好機生かせず、慶大Bに敗北

ラグビー男子

 春季、夏季のオープン戦を終え、ついに関東大学ジュニア選手権(ジュニア選手権)が開幕した。夏の鍛錬の成果を発揮したい早大Bだったが、決定力に欠けリズムを作ることができない。前半を3点ビハインドで終えると、後半には連続失点を許し19-32で試合終了。初戦を勝利で飾ることはかなわなかった。

 「自分たちのミスでチャンスを逃してしまった」(ロック千葉巧也ゲームキャプテン、スポ4=宮城・仙台三)。開幕戦は前半から流れに乗ることができなかった。序盤に自陣で停滞していたところで、ペナルティーにより相手にPGを与えてしまう。先制された早大Bは切り替えを図りFB門田成朗(法3=埼玉・早大本庄)が切り込むも、ボールをつなぐことができない。しかし、8分に慶大Bのキックミスからチャンスを得ると、フッカー清水新也(スポ4=宮城・仙台育英)が相手のディフェンスを振り切り右隅にトライ。リードを奪った。そのまま勢いに乗りたい早大Bだったが、ミスが続き好機を逸してしまう。前半ラスト10分にはマイボールスクラムからターンオーバーされ、再び失点。その後もFW陣が慶大Bに跳ね返される展開が続く。相手のゴール際まで攻めるものの、得点に結びつけることができず前半を5-8で折り返した。

反撃のトライを奪った鈴木亮

 後半は立ち上がりから暗雲が立ち込める。開始1分足らずでハンドリングエラーからボールを奪われ、トライを献上。逆転を試みるも集中力の途切れからか、スクラムでも押される場面が目立った。そんな中、13分に相手ペナルティーからクイックスタートで左に展開すると、SO浅見晋吾(スポ3=神奈川・桐蔭学園)のロングパスをWTB鈴木亮(教3=神奈川・桐蔭学園)がキャッチ。そのままインゴールへと駆け抜けた。なんとか得点を挙げたものの、その後も追加点を奪われ苦しい時間が続く。試合終了間際にCTB盛田志(スポ3=広島・尾道)が意地のトライを決めたが、ラスト1プレーで再び崩され得点を許したところでノーサイド。後味の悪い幕切れとなった。

清水は豊富な運動量で何度もゲインを果たした

 細かいハンドリングエラーや反則が目立ち、惜しい展開が多かったこの試合。重要な局面でもミスをしない安定したプレーが喫緊の課題だ。「相手の方が勝ちたいという気持ちが上回っていた」と浅見が敗因を語るように、勝利にこだわって戦い続ける姿勢が求められる。赤黒への志を力に、次の明大B戦こそ白星を勝ち取りたい。

(記事 副島美沙子、写真 中村ちひろ)

☆PICK UP PLAYER

攻撃の起点となった盛田

 常に向上心を持ち、努力を続ける者に、赤黒を着るチャンスは与えられる。CTB盛田志(スポ3=広島・尾道)もそれを証明する選手の一人だ。春季は主にCチームで戦い、夏季にはBチームに定着。確実にステップアップし、ついに関東大学対抗戦の開幕戦でAチームのリザーブ入りを果たした。この日の慶大B戦でも盛田は躍動。結果こそ負けに終わったが、1トライを挙げたほか、ディフェンスラインを突破する場面が多く見られた。「生まれて初めて赤黒を着るので、良いところを見せたい」と笑顔を見せたが、もちろんここで満足はしていない。「Aチームのスタメンに定着したい」。飯野恭史(商4=東京・早実)、勝浦秋(スポ2=愛知・千種)という不動のCTB陣を越えることは決して容易ではないだろう。しかし、その力を盛田は秘めている。覚醒し、成長し続ける盛田の姿に、今季は目が離せない。

関東大学ジュニア選手権
早大B スコア 慶大B
前半 後半 得点 前半 後半
14 24
19 合計 32
【得点】▽トライ 清水、鈴木亮、盛田 ▽ゴール 浅見(2G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
光川 広之 スポ4 神奈川・公文国際学園
清水 新也 スポ4 宮城・仙台育英
渡瀬 完太 商3 東京・早大学院
  前半36分交代→18庄村    
◎千葉 巧也 スポ4 宮城・仙台三
河野 秀明 創理3 東京・早実
吉田 有輝 人4 大分舞鶴
  後半6分交代→20中尾    
小谷田 祐紀 文構4 東京・早実
山口 和慶 スポ2 福岡
杉本 頼亮 スポ1 京都・桂
  後半20分交代→21吉岡    
10 浅見 晋吾 スポ3 神奈川・桐蔭学園
11 鈴木 亮 教3 神奈川・桐蔭学園
12 盛田 志 スポ3 広島・尾道
13 丹野 怜央 教4 北海道・札幌山の手
  後半0分交代→22久富    
14 眞柄 厚希 スポ4 神奈川・桐蔭学園
  後半6分交代→23山本    
15 門田 成朗 法3 埼玉・早大本庄
リザーブ
16 佐田 涼祐 社2 東京・早実
17 貝塚 隼一郎 政経3 埼玉・早大本庄
18 庄村 光史 スポ4 大阪・早稲田摂陵
19 吉満 慎吾 人1 東京・本郷
20 中尾 康太郎 スポ4 福岡
21 吉岡 航太郎 スポ1 国学院栃木
22 久富 悠介 文構3 福岡・小倉
23 山本 龍平 商4 東京・都武蔵
※◎はゲームキャプテン、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷)
コメント

ロック千葉巧也ゲームキャプテン(スポ4=宮城・仙台三)

――試合を振り返っていかがでしたか

自分たちのミスでチャンスを逃してしまったな、という感じですね。後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)にも「勝てる試合だった」と言われたので、自分たちでリズムを崩してしまったのが敗因だと思います。

――スクラムを組んだ印象を聞かせてください

普段の練習でAチームと組んでいるので、重さはあまり感じなかったのですが、試合の中でレフリーや相手に合わせることができなかった点で、ターンオーバーが生まれてしまいました。

――FW全体のプレーに関してはいかがですか

基本的にFWが走れていないとかではないので、試合の中でチーム内のコミュニケーションがうまく取れていなかったかなと思います。

――ペナルティーに関してはどうお考えでしょうか

厳しい判定もあったのですが、前半の最初にレフリーに合わせていかないと駄目でした。

――後半たて続けにトライを奪われてしまいましたが、原因はどこにあると思いますか

自分たちはミスでトライを取れなかったのに対して、相手はこっちのミス1本でトライまで取りきれる力があった、ということが1番の違いだったと思います。

――チームの雰囲気はいかがですか

まだシーズンは始まったばかりということもあるので、Bチームには4年生も多いですし、その4年生を中心に調子を上げていきたいです。

――関東大学ジュニア選手権(ジュニア選手権)が始まりましたが、今後の意気込みをお願いします

ジュニア選手権も大切ですが、まず自分がAチームに出て、必ずアカクロを着て優勝する、ということを常に思いながら、自分はうまい選手ではないので、しっかり体を張ってチームを勢いづけられるよう頑張っていきたいと思います。

フッカー清水新也(スポ4=宮城・仙台育英)

――試合を振り返って一言お願いします

試合後に後藤さん(禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)にも言われたのですが、このような試合で勝ち切れなかったのはすごくもったいなかったと思います。

――前半見事な突破でトライを決めましたが、そのプレー振り返っていかがでしたか

チームで用意していたプレーで、その前のFWの前進もすごく良くて、うまく流れに乗っていけました。

――その他のフィールドプレーも手応えがあったのではないでしょうか

もう少しディフェンスで器用に動けたら良かったかなと思います。

――セットプレーを振り返っていかがでしたか

まず前半の序盤でゴール前のラインアウトが合わなかったというところと、一番もったいなかった、前半の最後の方で自陣のマイボールスクラムをターンオーバーされて慶大のトライにつながったところがきょうのセットプレーの反省点です。

――ブレイクダウンについてはいかがですか

ブレイクダウンは前半すごく悪くて、いいアタックができていたのにペナルティーを取られてチャンスを何度もつぶしたので、そこは練習から改善していきたいと思います。

――Aチームの試合でもメンバー入りされていますが、意気込みをお願いします

出たら全力で突っ走って、自分のいいところを見せていきたいと思います。

フランカー吉田有輝(人4=大分舞鶴)

――試合を振り返ってどうですか

悪い点はブレイクダウンで相手のプレッシャーを受けて、ボールを供給できなかったことですね。

――慶大Bの接点での印象を教えてください

夏合宿に試合した帝京大の方が強いと感じましたが、それでも自分たちが負けている部分があったので自分たちよりも強かったです。

――ディフェンス面では良いタックルもありましたが振り返ってどうですか

個人としてはまだまだのレベルで、しかもチーム自体も勝っていないので、勝って反省できるようにしたかったです。

――ベナルティーの数についてはどうですか

多過ぎましたね。

――ラストシーズンとなりますが目標を聞かせてください

どのカテゴリーでも、BでもAでもまずは1試合1試合を大切にして勝つことに重点を置いてやっていきたいです。

――翌日に控える明学大戦に向けて意気込みをお願いします

フラストレーションというか鬱憤(うっぷん)が結構たまっているので、まずはそれを爆発できればいいかなと感じています。

NO・8山口和慶(スポ2=福岡)

――試合を振り返っていかがですか

ゴール前でのミスとか、取りきれないミスが多かったので、そこが負けてしまった原因だと思います。今後ミスがないようにやっていきたいです。

――開幕戦となりましたが、どのような意気込みで試合に臨まれましたか

早大としても最初の公式戦なので、ここでBが勝ってAチームの試合も勢いづいていけば良いかなと思っていました。

< p>――前半は攻める場面も見られましたが、いかがでしたか

攻める途中までは良かったのですが、取りきるところで最後にミスしてしまって最後まで持っていけないということが多かったです。

――ペナルティーが多かったかと思いますが、どのような原因があったのでしょうか

ブレイクダウンで寄る人数が少なかったのがペナルティーの原因かなと思います。

――後半は連続で失点する場面がありましたが、いかがでしたか

後半の最初の方は気の緩みから取られた失点だと思うので、そういう失点をなくしていけばもっと良い試合になるのではないかなと思います。

――スクラムとラインアウトの感触を教えてください

セットプレーはあまり安定しなくて、ゴール前などでチャンスなのにマイボールを手放してしまったりした場面があったので、改善していきたいです。

――後半はどのように試合を立て直していこうと考えていましたか

前半がずっと外に回していて逃げる感じの戦い方だったので、もっとタテに強く当てて前に出ていこうと思っていました。

――翌日の明学大戦に向けて意気込みをお願いします

試合に出たらもっとボールをもらう機会を増やして、自分からチームを勢いづけられたらいいなと思います。

――チームとしての明学大戦の意気込みはいかがですか

初戦なので、しっかり勝ちきって来週の筑波大戦に向けて良い試合で臨めるようにしていきたいです。

SO浅見晋吾(スポ3=神奈川・桐蔭学園)

――この試合を振り返ってみていかがでしたか

悔しいです。

――SOとしてどのようなゲームプランを描いていたのでしょうか

初戦ということで、絶対に落とせないゲームだったので、1点差でもいいから勝とうと話していました。

――ハンドリングエラーが目立ちましたがどう思いますか

監督(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)からも話があったのですが、一つ一つのミスに対して厳しくないということがBチームの現状で、勝てた試合なのにミスで今回は負けましたし、もっとミスに厳しくしないと駄目だと思います。

――相手との差はどのようなところに感じたか教えてください

(後藤)監督もおっしゃっていたのですが、相手の方が勝ちたいという気持ちが上回っていたなと思います。

――後半は抜かれるシーンが相次ぎましたが、ディフェンスについて振り返ってみていかがですか

練習でやってきたことはできているので、明大Bとの試合に向けて前向きに練習していきたいです。

――自身のプレーについてはどう捉えていますか

何もできていないですね。

――春に敗れた明大Bとの試合に向けて一言お願いします

練習からミスに厳しく、また一個一個のプレーを大事にして、切り替えていきたいと思います。

CTB盛田志(スポ3=広島・尾道)

――この試合を振り返っていかがでしたか

負ける試合ではなかったのですが、僕たちBKが攻め方でミスをしてしまいました。BKがもっとうまく攻められていたら勝てたのではないかなという感じです。

――好機でのペナルティーが多かったようでしたが、それに関してはいかがですか

最初に何回か取られたときに改善しなければいけなかったです。同じペナルティーを何回も繰り返してしまったので、試合中に改善できなかったことがいけなかったなと思います。

――ディフェンス全体の評価を教えてください

たまに緩いところがありました。BKラインはそこまで悪くなかったのですが、その中でBKがもっと相手を前で止められていたら、また違った展開になったかなと思います。ディフェンスでもFWばかりに仕事をさせてしまっていたので、もう少し僕たちBKが動くべきだったかなと思います。

――夏合宿を経て、成長できた点やこの試合で得られた手応えなどはありますか

キャリアーの面、ボールを持って走るという面では、通用するようになってきているなと最近感じます。

――関東大学対抗戦(対抗戦)の明学大戦ではリザーブに入っていますが、赤黒に対する思いなどはありますか

生まれて初めて赤黒を着るので、ケガをしないように、良いところを見せたいと思います。

――この秋を通しての目標は何ですか

明学大戦でも、その次の試合でもどんどん良いプレーをしていって、リザーブにとどまらず、Aチームのスタメンに定着したいなということは思っています。

――いまの課題なども含め、次戦以降に向けての意気込みをお願いします

この試合は負けてしまって、自分たちがもっと考えてプレーできたら結果も変わってきていたと思うので、これからはもっと考えて、クレバーにアタックもディフェンスもしていきたいと思います。