秋から始まった関東大学対抗戦(対抗戦)も残すところ3試合。帝京大戦を目前に控えた今回、お話を伺がったのはCTB飯野恭史(商4=東京・早実)とCTB勝浦秋(スポ2=愛知・千種)のCTBコンビ。常に早大を背負い戦うお二人に、これまでの対抗戦の振り返りや残す今季のことからプライベートなことまで、終始和やかな雰囲気の中語っていただいた。
※この取材は10月26日に行われたものです。
真面目な二人
いまや早大に欠かせぬ存在になった飯野(左)と勝浦
――まず初めに、お二人での対談と聞いてどのように思いましたか
飯野 きたかという感じでした。
――お二人は普段から話したり仲が良いのですか
飯野 学年は違いますけど、ずっと一緒にやっているので仲が良いと思います。
勝浦 そうですね。基本練習の内容とかは話しますね。
飯野 グラウンドで話すことが多いので。僕ら二人とも真面目なので結構ラグビーのことは話します。そんなに何でも話すよみたいな感じではないですけど(笑)。
――いきなりですがお互いの他己紹介をお願いします
飯野 勝浦は身体能力が高くて、僕が持ってないものを持っています。あとは、真面目で努力家なので、すごく伸びているなと思いますし、今後ももっとすごいやつになるんじゃないかなと思います。
勝浦 飯野さんの印象は、僕は真面目だと言われたんですけど、僕よりも真面目ですね。ちょっと試合とかでミスがあったら、そのときにいろんな人と話し合って修正していて、いまのは自分がこう悪いからどうだったんだとか。試合前とかもタックルとかすごく細かい部分まで確認しないと気が済まないみたいで、いろんな人にお願いして。本当にすべてにおいて真面目ですね。
――プレーの面での2人の相性はいかがですか
飯野 良くなってきたよね?
勝浦 そうですね。
飯野 最初春はかみ合わなかったところが多かったですけど、いっぱいやっているのでばっちりですね。僕にとっては。
勝浦 最初は本当に僕が飯野さんに助けられっぱなしで、僕のミスを飯野さんがカバーしてくれるみたいな。ずっと一方的だったんですけど、最近は自分の中でだけですけど、ちょっと飯野さんの部分もカバーできたんじゃないかと思う場面もちょっとずつ出てきたので、いい関係だと思います。
――CTBとして飯野選手からアドバイスをされることはあるのですか
飯野 いやそんなに。春はよくディフェンスのことで言っていたんですけど、いまは特にそんなことはなくて。細かいところをその都度その都度を言う程度で、特に大きく変えてほしいとかはないです。
――勝浦選手からみた、先輩の飯野選手の第一印象を教えてください
勝浦 すごいかっこいい人だなと思いました。
飯野 いいこと言うじゃん。
――プレーの面で似ているところ、似ていないところはありますか
飯野 似ているところは二人ともあまり器用じゃないので、ボールをもってぐりぐりいくのがお互いに一番得意なので、そういうところは似ているなと思います。似てないところは、勝浦は足が速いんですけど、僕は足が遅いのでダイナミックなプレーみたいなのはできないので、そういうところで勝浦はすごいなと思います。
勝浦 似ているところは言っちゃ悪いですけど、お互いに愚直なプレーが多いというか、ちょっと泥くさいプレーになったりするんですけど、ちゃんと前にボールを運んだりとか、そういうところですね。似てないところは、さっき器用じゃないっていいましたけど、僕に比べれば断然器用だし、パスとかもすごくうまいので、そこですかね。僕はパスとかきれいに通せたりしないですけど、飯野さんを起点にしたプレーとかはよくあるので、そこですかね。パスは僕よりすごくうまいですし。
――CTB陣は仲が良いのですか
飯野 CTB自体はすごくは仲が良いと思います。他のポジションより。
勝浦 そうですね。
――その中でも特に面白い選手はいますか
飯野 それ答え分かって聞いてます?丹野(CTB丹野怜央、教4=北海道・札幌山の手)って言ってほしいんですよね?(笑)。丹野面白いですね。
勝浦 丹野さん、面白いですね。
――特に仲が良い選手はいますか
飯野 僕はやっぱり同期と仲が良いですね。それと4年生になってから3年生とも前よりも仲良くなったなという印象ですかね。勝浦ももちろんそうですけど。1年生は全然仲が悪いとかじゃないですけど、あまり一緒にやる機会がないので。寮の部屋も一緒なので話しますけど。やっぱり3年生とか勝浦とか同期と仲が良いですね。
勝浦 僕はまだ2年生なので1年生と関わることが飯野さんより多いです。寮で一緒に住んでいるCTBとかもいるので。だから1年生とも仲が良いですし、自分の中で学年関係なく、CTB同士では仲が良いと思っています。
――お二人で遊びに行かれたりしますか
飯野 二人でですか?やばいっすよ(笑)。行かないですよね。
――オフの日は何をしていますか
勝浦 最近は疲れていて寝たり、体の調子が悪いところがあったら病院に行ったりとかそういう感じですね。
飯野 真面目だな。僕はいま寮に住んでいるんですけど実家がすごく好きなんですよ。だからいつも実家に帰っています。最近犬を飼い始めたので、犬と遊んだりとか昼寝したりとか何もしてないですけど、家に帰るのがリラックスなので実家に帰っています。
――生まれ変わったら早大の中で、変わってみたい選手はいますか
飯野 僕は荻野(WTB荻野岳志、先理4=神奈川・柏陽)になりたいです。荻野になったら全然ラグビー違うなと思って。楽しそうじゃないですか。抜けるじゃないですかシュッシュッって。僕にはできないので、できたら楽しいだろうなと思います。
勝浦 僕は布巻さん(フランカー布巻峻介、スポ4=東福岡)とかですかね。本当に全てにおいて強いし、相手を簡単にひっくり返しているのを見て、あれやってみたいなというのはすごく思います。
――CTBのほかにやってみたいポジションはありますか
飯野 僕はないです。中学生からラグビーをやっていて、BKはいろいろやってきたんですけど、BKだったらCTBだなと。FWはきついので嫌なので(笑)。
勝浦 僕もWTBとかそういうポジションをやってきて、いまはCTBにいるので、そんなにやってみたいポジションというのはないですね。ただFWだけは絶対やりたくないですね(笑)。
――プレー面でもプライベートでもいいのですが自分がかっこいいと思う瞬間はありますか
勝浦 試合中に良いプレーをして、会場が盛り上がったときですかね。
飯野 なるほどね。
――対抗戦の青学大戦での勝浦選手の独走で盛り上がったときはそう思っていましたか
勝浦 正直結構良かったんじゃないかなと思いました。
一同 (笑)。
――飯野選手はありますか
飯野 難しいですね…。(勝浦選手に向かって)お前だ駄目だよ、プレーはなしだよ。プレーは一番かっこいいものですよ。いいプレーをして盛り上がるのがかっこいいし。そうですね…。僕は、フロントのやつらとかと、一緒に鏡見たときかっけえなと思います。
一同 (笑)。
飯野 そのときにかっこいいなと思いますね。背も大きくなくて太っているやつとかだと。内面的なことで言ったら、細かな気配りをしてみたいな。おじいさん助けたりとかして俺かっこいいって。やったことないんですけど(笑)。
勝浦 やったことないんですか(笑)。
飯野 はい。内面的にはそういう感覚ですね。
――試合前に必ずすることはありますか
飯野 絶対にシャワーを浴びることですかね。練習のときも浴びているんですけど、よりこう入念に洗って(笑)。
勝浦 試合本当に直前の話なんですけど、アップが始まる30分前から必ずストレッチはちゃんとしていますね。そのくらいですかね。
――お互いの変なところや直してほしいところはありますか
飯野 変なところというか、勝浦ってすごく真面目でちゃんとやるんですけど、練習のときに「あー無理だよー」とか叫ぶんですよ(笑)。いいんですけど、変だなと。
勝浦 そうっすね。言いますね。
飯野 いいんですけど、全然。でも変だなと思って。
勝浦 変なところとか…。思いつかないですね。
飯野 そうでしょうね、やっぱり。
勝浦 あるかな…。
飯野 ないんでしょうね、やっぱり。
勝浦 なんだろう…。ちょっと待ってくださいね。
飯野 ないよ!そんなに探してなかったなら。
勝浦 ないっすね。本当に。完璧な人間です。欠点がないです。
飯野 それは間違ってます。
「要らないミスが毎試合ある」(勝浦)
手応えと課題について語る勝浦
――関東大学対抗戦、これまでの4試合を振り返っていかがでしたか
飯野 この4試合は自分がイメージしていたプレーとはかけ離れていて、思ったようにいかない部分が多く、自分のミスで危うくなるシーンも多かったので、いまのところ良くないなという感じです。
勝浦 僕は2年生で初めての対抗戦で、特に筑波大戦でいままでにないようなプレッシャーや相手の強さなどを味わって、自分がまだまだ練習していかなければいけない部分が多いということを感じました。
――明学大戦では104-0と大量得点になりましたが、今季のチームに得点力の高さは感じますか
飯野 実はそんなに感じていなくて、筑波大などが相手ではあまり点が取れていません。試合が終わった後のミーティングでもまだまだ修正できる部分があると話していて、そういった部分を詰めていけば得点力も高くなるかなと思います。いまはまだ駄目ですね。
勝浦 ミーティングや練習前にも功三さん(ロック大峯功三主将、スポ4=福岡・東筑)などから言われるのですが、やはり要らないミスが毎試合あるので、いまはとにかくそれを修正することが大切だなと思います。
――ミスが多いということに関して、BKの連携はいかがですか
飯野 コミュニケーションが取れていなくて、やることがあまりびしっと決まらないなと思います。
勝浦 同じことになるのですが、コミュニケーション不足で立ち位置が悪かったりしてミスが出たり、すぐにサインが決まらなくてSOに突っ込ませてしまったりする部分があります。
――ここまで4試合中3試合は完封勝利となりましたが、チームのディフェンス全体に関してはいかがですか
飯野 合宿中はすごく点を取られてしまう試合が多くて、後藤さん(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)も4年生もすごくディフェンスを意識していたので、そういった意味では少しずつ良くなっているというか、練習の成果が少しずつ出てきているのかなという印象があります。
勝浦 0点に抑えられているしチームとしては良いディフェンスだとは思うのですが、ただ個人としては、あのときあのように動いていればもっと前で止められたのに、というような反省点が多いので、修正していきたいと思います。
――飯野選手は昨季も対抗戦を経験されていますが、昨季のチームと今季のチームに違いはありますか
飯野 昨季は僕がいっぱいいっぱいだったので分からなかっただけかもしれないのですが、良いところだと、昨季は得点を個人に頼ってトライを取るのも全部同じ人というチームだったと思うのですが、今季もそういう傾向はなくはないですが、一人の人だけではなくてチーム一体となって戦えている感じはします。悪いところだと、僕の感覚的な問題なのですが、BKもFWも少し昨季のレベルに達していないかなという印象です。全体的に、1、2ランク下なのではないかなと思います。
――対抗戦ここまでで、キーマンになっている人物は誰だと思いますか
飯野 勝浦さんじゃないですか?
勝浦 やめましょう(笑)。
飯野 誰だろう…。やはり、フロントローですかね。筑波大戦もFWにスクラムで助けられた試合だったので、このまま良いスクラムを組み続けてほしいなと思います。
勝浦 BKの話になるのですが、順平さん(SO小倉順平副将、スポ4=神奈川・桐蔭学園)ですかね。すごく試合中に声を出していて、前を見て状況判断してそれを僕らに伝えてくれています。本当は僕が外側なので何がやりたいかなどを前を見てすぐに言わなくてはならないのですが、いまは順平さんがそれを全部自分でやってくれていて、前を見て喋って指示を出しています。いまは順平さんにずっと引っ張られています。これからは僕からしっかり声を出して、そこを助けてあげられたらなと思っています。
――BKの中で、最も声で指示をしたり鼓舞をしたりするのは小倉選手なのですか
勝浦 4年生ですね。4年生がみんなで盛り上げてくれています。
――今季はペナルティーの多さが目立ちますが、チームではそれに関してどのようなことを話されているのですか
飯野 青学大戦でもペナルティーが多いことは課題に挙がっていて、帝京大などが相手だとペナルティーを一つ取られただけで直接失点につながる局面になってしまうと思うので、0にすることが目標なのですが、減らせるものは減らしていこうというふうには話しています。
勝浦 ノーペナルティーということは週の始めのテーマでも挙がったりしていて、やはり要らないペナルティーが多いということが問題になっているので、これからみんなしっかり意識してやっていくと思います。
――春季や夏季と比べて、自分が成長できたと思う点はありますか
飯野 正直ないですね(笑)。あまり成長を実感しないタイプなので、特に何が変わったなどはないですが、少しは周りが見られるようになったかなと思います。
勝浦 ボールキャリアーになる回数が少し増えたということと、そのときのボールキープ率が春季に比べたら上がって、ノックオンなども全然少なくなったし僕でターンオーバーされることも少なくったのではないかなと思います。
――ここまでの対抗戦で、印象に残っているプレーはありますか
飯野 やはり布巻ですね。布巻が筑波大戦で最後に入ってきたときも流れが変わりましたし、やはり違うなと思います。
勝浦 僕は、立大戦で功三さんが前半一気に自分で持っていってトライしたシーンで、本当に頼りになる主将だなと実感しました。
――BKの目から見た今季のFWはいかがですか
飯野 スクラムは最初から結構すごかったと思うのですが、フィールドでのディフェンスが正直あまり良くない場面は何度かあったと思っていて、昨季と比較するとセットが遅かったりという課題はありました。すごくいま練習しているので、そのままどんどん良くなって最後の3試合につながっていくと思います。
勝浦 特に筑波大戦で、BKがミスをしたときにFWのスクラムターンオーバーなどで取り返してくれたときには本当に救われました。頼りになると思います。
「挑戦者の気持ちを持って」(飯野)
BKの柱として活躍が期待される飯野
――対抗戦の残りの対戦相手は帝京大、慶大、明大となりましたが、いまの気持ちを教えてください
飯野 いよいよシーズンも終盤だなという感じはしますね。いまちょっと緊張してきました(笑)。楽しみです。
勝浦 僕はあまり緊張などはしないのですが、緊張の代わりに楽しみの方が上回りますね。夏季などは帝京大相手だと自分のプレーがほとんどできませんでした。ちゃんと練習してきたので、次はできると思います。
――帝京大はやはり特別な存在ですか
飯野 そうですね。まだ勝ったことがないので、やはり違います。残りの3試合はどれも特別で大きいゲームなので、楽しみです。
――昨季の早明戦はすごく盛り上がりましたが、飯野選手はそれを経験されていかがですか
飯野 (今季も)国立(競技場)でやりたかったですよね(笑)。やはり国立は違うなと思うのですがそれは置いといて、今季明大は強いですし、大きい試合なので楽しみにしています。昨季も早明戦を一番楽しみにしていたので、今季も結構楽しみです。
――勝浦選手は昨季は早明戦を見ていたと思うのですが、大観衆の前でプレーをすることは楽しみですか
勝浦 そうですね。いままであんな中で僕自身はやったことがないですが、出場している先輩を見ていて、1プレー1プレーにどよめいたり会場が盛り上がっていてこの中でやってみたいなとは思っていました。早明戦のときに自分が出られるかはまだ分からないですが、出られたらいいなと思います。楽しみですね。
――対抗戦の中で負けたくないライバル選手などはいますか
飯野 僕は結構春季そういうふうにフォーカスしてやっていて、この人に勝とうなど思っていたのですが、それの相性があまり良くないと気付いたので考えないようにしています。チーム対チームです。
勝浦 僕もあまりないですね。高校生のときから元々そんなに強豪チームの有名な選手を知らなかったので、あまり選手自体を知らないということもあります。それでも常に毎試合、対面の選手には負けないようにしようということは意識してやっています。
――最後に今後に向けた意気込みをお願いします
勝浦 さっきも言いましたが、とりあえず対面には負けないで、自分のプレーができたらいいなと思います。
飯野 いままでずっとやってきて、課題なども自分の中で分かっているので、しっかり詰めていきます。帝京大にはまだ勝てたことがないので、勝ちます。帝京大はいつも、自分に足りない物やチームに足りない物を気付かせてくれる存在でもあるので、胸を借りるではないですが、挑戦者の気持ちを持って、自分たちの良さが出せれば良い結果が出るのではないかと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 大水渚、栗田麻里奈)
最後は腕を合わせるCTBのポーズでの撮影です
◆飯野恭史(いいの・きょうじ)※写真左
1993(平5)年1月13日生まれのO型。170センチ、81キロ。東京・早実高出身。商学部4年。自分がかっこいいと思う瞬間は、細かな気配りしたときとイケメンな発言をしてくださいました。好きなタイプは一緒にいて楽な人だそうです。そんな男前な飯野選手のプレーする姿に今後も注目です!
◆勝浦秋(かつうら・しゅう)※写真右
1993(平5)年10月24日生まれのO型。180センチ、89キロ。愛知・千種高出身。スポーツ科学部2年。生まれ変わったらなりたい部員は布巻選手だと答えてくれました。布巻選手のフィジカルの強さと勝浦選手の俊足を兼ね備えたラグビープレーヤーを、私たちもぜひ見てみたいです!