藤田が復活のトライを決める!!

ラグビー男子

 HSBCアジア5カ国対抗2013の第3戦・韓国戦のスターティングメンバーにWTB藤田慶和(スポ2=東福岡)が名を連ねた。第2戦の香港戦で代表復帰は果たしたものの、日本での試合はこの日が初めて。藤田は大きなストライドと卓越したバランスを合わせ持った走りを見せ、前半36分に敵を抜き去りトライを挙げて躍動。秩父宮に訪れたラグビーファンの目の前で、藤田はケガからの完全復活をアピールした。

左から福岡、藤田、五郎丸歩(平20スポ卒=現ヤマハ発動機)

 序盤から藤田はボールをもらおうと縦横無尽にフィールドを駆け回り、声も積極的に出し続けた。そのプレーが実り、前半6分に左サイドへ行った藤田は、ボールを受けると相手を引き付けながら大外のWTB福岡堅樹(筑波大)へすかさずパスを放る。同じく大学生の先発WTBとして注目を集めていた福岡にトライへの最高のお膳立てを果たした。

 日本代表は韓国代表を寄せ付けず、点差を広げていく。すると迎えた前半36分、待ちに待った光景が訪れ、会場に大きな歓声がこだました。日本陣地の10メートルライン付近で右端に待ち構えていた藤田はボールをもらうと、そこから一気に加速する。韓国ディフェンスを置き去りにして見る見るうちに差を広げていく。最後は相手をパスフェイクでかわす余裕を見せながらインゴールへ飛び込んだ。後半はボールに触れることが少なかった藤田だが、試合終了間際にまたも逆サイドまで走り、トライを演出するパスを送る。最後まで走りきりフル出場を果たした藤田は、日本の64-5での完勝に大きく貢献した。

ダイナミックなランで会場を沸かせた

 試合後に藤田は「もっともっとトレーニングして、インターナショナルレベルのスピードまでしていきたい」と語った。すでに大学界では飛びぬけたスピードを持っているが、世界的に見たらまだまだ足りていないのが現状。エディー・ジョーンズHCからも突きつけられたこの課題の克服は必至だ。今後ワールドクラスの選手となっていくために。藤田の世界への再挑戦はまだ始まったばかりだ。

(記事 御船祥平、写真 大口穂菜美)

結果

○日本代表64-5韓国代表

コメント

WTB藤田慶和(スポ2=東福岡)
――最初のアシストの場面について
どこでもボールタッチしていいと言われていたので、チャンスを作ろうと逆サイドまで行きました。トライに繋げられたのはよかったです。
――いいライン参加もありましたね
どんどんラインに参加してチャンスが作れれば、本当にいいなと思います。もっとあのような場面で絡んでいく選手にならないと、上では通用しないと思います。
――ジュニア・ジャパンの経験はいかがでしたか
ジュニア・ジャパンが復帰後、初の実戦だったので、遠征の最初のころはいいプレーができなかったですが、徐々に徐々によくなっていきました。でも世界のレベルではまだまだ通用しなかったです。スピードであったり、フィジカルであったりで通用しないことが悔しいと感じたので、ワセダに帰ってから朝からウエイトトレーニングをやるなど、努力しています。口だけではスーパーラグビーには行けないので。身で実感できたことが自分にプラスになっていまに繋がっていると思います。スーパーラグビーはテレビでは見ていますが、実際に体を当ててみないと分からないですし、そういう意味でそのレベルの選手と戦えたのは、自分のラグビー人生の中でプラスになっていると思います。
――スーパーラグビーの選手と対戦したのは初めてですか
そうですね。スーパーラグビーの選手は本当にすごいなと感じて、今まで自分がやってきたことが甘かったなと思いました。もっとハードにハードにやっていかないと。エディーさん(エディー・ジョーンズHC)がよく「ハード、ハード」と言っているんですけど、そのハードの意味がやっと分かったような気がします。リハビリをずっとしてきましたが、甘かったなと感じています。
――エディーさんは会見で、まだ藤田にはスピードが欠けていると話していましたが、いまどのようなトレーニングをやっていますか
コンディショニングトレーニングをジャパンから教わってやってきて、ジャパンに入ってからは徐々に数値も上がってきているので、もっともっとトレーニングして、インターナショナルレベルのスピードまでしていきたいと思います。堅樹さん(福岡堅樹)はインターナショナルレベルのスピードを持っているので、負けないようにしたいです。
――福岡選手はどんな存在ですか
いいライバルなんで、切磋琢磨してやっていきたいと思います。
――ジャパンとして初の秩父宮の舞台でしたでしたが、いかがでしたか
本当にいつも通りです。いつも通り楽しもうと思いました。こんだけお客さんもいて応援してくれていて、80分間楽しかったです。これからもラグビーを盛り上げて2019年のW杯では満員のなかプレーができて、且つジャパンも強くなってるというシナリオを作りたいです。