敗戦の中、垣間見えた底力

ラグビー男子

 10月らしからぬ暑さの中で行われた関東大学ジュニア選手権(ジュニア選手権)。開幕戦となるこの試合では、宿敵・慶大Bを相手に迎えた。早大Bはハイパントの処理やタックルでミスが重なり、苦しい立ち上がりとなる。何度か敵陣に攻め込むがボールを奪われることが多く、得点には結びつかず前半を無得点で終える。迎えた後半、立て続けに2トライを挙げ勢いに乗る早大B。しかし、惜しくも逆転ならず17-49で試合終了。ジュニア選手権は黒星でのスタートとなった。

 開始1分、ハイパントの処理をあやまり、いきなりピンチを迎える。しかし、ここは相手のパスミスを見逃さずにボールを奪い、失点を防いだ。早大Bもゴール前まで攻めるが決め手に欠け得点ならず。慶大のペースが続く前半7分、相手SOからのキックパスが成功し先制点を許す。その後すぐにもう1トライを奪われ、得点を0-14とされた。20分、ハイパントを取ったWTB勝浦秋(スポ3=愛知・千種)のゲインから敵陣に攻め込み、ペナルティキックでゴール前のラインアウトを得る。しかし、得点のチャンスでボールを奪われ、またもトライならず。その後も慶大Bの勢いを止められずに失点を重ね、0-35で前半を終えた。

早大B最初のトライを挙げた鈴木亮

 後半、最初に流れをつかんだのは早大Bだった。6分、WTB山川慶祐(社3=東京・早実)が内のスペースに走り込み大きくゲイン。そして、パスを受け取ったWTB鈴木亮(教4=神奈川・桐蔭学園)が相手をかわし待望のトライを挙げる。続く14分、キックでゴール前まで陣地を進めると、ラインアウトでボールを奪い一気に右サイドに展開。最後はWTB山川が俊足を生かしインゴールにボールをねじ込んだ。そして35分にも、SH山岡篤樹(教4=東京・本郷)の早い球出しがオフェンスの良いテンポを作り得点。早大Bが猛烈な追い上げを見せる。しかし、ペースをつかみかけたところで試合終了。前半のミスをぬぐい切れず、後半も2トライを追加され17-49で敗れた。

2トライに絡む活躍を見せた山川

 前半は「(ミスで)自分たちの首を絞めてしまいました」とフランカー中庭悠ゲームキャプテン(人4=茨城・水戸第一)が言うように、もどかしい内容だった。しかし、後半はテンポの良い攻めを継続し、試合を有利に進めた早大B。のびしろは十分にあるだろう。まずは春からの課題であるタックルミスと反則を修正し、プレー精度の向上を図る必要がある。早大Bの底力を発揮し少しでも上を目指したい。

(記事 高橋団、写真 杉野理恵、本田理奈)

関東大学ジュニア選手権
早大B スコア 慶大B
前半 後半 得点 前半 後半
17 35 14
17 合計 45
【得点】▽トライ 鈴木亮、山川、山口 ▽ゴール 鈴木亮(1G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
石川 敬人 スポ4 茨城・茗溪学園
  後半30分交代→16石倉    
鷲野 孝成 基理1 神奈川・桐蔭学園
  後半23分交代→17周藤    
柴田 雄基 文2 愛知・千種
吉中 大典 スポ4 広島・崇徳
  後半20分交代→19山口    
松井 丈典 スポ1 愛知・旭野
◎中庭 悠 人4 茨城・水戸第一
田丸 暖 法4 埼玉・早大本庄
  後半0分交代→20市瀬    
水野 孟 基理2 東京・早実
吉岡 航太郎 スポ2 国学院栃木
  後半16分交代→21山岡    
10 杉本 頼亮 スポ2 京都・桂
11 鈴木 亮 教4 神奈川・桐蔭学園
12 鈴木 伶輔 政経4 東京・早大学院
13 フリン 勝音 スポ1 福岡・筑紫丘
14 勝浦 秋 スポ3 愛知・千種
  後半5分交代→23山川    
15 伊藤 大貴 スポ1 愛知・春日丘
  後半38分交代→20高橋吾    
リザーブ
16 石倉 庸平 人4 山梨・日川
17 周藤 直也 社3 東京・早大学院
18 渡瀬 完太 商4 東京・早大学院
19 山川 慶祐 社3 東京・早実
20 高橋 吾郎 スポ2 福岡・修猷館
21 山岡 篤樹 教4 東京・本郷
22 市瀬 奨一郎 基理3 東京・早実
23 山口 和慶 スポ3 福岡
※◎はゲームキャプテン、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷)

フランカー中庭悠ゲームキャプテン(人4=茨城・水戸第一)

――この試合を振り返ってみていかがでしたか

自分たちのミスや反則とかで自滅してしまって、すごくもったいなかったなという印象です。

――前半は苦しい時間が続きましたが、チームにはどんな声をかけていましたか

敵陣でプレーするというのがひとつのテーマだったんですけど、ミスでなかなか敵陣に入ることができていなかったので、もう一度戦術を整理して、細かい部分を修正しようということですかね。でも、そこの部分でのミスやペナルティーが減らなくて、自分たちの首を絞めてしまいました。

――ペナルティーの原因としては何があったのでしょうか

キックの攻防の中で下がりきっていないなどといった初歩的なミスがあって、理解が足りなかったのかなと。(関東大学)ジュニア選手権というレベルではあり得ないようなミスだったので、反省しなければと思います。

――慶大Bはハイパントを多用してきていましたが、それへの対応に関してはいかがだったでしょうか

(ハイパントを)蹴ってくるというのは分かっていたので、まずはキッカーへのプレッシャーにFWがいこうとしていました。でも向こうのほうが準備してきた部分を出してきていたので、そこでワセダがうまく対応し切れなくて、何度も同じかたちでやられてしまったのが課題だと思います。

――後半に入っていきなり連続トライがありましたね

そうですね。相手のペナルティーからだったんですけど、しっかり敵陣に入って一次攻撃、二次攻撃でBKが良いアタックをしてくれたのでトライが取れたんだと思います。相手のペナルティーに助けられて、という部分が大きかったと思います。

――ハーフタイムではその敵陣に入る、ということを話されたのでしょうか

そうですね。もう一度敵陣に入るということに立ち返ろうという話をしました。

――慶大Bの近場のランナーに突破される場面が多かった印象ですがそれについてはいかがですか

相手が順目順目に攻めてくるというのは分かっていたのですが、そこでセットプレーからのブレイクが遅れて順目に厚く立てなくなってしまって。そこを相手の9番とFWに連携して攻められてしまったので破られてしまいました。でもそこはずっとやってきた部分なので、次に向けて修正したいと思います。その中でも、タックルの部分で激しく体を当てられなかったり、すぐパックを離してしまったりというのがあったので、そこは練習からの課題なのでもっと強化していかなければならない部分だと思います。

――この間まで行っていた英国遠征はいかがでしたか

ぼくはほとんど試合に出なかったのですが、チームとしては体が大きくて身体能力の高い相手と短期間に何度も試合することができてすごくいい遠征だったと思います。あと、いろいろなチームの選手と交流したり、オックスフォードの中の、普通じゃ入れないような場所に招いていただいたりもして、奥克彦さんのメモリアルマッチということで行ったんですけど、その方の偉大さであったり、ラグビーの歴史についても学ぶことができました。

――関東大学対抗戦や関東大学ジュニア選手権が続いていきますが、それに向けて目標などはありますか

きょうは慶大Bに負けてしまいましたけど、目標は日本一なので。慶大Bに負けたから終わりではなくて、これから明大、東海大、帝京大と続いていくので、必ず勝っていかないといけないと思います。まずはBチームが勝たないとぼくたちもAチームに上がれないですし、Bチームが強くならないとAチームも強くなっていかないと思います。そうしないと日本一というのはあり得ないことだも思うので、一戦一戦、課題を見つめ直して勝っていくというのが今後の目標です。

ロック松井丈典(スポ1=愛知・旭野)

――この試合への意気込みを教えて下さい

早大としての公式戦が初めてだったので、前日から準備していきました。入りが悪くて、前半では(早大Bが)0点で(慶大Bが)35点という結果になってしまってので、良くなかったなと思います。

――この試合を振り返っていかがですか

ボールタッチを多くしていこうと思っており、それに関しては前回よりも良くなったと思います。中間走であったりとかが遅かったので、もっと速くして、サポートに行ければいいと思います。

――良かったと思うところはどんなところですか

セットプレーとしてスクラムを安定してできたのは良かったと思います。

――改善点は見つかりましたか

前に出て相手を止め続けることができませんでした。ロックとして引っ張っていかないといけないのにできなかったところは良くなかったと思います。

――英国遠征に行かれていましたが、何か収穫はありましたか

外国人はコンタクトレベルが日本人よりもはるかに上なので、仮想帝京大として戦えることはとても良かったと思います。

――ラグビー蹴球部のツイッターに松井選手が町中でウォーターバックを背負っている姿が投稿されていましたね

日課みたいなもので向こうでも毎日やっていたので、これからも毎日続けて地道な努力を積んでいきたいなと思います。

――次の試合に向けて意気込みをお願いします

次は来週になると思いますが、しっかりリカバリーをし、火曜日からはフルでいけるようにして、最高の準備をしていきたいと思います。

WTB鈴木亮(教4=神奈川・桐蔭学園)

――この試合にはどのような意気込みで臨みましたか

Bチーム最初の公式戦で出だしが大事なので、勝ちにいったのですが、前半あのようなかたちになってしまって、ああいう試合をしたら勝てないということをこの試合で実感しました。

――コンバージョンキックの感触はどうでしたか

最初のコンバージョンは端から決めることができたので、いけるかなと思ったのですが、相手のプレッシャーにやられてしまいました。

――グラウンドでのキックはどうでしたか

最初のペナルティーで自分がノータッチを蹴ってしまって、そこから相手に流れがいってしまったので、自分の責任です。

――慶大Bのハイパントへの対応はどうでしたか

相手は最初にBKで当てて蹴ってくると分かっていたので、キックへの対応はやっていたのですが、相手にうまくエリアを取られてしまったので、そこは反省しなくてはいけないと思っています。

――次の試合への意気込みをお願いします

BKでミスが出てしまって負けてしまったと言ってもおかしくないので、この試合の反省を生かして、来週の練習からしっかりミスをゼロにして、次の試合に臨みたいです。

SH山岡篤樹(教4=東京・本郷)

――この試合を振り返っていかがでしたか

後半で点差もあってので、テンポを上げることだけ意識してやりました。

――負けている場面での出場でしたが、どのような意識でプレーしましたか

負けているので、取られてもいいからチャレンジしようと、今までやってきたことを前面に出してプレーすることだけ考えていました。

――良いテンポで攻撃できていましたが、チームで共有したことはありますか

特にありませんが、僕が意識したのはボールへの寄りを早くすることです。相手もブレイクダウンが強いわけではないですし、内がつかえて倒れてしまう傾向があるので、立ってるうちに出してテンポを上げようとしました。実際に良いテンポになったので、よかったと思います。

――反省点はなんですか

前半、自分たちのミスで自陣に釘づけにされ点を取られ、ほぼ試合を決められてしまったのはよくなかったです。

――次はAチームのリザーブですが、試合に向けて一言お願いします

自分のやるべきことをやるだけです。

NO・8山口和慶(スポ3=福岡)

――関東大学ジュニア選手権の開幕戦でしたが、チームとしてはどのようなテーマで挑まれましたか

チームとしては久しぶりの公式戦なので、まずはBチームが勝たないとその後も引きずってしまうので、Bチームからいい試合をしていこうと話していました。

――試合結果についてはどう受け止めていますか

前半は悪くて、いつもの練習でやろうといったことができていませんでした。後半に入って少し修正できたのはよかったと思います。

――ハーフタイムで何か確認されたことはありますか

点差を考えずにやってきたプレーを遂行していこうと言われました。

――山口選手は5月の法大戦以来の出場でしたが、ピッチに立ったときの気持ちを教えてください

やっぱり緊張はしたのですが、楽しみで仕方なかったです。

――久しぶりの出場で、プレーの感触についてはどう思いますか

体力的には前よりも落ちていてきつかったのですが、プレーとしては強いプレーができたと思います。

――ボールを積極的にもらってヒットするというのは狙い通りでしょうか

監督がハーフタイムにも仰っていたのですが、とにかく強いプレーをして前に出ろということで、意識していました。

――これからもシーズンは続きますが、どのようなプレーをしていきたいですか

苦しいときにタテに強いプレーをして引っ張っていける選手になりたいです。