石川啄木や宮沢賢治ゆかり地である盛岡市で、釜石シーウェイブスと対戦した。「ディフェンス自体はよかった」(フランカー金正奎、教4=大阪・常翔啓光学園)の言葉通り、前半から前に出る好ディフェンスで、失点を最小限に抑える。しかし、ゴール前で何度もトライを取りこぼすなど攻撃面で精彩を欠き、20-22の2点差で惜しくも敗れ、今季初黒星を喫した。
今季はレギュラー定着を目指す古賀
前半開始早々、最初にチャンスを手にしたのはワセダ。ゴール前から2度のアタックを試みるも、ノックオンで先制点の機会を失う。そのあと、自陣ゴール前まで攻め込まれると、ラインアウトモールから敵のNO・8に近場をこじ開けられ先制点を許した。追いつきたいワセダはボールをワイドに振って、足で勝負に出る。8分には左右にフェーズを重ねて、最後はNO・8古賀壮一郎(教4=福岡・筑紫)がゴール左隅にトライ。11分に逆転を許すも、スピード、角度、タイミングのすべてが完璧に揃ったBKのサインプレーで追加点を奪い、2点差まで追いつく。その後不運な失トライもあったが、ワセダは総じて外国人選手の重くて激しいタテへの突破を鋭いダブルタックルと寄りの早さで耐え凌ぎ、7点差で前半を終える。
今季からCTBにポジションを転向したCTB小倉順平(スポ3=神奈川・桐蔭学園)が加わって迎えた後半。ワセダはSO間島陸(商4=東京・早大学院)と小倉の優れたキック技術でエリアマネジメントを優位に進める。ディフェンスではFWがブレイクダウンでプレッシャーをかけ続け、敵のペナルティを誘い、何度も敵陣深くまで攻め入った。だが、インゴール目前でミスや反則を繰り返し、なかなかトライを奪えない。両者無得点のまま迎えた31分、ついに均衡が破れる。自陣ゴール前スクラムから、またもNO・8に突破を許し、点差を広げられた。だがワセダは諦めなかった。相手選手の運動量が落ちたのを見逃さず、猛反撃。33分にWTB廣野晃紀(社4=東京・早実)が持ち味のスピードで突破し、サポートについた金が30メートルを走り切ると、38分にもモールでトライを奪い、点差はわずか2点。しかし最後は反撃及ばず、涙を呑んだ。
今シーズン、スピードに磨きがかかった廣野
前節の試合でディフェンスの動き出しやコミュニケーションを課題に挙げ、1週間練習に励んだ選手たち。「(ディフェンス)に関してはいい手応えを持てた」(プロップ垣永真之介主将、スポ4=東福岡)と話すように、社会人相手にもほとんど大きな突破を許さず、課題であったディフェンス面は見事に改善された。一方でチャンスでの決定力など新たに見つかった課題もある。試合を重ねるごとに課題を克服し、『打倒・帝京大』に向けチームの完成度を高めていく。
(記事 坂田謙一、写真 森健悟)
早大 | スコア | 釜石シーウェイブス | ||||||||||
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前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 | ||||||||
2 | 2 | T | 3 | 1 | ||||||||
0 | 0 | G | 1 | 0 | ||||||||
0 | 0 | P | 0 | 0 | ||||||||
0 | 0 | D | 0 | 0 | ||||||||
10 | 10 | 計 | 17 | 5 | ||||||||
20 | 合計 | 22 | ||||||||||
【得点】▽トライ 金、河野、古賀、山本 ▽ゴール ※得点者は早大のみ記載 |
早大出場メンバー |
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背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身校 | |
1 | 大瀧 祐司 | 文4 | 神奈川・横浜緑ヶ丘 | |
2 | 清水 新也 | スポ3 | 宮城・仙台育英 | |
3 | ◎垣永 真之介 | スポ4 | 東福岡 | |
4 | 河野 秀明 | 創理2 | 東京・早実 | |
5 | 桑野 詠真 | スポ1 | 福岡・筑紫 | |
6 | 金 正奎 | 教4 | 大阪・常翔啓光学園 | |
7 | 小谷田 祐紀 | 文構3 | 東京・早実 | |
8 | 古賀 壮一郎 | 教4 | 福岡・筑紫 | |
9 | 平野 航輝 | スポ3 | 長崎南山 | |
10 | 間島 陸 | 商4 | 東京・早大学院 | |
11 | 廣野 晃紀 | 社4 | 東京・早実 | |
12 | 飯野 恭史 | 商3 | 東京・早実 | |
13 | 金澤 男 | 社4 | 千葉・市川 | |
14 | 山本 龍平 | 商3 | 東京・都立武蔵 | |
15 | 滝沢 祐樹 | 基理2 | 福島 | |
リザーブ | ||||
16 | 菅野 卓磨 | 教3 | 東京・早実 | |
17 | 佐藤 勇人 | スポ3 | 秋田中央 | |
18 | 住友 裕哉 | 政経4 | 徳島文理 | |
19 | 呉 泰誠 | スポ4 | 大阪朝鮮 | |
20 | 吉田 有輝 | 人3 | 大分舞鶴 | |
21 | 小倉 順平 | スポ3 | 神奈川・桐蔭学園 | |
22 | 鈴木 亮 | 教2 | 神奈川・桐蔭学園 | |
※◎は主将、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷) |
コメント
プロップ垣永真之介主将(スポ4=東福岡)
――白熱した試合となりましたが、試合を振り返って感想をお願いします
悔しさが残る試合でした。トライをとれるシーンはもっとありましたし、取れるところで取っておけばダブルスコア以上のゲームができたと思います。
――ゴール前まで行って取れなかった原因は何だと思いますか
詰めの甘さだと思います。でもこのような経験ができたことは大きいですし、次への課題にしていきたいです。
――ディフェンスはかなり修正できてた印象でしたが
この前の中大戦でタックルを外される場面も多かったですし、釜石シーウェイブスさんには外国人選手もいるので、1対1やダブルタックルラーの精度を上げて、この試合に臨みました。そこに関してはいい手応えを持てたと思います。
――では課題であったダブルタックルとディフェンスの動き出しについては評価できますか
満足できるレベルではないですけど、中大戦よりよかったと思います。継続して強化して、帝京大に標準を合わせてやっていきます。
――次回に向けての課題を教えてください
ミスの精度と最後の詰めの部分です。このような試合をしていたら悔いしか残らないので、そこを修正して同大戦では同じことを繰り返さないようにしていきます。
フランカー金正奎副将(教4=大阪・常翔啓光学園)
――けが人が多い中で、どのような試合展開を想定していましたか
想定していた、というよりは、こっちがしっかり走って数をかけて試合をしようとは思っていました。
――きょうの試合の中で、金選手が一番評価する選手は
全体的にそんなに悪くはなかったので、誰、とかではないんですけど、FWなんかは頑張っていたんじゃないかなと思います。
――釜石シーウェイブスと試合してみて
かなりフィジカルなチームではあるので、外国人選手もたくさんいますし、そこが強かったですね。
――大学生のチームと一番違うのは、やはりフィジカル面ですか
そうですね。でも、帝京大なんかはあれくらい強いので、そういった意味では想定内でしたね。
――では、きょうの試合の中で、フィジカルの強い帝京大などとの試合に活かせる点は
ブレイクダウンのところの、アタックのところの球出しがどうしても出てなかったので、もっと動き出しの早さが必要ですね。
――前回の中大戦では、ディフェンスの動き出しを早くすることを課題としてあげていました
そこは、きょうはよかったと思います。ディフェンス自体はよかったですね。
CTB小倉順平(スポ3=神奈川・桐蔭学園)
――きょうの試合を振り返って
取り切る所で取れないというのと、ミスが多かったかなと。帝京大と同じようにフィジカルが強い相手だったので、1対1でどれだけいけるかというのを課題にやっていました。行かれすぎたわけではなかったですが、一人一人がやられてトライされてしまう場面があったので、そこは修正しようがあると思います。またブレイクダウンで決め切れず、トライを取れなかったシーンがあったと思います。
――今季初試合でしたが、手応えは
後半からの出場でしたが、これからも指示を出し続けられるように頑張って行きたいなと。
――きょうはCTBとしての出場でしたが
SOをやらないわけではないと思いますが、今季は1年間CTBですかね。監督(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)と話し合って決めました。
――ご自身の課題
タックルでやられてしまった所があったので、その部分です。ことしは声を出して頑張って行きたいなと思っています。