白星を挙げるも後半に失速 修正点が明らかに

ラグビー男子

 関東大学春季大会の第2戦、早大は法大と対戦した。前半の主導権を握ったのは早大。BKの活躍が光り、計5トライを奪った。法大を1トライに抑え33−7で後半へ。しかし、後半は運動量が落ちミスが目立ち始める。敵陣に踏み込む時間も少ない中、最終盤に意地を見せ12点を追加。45−14で勝利を収めたものの、後味の悪い試合となった。

 前半、早大はスピード感のあるプレーで良いリズムをつくる。開始早々に7点を先制し迎えた15分、ラインアウトからWTB本田宗詩(スポ3=福岡)が右に展開。ゴールライン前でCTB盛田志(スポ4=広島・尾道)と息の合った連携を見せ、そのまま盛田が走り切りトライ。また、SO横山陽介(スポ2=神奈川・桐蔭学園)のロングキックで敵陣に深く切り込み、ラインアウトからモールを形成。32分、スペースをついたプロップ千葉太一(教3=東京・早実)がインゴール右中間に飛び込んだ。その後も本田、盛田をはじめBKが機能し33点をマーク。法大に7点を許したものの、リードを残し後半へと折り返す。

モールからインゴールへ飛び込む千葉

 突き放したい後半だったが、早大は流れをつかめない。「いまのチームにはミスから流れが傾くことがある」(盛田)。テンポの良かった前半とは打って変わり、ペナルティーが増え、法大に攻め込まれてしまう。フィットネスやパスの精度も低くなり、悪い流れを止められない。19分には自陣ゴール前から、ラインアウトを起点にモールトライを献上。早大のスコアが動いたのは、終盤だった。36分、自陣でキックをキャッチした本田がステップで相手を抜き去り大きくゲイン。パスを受けたフランカー池本翔一(スポ4=愛知・千種)がインゴール左を陥れる。終了間際には、本田が大外を回りノーホイッスルトライ。45−14でノーサイドを迎えた。

本田はこの試合もエースとしての働きを見せた

 「スタミナの問題」(盛田)、「ディフェンス面、つなぎの面でいろいろな反省点のある試合」(本田)と振り返るように、疲労の見えた後半を中心に課題が残る試合となった。苦しい時間帯に、傾いた流れを断ち切る力が欲しいところだ。次の相手は、12月の全国大学選手権セカンドステージで敗れた東海大だ。年越しさえかなわなかった雪辱を晴らすため――。「絶対に勝ちたい」(盛田)。リベンジに燃える赤黒戦士のレベルアップに期待したい。

(記事 高畑幸、写真 三佐川唯、近藤廉一郎)

☆PICK UP PLAYER

攻めては3トライを奪った盛田

 法大を相手に早大が挙げたトライは計7つ。そのうち3つのトライを奪ったのがCTB盛田志(スポ4=広島・尾道)だ。足首の故障が癒え、15人制の初戦となったこの試合では、15分に自身1トライ目を奪ったのを皮切りに、前半36分には3トライ目をマーク。前半だけでハットトリックを達成し、アタック能力の高さを示す。またBKに4年生が2人、2年生が4人というフレッシュな布陣だったこともあり、常に声を張ることでBKを中心にチームを鼓舞した。そんな盛田に芽生えているのは、チームをけん引しようとする意識。「穣司(NO・8佐藤穣司ゲームキャプテン、スポ4=山梨・日川)に任せずに引っ張っていこう」と話すように、プレーでも声でも周囲をリードしてみせた。
 好プレーをした反面、足がつるシーンもあり、「本調子ではないですが、上々です」とコンディションについて話した盛田。ここからの練習でフィットネスや調子を上げることができれば、ますますの活躍を見せてくれるに違いない。次週の相手は東海大。昨季の大学選手権で敗れた因縁の相手へのリベンジを果たすためにも、この男の活躍は不可欠だ。

関東大学春季大会
早大 スコア 法大
前半 後半 得点 前半 後半
33 12
45 合計 14
【得点】▽トライ 千葉、桑野、池本、盛田3、本田 ▽ゴール 横山(4G)、浅見(1G)
※得点者は早大のみ記載

 

早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
佐田 涼祐 社3 東京・早実
  後半26分交代→16石倉    
貝塚 隼一郎 政経4 埼玉・早大本庄
  後半13分交代→17鷲野    
千葉 太一 教3 東京・早実
  後半13分交代→18柴田    
桑野 詠真 スポ3 福岡・筑紫
山口 和慶 スポ3 福岡
仲元寺 宏行 社4 広島・尾道
  後半0分交代→20宮里    
池本 翔一 スポ4 愛知・千種
◎佐藤 穣司 スポ4 山梨・日川
  後半18分交代→19吉中    
吉岡 航太郎 スポ2 国学院栃木
  後半18分交代→19杉本峻    
10 横山 陽介 スポ2 神奈川・桐蔭学園
  後半31分交代→21浅見    
11 門田 成朗 法4 埼玉・早大本庄
  後半6分交代→23勝浦    
12 高橋 吾郎 スポ2 福岡・修猷館
13 盛田 志 スポ4 広島・尾道
14 本田 宗詩 スポ3 福岡
15 黒木 健人 教2 宮崎・高鍋
リザーブ
16 石倉 庸平 人4 山梨・日川
17 鷲野 孝成 基理1 神奈川・桐蔭学園
18 柴田 雄基 文2 愛知・千種
19 吉中 大典 スポ4 広島・崇徳
20 宮里 侑樹 スポ1 沖縄・名護商工
21 杉本 峻 商3 東京・早実
22 浅見 晋吾 スポ4 神奈川・桐蔭学園
23 勝浦 秋 スポ3 愛知・千種
※◎はゲームキャプテン、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷)
関東大学春季大会グループA星取表(5月23日現在)
  帝京大 早大 明大 流通経大 東海大 法大
帝京大 6/7 13:00

早大G
6/14 14:00

草薙
○67-12 5/24 13:00

帝京大G
○121-0
早大 6/7 13:00

早大G
6/21 13:00

盛岡南
○35-34 5/31 13:00

早大G
○45-14
明大 6/14 14:00

草薙
6/21 13:00

盛岡南

●24-33 ●26-50 ○76-17
流通経大 ●12-67 ●34-35 ○33-24 6/21 13:00

成田市中台
5/31 13:00

たつのこ
東海大 5/24 13:00

帝京大G
5/31 13:00

早大G
○50-26 6/21 13:00

成田市中台
6/14 13:00

東海大G
法大 ●0-121 ●14-45 ●17-76 5/31 13:00

たつのこ
6/14 13:00

東海大G
※早大Gは早稲田大学上井草グラウンド、草薙は静岡県草薙総合運動場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、盛岡南は盛岡南公園球技場、法大Gは法政大学多摩グラウンド、成田市中台は成田市中台陸上競技場、東海大Gは東海大学湘南校舎ラグビー場、たつのこは龍ヶ崎市陸上競技場たつのこフィールド。
関東大学春季大会グループA順位表(5月23日現在)
チーム 勝点 試合 得点 失点 得失 トライ
帝京大 12 188 12 176 30
早大 12 80 48 32 12
明大 126 100 26 20
流通経大 79 126 -47 13
東海大 50 26 24 8
法大 31 242 -211 5
勝ち点制を採用し、勝ち5点、負け0点、引き分け2点を与える。またボーナス点として、勝敗に関係なく4トライ以上獲得したチームに勝ち点1を、7点差以内の敗戦のチームに勝ち点1をそれぞれ与える。全試合終了時に勝ち点で並んだ場合、得失点差により順位を決定する。
関連記事

春季大会開幕戦で薄氷の勝利を収める(5/5)

コメント

後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)

――この試合について、率直な感想を聞かせてください

相手云々もありますが、前半はセットプレーも安定していましたし、個々のコンタクトで勝てている選手もいて、いい形でボールをつなぎ、いいトライもできてよかったです。ただ、後半は選手が何人か変わるだけで、しかも途中で入った選手がチームとして穴を開けてしまい、それを取り戻すことができなかったです。選手層が薄いことは前提で今季が始まっているので、もう少し時間をかけて、チーム全体として積み上げていかなければならないなと感じます。

――先週よりもスクラムが安定しているように見えましたが、後藤監督にはどう映りましたか

本音を言えば、昨季やその前の年の感覚でいくともうちょっと相手ボールにプレッシャーをかけたいということがあるのだけども、この試合にかんしてはいいのではないでしょうか。

――同大戦から何かスクラム対策に取り組まれたのでしょうか

練習量云々と言うよりも、頭の部分や精神的な部分でコーチ陣が注力してくれたので、その効果は多少なりともあったと思います。

――テーマとして掲げているブレイクダウンの面はいかがでしょうか

結局取っかかりになるのはスクラムなどセットプレーです。セットプレーから安定して球出しをして1次攻撃を仕掛ければ、自然とその後のブレイクダウンもいい感じになっていくので。あとはブレイクダウンにこだわりをもってやっていることもあるかと思います。

――今季初めてスタメンSOに横山陽介選手(スポ2=神奈川・桐蔭学園)を起用されましたが、意図などあったのですか

現時点では横山と浅見(晋吾、スポ4=神奈川・桐蔭学園)を競わせていこうということで、この試合に関しては横山を起用してみようと。それくらいですね。

プロップ佐田涼祐(社3=東京・早実)

――試合全体としてはいかがでしたか

FWからしたら、スクラムでもっと圧力をかけたかったということがあって、そのスクラムから考えれば物足りない結果です。

――自身のスクラムの状態はいかがでしたか

僕のスクラムが良くなくて、後ろが頑張っている分、自分ももっとやれたかなと思います。

――同大戦ではスクラムで押されている印象がありましたが、この試合ではどのように修正をしたのか教えてください

コーチに一番厳しく言われたことが、スクラムを組む前にワセダはファーストスクラムにこだわらなければいけないのにそれを怠っているのは問題だということで、そこから修正をして、加えて技術面を教わり改善しました。

――4トライ目はモールでのトライでした。あのシーンを振り返ってみてください

今週練習でやってきたことをチームでやったのですけれど、その練習通で思い描いた感じにはならなかったかもしれないので、もっと上を目指せるプレーだったと思います。

――自身のプレースクラム以外のプレーはどう評価していますか

セカンドタックルの部分を意識してやって、先週よりはできたのかなと思います。

――試合全体を通してブレイクダウンの反則が多い印象でしたが

いままでワセダはブレイクダウンでファイトできていなかったので、その分ファイトしようとしてこの結果になって、ペナルティーがこの多さなのは反省しなければなりませんが、決してマイナスなことではないのかなと思います。

――今季左プロップで、毎試合スタメンしていますが手応えとしてはいかがですか

自信はないですけどスクラムだけを評価してもらって出させてもらっているので、そのスクラムでもっとこだわっていかなければいけないし、フィールドプレーはもっとしっかりしていきたいです。

――次は東海大戦ですが修正しなければいけない点はどのようなことですか

セットプレーですね。東海大はスクラムが強くFWのチームなので、FWで相手を止めてディフェンスでもこの試合くらいファイトし続けることです。

――東海大は因縁の相手だと思いますが、意気込みをお願いします

先輩方が残してくれたものをちゃんと引き継いで、そういう気持ちを持って挑みたい
と思います。

――最後に今季の個人の目標を聞かせてください

セットプレー、特にスクラムを安定させ、フィールドでも自分がボールキャリアーになったら安定させて、ブレイクダウンをファイトしていきたいです。

CTB盛田志(スポ4=広島・尾道)

――試合を終えて感想を教えてください

前半は上々の出来だったのですが、後半であのような結果になってしまったので、もっと僕が引っ張ることができたのかなと思います。

――後半は思うようにプレーできていないように見えましたが、どのような要因がありますか

スタミナの問題もありますが、後半の一発目に僕がミスをして、そこから悪い流れになってしまいました。いまのチームにはミスから流れが傾くことがあるので、断ち切る力が必要ですね。

――盛田選手は前半だけで3トライマークされるなど活躍が光りましたが、自身のプレーについてどう思いますか

ありがとうございます(笑)。ただ、FWをはじめ他の選手のサポートあってのトライだったと思うので、周りに感謝しています。

――復帰戦となりましたが、コンディションはいかがですか

本調子ではないですが、上々ですね。

――ディフェンスについてはCTBとしてどう思いますか

前半はだいぶよかったのですが、後半になってから内側が抜かれるシーンもあったので、もっと外から整備するように口うるさく言っていくことが必要です。

――同大戦ではブレイクダウンに課題が残りましたが、この試合での評価を聞かせてください

練習の時からブレイクダウンは意識してきたので、先週の試合よりは全然修正できていると思います。

――BKのスタメンでは4年生が2人でしたが、引っ張る意識もありましたか

そうですね。あと、この試合が初めての13番(アウトサイドCTB)だったので、めっちゃ声を出しました。

――NO・8佐藤穣司ゲームキャプテン(スポ4=山梨・日川)が退いたあとはゲームキャプテンを務められましたが、何か意識したことはありますか

特にはないですね。変わらずに声を出して引っ張るだけでした。また、穣司に任せずに引っ張っていこうということは僕もずっと思っているので、その思いのままやりました。

――次週は東海大戦ですが、抱負を聞かせてください

東日本大学セブンズ選手権でも勝てていなく、昨季も東海大に負けているので、絶対に勝ちたいと思いますし、この試合の修正をし、強いプレーをしていきたいと思います。

WTB本田宗詩(スポ3=福岡)

――本日の試合を振り返っていかがですか

先週の同大戦で嫌なかたちで負けてしまったので、勝ち切れたことは良かったと思います。それでもディフェンス面、つなぎの面でいろいろな反省点のある試合でした。

――個人的なところで評価できる点はありますか

抜けてラストパスを受けてトライを取り切れたところです。アタックに関しては、総じて良かったと思います。

――後半は苦しい展開が続きました。後ろから見ていてどのような気持ちでしたか

後半はメンバーが代わり、穣司さん(NO・8佐藤穣司ゲームキャプテン)もいなくなり若いメンバー中心でした。そこで、相手のアタックを受けてしまう同大戦のような悪い流れでした。どこかで僕なりBKがトライを取ったら流れを変えられるかなと思っていました。

――声を出している場面も多くありました。どのようなことを伝えていましたか

昨年だと僕は下級生で、フレッシュさを出そうとしていましたが、今季は上級生になりましたし、昨年は出場していない経験の浅いメンバーもいました。なのでリラックスして落ち着いて自分の実力を出せるようにと思って声出しをしていました。

――ペナルティーの多さに関してはどのようにお考えですか

相手の攻撃を受けて苦しい時に反則を犯してしまっています。このままの状態だと、東海大戦、帝京大戦ではやっていけないので、早期に改善したいと思います。

――ほぼ毎試合トライを重ねていますが、意識していることはありますか

WTBというポジションもそうですが、今季のフォーメーションではバックスリーに多くボールが回ってくるかたちですね。トライの数は毎試合、意識しています。

――次の東海大戦に向けて抱負をお願いします

今回の試合で出た課題を一つ一つクリアし、自分たちのやりたいラグビーをやれば結果はついてくると思うので、しっかり取り組みたいです。