはそんなに気にしていないです。ただ、継続して自分たちのペースに持っていければ、相手より余裕をもってプレーできたと思います。
――1年生が入部してきて、ポジション争いがし烈になってきたと思います。佐藤選手はご自身の強みのプレーをどう見せていきますか
強みと言えるほどのワンプレーはできないのですが、強みを出していくというよりは、弱みをなくしていこうと思います。ディフェンスを求めている組織なので、そこを自分の強みにしていこうと思います。
――きょうの試合から修正して、次に生かしたいのはどのようなところですか
ディフェンスです。ディフェンスのセットと、あとは1人目、2人目のタックルの質ですね。そこでボールを奪いきるプレーを80分間、みんなが続けることができればと思います。