新チーム初となる対外試合、YC&AC JAPAN SEVENSに挑んだ早大。1回戦の相手は日大だった。昨年度、同大会で2位という結果を残しているだけに、格の違いを見せつけたいところだったが、接点で競り負け24-26でまさかの惜敗。続くコンソレーション1回戦では青学大と対戦するも、ここでもシーソーゲームをものにすることができずに、21-22でノーサイド。早々に大会から姿を消すことに。アタックや選手間のコミュニケーションに手ごたえを感じる一方で、悔しい結果となった。
開始2分のことだった。作田蓮太郎(教3=東京・早実)がギャップを突いてアタックを仕掛け、早々に先制する。5-0とし、下級生中心にチームを組んだ早大が日大に先行するかたちに。しかし、その後は相手のパスワークに翻弄(ほんろう)され、立て続けに失点。杉本峻(商4=東京・早実)のトライで何とか同点に持ち込み、12-12で前半を折り返した。迎えた後半では、点を取り合うゲームが展開される。9分にインゴールを侵されるも、その2分後には相手の反則を起点に桐ケ谷稜介(スポ2=群馬・太田)が右サイドに抜け出し、2点差まで縮めた。しかし、ここで真正面からのコンバージョンキックを失敗。一進一退の接戦の中で早大は最後まで日大に追い付くことができず、24-26でノーサイド。2点差に泣くこととなった。
ランで抜け出す場面が目立った作田
下位トーナメントであるコンソレーション1回戦に挑むことになった早大は、青学大と対戦。キックパスなどを用いた相手の攻勢に後れを取り、序盤から10点ものビハインドを背負う苦しい展開となる。スクラムから緒形岳(スポ2=新潟・新発田)が個人技で1トライを返すも、今度はセンタースクラムから内側を抜かれて追加点を献上。7-17とされたところで前半が終了した。後半に入ると、「もう1回落ち着いて今までやってきたことをやろう」(作田)とラインアウトから作田が相手のギャップを突き、得点。反撃ののろしを上げた。守っては、「一人が勝手にプレーせず二人で守る」(佐藤健、商2=東京・早大学院)と連携を取り、相手に自由なプレーを許さない。緒形がパスダミーから独走トライを挙げるなど、好プレーも見られた。だが、前半の大量失点を取り返すことができずに21-22で試合終了のホーン。またしても接戦をものにすることができなかった。
緒形もアタックで存在感を示した
1勝も挙げることができず、辛酸をなめさせられた今大会。日大戦は2点差、青学大戦は1点差と、僅差だったゆえに悔しさもひとしおだ。しかし、「自分たちのディフェンスができていた時間帯はトライも取られていない」(杉本)とオフシーズンの成果を実感することができた場面もあった。得たものを次戦につなげて、15人制にも生かすことができれば、きょうの敗戦は無駄にはならないだろう。各選手の成長に期待したい。
(記事 佐藤諒、写真 本田理奈、桝田大暉)
結果
1回戦 ●早大24-26日大
2回戦 ●早大21-22青学大
早大登録メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 桐ケ谷 稜介 | スポ2 | 群馬・太田 |
2 | ◎杉本 峻 | 商4 | 東京・早実 |
3 | 佐藤 健 | 商2 | 東京・早大学院 |
4 | 作田 蓮太郎 | 教3 | 東京・早実 |
5 | 辺津 勘太 | 法2 | 東京・早実 |
6 | 伊藤 大貴 | スポ2 | 愛知・春日丘 |
7 | 高橋 駿 | 文構4 | 東京・早実 |
8 | 千野 健斗 | 人2 | 東京・成蹊 |
9 | 緒形 岳 | スポ2 | 新潟・新発田 |
10 | 板垣 悠太 | 基理2 | 東京・玉川学園 |
11 | 高橋 吾郎 | スポ3 | 福岡・修猷館 |
12 | フリン 勝音 | スポ2 | 福岡・筑紫丘 |
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |
コメント
杉本峻ゲームキャプテン(商4=東京・早実)
――この試合にはどんな思いで臨んだのでしょうか
僕らはセブンズのために、という感じでは練習していなくて、きょねんに比べて対策はしていなかったんですけど、新チームが始まって一カ月間やってきた部分、特にディフェンスのところをしっかりやろうということを心がけていました。アタックに関しては、器用な選手も少なかったですし、試合経験もまだ浅いメンバーだったので、それぞれが自分たちのプレーをできれば良いかなと思っていました。その中で、緒形(岳、スポ2=新潟・新発田)とか、作田(蓮太郎、教3=東京・早実)はトライも取れていましたし、よく走れていたと思います。他の選手に関しては緊張して硬くなってしまったように感じたので、そこはこういうチームの代表として出るような試合を経験していけばもっと良くなってくるんじゃないかと思いますね。
――意識して臨んだディフェンスについて、この試合を振り返ってみていかがでしたか
周りを考えずに自分勝手なプレーをしてしまう場面が、僕を含めて何回かあったんですけど、全体的に見たらかなり良かったんじゃないかと思います。自分たちのディフェンスができていた時間帯はトライも取られていないですし、良いディフェンスができたという実感はある程度ありますね。
――セブンズへの準備が足りなかったからか、ギャップをつくってしまう場面が目立っていたように思えました
そうですね。そこ(ギャップをつくらないこと)は意識していたんですけど、ギャップをつくってしまった場面が失点に繋がりましたし、敗因になってしまったと思います。
――下級生中心のメンバー編成でしたが、上級生として引っ張っていこうという気持ちはありましたか
僕はこの試合の中で、特段、抜けたりとかはしなかったですし、すごいことができるプレーヤーではないんですけど、セービングなどといった、気をつければできることに関しては負けちゃいけないと思っていました。その点に関してはグラウンドでも出せたんじゃないかなと思います。
――初の公式戦を終えましたが、これからどんなシーズンにしていきたいですか
チームとしてやらなくちゃいけないことだったりを全員で共有できているので、あとはそれを僕らがしっかりとやり切って、一年間ぶれずにやっていきたいと思います。自分たちのチームを、やっていることを信じ切って、一年間やり続けたいです。
――そのやらなければいけないことというのはどんな点なのでしょうか
チームディフェンス、セットプレー、ブレイクダウンですね。まずはそこをやり切ることです。あとは、それぞれのポジション毎に、細かくやらなくちゃいけないタスクや課題が与えられているので、それをしっかり認識して、個人がどれだけやり遂げられるかが大事になってくると思います。
――SHは齋藤直人選手(スポ1=神奈川・桐蔭学園)も入ってきて、ポジション争いが一層激しくなると思いますが、その点についてはいかがですか
杉本頼亮(スポ3=京都・桂)とか、吉岡(スポ3=国学院栃木)とかも含めて、僕が勝っているとは思っていないですし、今シーズンは監督も新しくなって、全員がフラットなところからスタートになります。なので、僕は岳とかも含めて全員がライバルだと思っています。なので、もう一度、1年生の時のような気持ちでしっかりやっていきたいと思います。ただ、昨シーズン試合に出続けたということを、おごりとかではなく、生かしていけたら良いなと思います。僕が簡単に負けてしまったらきょねんのメンバーに失礼だと思うので。そういう気持ちでやっていきたいです。
佐藤健(商2=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返っていかがでしょうか
初めてのセブンズということで自分としてはいまいちだったんですけど、チームとして大悟さん(山下監督、平15人卒=神奈川・桐蔭学園)になってからの練習で取り組んでいることが良い面で出ていたので良かったと思います。
――普段とは違うセブンズということで動きの面で特別に意識したことはありますか
セブンズだからと意識したことは特にないんですが、自分の持ち味である前に出るプレーを意識してやりました。
――トライの場面を振り返っていかがでしょうか
前に出たら良い感じに抜けられたので、突破しようと思って力強く突破しました。
――ディフェンスに関してはいかがでしょうか
大悟さんになってからディフェンスを重点的にやっていたので、一人に対して二人でディフェンスにいくこと、一人が勝手にプレーせず二人で守る意識があったので良かったプレーだと思います。
――今季初の公式戦を終えましたが、どのようなシーズンにしていきたいですか
個人としての目標はケガせずに、チームとしても大悟さんのやりたいことを理解して実行できるプレイヤーになりたいです。
緒形岳(スポ2=新潟・新発田)
――2連敗となってしまいましたが、結果についていかがですか
結果はよくないですが、対外試合は今シーズン初めてで、7人制なので選手もたくさん出られるわけではないので、負けはしましたが対外試合で他のチームと試合ができたのは良い経験だったと思います。
――スコアを見ると惜敗でしたが、勝利に足りなかったものは何だったと考えていますか
気持ちはそんなに折れていなかったと思うのですが、フィットネスとコミュニケーションの部分が想定していない事態が起きたときにうまく機能しなかったことが原因だと思います。今シーズンからやっているディフェンスを意識してやっていたのですが、そこはできたと思うので、悪いところもありましたが、良いところもあったと思います。
――セブンズに向けて、どのような準備をしましたか
セブンズだからこうしようという練習は、今回はあまりしていなくて、1年間通してやっていくディフェンスのスタイルを7人制でも出そうという話を監督からもされたので、15人制の練習の中で7人制に生かせるところはそのまま生かそうというかたちでした。
――緒形選手はスペースを突いて相手を抜き去る場面が何度かありましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか
1対1の勝負は多少は通用するところがあると思うんですけど、相手のディフェンスラインが整っているときはまだまだ通用しなかったと思うので、相手のディフェンスラインが整備されている中でも自分から切り裂いていけるプレーだったり、作田さん(蓮太郎、教3=東京・早実)のように相手がたくさんいても、それを抜いて自分からチャンスメイクできる選手になりたいと思います。
――2年目となることしは、どんなシーズンにしたいですか
目標は高く、赤黒を着て試合に出たいです。きょねんは全然試合に出てないので、頑張ります。
作田蓮太郎(教3=東京・早実)
――本日はセブンズの大会でしたが、セブンズに向けた専用の準備はしていましたか
はい。アタックだったりはセブンズのためにちょっとは用意したんですけど、ディフェンスは15人制に通じていままで積み重ねてきたことをやっていこうって臨みました。得る部分と課題が見つかったので良かったです。
――得る部分と課題とは
やりたいことができたときは、セブンズでも15人制でも相手を止められているんですけど、これをやってはいけないと普段から言っているようなプレーをしたときは抜かれたりゲインされたりしているので、そこは課題かなと思います。
――青学大戦の後半から、急にディフェンスが改善されたように思われたのですが、ハーフタイムで何か話し合ったのですか
最初にポンポン取られて前半は焦ってたので、そこでもう1回落ち着いて今までやってきたことをやろうってみんなで円陣になって話しました。
――2トライを挙げる活躍を果たしましたが、自身のパフォーマンスについてはいかがですか
僕はトライ取らないといけないポジションなんで、少しは仕事は果たせたかなって思います。
――最後に、今年度どういったシーズンにしたいですか
春やってきたことを自分たちだけは先に実践できているので、これを糧にして15人制でも頑張っていきたいと思います。
伊藤大貴(スポ2=愛知・春日丘)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
きょうはセブンズの大会なのですが、15人制につながるようなことをやろうというふうに、チームでこの一週間やってきました。特にディフェンスの面ではチームで一つになって、今までやってきたコミュニケーションを取ることや、ワンラインを保つことを意識してやりました。
――セブンズのためだけに準備してきたというわけではないのでしょうか
もちろん勝つことを目標にやってきましたが、7人制だからと言って特別なことをやるのではなく、3月からずっとやってきた、春シーズンの15人制の試合に向けてやらなくてはいけないことをグラウンドで体現することだけを目標にやりました。
――二試合目は相手を抜く場面がたびたび見受けられましたが、ご自身のアタックを振り返っていかがですか
アタックは正直自分としては自信がないのですが、スペースがあればもっともっと自分でいけるところがあったと思います。やはり、自分がボールを持っていない時から声を出して仲間に状況を伝えるといったところでも輝ける選手を目指したいと思います。
――一試合目はキックを蹴っていましたが、キックに関してはいかがですか
仲間に申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
――二試合とも僅差で敗れましたが、どのようなところが足りなかったと思いますか
アタックの面に関しては、一試合目からもっと一人一人が自信を持って、楽しく思いきったプレーで突破できれば結果は変わったと思います。逆にディフェンスでは、コミュニケーションも取れていたし、自分の中でものにすることができたものがあったと感じた一日だったので、よかったと思います。また、今後につなげていきたいと思います。
――春シーズンの意気込みをお願いします
昨シーズンは個人的に怪我が続いてうまく試合に出ることができない時がありました。自分の中で2年目が勝負だと思っているので、死ぬ気で絶対にレギュラーを取る、Aチームで試合に出るという気持ちだけでやっていきたいと思います。