この日お話を伺ったのは3年生のロック桑野詠真(スポ3=福岡・筑紫)、WTB勝浦秋(スポ3=愛知・千種)、WTB本田宗詩(スポ3=福岡)だ。上級生になり、チームの中でも重要な存在となっている3年生。昨季から主力として活躍している3人に、学年の雰囲気などをざっくばらんに語っていただいた。
※この取材は11月19日に行われたものです。
「個性が強い中でもお互いに意見が言える」(本田)
冗談を交えつつ対談を盛り上げる本田
——まずこの3人の組み合わせについて、聞いた時にどう思われましたか
勝浦 ぼくは今季そんなにAチームに固定して出ているわけではないので、ぼくなんかで良いのかなって。
本田 同じ学年でもこんなにすごい2人に囲まれて、緊張しています。
桑野 よう言うわ(笑)。
一同 (笑)。
——それぞれ他己紹介をお願いしたいのですが、まずは桑野選手の他己紹介からお願いします
桑野 他己分析か。就活っぽいな。
勝浦 ぼくたちの学年では、キャプテンは詠真しかいないかなと思います。すごくリーダーシップも発揮しているし、1年生の時からずっとAチームにもいて、試合にも出続けているので。すごいな、と思います。
本田 私生活もプレーもすごく勤勉ですね。ぼくは福岡にいた時から知っているんですけど、その時は正直に言ってそんなにすごいプレーヤーじゃなかったんですよ。でもいまは本当に伸びていて。なんかちょっと上から目線になっちゃうんですけど(笑)。今では大学界のロックの中でも指折りの存在だと思います。
——今の話を聞いて桑野選手はどう思われましたか
桑野 良いこと言うなと思いました。しっかり他己分析できてますね(笑)。
——本田選手についてはいかがですか
桑野 ぼくも高校時代から知っていて、福高(福岡高)の本田、っていう感じですね。福高がヒガシ(東福岡高)と対戦した時に、ひとりで4トライしてて。その試合は同点だったんですけど、その時にめちゃくちゃ活躍していた印象が強いですね。福岡にいた頃はそんなにしゃべるような仲ではなかったんですよ。大学でも1年生のころはケガが多かったんですけど、2年生になってからしっかり活躍していて。やっぱり宗詩がいないと得点力が下がっているのかなと思います。あと、プレーを見ていて面白いプレーヤーだと思います。
勝浦 自分自身がWTBに転向して思ったんですけど、本当にすごいプレーヤーだなと思います。特にステップなんかは他の選手にはできないようなこともするので。私生活はちょっとクソ人間なんですけど。
一同 (笑)。
本田 オンとオフの切り替えがうまいということで。
——勝浦選手の印象はいかがですか
桑野 ウエイトが本当にすごくです。最近も練習終わりとかにウエイトやってて、すごくラグビーに対して真面目ですし、見ていて力強いというか。私生活の面でも、学年の中で言うこと言ってくれるので、頼りになる存在だと思います。
本田 ワセダって体が他の大学に比べて小さいんですけど、その中でも体格があるしスピードもあるし、身体能力が高いな、と思います。ぼくもウエイト好きなんですけど、勝浦と競ってて。最近ちょっと良い勝負なんですけど。もうちょっとで追い越せると思います。
勝浦 いまはおまえが負けてるけどな。
本田 あと、顔が怖くてみんなとっつきにくいと思うんですけど、学年で一番おしゃべりで。正直結構うるさいです。
勝浦 それはやめろ。
一同 (笑)。
勝浦 実際そんなにおしゃべりじゃないですからね。
——とても仲が良さそうに見えますが、この3人の仲はいかがですか
本田 ぼくらの学年は、他の学年に比べて仲良いと思います。でもぼくはその仲の良さがマンネリ化してきちゃって。最近は福高の友達のよく遊ぶんですけど、そっちのほうが最近は面白いです。
一同 (笑)。
——3年生の雰囲気は良いのですね
本田あんまり馴れ合いっていう仲の良さではなくて、個性が強い中でもお互いに意見が言えるっていうほうで仲が良いです。
——特に仲の良い方などはいらっしゃいますか
桑野 佐田(涼祐、社3=東京・早実)と山口(和慶、スポ3=福岡)ですかね。オフのときとかもよく遊びます。この前は佐田とふたりで打ちっ放しに行ってきました。
本田 特にはいなくて、みんな平等ですね。
桑野 嘘つけ。
一同 (笑)。
本田 強いて言うなら、後輩の吉岡航太郎(スポ2=国学院栃木)と仲が良いです。
——勝浦選手はいかがですか
勝浦 まんべんなくなんですけど、しいて挙げるなら、同じ寮の人たちですね。上井草じゃない寮なんですけど。
——オフの日にはどんなことをしてリフレッシュされているのでしょうか
桑野 (本田選手を指差しながら)一番遊んでる。
本田 映画見たり、ショッピングいったり、最近は行ってないですけどディズニーランドに行ったり。あとは女の子と遊んだりですね。
一同 (笑)。
勝浦 ぼくはオフの日にも授業があったりするので、授業行くか、家で過ごしているかですね。
——みなさん地元を離れての生活だと思いますが、もう慣れましたか
桑野 ぼくは2年生の成人式の時くらいまではすごく帰りたかったですね。絶対に福岡が良いと思ってたんですよ。でも今はそんなに福岡欲みたいなものはないですね。薄れてきたというか。2年生まではオフがあったら帰りたいっていうくらいだったんですけど、今はそんな感じではないです。
本田 ぼくは真逆で、2年生までは、東京ってこんなに面白いんだ、って思ってました。いろんなことできて、いろんな場所があって。でも、成人式で帰っていた時に高校の友達と遊んだらめっちゃ楽しくて。いまはすごく福岡に帰りたいです。
勝浦 ぼくは生活に慣れるっていう意味では早い段階で慣れていましたね。でも、愛知県に帰りたいかっていうと、結構帰りたいですね。
桑野 嘘つけ(笑)。そんなに愛知帰りたいとか言ってないじゃん。
勝浦 まあ言わないけど。
本田 隠しちゃうからさ、勝浦。
——何か一人暮らしで困っていることなどはありますか
桑野 特にないですね。
本田 ぼくも特にないですね。洗濯が大好きで、自分で洗濯したものを日光に照らすという作業が大好きなんですよ。なので洗濯も全く苦じゃないです。
一同 (笑)。
勝浦 強いて言うなら、両親が作ってくれるご飯が美味しいので、それが食べられないってことくらいですかね。
桑野 好感度狙うなよ。
勝浦 狙ってねえよ(笑)。
一同 (笑)。
——先日、桑山聖生選手(スポ1=鹿児島実)と宮里侑樹選手(スポ1=沖縄・名護商工)にお話を伺った際に、寮にプライベートがない、と仰っていましたが、その点はいかがですか
桑野 1年生は寮にいる人数も少ないですし、まだ部に入ってから日が浅いので大変なのかな、と。まだ先輩との仲とかも浅いじゃないですか。ぼくらは4年生とも後輩とも仲良いので楽なので。
本田 むしろ楽しいよね。
桑野 そう、楽しいよね。あいつらも2年生になったら慣れてきて楽しくなってくると思います。
——逆に寮暮らしになって良かったことなどはありますか
桑野 ちょっと落ち込んだときにみんないるので。いま久富さん(悠介、文構4=福岡・小倉)と同じ部屋で、よく話したりするし、久富さん面白いので、元気出ますね。
本田 こいつメンタル弱いんですよ。ぼくは夜寝る前に、同期の杉本(峻、商3=東京・早実)とか周藤(直也、社3=東京・早大学院)とかと将来の夢について話すのがとても楽しいです。
一同 (笑)。
——本田選手の夢は何なのでしょうか
本田 それはちょっと言えないです(笑)。
勝浦 あえて言うなら、同期とかがいっぱいいるので、飯食うときとか、ゲームしたりできるのは楽しいですね。
——桑野選手と本田選手も含めて、福岡県出身の選手も多いですが、つながりなどはあるのでしょうか
桑野 最近は減ったよね。
本田 そうだね。
桑野 いまは5人、6人?8人か。意外とおるな。
本田 みんなで、っていうことはあんまりないですね。ぼくらはたまに寺川さん(賢太、スポ4=福岡)が福高会をやってくれるんですけど。
桑野 寺川さんご飯に連れてってくれるよね。めっちゃ良い人なんで。
——勝浦選手は千種高出身の選手とつながりなどはありますか
勝浦 池本先輩(翔一、スポ4=愛知・千種)をはじめとして、各学年にひとりずついるんですけど、良い流れ来てるんじゃないかと思いますね(笑)。
本田 千種高出身の選手って、池本さんと勝浦くらいまでは身体能力が高いみたいな感じになっていたんですけど、プロップの柴田(雄基、文2=愛知・千種)くらいから崩れてきてます。
一同 (笑)。
——それぞれの地元の良いところを教えて下さい
桑野 福岡は基本的にご飯が美味しいです。
本田 ぼくは明太子とラーメンが好きなんですけど、東京で食べる明太子とラーメンは別物なんですよ。ここらへんでラーメン好きみたいなこと言っている人には正直腹立ちます。
一同 (笑)。
本田 細麺の豚骨ラーメンがザ・ラーメンなので、東京のラーメンは食べられないですね。あと、明太子は差し入れとかでたまにもらうんですけど、福岡以外の人ってご飯一杯に対する明太子の量がめちゃくちゃ多いんですよ。明太子っていうのはちびちび食べるものなのに。そういうのが嫌いです。いろいろ言いましたけど、ご飯が美味しいです。
——愛知県はいかがですか
勝浦 正直あんまり思いつかないですけど(笑)。
桑野 ないならないで良いじゃん。ありません、で(笑)。
勝浦 それはまずいでしょ(笑)。なんかあるかな。
本田 ひつまぶし?
桑野 有名人が多いとかは?
勝浦 東京のほうが多いだろ(笑)。思いつかないんですけど、自分がそういうことに興味がないだけで、実際はたくさんあると思います。
桑野 福岡のほうが勝ってるな。でも、福岡のほうが人口多いと思ってたんですけど違ったんですよ。この間話したよな?
勝浦 合宿でその話したよな。三大都市って知ってますか?東京、名古屋、大阪なんですけど、福岡のほうが人口多いとか言い出して。
桑野 調べてみたら、全然違くね、ってなって(笑)。名古屋めっちゃでけえってなりました。
「ぼくらの代は雑草系」(桑野)
真剣な表情で学年について語る桑野
——3年生の雰囲気はいかがですか
桑野 さっき言ったように仲が良いっていうはありますね。
勝浦 他の学年に比べて良いなって思うところは、誰に対してでも意見を言い合えるっていうところかなと思います。
桑野 ぼくらの代は、一個上の一平さん(岡田一平主将、スポ4=大阪・常翔学園)とか穣司さん(佐藤穣司副将、スポ4=山梨・日川)とか藤田さん(藤田慶和副将、スポ4=東福岡)みたいに花園で活躍したスター選手みたいな選手がいなくて。花園も出ていないし、っていう選手が多いので、雑草系ですね。でも今年は上級生にもなったので、もっと後輩にも指導というか、言っていってもいいんじゃないかと思いますね。
——3年生の中でのムードメーカーはだれですか
本田 ぼくですね。最近のあだ名はカリスマですからね。
桑野、勝浦 聞いたことねえよ(笑)。
一同 (笑)。
本田 私生活の面でぼくに憧れている人が多くて。樋口(悦久、商3=大阪・早稲田摂陵)とかもぼくの真似ばっかりするんですよ。
勝浦 たしかにね。ぼくとかはそういうのないんですけど。
本田 あとはだれだろ?樋口、周藤、矢野(健人、商3=東京・早実)、横山(陽介、スポ2=神奈川・桐蔭学園)、吉岡とかはそうですね。
勝浦 宗詩の真似ばっかりしてますね。特に樋口とかなんですけど。全部宗詩の真似ばっかり。樋口は本当に宗詩の真似しかしていないので。しっかり載せておいてください。
一同 (笑)。
——3年生になって、上級生として何か変わったことはありますか
桑野 ぼくはきょねんに引き続いて委員なので、チームについて考えることが多くなりましたね。委員会とかでもきょねんより自分の意見が言えるようになったり、一平さんとか穣司さんに近い立ち位置というか、2人と話す機会も増えたので、チーム全体を見ないといけないな、ということは意識するようになりましたね。
本田 変わってないですね。
勝浦 きょねんは自分のことだけで精一杯だったんですけど、3年生になって少し余裕ができてきて、チームのことも少しは考えられるようになったかな、と思います。
——ことしの1年生の印象はいかがですか
桑野 1年生と話す機会が少ないので、あまりわからないんですけど、面白いし、宮里とか桑山とかは身体能力が高いな、と思います。期待しているって言ったら上から目線になっちゃいますけど、そう思います。
本田 圧倒的に人数が多いと思います。個人的には桑山は身体能力も高くて、スキルも高いし本当に良いWTBだと思うので、負けたくない存在ですね。
勝浦 正直言って、あんまり1年生と関わる機会が少ないんですけど、ぼくたちが1年生のころに比べたら、自分がしたいプレーとかもできてるし、良いんじゃないかと思います。
「Aチームで戦う姿を見せたい」(勝浦)
レギュラー奪取を狙う勝浦
——話が変わりますが、これまでのシーズンを振り返ってみていかがですか
桑野 筑波大、帝京大と大敗してしまって、帝京大戦に関してはみんなで話し合って良い準備をしてきたと思うんですけど、あの点差になってしまって。ここから慶大戦に向けてもう一回這い上がって、慶大戦、明大戦で弾みをつけていきたいなと思います。
本田 ぼくは夏合宿でケガをしてしまって、今シーズンは試合に出られていないんですけど、スタンドからチームが負ける姿を見るというのが一番悔しくて。秩父宮に足を運んでくださるファンの方や、上井草のファンの方、OBの方に声を掛けていただけるので、そういうのを聞くといち早く復帰しなければな、と思います。
勝浦 ぼくも今シーズンはAチームとして毎回試合に出られているわけではないので、いまはとにかくAチームのスタメンとして試合に出たいですね。
——春シーズンについてお聞きします。なかなか結果が出ない試合が続いたと思いますが、振り返ってみていかがですか
桑野 個人としては、きょねんに比べてかなり増量して臨んでいたので、自分の中では手応えもありました。きょねんの春シーズンよりは強い相手に対しても勝負できたと思います。さらに、メンバーが変わった中で、試合経験がある選手も少なかったので、うまくいかないことが多かったとも思います。
本田 ぼくも同じで、きょねんからかなり増量して迎えたシーズンだったので、コンタクトに関してはすごい手応えがありました。帝京大と当たってみても、そんなに圧力を感じるわけでもなかったので。きょねんと比べると、順平さん(小倉順平前副将、平27スポ卒=現NTTコミュニケーションズ)とかが一人で抜いていってラストパスをくれるという、おいしいトライが多かったんですけど、今シーズンはあまり良い場面でボールが回ってくることが少なくて。トライも春シーズンはそんなに取れなかったですし、もっと自分から積極的にボールをもらって、早めの段階で勝負したいな、と思いました。
勝浦 コンバートもあって、今までとは違うプレーを求められていたのもあったので、慣れないことが多かったですね。春シーズンはそのことで精一杯でした。チームとしては、きょねんと比べて戦術ががらっと変わったので、なかなか戦術の力を発揮できなかったのかな、と思います。
——今季のスローガンは『Innovation』ですが、何かそのことについて体感したことはありますか
桑野 S&Cの部分は全く変わりましたね。村上さん(貴弘S&Cコーチ、平8人卒=東京・早実)が入ったことによって、練習中でも試合中でも、数値化されて明確になったので、自分たちの目で見てわかるようになりました。あとは、村上さんは自分たちに良い目標を提示してくれるので、それに向けて努力できるというのが大きいな、と思います。
本田 ぼくもS&Cの部分が一番変わったと思います。村上さんはすごく理論的なので、自分たちも納得してトレーニングできるので。個人個人もすごく増量できていると思います。でも、村上さんのS&Cはすごく良いのに、自分たちが結果を出せていないので、自分たちが結果を出すことで、村上さんのS&Cは良いんだということを示したいですね。
勝浦 ぼくも同じになってしまうんですけど、S&Cの部分ですね。きょねんまではなかったバイクとかローイングとか、マシンも取り入れててかなり近代的になったと思います。他にもメンタルトレーニングとかヨガとか、そういう新しいことをいろいろ取り入れています。でもやっぱり、宗詩も言ってたんですけど、結果が目に見えていないので、結果を出していきたいと思います。
——夏合宿はいかがでしたか
桑野 BKはよく分かんないですけど、FWはきついです。朝からめちゃくちゃスクラムを組みまくったので。そのおかげで今のシーズンは帝京大に対してでも安定して組めているかなと思います。ことしの夏合宿では朝の6時くらいからスクラムを組みまくっていたので、それはしんどかったです。
勝浦 早起きがきつかったです。きょねんまではそんなことなかったんですけど、ことしから3部練になって。朝、午前、午後と練習していました。
——英国遠征はいかがでしたか
桑野 南アフリカのケープタウン大とか、体の大きな相手にどれだけやれるのかということを試す良い機会になりましたね。あとは、日本代表が南アフリカ代表に勝った試合も生で見られたっていうのは良かったです。
勝浦 いくつかの国の大学が集まってやったんですけど、どこのチームもワセダよりは確実に体も大きかったし、そういう相手に対して、自分たちはどういうラグビーをしていかなきゃいけないかということを知ることができましたね。あとはやっぱりワールドカップの歴史的な一戦を生で見られたっていうのはすごく良い経験になったと思います。
本田 ぼくはウエイトを頑張っていたので、Aチームよりも良い経験ができていたと思います。
一同 (笑)。
——英国遠征中、上井草では過酷な練習が行われていたと聞きましたが、どうだったのでしょうか
本田 そうですね。かなりきつそうでしたもん。フィットネスをめっちゃやってましたね。
——本田選手は南アフリカ戦は見ていたのでしょうか
本田 寮で見ていました。入道さん(充紘、平27スポ卒=鹿児島玉龍)とか先輩たちも来ていて、一緒に見たんですけど、めっちゃ盛り上がりました。
——これまでの関東大学対抗戦(対抗戦)を振り返ってみていかがですか
桑野 対抗戦を通じてセットプレーが安定しているかな、と思います。セットプレーが安定しないとBKにも良いボールが出せないですし、そこは良い点かなと。あとはFWでのディフェンスを頑張りたいなと思います。慶大、明大もFWが強いですし、帝京大に対してもFWがやられてしまってあの点差になってしまったので、自分も含めてディフェンス能力を上げていかなきゃいけないなと思います。
本田 FWは頑張っていたと思います。逆に、今までに比べてBKが突破するという場面が少ないな、と。BKでトライを取りきれていないので、アタックの改善をしなきゃいけないと思います。
勝浦 BKのことなんですけど、きょねんに比べて、人数を余らせて大外まで綺麗に回してトライ、というのがあまり見えていないかなという風に感じますね。どちらかというと、FWに頑張ってもらって、最後もモールだったり、近場での勝負でFWが勝ってトライ、というのが多かったので、BKであまり綺麗に取りきれていない印象ですね。
——今までの試合で印象に残っている試合などはありますか
桑野 きょねんの最後の負けてしまった東海大戦ですね。今でも忘れられないというか。あの試合のおかげでことしやってやろう、という気持ちにもなれましたし、あの試合を思い出すと、悔しいですし、自分が何もできなかった歯がゆさも思い出します。あとは応援してくださったファンの方とか、4年生の思いとかに応えられなかった自分の不甲斐なさですね。あれがあったから今があると思えるように努力しています。
本田 ぼくはきょねんのセブンズで初めて赤黒を着たんですけど、その時に初めて赤黒を着て活躍できて、そこからシーズンを通してほかのWTBの人と勝負することができたので。あのセブンズがあって良かったなと思います。
勝浦 印象に残っている試合はきょねんの筑波大戦ですね。ノータイムになってこっちが負けていたんですけど、そこからずっとプレーを継続して、最後は逆転トライできて、という試合がすごく印象的です。
——これから早慶戦、早明戦と続きますが、今はどういった気持ちでいらっしゃいますか
桑野 やってきたことは変わらないので、その精度を高めていきたいなと思います。その精度を高めるためにも、練習から100%でやらなきゃいけないと思います。シーズン終盤になると疲れも溜まってくるので、しっかりケアをして、自分のコンディショニングという部分もかなり意識してやっています。
本田 きょねんの早慶戦で、試合始まってすぐケガしてしまってとても悔しかったので、ことしこそはという思いですね。あと、慶大に福岡時代に一緒にラグビーしていた仲の良い人もいるので、負けたくないという思いです。
勝浦 ぼくも慶大に高校の同期で今シーズンAチームに絡んでいる選手がいるので、できればその高校の同期と同じ舞台に立って戦いたいなと思います。
——今季の慶大、明大のそれぞれの印象はいかがですか
本田 慶大はシーズン終盤になるとチーム力を上げてきて、仕上げてくるなという印象ですね。特に早慶戦はターゲットにしてきていると思うので、かなり手強いと思います。明大はワセダに比べて有名選手も多いので、そういう相手とやれるのは楽しいですし、勝った喜びのほうが大きいので、楽しみですね。伝統の一戦ですし、勝ちたいと思います。
勝浦 慶大と明大を比べて、という話になるんですけど、明大は高校の時からのスター選手が多いのに対して、慶大はどちらかというと今のワセダに似ていて、気持ちの部分とかでガラッと試合を変えてきたりするかなというイメージですね。
桑野 明大は春も夏も、スクラムやモールでぼろぼろにやられて、かなりFWが強いと思います。キャプテンの中村駿太さんをはじめとして、FWの結束力というか、こだわりとかプライドを持ってやっているというのを戦う度に感じています。
——早明戦はチケットが完売するほどの人気だそうですね
桑野 チケットぴあとかでは買えないんですけど、実は部でチケットを持っているので。部では買えます、と書いておいてください(笑)。
——自分の持ち味はこれだ、というものがあれば教えてください
本田 ラグビーリーグの選手でロジャー・ツイヴァーサシェックというステップのすごい選手がいるんですけど、その人のステップを真似しているので、ぜひそのステップを見てください。
勝浦 BKにしては体がまあまあ大きくて、強いほうだと思うので、アタックでの体の強さの部分ですかね。
桑野 ふたりに比べて地味なんですけど、セットプレーとか、ラインアウトモールとかで要になって存在感を出したいと思います。ブレイクダウンで地味に働いて、頑張ってボールを出して、みんながトライを取ってくれれば良いなと思います。
——最後にこれからのシーズンに向けた意気込みと、この対談をご覧になってくださっているファンの方々に一言お願いします
桑野 筑波大、帝京大と負けてしまったんですけど、それでもファンの方はぼくらが帰っていく中で、頑張ってくれとか、応援しているぞ、ということを言ってくださるので、そういう言葉を聞くと、結果が出ていないことに対して本当に申し訳ないと思います。なので、そういう人たちのためにも、早慶戦、早明戦で結果を出して、勢いというか、弾みをつけて(全国)大学選手権に臨んで、大学日本一という目標に向かっていきたいです。勝つことによって、ファンの方や支えてくださる方への恩返しをしたいです。
本田 さっきも言ったんですけど、声を掛けてくださるファンの方やOBの方がすごく多いので、1日でも早くグラウンドで活躍する姿を見せられるように、まずは復帰したいです。チームとしてはもちろん帝京大ともう一度戦ってリベンジしたいなと思います。
勝浦 ぼくはいまBチームなんですけど、ファンの方からありがたいことに、Bチームじゃだめだろ、とかAチームにいかないとだめだろ、という言葉を掛けてくれるので、そういう人たちのためにもAチームで戦う姿を見せたいな、と思います。
——ありがとうございました!
(取材・編集 橘高安津子、進藤翔太、本田理奈)
対談の最後に好きな言葉を書いていただきました!
「FWの桑野がBKのために体を張りました!」(桑野)
◆桑野詠真(くわの・えいしん)(※写真右)
1994年(平6)10月11日生まれ。192センチ、106キロ。福岡・筑紫高出身。スポーツ科学部3年。ポジションはロック。自身の持ち味であるプレーについて伺ったところ、「ブレイクダウンで地味に働いて、頑張ってボールを出して、みんながトライを取ってくれれば良い」と答えて下さった桑野選手。まさに仕事人です。チームを陰から支える桑野選手のプレーにぜひ注目してください!
◆勝浦秋(かつうら・しゅう)(※写真左)
1993年(平5)10月24日生まれ。180センチ、93キロ。愛知・千種高出身。スポーツ科学部3年。ポジションはWTB。本田選手とウェイトトレーニングで競っているという勝浦選手。この対談の際には勝浦選手が勝っていたそうです!その力強さを武器にAチームに返り咲いて欲しいですね!
◆本田宗詩(ほんだ・そうし)(※写真中央)
1995年(平7)3月8日生まれ。171センチ、81キロ。福岡高出身。スポーツ科学部3年。ポジションはWTB。「カリスマ」というあだ名通り、対談を盛り上げて下さった本田選手。今はケガで試合には出られていませんが、復帰も間近だそうです。復帰したときには本田選手のステップで会場を盛り上げて欲しいですね!