ブレイクダウンで圧倒され屈辱の大敗

ラグビー男子

 まさに完敗という試合であった。毎年開催される同大との定期戦。開幕2連勝をかけて白星を収めたい早大であったが、厳しい現実が突き付けられた。テーマとして掲げたブレイクダウンで後手に回ると、特に後半はセットプレーが安定せず攻撃の糸口がつかめない。終盤はイージーなミスも増えるなど負の連鎖を最後まで止められず、24-60という屈辱的なスコアで大敗。この定期戦で15年ぶりの黒星を喫してしまった。

 いきなり試合の主導権を同大に握られてしまった。11分、18分と立て続けにスクラムを優位に組まれ、そこからサイドを相手のNO・8に突破され失点。序盤から10点を追うこととなる。早大の反撃は22分のこと、敵陣でのラインアウトから攻撃を展開。最後はCTB高橋吾郎(スポ2=福岡・修猷館)からボールを受けたWTB本田宗詩(スポ3=福岡)が相手をかわしインゴールを陥れる。追加点を奪われた後の28分にはスクラムからの一次攻撃でBKが外に球を回し、最後はFB黒木健人(教2=宮崎・高鍋)がトライ。その後も両者得点を重ね、17-24でハーフタイムを迎えた。

黒木は今季初トライをマークした

 後半まずスコアしたのは早大だった。ラインアウトのミスから自陣にくぎ付けされるという苦しい状況のなかで、鋭い出足を見せた本田がロングパスをインターセプト。90メートル近く走りきり、ゲームを振り出しに戻す。だが、この後のアタックが続かなかった。キックオフのキャッチミスから勝ち越しを許すと、疲れが出始めた後半途中からはブレイクダウンで同大に劣ってしまい、アタックを継続できない。また、マイボールスクラムやラインアウトもキープできない苦しい状況が続いた。悪い流れを断ち切れずパスミスや反則を繰り返した早大は、何度もインゴールを明け渡してしまう。34分には本田の個人技から後半唯一のチャンスを作ったが、この試合の悪い流れを象徴するかのごとく、ゴール前で苦し紛れのパスを同大にカットされ失トライ。終わってみれば24-60と今季2戦目はあまりにも悔しい結果に終わった。

完敗に肩を落とす選手たち

 「練習でやってきたことを出来ていないことが敗因」とフランカー池本翔一(スポ4=愛知・千種)が話すように、テーマであったブレイクダウンやディフェンスが機能しなかったことが敗因につながった。また、流通経大戦と同様にトライを連取された苦しい時間帯に悪い空気を払しょく出来なかったことも課題であろう。ここから7週間にわたり行われる連戦の中で、一つ一つ反省を生かし、チーム力を向上させたい。

(記事 菅原拓人、写真 進藤翔太)

☆PICK UP PLAYER

地元での試合で躍動した池本

  「自分の成長を見せたい」。そう話したのはこの試合の会場である愛知県出身のフランカー池本翔一(スポ4=愛知・千種)だ。その言葉の通り、千種高の恩師や後輩が見守る前で、40分のみという限られた時間のなかでもアグレッシブなプレーを披露する。特にキックオフでは誰よりも早くボールをチェイス。「いい形で出来た」と自賛するように、キックオフ直後に池本のタックルでターンオーバーを果たしたシーンもあり、会場を大いに湧かせた。いままでは春シーズンに何度も赤黒を経験するも、けがもあり秋シーズンは目立った活躍ができなかった池本。今季のフランカーは厳しいポジション争いが待っているが、「まずは自分のプレーを前面にだしてAチームに定着していきたい」と冷静に前を見据えている。これまで味わってきた悔しさを晴らし、今季こそ輝くために――。ラストイヤーは赤黒に定着してみせる。


第43回愛知県ラグビー祭
早大 スコア 同大
前半 後半 得点 前半 後半
17 24 36
24 合計 60
【得点】▽トライ 本田2、黒木 ▽ゴール 浅見(2G、1PG)、横山(1G)
※得点者は早大のみ記載

 

早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
佐田 涼祐 社3 東京・早実
  後半10分交代→16石倉    
周藤 直也 社3 東京・早大学院
  後半14分交代→17鷲野    
千葉 太一 教3 東京・早実
  後半14分交代→18柴田    
桑野 詠真 スポ3 福岡・筑紫
沢登 直也 法3 神奈川・鎌倉学園
  後半0分交代→19吉満    
仲元寺 宏行 社4 広島・尾道
池本 翔一 スポ4 愛知・千種
  後半0分交代→20宮里    
◎佐藤 穣司 スポ4 山梨・日川
吉岡 航太郎 スポ2 国学院栃木
  後半0分交代→21山岡    
10 浅見 晋吾 スポ4 神奈川・桐蔭学園
  後半0分交代→22横山    
11 門田 成朗 法4 埼玉・早大本庄
  後半0分交代→23勝浦    
12 高橋 吾郎 スポ2 福岡・修猷館
13 矢野 健人 商3 東京・早実
14 本田 宗詩 スポ3 福岡
15 黒木 健人 教2 宮崎・高鍋
リザーブ
16 石倉 庸平 人4 山梨・日川
17 鷲野 孝成 基理1 神奈川・桐蔭学園
18 柴田 雄基 文2 愛知・千種
19 吉満 慎吾 人2 東京・本郷
20 宮里 侑樹 スポ1 沖縄・名護商工
21 山岡 篤樹 教4 東京・本郷
22 横山 陽介 スポ2 神奈川・桐蔭学園
23 勝浦 秋 スポ3 愛知・千種
※◎はゲームキャプテン、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷)
コメント

NO・8佐藤穣司ゲームキャプテン(スポ4=山梨・日川)

――この試合を振り返ってみていかがでしたか

僕もありましたけど、ノックオンとか安易なミス、あとはペナルティーだったり、ブレイクダウンの弱さだったりというのが目立ったので、そこが負けに響いたのかなと思います。

――体をぶつけてみて、取り組んできたフィジカル面の強化というのは感じられたのでしょうか

フィジカルを強化しているところなので、そこは見せようというか、自分の中でどのくらいレベルアップしたのかというところを試したかったのですが、できている部分もあれば、あまり自分たちからいけていないところもあったので、そこはチーム全体を通してどんどん体を当てていっていきたいです。みんな強くなっていると思うので、そこを実感できるようにしていきたいです。

――接点での反則が多かった印象でしたが、その原因などは何だったのでしょうか

規律の部分ですかね。あとは、チャレンジした結果起きたミスもあったのですけれど、その後の修正というところができていないのかなと。例えば、一回ペナルティーしたとしても、そこでしっかり修正して同じプレーを繰り返さないということですね。そこを僕がまとめられなかったのが良くなかったなと反省しているので、もっと声掛けしていけたらなと思います。

――ラインアウトのところでのミスについてはどう感じていますか

これまでやってきたリフトだとかスローの精度だとかという基本的なところができなかったというのが一番ですね。そこは本当に春のうちからこだわってやっていけたらと思います。

――チームとしてどういったことを意識して試合に臨んだのでしょうか

先ほど言った体をぶつけていくところと、今シーズン僕らはボール継続してアタックを続けていくラグビーをやっているので、そのボール継続の部分です。あと、今週は特にディフェンスでしっかり網を張って前に出るということだったのですけど、それに関して意識から行動に移せていなかったので、今からもう一度振り返ってやっていきたいです。

――岡田一平主将(スポ4=大阪・常翔学園)不在の中で、佐藤穣選手がゲームキャプテンを務められましたが、何かゲームキャプテンとして意識していたことはあったのでしょうか

一平の代わりみたいになっているかもしれないのですけど、僕個人としてもリーダーのつもりでやっているので、そこは一平がいなくても自分がしっかり引っ張っていこうと思っています。そんな中で、この試合みたいに連続でトライを取られたシーンで落ち込んでしまったところもあったので、そういうときにしっかり切り替えてもう一度自分たちのラグビーができるようにしていけるかというのが課題だと思いました。なので、僕個人としてもそういう場面での引き締め方とかを学んでいきたいと思います。

――次の土曜日には法大戦があると思いますが、それに向けてやるべきことなどは見つかったのでしょうか

今やっているラグビーを、練習でやっていることをしっかり毎回の試合で出していって一歩一歩レベルアップを感じていければと思います。

フランカー池本翔一(スポ4=愛知・千種)

――試合結果についてチームとしてどう受け止めていますか

練習でやってきたことが出来ていないことが敗因だと思っていて、反省すべき点が多くあるので、それを克服していかないといけないです。しっかり反省してこれからの練習に取り組んでいきたいと思います。

――特に練習してきたのに発揮できなかったのはどのような部分ですか

ブレイクダウンは本当に重視していて、こだわってきた部分なのですが、そこで相手に越えられてしまったので、反省しないといけないです。

――ブレイクダウンで劣勢だったのは寄りが遅いからなのか、それともフィジカル的な問題なのでしょうか

両方ですね。

――流通経大戦の反省をどう生かそうとしていましたか

流通経大戦では、前半はある程度いいかたちでプレーできたのですが、後半に相手が対応してきたところで自分たちがそこに対応できなかったことが課題でした。そういった場合に攻撃のかたちを自分たちも変えるということを自分たちもしてきたのですが、この試合はそれ以前の問題で負けたと思います。

――池本選手自身のことを伺います。マイボールキックオフで真っ先にチェイスされていましたが、狙っていたプレーなのでしょうか

そうですね。あれは自分がやらなければいけないプレーなので、最初から狙っていました。

――キックオフを取った相手にタックルし、そのままターンオーバーしたシーンがありました。振り返ってみていかがですか

いいかたちで出来たので、いいプレーを続けていきたいです。

――アタックなど運動量についてはどう感じますか

ある程度走れていたとは思うのですが、今シーズン80分フルで出場していなくて40分の出場では何とも言えないのですが、80分いつでも出られる準備をこれからもしていきたいです。

――後半のチームの様子をベンチから見ていた印象を聞かせてください

トライを取られこっちはミスをしての繰り返しでチームが落ちていくなかで、穣司(佐藤穣ゲームキャプテン)は盛り上げていたのですが、周りが付いていけてなかったので、そういったところを僕たちが助けていかなければならないと思います。

――地元・愛知での試合となりましたが特別な思いはありますか

やはり学校の後輩とか恩師の先生も観に来てくださっているので、自分の成長を見せたいということは念頭に置いていました。

――バックスタンドには池本選手を応援する横断幕もありましたね

そうなんですよ。うれしかったです(笑)。

――今シーズンのフランカーはポジション争いが激しいですが、どうアピールしていきたいですか

他のフランカーと比較することも大切かもしれませんが、まずは自分のプレーを前面にだしてAチームに定着していきたいと思います。