先週行われたYC&AC JAPAN SEVENSに引き続き、早大は7人制の大会に臨んだ。拓大との第一戦は、前半次々とトライを決めるも、後半は主導権を奪われてノートライ。19-43で敗北し、初戦に敗れたチームで争われるコンソレーションに進んだ。コンソレーション1回戦の相手は慶大。開始早々2連続トライを決められるも、「絶対負けられない」(高橋吾郎、スポ3=福岡・修猷館)と意地を見せて同点まで持ち込む。しかしそこで追加点を許し、そのまま試合は終了。チームとして普段からの練習の成果は発揮できたものの、個人のコンタクトで課題が目立ち、悔しい結果に終わった。
拓大との第一戦。開始30秒で千野が相手のパスミスからボールを奪い、高橋吾がフォローする。幸先の良い先制点を得た。続いて緒形岳(スポ2=新潟・新発田)がパスダミーで相手を翻ろうし、再び高橋吾がトライ。早大は攻める姿勢を崩さず、12点差をつけた。さらにその差を広げたい早大は前半終了のホーンが鳴った後にペナルティーを得たものの、プレーを続行。焦りからかインターセプトされ、そのまま走り切られてしまった。そこから流れを逃した早大は、後半に入って3連続失トライ。終了間際にもダメ押しの追加点を許し、初戦黒星を喫した。
サポートプレーで活躍を見せた高橋吾
コンソレーション1回戦の相手は慶大。早大のタックルにミスが目立ち、相手に有利な場面が続いて14点のリードを許してしまう。負けじと緒形が好機をつくり出し、なんとか同点まで追いついた。千野健斗(人2=東京・成蹊)もターンオーバーに成功し、ついに逆転を果たす。このまま早大が勝利を収めるかと思われた。ところが「個が全然通用していない」と緒形が振り返ったように、一対一の場面でなかなかボールを奪えない。後半約4分。慶大の選手にイエローカードが出され数的有利になったものの、このチャンスは生かせなかった。それどころか早大も1名退場になり、6対6になってしまう。ここでクイックスタートの流れのまま慶大に得点を許し、得点は21-26。最後の最後に反撃を試みたもののあと一歩届かず、早大はグラウンドをあとにした。
ラックサイドへのアタックが光った緒形
白星を挙げることはかなわなかったものの、普段の15人制の練習を生かし、ディフェンスラインを整備できた場面が見られたことも確かだ。「下級生のレベルアップという意味では良い経験になったと思う」と山川慶祐(社4=東京・早実)が語ったように、中心に置いている15人制での勝利に向けて、選手の経験値を上げることにもつながっただろう。次は15人制の開幕戦となる高麗大戦。新体制になった早大ラグビー蹴球部の、15人制でのプレーにも注目だ。
(記事 橋本望、写真 本田理奈、尾澤琴美)
結果
1回戦 ●早大19-43拓大
コンソレーション1回戦 ●早大21-26慶大
※1回戦の勝者がチャンピオンシップ、敗者がコンソレーションのそれぞれのトーナメントに進出する
早大登録メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
6 | 佐藤 健 | 商2 | 東京・早大学院 |
7 | フリン 勝音 | スポ2 | 福岡・筑紫丘 |
8 | 千野 健斗 | 人2 | 東京・成蹊 |
9 | 緒形 岳 | スポ2 | 新潟・新発田 |
11 | 作田 蓮太郎 | 教3 | 東京・早実 |
12 | 高橋 吾郎 | スポ3 | 福岡・修猷館 |
13 | 桐ケ谷 稜介 | スポ2 | 群馬・太田 |
14 | 山川 慶祐 | 社4 | 東京・早実 |
15 | 伊藤 大貴 | スポ2 | 愛知・春日丘 |
20 | 杉本 峻 | 商4 | 東京・早実 |
21 | 中野 厳 | 社3 | 東京・早大学院 |
23 | 板垣 悠太 | 基理2 | 東京・玉川学園 |
※監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |
コメント
千野健斗(人2=東京・成蹊)
――この試合を振り返っていかがでしたか
後半にフィットネスがきつくなり、プレーの精度が悪くなってしまったと思います。
――当初のゲームプランはどのようなものでしたか
ディフェンス中心に、ディフェンスラインを保って、全体にプレッシャーをかけていくことを意識していました。
――この試合にあたって個人として意識されたことはなにかありますか
7人制の形でも、15人制と同じで基礎的なスキルを実践しようと思っていました。7人制というよりも、自分の基礎的なスキルを確実にやろうと意識していました。
――ディフェンス面での反省点などありましたらお聞かせください
タックルが甘かったかなとも思いますし、しっかりと相手に体を当てることが出来ていなかったと思います。タックルの時に足がついていかなかったですね。
――今季に向けて個人的な目標をお聞かせください
チーム編成が近々発表されるのですが、そこで与えられた自分の立ち位置で出来ることをやって、少しでも上のチームでプレーします。
緒形岳(スポ2=新潟・新発田)
――今大会はどのようなことを意識してプレーしていましたか
先週もそうだったのですが、15人制の練習をチームでずっとやってきたので、チームディフェンスのところなどは特別な練習はしていません。いつも通りの練習の成果をセブンズでも出して、それを結果的に勝ちにつなげていくという感じでした。なので、みんなでコミュニケーションをとりながらチームディフェンスをやっていくことを意識しました。
――チームディフェンスはうまくいきましたか
ディフェンスラインをつくるところはうまくできたと思います。ただ、僕自身もそうなのですが、個人のコンタクトのところで負けたりとかタックルで飛び込んでしまってうまくできなかったりとかして、個でやられてしまったところはありました。チームとしては良かったと思います。
――先週の試合から修正した点はありますか
練習自体はあまりしていません。ミーティングで、前回はディフェンスラインをつくるところまではできたので、今回はつくった後、前にディフェンスのプレッシャーをかけるということを普段の15人制の練習でやりました。そこを強く意識してプレーしようということが修正点です。
――よく周りが見えていたと思うのですが、いかがですか
自分ではあまりそう思いません。結構きつかったですね。
――セブンズに出て、どのような収穫を得られましたか
個が全然通用していないので、もっと強くならなければいけないと感じました。ランニングで少し相手を引きつけられた場面はあったかなと思うので、そこはもっと自分の武器にしていけると思います。15人制になっても、SHなのでディフェンスする機会は少ないんですけど、一対一の場面で負けないことと、あと途中で疲れてしまったので走れるようにすることを修正していきたいです。
――15人制に向けては、走りを強化していきたいということでしょうか
そうですね。たくさん走ることと、あとはディフェンス、タックルで当たり負けないようにしたいです。
髙橋吾郎(スポ3=福岡・修猷館)
――先週の大会から、どのような準備をしてきょうの試合に臨みましたか
新体制がスタートしてからずっとディフェンスのライフラインで、みんなで面をそろえてやるっていうのをやってきていました。それがYA&CA JAPAN SEVENSではできたって評価されたんですけど、それができていながら前に圧力を掛けられていなくて、面を維持しながら前に圧力を掛けようという練習をしてきました。
――それはきょう出すことができたと思いますか
出せたシーンもあったんですけど、最後のタックルのシーンで飛び込んでしまったり受けてしまったりしたので、求められているディフェンスにはまだ及ばないと思います。
――サポートに入ってトライを挙げるなどの活躍をされていましたが、自身のパフォーマンスについてはどう評価していますか
先週トライを取れなかったので、きょうトライを取れたっていうのはうれしいんですけど、やはり自分でっていうわけではないので。フォローとかサポートでごっつぁんっていうトライでしたし、自分でラインブレイクしてトライしたかったなと思いますね。ディフェンスも自分のミスでトライを取られた部分もあるので、これから15人制の試合が始まっていきますし、それまでに準備して修正して試合出られるように頑張ります。
――きょうは何度かサポートに入っていましたが、狙っていたのでしょうか
やはりサポートに走ってトライも大事だと思うので、おいしいとこ取りじゃないですけど、そういうプレーも必要だと思います。サポートのコースも大事だとコーチから言われたので、追い上げとかは意識してやっていました。
――キックの精度が高かったですね
ゴールキックの成功率は良かったと思うんですけど、キックオフの最初ミスってしまって、あれで流れが悪くしてしまったのかなと思います。
――2戦目は早慶戦となりましたが、慶大に対して思うところはありましたか
絶対負けられないと思って気持ちを入れて臨んだんですけど、結果が出なくてチームのみんなに申し訳ないというか。自分たちの結果に落胆しています。
――最後に、これから始まる15人制に向けて意気込みをお願いします
新しいチームに代わって、戦術とか求められていることとか変わっていると思うので、しっかり山下監督(山下大悟監督、平15人卒=神奈川・桐蔭学園)とかコーチが求めていることを試合で出せるように、チームで自分の役割を遂行できるように高麗大戦に向けて練習してAのCTBに定着したいなと思います。
山川慶祐(社4=東京・早実)
――どういったことを意識して試合に臨みましたか
ディフェンスのところをライフラインとして、チームとして、組織としてのディフェンスをする、ということを意識していました。
――7人制のためのディフェンスということではなかったのでしょうか
そうですね。あまり準備する時間もなかったので、15人制でもやっている部分で勝負していこうと思っていました。
――今季のチームはディフェンスに重きを置いていますね
そうですね。でも、きょうは二試合ともディフェンスが崩壊してしまうシーンがあったので、そこをチームで持ち帰ってやらなきゃいけないと思います。課題ですね。
――山川選手の持ち味であるアタックに関してはいかがでしたか
自分としても、アタックを頑張りたいと思っていたんですけど、この試合では全然良くなかったですね。これから春シーズンに入っていく中で、いろいろと試していけたらいいなと思います。
――ラストイヤーとなる今季はどんなシーズンにしていきたいですか
いろいろと環境が変わっている中で、コーチ陣、選手ともにやる気がすごくあると思います。セブンズではなかなか結果がついてこなかったですけど、ここで得たものや足りなかったものを自分たちで見つめ直して、春シーズンやっていきたいと思います。
――得たもの、足りなかったものをそれぞれ具体的に教えてください
足りなかったものは、ディフェンスですね。大事にしていく部分だったのに、失点が多かったと思うので。ディフェンスを大事にするのであれば、結果として失点を少なくしないといけないと思います。あとは個人のタックルスキルですね。得られたものは、下級生が多く出ていたことで、下級生のレベルアップという意味では良い経験になったのかなと思います。ぼく自身も下級生のころにセブンズとかで経験を積まさせてもらったので。それをみんながチームに還元していければいいなと思います。