【連載】第2回 プロップ千葉太一×フッカー菅野卓磨×プロップ佐藤勇人

ラグビー男子
 絶対的なフロントローが卒業して迎えた今シーズン。それでも筑波大戦でスクラムトライを奪うなど、昨季と遜色ない活躍を見せている。今回はフロントローを代表してプロップ佐藤勇人(スポ4=秋田中央)、フッカー菅野拓磨(教4=東京・早実)、プロップ千葉太一(教2=東京・早実)の3選手に、これまでの振り返り、そして大一番への思いを伺った。

※この取材は10月26日に行われたものです。

「僕たちができるラグビーはもっと上」(佐藤勇)

スクラムの破壊力は抜群の佐藤勇

――ここまでのシーズンを振り返っていかがですか

千葉太 僕としては初めてのことが多く、実際ピッチに立ってみて感じることが多かったです。また、1番と3番でスターターとして出させてもらったことは大きな経験になっています。

菅野 (関東大学)対抗戦が始まっていいかたちで試合ができているんですけど、まだまだ毎回課題が多く出ているので、それを一個一個片づけている感じです。

佐藤勇 1、2年の時はケガが多く、3年の時は垣永さん(垣永真之介前主将、平26スポ卒=現サントリー)の控えということが多かったのですが、今季は3番として出る機会を多くもらっているので、その面では充実していると感じています。

――夏合宿では苦しい試合が多いように見えましたが、いま振り返ってみていかがですか

千葉太 いまもそうなんですけど、シーズンを通しての戦い方が固定されていなくて、新しいフォーメーションにもチャレンジした部分がありました。相手が強いほどうまくいかない部分が多かったんですけど、最後法大に勝ったことは大きかったかなと思います。

菅野 いま千葉太が言った通り、夏合宿は攻め方だったり戦略だったりの骨組みを作っている段階でした。なので、すぐ結果が付いてくるとは思わなかったし、練習でいいかたちでできたことが試合だとできないというのは、夏合宿でいい経験ができて、それがいまできている部分もあります。あとは、これから対抗戦が深まってきたときにできるかという感じです。

佐藤勇 二人が言った通り、夏合宿は骨組みを作ろうということと、プラスきつい時間帯や体での試合に臨むということでやってきたんですけど、それがミスにつながってしまったということがあったのかなと思います。

――夏合宿から取り入れたフォーメーションの手応えなどはいかがですか

千葉太 実際にシーズンが深まってだんだん良くなっていると思うのですが、上から下までチーム全体で統一できているかというと、後藤さん(禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)もこの間「まだできていない」と仰っていたので、Aチームのみならずチーム全体が戦術としての統一ができたらなと思います。

――対抗戦はここまで3試合で完封していますが手応えも感じているのではないでしょうか

千葉太 どのレベルの相手でもディフェンスは大事なので、いいことかなと。でもビデオ見ると強いチームだと抜かれるようなシーンが多く見られたので、帝京大以降の強いチームに対してどれだけディフェンスができるかです。

佐藤勇 やっぱり練習から見てもまだまだコミュニケーション不足も感じますし、僕たちができるラグビーはもっと上ではないかと感じることもあります。

――筑波大戦では劇的な勝利となり、試合後には涙する選手もいましたが、振り返っていかがですか

千葉太 前半はミスで自滅して、相手のいい選手に走られて、点差を付けられてしまい、練習でうまくいっている部分がどうしたのかとずっと思っていたのですが、最後にああいうかたちで勝てて、喜びというよりもホッとした気持ちになって、泣いていました(笑)。

佐藤勇 できれば最後までプレーしたかったのですが、昨年同様、スクラムトライが取れたことは自信になりましたし、勝ったということは評価していいのかなと思います。

菅野 自分としてはそんなに悪くなかったのですが、ラインアウトが安定していなかったので、前半途中で交代させられました。その後外から見ていて、敵陣にいればいい感じにアタックできていたので、絶対にやってくれると思っていましたし、ゴール前ペナルティーでスクラム選択したとき、絶対スクラムトライできるなと思っていました。最終的に勝ちという結果で終わってよかったです。

――筑波大戦ではスクラムトライを奪いましたが、スクラムについてはどう思いますか

佐藤勇 夏合宿でいっぱい組んでいたので、試合中きつい時間帯にスクラムを組むということは、夏合宿のつらい経験が功を奏したのかなと身に染みて感じることができました。

菅野 試合を重ねてきて、青学大戦では非常にいい感じで組めることが何本もあったのですが、それが帝京大や明大に通用するか考えると、もうちょっと修正していきたいなと思います。

――菅野選手はラインアウトでスローアーを務められていますが、ご自身のスローの出来について振り返ってみてください

菅野 ノットストレートが1本で、他にはオーバーボールとかサインミスが少しありました。ですが、昨年は「ちゃんとスローしないと」と思っていたのですが、ことしはそんなに気にせず、リラックスして投げられているので、そこはいい点かなと思います。

――リフトする側にとって菅野選手のスローはいかがですか

佐藤勇 めっちゃいいです(笑)。

――試合後のインタビューでミスの多さを指摘される選手が多いですが、ミスについてどのように思いますか

千葉太 昨年に比べると練習中からもミスが多いせいか、うまくつながらない部分もありますし、ゴール前でのアタックでノックオンとかペナルティーで切り返されることが多いので、(ラインを深く)ためる部分とか意識していかないといけないと思います。僕は(関東大学)ジュニア選手権も出ていて、昨日の東海大B戦もミスの部分で取れるところも取れずに負けました。後藤さんも言っているのですが、ミスしたらいまの早大に取り返せる力はあまりありません。それなのに自分たちのやってきたことをやりきれていないから、ミスが多いのかなと思います。

――ノックオンが起きればスクラムを組むわけですが、やはりミスしてほしくないのでしょうか

菅野 正直ね(笑)。めっちゃ遠いところでWTBにノックオンされると「なにやってんだ!」と思いますけど、試合中は取り返そうと頑張ります。

――試合後にBKに文句を言いたくなるようなことはありますか

佐藤勇 チームの雰囲気が大事ですし、文句は言わないようにしているのですが、自分のなかでフラストレーションはたまります(笑)。

――他のみなさんも同じように考えているのでしょうか

菅野 そうですね。優しい人が多いですよ(笑)。

佐藤勇 文句とか言いませんからね。

――昨年のフロントロー対談でも「僕たちは寛容なので」と仰っていました

一同 ほんとにそれです!

――BKへの要望などありますか

佐藤勇 強いて言えば、もっと下の学年が声を出してほしいですね。いまは4年生が引っ張っているだけの早大だと思うので、もっとチームを円滑に進めるためにも、下級生がもっと声を出せるような環境づくりを4年生がしないといけないなと感じます。

菅野試合でも練習でも、SOの小倉(小倉順平副将、スポ4=神奈川・桐蔭学園)の声が一番出ていて、FWも小倉の指示待ちみたいになっているので、BK全体からもっと指示してほしいし、外が余っているときは小倉以外のCTBやWTBが主張してくれればいいかなと思います。

――自身のプレーを振り返って、満足しているところや物足りないところはどういったところですか

千葉太 自分の持ち味であるフィールドプレーは試合中もできていると思うのですが、早大はセットプレーで勝たないといけないのに、スクラムがまだまだ勇人さんや俊太郎さん(プロップ高橋俊太郎、社4=東京・早実)に比べると弱いので、その部分をもっと頑張らないといけないなと思いました。

佐藤勇 僕は千葉太と逆で、スクラムでは評価していただいているのですが、フィールドプレーという面では早大の歴代の3番の方に及んでいないので、日数は少ないのですが近づけるようにしたいです。

菅野 自分はフッカーとしてもっとセットプレーを安定させることが大事です。セットプレーでプレッシャーをかけられたら試合も楽に進むと思うので、もっと修正していきたいなと思います。フィールドプレーではアタックはいい感じでできたのですが、ディフェンスが毎回課題として出ているので、いいタックルしたいですね。

「花形選手の活躍を支えられる」(千葉太)

フィールドプレーも持ち味の千葉太

――今回の対談の組み合わせを聞いてどう思いましたか

千葉太 普通に考えたら僕じゃなくて、俊太郎さんだっただろうなと。

菅野 まあ…(笑)。千葉太はもういいかなと(笑)。この前早実対談したしね。

千葉太 そうですね…。

――佐藤勇選手の印象はいかがでしょうか

千葉太 とにかく心が大きくて…。スクラムに関しては尊敬しかないです。スクラムを組んでいる最中もそうですし、組む前からの駆け引きなども、僕には足りていない部分なので、試合後や練習中にも話は聞くようにしています。尊敬しています。

菅野 (笑)。

――菅野選手から見た佐藤勇選手の印象はいかがですか

菅野 スクラムがめっちゃ強いです。スクラム超強いです(笑)。

――初めて会ったときの印象はどうでしたか

菅野 デカいな…と。すぐケガしたんだよね?

佐藤勇 すぐケガしました。それでずっと松葉杖でした。

菅野 1年生のとき係が一緒だったんですよ。仕込みっていうAチームのジャージを準備する係で。その頃から仲良かったです。

――佐藤勇選手から見たお二人の印象はいかがですか

佐藤勇 菅野は、誰とでもフレンドリーに接しているのがすごくうらやましいです。僕はそんなコミュニケーション力とかないので。結構フレンドリーに接して、上の学年から下の学年まで仲の良い人が多いのかなという印象です。千葉太はいじられキャラかなと(笑)。ラグビーには本当に詳しいです。監督部屋でずっとビデオ見てるんですよ。すごいっす。

――千葉太選手はいじられることについてどう思いますか

千葉太 全然ありがたいです(笑)。

佐藤勇 うれしがるんですよね(笑)。

千葉太 嫌がっているはずなんですけどね。みんなからは喜んでいるように見えてしまうようで。

――寮の雰囲気はいかがですか

佐藤勇 いいとは思います。

菅野 僕は寮じゃないので。見ている感じはいいんじゃないですかね?(笑)

千葉太 僕はことしから入ったので、寮ってもっと怖いもので、規則とかももっと厳しいのかと思っていたのですが、全然そんなことはなくて、先輩方も優しくしてくれますし、最低限の規則に乗っ取ってやっているのですが、先輩後輩のカベとかもそんなになくて、先輩とのコミュニケーションを取れる環境づくりをやってもらっているのですごくありがたいですね。

――食事制限などはどのようにされているのですか

佐藤勇 基本的には選手自身に任せていますね。でも、まだまだ細い選手には、もっと食べるように言っています。

――佐藤勇選手自身は増量中ですか

佐藤勇 うーん…。キープかな(笑)。

――菅野選手と千葉太選手はいかがですか

千葉太 僕も基本的にはキープですね。

菅野 僕もそうです。あまり変化しなくなりました。

千葉太 これ以上増えてしまうと、自分の持ち味が出せなくなってしまうので。

――入学時に比べて体重の増減はありますか

佐藤勇 減ってますね。10キロぐらいかな。

菅野 まれですね。非常にまれなケースです。

千葉太 僕もマイナス10キロ以上してますね。

菅野 え!?

千葉太 123キロぐらいで入部して、ケガをして、後藤監督に「10キロ以上痩せないと試合で使わないぞ」と言われて、そこから減量が始まりました。毎日体重計に乗らされて、後藤監督の監視の下で減量していました。

――菅野選手はいかがですか

菅野 僕は増量しましたね。10キロぐらいですかね。86キロぐらいだったのが、いまは95キロぐらいあるので。

――減量は大変でしたか

佐藤勇 いやー、つらかったですね(笑)。

千葉太 つらかったです。まあ、痩せろって言われてしまったので仕方ないです。僕の体重で10キロ痩せても他の人から見たらわからないので(笑)。痩せてないのと一緒ってよく言われます。でも、痩せたおかげで筋肉量が増えたので、それはよかったと思います。

――菅野選手は増量ということでしたが、大変でしたか

菅野 大変でしたね。増量と減量とどっちが大変なんでしょうね。

佐藤勇 人によるんじゃない?体質でしょ(笑)。

菅野 僕は最初なかなか90キロ台にいかなくて。90キロのカベみたいなのがありましたね。でも、それを超えたらあとはすぐ増えました。たぶん、いまも増量中でその小さいカベに悩んでる後輩たちが多いと思います。食べてもなかなか増えない限界っていうのがあって、そこを超えるのがきついですね。食べるしかないですからね。

佐藤勇 運動量はもう決められているので、それ以上にカロリーを摂取しなければならないので大変だと思います。

――千葉太選手は、前回の対談で夏合宿が楽しみとおっしゃっていましたが、実際に行ってみていかがでしたか

佐藤勇 まじか(笑)。

千葉太 最初のクールは、自分がスクラム練習を壊してしまったぐらいひどかったのですが、3週間はあっという間だったなと思います。多くのことを経験できたので、また来年も菅平で合宿したいなと改めて思いました。

菅野・佐藤勇 (苦笑)。

――菅野選手は口に出したくないとおっしゃっていましたが

菅野 やっぱり千葉太は変わってますよね(笑)。幸せ者です。

――佐藤勇選手は夏合宿を振り返っていかがでしたか

佐藤勇 ケガに見舞われて、正直しんどい時期もあったのですが、いまはもうこうして普通にできているので、そういう面では自分を見つめ直すいい期間だったのかなと思います。

――千葉太選手は1番にも挑戦されたということでしたが、いかがでしたか

千葉太 組み方が根本的に違うので、体の入れ方だとか押し方だったり、基本的な部分は変わらないのですが、両肩ついていたのが片方だけになると、自分の中に違和感があってうまく整理できなかった部分も多かったのですが、最後のほうになってきてちょっとずつはよくなってきたかなと。試合をやっていても、体で感じることができましたし、よかったかなと思います。

――佐藤勇選手は1番で組んだことはありますか

佐藤勇 1回だけあります。昨季の春の北海道の明大戦で、「組め」と言われて…。まあ難しかったですね(笑)。1番は相手と1対1なのですが、3番は相手のフッカーと1番が来るので。そういう意味では、3番の方が体の大きさは必要となってくるのかなと思います。

――夏合宿ではスクラムを重点的に練習されたのですか

一同 はい(笑)。

菅野 1日1時間とかですかね…。

佐藤勇 思い出したくない(笑)。

――フロントローの魅力とは何でしょうか

佐藤勇 僕は2つあります。

菅野 ほう(笑)。

佐藤勇 まずスクラムですね。相手を押したら楽しいですし。2つ目は、ボールを持ってラインブレイクしたら会場が沸くじゃないですか。それがいいなと思います。

菅野 僕もスクラムですかね。他のスポーツにあんなのないじゃないですか(笑)。危険ですし。ぶつかり合う瞬間のあの感じとか、なかなか他の人にはわかりにくいですけど、いいんじゃないですかね(笑)。

千葉太 ラグビーを知らない人が試合を見ると、やっぱりどうしてもWTBとかNO・8とかに、目がいってしまうと思うんですよ。花形選手たちですし。でも、そういう花形選手の活躍を支えられるのは僕たちフロントローだと思っているので、そこが1番の魅力かなと思います。

菅野 いいこと言うね(笑)。

――フロントローをやっていてつらいところはありますか

一同 スクラム…(笑)。

千葉太 あとは、ディフェンスですね。足の速い選手と1対1になると、どうしてもミスマッチが生まれてしまうので、そうなったときのディフェンスがテンパっちゃいますね。

――ラグビーを始めたときからフロントローだったという方はいますか

一同 (挙手)

――いままでずっとフロントローをやっていますか

菅野 そうですね。

佐藤勇 ずっとプロップです。

千葉太 僕は中学のチーム事情で、キックとかパスが上手いからやれ、と言われてSOとWTBをやらされていましたけど、高校からはずっとプロップです。実際、自分の体を1番生かせるのはプロップかなと思います。

――フロントローになったきっかけはありますか

菅野 僕は中学から始めたのですが、初めてラグビースクールに行ったときに、「FWとBKどっちがいい?」と言われて、何だそれはと思いまして。サッカーにもFWってあるじゃないですか。1番前で得点を決めるじゃないですか。それを思って、ああ、それならFWですかねと答えてしまい、気づいたらフロントローをやっていましたね(笑)。

佐藤勇 僕は菅野のほどのエピソードはないですが、小さいときから体が大きかったので、そこしかないだろうと強制的にプロップをやらされていました。

――やってみたかったポジションはありますか

菅野 もうちょっと背が高かったらNO・8とかやりたかったですね。かっこいいですもんね。

佐藤勇 想像できないですけどね(笑)。

一同 (笑)。

佐藤勇 僕はもうちょっと痩せてたらフランカーとかやりたいですね。フランカーの仕事人みたいな感じがいいのかなと思います。布巻(布巻峻介副将 スポ4=東福岡)とか見てて、「お、いいな」と思いますし。チームに1番必要とされているポジションなのかなと思いますね。

千葉太 僕は、NO・8かSOかですかね。とりあえず1番ボールもらえる花形なんで。

――SHやWTBをやってみたいとは思いませんか

菅野 SHはきつそうだよね(笑)。彼らずっと走ってますからね。あれはちょっときついですね。

――フロントローあるあるはありますか

佐藤勇 みんな優しいですかね(笑)。

菅野 基本優しいですね。いい奴が多いです。仲良いよね?

佐藤勇 そうですね。他のポジションはよく分からないですが(笑)。

菅野 練習中みんなきついときは、みんなで団結してちょっと痛いぞ、って言って軽めになることをみんなで願うっていうのをやってますね(笑)。

――スクラムの相性はいかがですか

佐藤勇 僕は、菅野も清水(フッカー清水新也、スポ4=宮城・仙台育英)も、長く組んでいるのでやりやすいようにやっていますね。

菅野 僕は合わせるタイプなので、何回か一緒に組めれば、その人がやりやすいようにできるかな、って感じですね。

千葉太 僕もあまり変わらないですが、菅野さんの方が、組んでいる期間が長いので組みやすいかなと思います。

――ロックとの相性はありますか

佐藤勇 最近は詠真(桑野詠真、スポ2=福岡・筑紫)しか押してもらってないので…。

菅野 詠真いいよね。すごくいいです。

――ロックによってかなり変わるのでしょうか

菅野 全然違いますね。重さが全然違いますね。

佐藤勇 AチームとBチームで何が1番違うかって言われたらバックファイブの重さだと思いますね。

――スクラムを組みたくない人はいますか

菅野 汗臭い、となると高橋俊くんですよね(笑)。汗の量が尋常じゃないんですよ。一人だけシャワー浴びてきたみたいな。あいつのとこだけ雨降ってるんですよ。スクラム集中しようと思って、勇人つかんで、俊太郎つかんだら「わっ!」って。それで1回冷静になっちゃうときがありますね(笑)。

――対面で組まれるとどうですか

菅野 ちょっと嫌ですね(笑)。僕は組んだことないですけど。

佐藤勇 あいつヘッドキャップ被るんですよ。僕は被らないので、ちょっとここ(こめかみ)が濡れるかなと(笑)。自分のことで精いっぱいなので、そこまで気にしないですけどね。

――フロントローの方々はギョーザ耳になることが多いと思いますがいかがですか

佐藤勇 (千葉太選手の耳を見て)なってないね。スクラム組んでないな?(笑)

菅野 僕は右だけ完全にですね。

佐藤勇 僕も右だけです。

菅野 (千葉太選手を見て)甘いな(笑)。

千葉太 はい…。もっと頑張ります(笑)。

「セットプレーに集中」(菅野)

安定感が高い菅野

――それでは帝京大戦へ向けて話を伺います。改めて春、夏と対戦した時の実感を教えて下さい

千葉太 僕からですか(笑)。多分僕が唯一帝京大の1番と3番のどちらとも組んでいるので、その違いが一番分かったかなと思います。スクラムに関しては僕たちより10キロ近く重く、やはりどのチームよりも重いのですが、その重さに押されずどれだけ早大のスクラムが組めるかが大事です。帝京大はスクラムだけではなくフィールドプレーもうまいので、そこに対して強いプレーをし続けないと勝ちは見えてこないかなと思います。

菅野 夏は前半だけ出て、前半はモールでいい感じでトライも取れたり、スクラムもそんなには押されなかったので良かったのですが、春夏通じて後半で引き離される時間帯があるので、その一番きつい状況でどれだけみんな頑張れるかが問われているかなと思います。

佐藤勇 正直、春に戦った時は、どうにかなるんじゃないかと思ったのですが、夏戦ってみてちょっと差が開いてしまったと感じました。帝京大に勝つというチームの目標がありますが、いま試合でもミスが出ていたりして、僕自身の中で焦りがあるというのが正直なところですね。

――「重い」という言葉もありましたが、帝京大のFW陣に対してはどのような印象をお持ちですか

菅野やっぱり一人一人体重もありますし、でかいというのもありますし、スクラム組んで特に感じるのは8人のまとまりというか、8人で力を伝えてくるのが非常にうまいチームなのですごく嫌ですね。

佐藤勇 菅野が言ったのですが、8人のまとまりを感じますしバックファイブの重みが早大より全然あるというのはスクラムを組んで感じる点ですね。

――では、それを踏まえて早大が次の帝京戦でポイントにしていかなければいけないのはどんな点になってくるのでしょうか

千葉太 (いま)ミスが多いんですけども、ミスをした時にミスをミスにしない、例えば自分たちがノックオンしたのを相手に先に取られるのではなく自分たちがセービングしてボールを取って、スクラムでも何でも一回プレーを切ることが大事だと思います。帝京大がカウンターがうまく、カウンターラックにしろターンオーバーからのアタックが他のチームに比べて全然レベルが違うので、ミスをミスにしないことが大事かなと思います。

菅野 やっぱりミスしないというのはいま本当に大事なことで、後はどうしてもこっちがディフェンスのフェーズが多くなると思うので、耐えて耐えてみんなで堅くディフェンスして、来たチャンスをミスを控えて結果につなげていくことが大事かなと思います。なのでずっと集中していかないと駄目かなと思います。/p>

佐藤勇 規律と集中力と賢さというのを昨年から早大が掲げているんですけれども、やっぱりそこをちゃんと遂行するというか、ミスをミスにしないところと規律、クレバーさという面を出していけたら、勝負はできると思うので、そこを早大らしく勝負していきたいと思います。

――早大のキーマンを挙げるとしたら誰になるでしょうか

千葉太 キャプテンの功三さん(ロック大峯功三主将、スポ4=福岡・東筑)はそうですけれど、やっぱりBKで言ったらWTBの荻野さん(荻野岳志、基理4=神奈川・柏陽)かなと。FWはスクラムで言ったら勇人さんですし、フィールドで言ったら布巻さんだと思います。荻野さんは取り切るだけの力があるので、荻野さんが取ってくれたらチーム全体も勢いに乗れますし、布巻さんに関しては、チームで1番ラグビーを理解して、コンタクトでも絶対に帝京大よりも強いですし、何より体を常に当ててくれるすごい選手なので、やっぱりそこはキープレーヤーかなと思います。/p>

佐藤勇 ポジションとかじゃないんですけど、もうちょっと1年生に大舞台ということで楽しんでほしいと思います。大舞台だからと窮屈にならずにその場を楽しむというか、そういう感じで挑んで欲しいですかね。

菅野 フロント(ロー)で。フロントにしておきましょう(笑)。

――1年生ながらスタメンで活躍しているフランカー加藤広人選手(スポ1=秋田工)についてはいかがでしょうか

佐藤勇 僕は1年の時はケガしていたので、本当に上でやるというのはいい経験になるのでそれを糧にして頑張っていってほしいです。

――それでは最後に帝京大戦への意気込みをお聞かせ下さい

千葉太 出場機会が巡ってくると思うので、とりあえず負けない、そのためには強いプレー、スクラム、ラインアウト、リフト、ディフェンスにしろ、フロントローとしての自分の責任を果たすだけだと思います。

菅野 まずはセットプレーの安定を。とりあえずセットプレーに集中していきたいですね。

佐藤勇 僕もセットプレーですね。セットプレーが安定しないと試合が成り立つものも成り立ちませんし、そこじゃないですかね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 菅原拓人、高柳龍太郎、山口智子)

3人笑顔で写っていただきました

◆菅野卓磨(すげの・たくま)(※写真左)

1992年(平4)12月25日生まれ。168センチ、95キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。ポジションはフッカー。以前行った早実出身対談の後、3人で遊ぶことはあったのかを聞いてみると「無いっすね(笑)」とのこと。果たして卒業までに遊ぶことはあるのでしょうか!?

◆千葉 太一(ちば・たいち)(※写真中央)

1994(平6)年9月22日生まれ。176センチ、113キロ。東京・早実高出身。教育学部2年。ポジションはプロップ。筑波大戦後には人目をはばからず涙した千葉太選手。「実は自分、泣きやすいんですよ」と意外な一面を覗かせてくれました。11月2日に行われる帝京大戦、再び千葉太選手のうれし涙を見たいものです!

◆佐藤勇人(さとう・ゆうと)(※写真右)

1992年(平4)9月21日生まれ。182センチ、120キロ。秋田中央高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはプロップ。寮長を務めている佐藤勇選手の寮の同じ部屋は後輩を含め全員フロントローだそう。優しい雰囲気に包まれていそうですね!