先週のYC&AC JAPAN SEVENSでは21年ぶりの準優勝を収めた早大。この日こそ頂点に立つべく東日本大学セブンズ選手権に挑んだ。しかし初戦の東海大戦を惜しくも落とすと、初戦で敗れたチーム同士のコンソレーショントーナメントでは痛恨の準決勝敗退。前週の勢いそのままに勝ち切ることができず、新たに課題の見える大会となった。
「絶対に負けられない戦いだと思っていた」(SH岡田一平主将、スポ4=大阪・常翔学園)。初戦で対峙したのは昨季の全国大学選手権で敗れた強豪・東海大。雪辱を果たすべく臨んだ試合は序盤から両チームにミスが少なく、ハイレベルな戦いになる。早大は7点を先行されるも、すぐさまWTB本田宗詩(スポ3=福岡)の走りからチャンスメーク。最後はFB門田成朗(法4=埼玉・早大本庄)がしっかり仕留め、勝負は後半へと託される。そんな一瞬たりとも気の抜けない展開のなかで勝敗を分けたのは、要所でのミスだった。自陣ゴール前でのマイボールラインアウト、投げ入れたボールは虚しくもジャンパーの頭上を越えていく。オーバーボールは相手の手に収まり、勝ち越しを許してしまった。直後にも追加点を奪われた早大は、ラストワンプレーからWTB山川慶祐(社3=東京・早実)が70メートル以上の独走トライを決めるも一歩及ばず。12-19で敗れ、東海大へのリベンジは持ち越しとなった。
東海大戦で一時同点となるトライを決めた門田
東京学芸大、拓大を撃破して迎えた日大との準決勝。開始1分ほどでライン攻撃からフランカー池本翔一(スポ4=愛知・千種)が走り切り、幸先よく先制点を挙げる。しかし、ペナルティーを起点に追いつかれると、直後のキックオフのこぼれ球を日大に拾われそこから失点、7点ビハインドで前半を終えた。勝負が決する後半、序盤にターンオーバーからこの日何度も好走を見せた本田が何人も抜き去りトライを決め、同点に追いつく。このまま一気に逆転をしたいところだったが、上回ったのは日大の勝利への執念だった。早大はゴール前まで攻め込むものの反則でチャンスを逸すると、ボールを自陣に蹴り返された際に痛恨のペナルティー。そこからトライを奪われ勝負を決められた早大は14-21で敗れ、大会を終えた。
この大会も力強いプレーを連発した岡田主将
「コンソレーションの戦いを振り返ると、モチベーションとして足りなかった」と岡田が口にしたように、東海大戦に敗れ気持ちが途切れてしまったのだろうか、2試合目以降はこれまで見られなかったミスや反則が散見され、チームとしても先週のような盛り上がりに欠けてしまった。また、外国人選手との1VS1の部分では簡単にゲインを奪われるシーンもあり、ディフェンス面での改善が求められる。しかし、本田が強豪相手にもエースとしての役割を果たしたことや、けがで苦しむことが多かった池本が復活をアピールするなど好材料があったことも事実。まだシーズンは始まったばかり。この敗戦もプラスに変えて、さらなるレベルアップを目指したい。
(記事 菅原拓人、写真 菅原拓人、高畑幸)
☆PICK UP PLAYER
本田は持ち味の攻撃力に加えディフェンスでも存在感を示した
昨季のセブンズで頭角を現したWTB本田宗詩(スポ3=福岡)。今季も予測不可能なステップと抜群の加速力でチームを引っ張った。だがそれ以上に目立ったのがディフェンスだ。鋭い勢いで相手との間合いを詰めると、強烈なタックルを見舞う。そんな場面がこの大会で何度も見られた。「いいタイミングで入れた」と本人も手ごたえを実感している。その高い能力を評価されてか、本田は関東学生代表に選ばれた。対戦するのはニュージーランド学生代表。「恥ずかしくないプレーをしたい」と意気込む早大のスピードスターがラグビー王国を相手にどこまで通用するか、注目だ。
結果
1回戦 ●早大12-19東海大
2回戦 ○早大22-0東京学芸大
3回戦 ○早大19-7拓大
準決勝 ●早大14-21日大
※1回戦の勝者がチャンピオンシップ、敗者がコンソレーションのそれぞれのトーナメントに進出する
早大登録メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
5 | 仲元寺 宏行 | 社4 | 広島・尾道 |
6 | ◎岡田 一平 | スポ4 | 大阪・常翔学園 |
7 | 池本 翔一 | スポ4 | 愛知・千種 |
8 | 佐藤 穣司 | スポ4 | 山梨・日川 |
9 | 吉岡 航太郎 | スポ2 | 国学院栃木 |
10 | 門田 成朗 | 法4 | 埼玉・早大本庄 |
11 | 鈴木 亮 | 教4 | 神奈川・桐蔭学園 |
12 | 盛田 志 | スポ4 | 広島・尾道 |
13 | 矢野 健人 | 商3 | 東京・早実 |
14 | 本田 宗詩 | スポ3 | 福岡 |
15 | 山川 慶祐 | 社3 | 東京・早実 |
19 | 勝浦 秋 | スポ3 | 愛知・千種 |
※◎は主将、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷) |
コメント
SH岡田一平主将(スポ4=大阪・常翔学園)
――コンソレーショントーナメント準決勝敗退という結果についてどう受け止めていますか
もちろん満足はできないですね。最初の東海大戦にすべてを懸けて挑んだつもりだったのですが、力が及ばなかったことに悔しい気持ちです。以後のコンソレーションの戦いを振り返るとモチベーションとしては足りなくて、自分たちで高めて試合に臨めなかったことが課題だと感じています。
――東海大には昨季の全国大学選手権で敗れたということで、意識されましたか
もちろんですね。絶対に負けられない戦いだと思っていたので、自分たちで徹底してやろうとしたことが相手にやらせてもらえなかったことに、かなり悔しさがあります。
――特に東海大に対してやろうとしたことを具体的に教えてください
YC&ACと同じで徹底して強烈なブレイクダウンなど自分たちが選択したプレーを思い切ってアタックしていこう、ボールキャリアーが自分や仲間を信じて前に出ようということを意識してやりました。
――日大を相手に敗れた要因はなんでしょうか
底力という部分かなと。YC&ACの筑波戦のように接戦をものにできるかで変わってきますし、このような接戦をものにしていかないと今季のワセダは勝ち進めないと思っています。
――外国人選手がいるチームと多く戦いましたがいかがでしたか
試合に勝ったり負けたりでしたが、勝ったとしても外国人選手を止められたかといったらそうではないと思います。いまや多くの大学に1〜2人は外国人選手がいるので、そこはきちんとシャットアウトできるよう、1VS1でもしっかり勝てるようにしないといけないと感じました。
――大会後にチームでどのようなことを話したか聞かせてください
コンソレーショントーナメントでアップからしっかり準備ができていたのか再確認するべきだということと、徹底したことをできなかったこと、あとは自分も含めて少し甘く、気の抜けたプレーをしてしまったことを反省しようと言いました。
――セブンズの2大会を通じての手応えはいかがでしたか
自分たちは「もしこのパスが通れば」といったようにたらればのプレーで勝てるチームではないので、自分たちが100パーセント出し切れるプレーを選択していかないと、今季のワセダはこの先勝てないのだなと実感しました。このセブンズのメンバーが15人制でも中心になってくると思うので、前に立って胸を張れるようなプレーをすべきだと思っています。
WTB本田宗詩(スポ3=福岡)
――この大会を振り返っていかがですか
東海大戦が鬼門だと自分で分かっていたので、懸けていたのですが、外国人にいい形でボールを持たせてしまったのが敗因だと思います。
――テーマは何でしたか
早大は体が小さいのでブレイクダウンにこだわろうとしていて、それを7人制でも生かそうということでしたが、その部分では互角にやれたと思います。
――いいタックルを何本も決められていましたが、ディフェンス振りかえっていかがでしたか
周りが上手く機能してくれて自分のところに来たということで、いいタイミングで入れたのですが、その後のパックだったりドライブだったりが甘かったので反省点としたいです。
――ディフェンスでのこだわりはありますか
タックルしてボールを取り返すまでがいいディフェンスだと思うので、タックルしてすぐ起き上がるということを意識したいです。
――オフェンスはいかがでしたか
トライは1本しかできませんでしたが、いい間合いでステップを切れて、相手のディフェンスを崩せたと思うのでオフェンスは手応えはあります。
――関東学生代表に選ばれましたがいかがですか
周りがすごい人ばかりなので、恥ずかしくないプレーをしたいと思います。
――今後の意気込みをお願いします
打倒帝京大ということで、春の帝京大戦に向けていい準備をしたいと思います。