昨季から顔ぶれが一新されたフロントロー。今季の早大を最前線で支えるのはプロップ佐田涼祐(社3=東京・早実)、フッカー貝塚隼一郎(政経4=埼玉・早大本庄)、プロップ千葉太一(教3=東京・早実)の3人だ。この先迎える大一番では早大の付属、係属校出身ながらAチームで奮闘する男たちの活躍が欠かせない。
※この取材は10月15日に行われたものです。
「全然納得できていない」(貝塚隼)
ラストイヤーで定位置をつかんだ貝塚隼
――佐藤勇人選手(平27スポ卒=現NTTコミュニケーションズ)などフロントローの主力選手が抜けましたが、シーズンが始める前にプレッシャーなどありましたか
貝塚隼 ありましたね…。大きな存在が抜けて穴ができてしまったなと。
佐田 貝塚隼さんはわりと(Aチームで)出ている方でしたけどね。
千葉 ついにこの時が来てしまったなと。やばいみたいな雰囲気はあったのですが、この順番が来てしまったなという感じです。
――後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)もシーズン前にスクラムが課題と話していましたが、直接言われることも多かったですか
貝塚隼 まぁ言われることもありました。
佐田 それしか言われないくらいの勢いでした。「スクラムのことだけ考えろ!」って言われていましたね。
――スクラムの練習量も増えたのですか
一同 そうですね。
貝塚隼 やはり経験不足なために数をこなしていましたね。
――朝など通常練習以外でもスクラムされましたか
佐田 夏合宿はほぼ毎朝組んでいましたね。フィールド以外でも貝塚隼さん中心に、テレビの前でスクラムの分析をしていました。
――ラグビー日本代表でも朝練習は話題ですが、合宿の朝は何時からでしたか
千葉 さすがにあんな早くはないですね。
貝塚隼 6時セッション開始とかでした。
佐田 朝起きて、いきなりスクラムでした(笑)。
貝塚隼 いきなりぶっ通しですね。
――朝からのスクラム、やはりつらかったですか
佐田・貝塚隼 つらいです(笑)。
千葉 (つらいのは)わかっていたんですけどね…。
――ちなみに、普段のフロントローでの練習の雰囲気はどのような感じですか
佐田 最近はポジションごとの練習だと自重系のトレーニングですね。
貝塚隼 大瀧さん(大瀧祐司FWコーチ、平26文卒=神奈川・横浜緑ヶ丘)が色々考えてくれて非常に助かっています。
――では、チームのことを伺います。ここまでのチームの出来や戦績についてはどう捉えていますか
貝塚隼 全然納得できていないですし、自分たちの実力が足りていないのですが目指すところまでは来られていないですね。
佐田 貝塚隼さんがおっしゃる通りで、全然目指すレベルまで達することができていないです。
千葉 試合を振り返って自分たちフロントローのせいで何点取られたのだろうって考えてみると、足を引っ張っているなとずっと感じているので…。悔しいですね。
――できていないのは特にスクラムで感じているのでしょうか
貝塚隼 それもありますし、ディフェンスなどフィールドの部分でもですね。
――個人のプレーについてはどう評価していますか
貝塚隼 着実にできるようになっていることはあるのですが、まだまだチーム全体からしたらフロントが足を引っ張っている部分がまだまだ見えるので、物足りないですね。
佐田 スクラムは組むごとに修正できていると思いますし、フィールドでも安定してきた部分もあるのですが、できていない部分の方がまだ多いですね。
千葉 昨季はミスを4年生が全部カバーしてくれて自分のプレーがあまり目立っていなかったのですが、いざこのチームになると自分のできないことが浮き彫りになってしまっているので、次第によくはなっているのですが課題がまだまだあるなという感じです。
――良くも悪くも印象に残った試合はありますか
貝塚隼 僕は筑波大戦で、ビデオを見返してみると出来が思っていた以上にひどかったので、危機感を覚えています。特にディフェンスがひどかったです。
千葉 どの試合もひどいので…。自分がよかったという試合は1試合もないです。特に悪いと思ったのは春の明大戦で、何もできずにただただボコボコにされて帰ってきただけでした。スクラム押されてもトライ取られても気持ちが上がらなくて、うまくいかなさすぎて自分の気持ちがどこに行ってしまったのかと思うくらいひどかったです。
佐田 1番最初に出てくるのは夏の帝京大戦です。チームとしてもいい面も悪い面もはっきり出て、スクラムも春よりも成長できたので印象に残っています。
――夏の帝京大戦では前半20分までのプレーが良かったとみなさん話していたのですが、悪かった部分はどのようなところでしょうか
貝塚隼 受け始めて、そこから前に出るなど決めたことを詰め切れなくなってきて、帝京大に対しての自分たちの弱点が出始めるとあのような点差になってしまうことが分かり、ある意味収穫だったと思います。
――春から試合によってスクラムの出来が違うように見えますが、みなさんにとっても試合ごとに感触は違うのでしょうか
貝塚隼 相手によっても変わりますし、レフリーとの相性やコミュニケーションの関係で大きく変わりますね。
――筑波大戦ではスクラムを押して好機を演出しましたが、筑波大相手には組み勝てた印象ですか
佐田 いやー、もう少し押したかったですね。まだ力が足りなかったです。
貝塚隼 最初は筑波大が強いイメージを持って入っていったのですが、実際に戦って組めなくもなくて。でも五分五分のところで終わってしまい、その先にもっていけなかったのが悔しいです。帝京大、明大とやるにはその先までいくことが必要になってくるので。
――貝塚隼選手はスローアーも務めていますが、対抗戦での精度はいかがですか
貝塚隼 納得のいくものではないですね。
佐田 でも安定していると思いますよ。
千葉 筑波大戦でダブルモーションをするというある意味スーパースローもありましたが、貝塚隼さんの持ち味はやはりスローだと思っています。昨季の新也さん(清水新也、平27スポ卒=現キヤノン)や菅野さん(菅野拓磨、平27教卒=東京・早実)などがあれだけノットストレートで苦労していたなか、今年は貝塚隼さんになって安定感が出ていると思います。昨季の筑波大戦も試合には勝ったのですがマイボールラインアウトは全く取れなくて、布巻さん(布巻峻介、平27スポ卒=現パナソニック)1人の力で勝ったようなものなので、ラインアウトの精度に関しては上がっています。
貝塚隼 あざす(笑)。
――早大のフッカー陣のなかでも抜群のスローアーなのですか
貝塚隼 いや、それはないです。峨家君(フッカー峨家直也、商1=兵庫・報徳学園)がいるので。
千葉 あいつは本当にうまいです。峨家もここから伸びてくると思うので、面白い存在です。
佐田 (貝塚隼は)フィールドの面ですば抜けていると思います。アタックもディフェンスも他のフッカーよりも勝っていますし、すごいですね。
――貝塚隼選手自身はスローとフィールドプレーではどちらに自信がありますか
貝塚隼 難しいですね…。スローの方が自信はあります。
――先ほど貝塚隼選手の印象を伺ったのですが、佐田選手の印象を教えてください
貝塚隼 スクラムが安定すると言いますか、その点が他の選手と違うので、心強い存在ですね。
佐田 貝塚隼さんのスクラムのなかでの導きがうまくて、それに付いていくだけなので。
千葉 高校時代から知っていて、不器用でハンドリングは決して上手な選手ではないのですが、昨年(佐藤)勇人さんとずっと組んでいたこともありスクラムの強さは年々増していて、経験値も高いと思います。信頼しています。
――佐藤勇人選手と対面で組んだ経験というのはやはり大きいのですか
佐田 最後の方はBチームにいることが多くて、(佐藤)勇人さんとたくさん組ませてもらったのですが、大きな財産になりました。本当に強くて、学んだことだらけですね。
貝塚隼 最初は同じ部屋だったしね。
――部屋でもフロントローの選手と同じだとスクラムの話をするのですか
佐田 一日の中で何回かスクラムの話をしましたね。
――ちなみに、いまはみなさん同部屋ですか
貝塚隼 いまはみんなバラバラですね。
佐田 前期は貝塚隼さんと同じでした。あとはリザーブにも入っている1年の鷲野(フッカー鷲野孝成、基理1=神奈川・桐蔭学園)と一緒で、毎晩貝塚隼さんがスクラムについて話していました(笑)。
貝塚隼 いやいや、そんなことはないでしょ!
佐田 本当のことじゃないですか。
貝塚隼 実際のところ一緒にビデオを観たりはした感じですね。
佐田 まぁ実際のところスクラムと同じくらい映画を観ましたけどね。
貝塚隼 お前そういうこと言うなよ(笑)。
――現在の部屋構成はどうなっていますか
貝塚隼 僕は水野(NO・8水野孟、基理2=東京・早実)と本田(WTB本田宗詩、スポ3=福岡)です。
千葉 僕は池本さん(フランカー池本翔一、スポ4=愛知・千種)と加藤(ロック加藤広人、スポ2=秋田工)で、加藤とは1年間一緒です。2人には精神的にもプレー面でもアドバイスをもらっていて、いつもいじられるのですが、感謝しています。
佐田 いまは寮長の河野さん(ロック河野秀明、創理4=東京・早実)と杉本頼(SO杉本頼亮、スポ2=京都・桂)の3人です。
――部屋ではラグビー以外のことも多く話すのですか
佐田 色々話しますね。
貝塚隼 むしろそっちの方が多いもん(笑)。
千葉 映画ばかり観てますもんね。
佐田 それと、貝塚隼さんは趣味が靴磨きなんですよ。
一同 (笑)。
――スパイク磨きではなく靴磨きなんですか
貝塚隼 スパイクはあまり磨いたことが…。
千葉 それは問題ですよ(笑)。
佐田 趣味が靴磨きの人は聞いたことがなかったです。
貝塚隼 靴が綺麗だと気持ちがいいんで、そんなに深い理由ではないですね。
佐田 あとはやっぱり映画を観ています。
貝塚隼 佐田とも一緒に観ます。
――幅広く観るのですか
佐田 幅広いですよ、多趣味なので!
千葉 洋画ばかりですよね。
貝塚隼 まぁ邦画を観ることもありますが、たくさん映画を観ますね。
佐田 最近は何を観たんですか?
貝塚隼 最近はマイインターンを観ました。おすすめです。
――9月にはオックスフォード遠征がありましたが、振り返ってみていかがですか
貝塚隼 外国人選手はやはり大きくて強いのですが、スクラムにおいても雑な面もあるかなという感じで、帝京大相手の方が嫌だなという印象です。
佐田 スクラムに注目してみると相手の方が大きい分、姿勢が高くて、自分たちはやりやすかったです。
千葉 手応えは感じたよね。
――高身長の外国人選手に対しラインアウトはいかがでしたか
貝塚隼 ちょっと僕のスローが安定しなかった部分もあって。スローがひどかったですね。
「早実が多いから弱いとか言われたくない」(佐田)
今季から1番に定着した佐田
――大学生活はいかがですか
貝塚隼 楽しい…ですかね。
佐田 楽しいんじゃないですかね。
貝塚隼 練習よりは楽しいです(笑)。
千葉 ゼミに入って、1つの目標ができたのは大きいですね。
――過酷な練習をしつつ学業と両立することは大変ですか
佐田 難しいですけど、やはりやらないといけないことなので。それはみんなできちんとやろうとしているので、大丈夫だと思います。
貝塚隼 部としてもルールがあるので、しっかりやろうという意識は強いと思います。
千葉 勉強早めに始めようとはしてるよね。レポートは1カ月前に始めようとか。
貝塚隼 勉強もできて人間として一人前ということは言われます。
佐田 さすが4年生、いいこと言いますね(笑)。
――みなさんは付属高や係属校出身ですが、そのことを意識したりしますか
貝塚隼 年々付属校の人数が増えてきていて、その分責任が大きくなってきている感じはしますね。
佐田 いま早実高出身の選手がすごく多くて、試合に出ているメンバーも早実高が多いのですが、「早実が多いから弱い」とか言われたくないと思っています。なので、付属が出るから弱いと言われないように意識しています。
千葉 自分はあまり意識しないですね。やるからには1人の選手なので、あまり付属校ということでプライドはないです。
――高校時代から大学でラグビー蹴球部に入る予定でしたか
貝塚隼 僕はそんなに考えていなかったです。
佐田 僕も正直考えていなかったです。はっきりとはやる意識はなかったです。
――そのなかで続けようと思った理由はありますか
千葉 高3の時に自分はラグビーのやる気を失ったまま最後の大会が終わって、やっとラグビーというものから卒業できると思っていたら、ラグビースクールの先輩でいまトップリーグでプレーしている人がいまして。その人から、上で待っているから大学でも続けろと言われたことで、もう一回頑張ろうと思い、大学でも続けて日本一を目指すことにしました。
貝塚隼 僕は成り行きかなって感じで。明確な意思は持たずに入った感じがあったのですが、入ったからには自分の実力でどれだけ通用するか試したい気持ちはありました。
――いまの4年生にはAチームで活躍するWTB門田成朗選手(法4=埼玉・早大本庄)など早大本庄高出身の選手が多いですが、同期の存在も大きかったですか
貝塚隼 もちろん心強い部分はありましたし、いまは同期4人でAチームの試合に出ることが夢というか目標です。
佐田 自分は赤黒ジャージーがかっこいいと思っていたことと、あとは2つ上の先輩で菅野さんという早実高のキャプテンをやっていた方がいるのですが、その人が楽しくやっていたので、自分もそういう環境に触れてみたいことがあって続けました。
――早実高出身の3年生ではSH杉本峻選手(商3=東京・早実)らAチームデビューをする選手が多くなってきましたが、やはり刺激になりますか
佐田 やっぱうれしいですね!
貝塚隼 (千葉は)ないの?
貝塚隼 ありますよ(笑)。ただ、早実だけじゃなく同期が増えるほどその分自分たちの代の責任も増えますし、その思いをみんなで共有したいです。
――高校時代にお互いに対戦したことはありますか
貝塚隼 僕は早実高と2回試合をしました。
千葉 夏合宿で(2年の時に)試合をして、負けました。
佐田 その時僕は出ていないです。
貝塚隼 千葉とか石毛(プロップ石毛隼人、教4=東京・早実)とか河野(秀明)が出ていたよね。本庄も門田とか田丸(フランカー田丸暖、法4=埼玉・早大本庄)とか五十嵐(NO・8五十嵐隆介、教4=埼玉・早大本庄)とか出ていました。
佐田 五十嵐さんが試合ですごかったです。
――プロフィールを拝見したところ、佐田選手と貝塚隼選手は世田谷ラグビースクール(RS)でチームメートだったということですが
佐田 そうなんですよ。僕は1個下なので、「貝塚君」って感じでした。当時貝塚隼さんはSHをやっていたのに、いつのまにかSHからFWへ転向したんですよ。あと、当時はいまみたいに明るいキャラではなかったです(笑)。
貝塚隼 色々学ばせてもらったのですが、途中で世田谷RSをやめてしまったんです。また大学で(世田谷RS出身の)広瀬(SO広瀬泰斗、政経3=東京・早大学院)とか水野(孟)と再会しました。
佐田 他にも貝塚隼さん被ってないですけど辺津(SH辺津勘太、法1=東京・早実)とかも世田谷RSです。
貝塚隼 1個上だと平野さん(平野航輝、平27スポ卒=現トヨタ自動車)もいました。そういう方と一緒にラグビーができる幸せがありますね。
――貝塚隼選手が高校に入りSHからFWに転向した理由を教えてください
貝塚隼 受験でちょっと太ってしまって、高校入るときにフランカーあたりをやろうとしていたら、早大本庄高は部員数が少なくて、フランカーの中で一番デブだった僕がフッカーに持っていかれた感じです。
――佐田選手と千葉選手は高校時代もプロップでしたか
佐田 千葉はずっと3番でしたが、僕は入ったときはNO・8をやりたいと思っていたんですよ(笑)。
千葉 そんなの速攻でクビだろ(笑)。
佐田 自分の不器用さが明るみに出まして。最初はフランカーもNO・8もやらずにロックをやっていたのですが、3年になるときに一列の先輩が卒業したためチームのなかでは体が大きかった方なので1番に行って、フッカーは違うやつがやって、3番は千葉でした。
――高校時代は慶大や明大の付属校と練習試合などしましたか
佐田 早実高は慶応志木高と練習試合しました。
貝塚隼 僕たちも埼玉なので(慶応)志木と試合しました。
――高校から赤黒ジャージーということで、他の選手より意識することなどありますか
貝塚隼 高校の時から赤黒を着ていたのですが、高校とかワセダを背負っている意識はなかったのですが、いまになって強くない付属校からワセダで出られることの重みや高校の後輩への責任というものを感じます。
佐田 高校の時も監督がワセダ出身の方で、高校時代から「ワセダだから」という意識はさせてもらっていました。
千葉 赤黒を着ることには着ていたのですが、正直漠然としたイメージしかなくて、このジャージーにそんな重みがあるのかということを高校生なので分からなかったです。重みがあることを力説されても「ん?」という感じでしたが、大学に入ると実際に着ることはすごいことなんだなと感じています。
――みなさんいまはフロントローですが、違うポジションをやってみたいことはありますか
貝塚隼 いまはなくなりましたね。他のポジションも楽しそうですが、他でプレーしている自分は想像できないです。(佐田選手に向かって)お前はFBかSO?
佐田 そうですね、もうちょっと器用で足が速かったらSOですね(笑)。僕らスクラム組むポジションなので、もうちょっと華やかになりたいです。フッカーはボール投げたりしますけど、1番のOBの方も「1番が1番地味」って言っているので…。
千葉 ここまでくると、もうどこでもいいやという感じです。もうフロントローでいいかなと。貝ちゃんと一緒で他をやるイメージが湧かないです。
――私生活ではフロントローで得したことはありますか
貝塚隼 損することの方が明らかに大きいですね。
佐田 たぶん貝塚隼さんは弊害がすごいですね。汗がすごいんですよ。僕ら相撲部に出稽古に行かせてもらっていたのですが、組んでる時も相撲部の方に「汗大丈夫ですか?」って言われていて。相撲部より先に汗をかいていました。
千葉 そんな練習してないのに汗かいていましたね。
佐田 電車乗るとき大変じゃないですか?
貝塚隼 いや、そんなことないよ。
千葉 俊太郎さん(高橋俊太郎、平27社卒=東京・早実)2号みたいな感じです(編注;高橋俊選手は昨年のフロントロー対談にて「汗がすごい」と話題に)。俊太郎さんはプロップでびしょびしょだったんですが、今年は真ん中がびしょびしょなので、やばいです。
貝塚隼 得したことはデブなので子どもに好かれます。
千葉 さらっと「流れを変えるのはいつもデブ」と言われたことは悔しかったです。
佐田 ちょっと嫌なことでは、逆にありがたいのですが電車で隣に人が座らないことです。
一同 (笑)。
佐田 いいんですけど、うーんってなります。
千葉 椅子が2つ空いていても座りづらいのがデブです。そこに座るともう1人入れなくなるから、自分から座りにくいです。
――試合の際のバスでも隣に座ると大変な時とかありますか
貝塚隼 1人で座れる時も多いので、まぁ大丈夫です!
佐田 みんなあまり座ってこないですよね(笑)。
「リベンジする気持ちはだれにも負けない」(千葉)
スクラムのカギを握る千葉
――帝京大とは今季3回目の対戦となりますが、どのような印象をお持ちですか
貝塚隼 やっぱり強いというのが率直な感想ですね。
千葉 でも、異次元ではなくなりつつあるかなという感じですね。僕が1年の時に垣永さん(垣永真之介、平26スポ卒=現サントリー)たちが負けた帝京大からしたら、異次元ではないかなという感じです。ただ、異次元ではないけどレベルの差は感じます。僕たちよりも体のサイズや精度、スキルなどワンランク先を行かれているチームで、後藤さんは届かない距離ではないけれど、まだまだ足りないと仰っていますし。そこで自分たちの力がどれだけ付いたかを確かめられる試合なので、勝ちにこだわるだけです。
佐田 2人の言う通り強いチームですが、細かいところで通用するところは出てきていると思います。
――ここまでの帝京大戦を振り返って、自分たちが通用したり武器にできたりするところはありますか
佐田 いままでモールでトライを取ったことがあまりなかったのですが、今年は取れているのは手応えあります。
千葉 でも、対戦するたび対策を変えてくるので。
貝塚隼 しっかりこっちも修正していかないといけないです。
千葉 コーチ陣からもモールでトライを取ろうと言われているなか、筑波大戦では(モールでトライを)奪えなかったのですが、残りの期間で修正できると思っています。
――筑波大戦ではモールでトライを取り切れなかったことが目立ちましたが、どのようなことが原因だったのですか
貝塚隼 僕らフロントローがモールの核として役割が大きいのですが、そこで強く当たって相手に倒されないということができなかったからかなと思います。
――帝京大戦ではマイボールのセットプレーもカギになると思いますが、現時点での手応えはいかがですか
貝塚隼 スクラムでは自分たちが意図していることを毎回できるように、早いセットとか、早く仕掛けるとかを心がけているのですが、コーチ陣とも話して修正するべきところを共有できているので、そこはいいかなと思います。
――最後に、残りシーズンへの意気込みや注目してほしいところを聞かせてください
佐田 スクラムはもちろん全部押す気持ちで組んで、フィールドでもいい意味で目立てるプレーをしたいです。
貝塚隼 フッカーの大事な役割としてセットプレーを安定させることがあると思うので、まずはそこを100パーセントやり切ります。あとは、ディフェンスで体を張れる選手を目指しているので、筑波大戦で出た課題を修正していって、ディフェンスで頑張っている僕にも注目してもらいたいです。
千葉 何もできなかった昨年よりは役に立てる準備ができています。特に昨年の早慶戦は出場したのに何もできず、ただ出場して外に出ただけなので、リベンジする気持ちはだれにも負けないです。気持ちで負けないで、大一番に向かっていきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 菅原拓人)
意気込みを書いてもらいました
◆千葉太一(ちば・たいち)(※写真左)
1994(平6)年9月22日生まれ。176センチ、114キロ。東京・早実高出身。教育学部3年。ポジションはプロップ。色紙には「リベンジ」と書いてくれた千葉選手。昨季味わった悔しさを、大舞台で晴らします!
◆貝塚隼一郎(かいづか・しゅんいちろう)(※写真中央)
1993(平5)年12月1日生まれ。172センチ、98キロ。埼玉・早大本庄高出身。政治経済学部4年。ポジションはフッカー。SHからフッカーへと異色の転向をした貝塚隼選手。スローのうまさはSH時代に培った技術から来ているのかもしれません!
◆佐田涼祐(さだ・りょうすけ)(※写真右)
1995(平7)年1月16日生まれ。178センチ、104キロ。東京・早実高出身。社会科学部3年。ポジションはプロップ。貝塚隼選手とは世田谷RS時代から親交がある佐田選手。対談中も2人ならではの仲の良さが伺えました!