菅平での夏合宿開始から1週間余りが経過したこの日、大東大Bとの練習試合が行われた。開始直後にインターセプトから先制点は奪われたものの、すぐに形勢は逆転。早大Bが主導権を握り得点を重ねる。後半はより加速し、特に20分以降はトライを量産しつつ完封を達成。直前のAチームは大敗という残念な結果に終わったが、Bチームはすがすがしい快勝を飾った。
前半開始早々に失点しビハインドからのスタートとなった。しかし5分、CTB鶴川達彦(文構1=神奈川・桐蔭学園中教校)がトライ。SO浅見晋吾(スポ2=神奈川・桐蔭学園)のコンバージョンキックも成功し、逆転を成し遂げた。その後は早大Bがボールを保持する時間帯が続き、中盤は個の強さと組織力の高さが表れたプレーが飛び出す。SH平野航輝(スポ4=長崎南山)の高さと距離のあるハイパントキックをキャッチした相手に対して、即座に何枚ものタックルが突き刺さる。これが相手のペナルティーを誘い、敵陣ゴール前でのラインアウトからモールを形成。そのまま押し込み加点した。その後も着々と点差を離し、28-5で前半が終了。チャンスを生かし切れない場面も多少見受けられたが、自分たちのペースでゲームを運ぶことに成功する。
攻守にわたりチームを引っ張った平野
リードして迎えた後半。早大Bはさらに勢いを増し、追随を許さない。序盤は守りの時間が多く、敵陣へと入ることは少なかった。だが20分を折り返してからの得点ラッシュが始まる。21分のFB滝沢祐樹(基理3=福島)を発端に、トライを次々に決めていく。「最後にWTBで点を取りきれた」とWTB鈴木亮(教3=神奈川・桐蔭学園)が語るように、決め手となるシーンでのBK陣の活躍が目立った。フランカー小谷田祐紀(文構4=東京・早実)のラインアウトスチールや、平野のハーフラインからの独走などそれぞれの個人技も見られた後半。最終的には計11トライを挙げて73-5で圧勝し、前半2分以降は無失点に抑えるというディフェンスの堅さも光った。
ルーキーながら2トライを挙げた鶴川
鈴木亮や平野などの上級生の奮闘が目立った一方で、2トライをマークした鶴川などルーキーの台頭も際立った今試合。Bチームで初の先発出場を果たしたロック加藤広人(スポ1=秋田工)が「思い切ったプレーができた」と言う通り、下級生が新たな戦力として育つ土壌ができていることも伺わせた。次週には、帝京大B戦が控えている。早大Bならではの層の厚さを武器に、この日のような良い内容での勝利を期待したい。
(記事 大水渚、写真 高畑幸)
練習試合 | ||||
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早大B | スコア | 大東大B | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
4 | 7 | T | 1 | 0 |
4 | 5 | G | 0 | 0 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
28 | 45 | 計 | 5 | 0 |
73 | 合計 | 5 | ||
【得点】▽トライ 菅野、寺川、平野、鈴木亮2、鶴川2、盛田、滝沢、小谷田、作田 ▽ゴール 浅見(7G)、鈴木亮(2G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 光川 広之 | スポ4 | 神奈川・公文国際学園 |
2 | 菅野 卓磨 | 教4 | 東京・早実 |
3 | 渡瀬 完太 | 商3 | 東京・早大学院 |
4 | ◎千葉 巧也 | スポ4 | 宮城・仙台三 |
5 | 加藤 広人 | スポ1 | 秋田工 |
6 | 寺川 賢太 | スポ3 | 福岡 |
前半28分交代→18小谷田 | |||
7 | 仲元寺 宏行 | 社3 | 広島・尾道 |
8 | 山口 和慶 | スポ2 | 福岡 |
後半16分交代→17河野 | |||
9 | 平野 航輝 | スポ4 | 長崎南山 |
10 | 浅見 晋吾 | スポ3 | 神奈川・桐蔭学園 |
11 | 鈴木 亮 | 教3 | 神奈川・桐蔭学園 |
12 | 鶴川 達彦 | 文構1 | 神奈川・桐蔭学園中教校 |
後半0分交代→22作田 | |||
13 | 盛田 志 | スポ3 | 広島・尾道 |
14 | 山本 龍平 | 商4 | 東京・都武蔵 |
後半0分交代→21眞柄 | |||
15 | 滝沢 祐樹 | 基理3 | 福島 |
リザーブ | |||
17 | 河野 秀明 | 創理3 | 東京・早実 |
18 | 小谷田 祐紀 | 文構4 | 東京・早実 |
21 | 眞柄 厚希 | スポ4 | 神奈川・桐蔭学園 |
22 | 作田 蓮太郎 | 教1 | 東京・早実 |
※◎はゲームキャプテン、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷) |
コメント
ロック千葉巧也ゲームキャプテン(スポ4=宮城・仙台三)
――73-5という結果になりました。どのような感想をお持ちでしょうか
試合前にAチームが大差で負けた中で、自分たちは自分たちでしっかりやろうと。そこで試合前からかなり気合が入っていました。その中でうまくチームがまとまったからこのような結果になったのだと思います。
――プレーの面で特に良かったのはどのようなところでしょうか
ディフェンスで絶対に受けないということをきのうのミーティングで話していました。ミスボールの反応などで相手に良い攻撃をさせなかったことが勝因かなと思います。
――合宿で力を入れて取り組んでいることはありますか
いろいろあるのですが、反応を早くすることや、相手のボールをターンオーバーした後にいかに効果的なアタックをするかということを重点的にやっていて、その2つがきょうの試合で出たかなと思います。
――ラストイヤーということで、この合宿に懸ける思いも強いのではないでしょうか
現在Bチームでキャプテンやっているのですが、いままではDとかEとか下のチームでやることが多かったので、毎日必死にやっています。自分のプレースタイル的に上手にプレーするよりも声を出して引っ張っていくタイプだと思っているので、そういう気持ちの面で切れないように頑張ろうと思います。
――残された合宿の日程はどのように臨みますか
自分のいるBチームが勝つことはもちろんですけれども、チーム全体が良い雰囲気になって、最終的に功三(大峯主将、スポ4=福岡・東筑)の下で優勝できるように、良い合宿にできたらと思います。
――次週の帝京大戦に向けて、一言お願いします
難しいことは考えずに、とにかく勝利を目指して頑張ります。
ロック加藤広人(スポ1=秋田工)
――この試合を振り返っていかがでしたか
初めてのシニアの試合だったので緊張したのですが、先輩方が「ミスをしても良いから思い切りやってくれ」と言ってくれたので、思い切ったプレーができて自分らしさを出せたのではないかなと思います。
――初めてのBチームでの先発出場として、手応えはいかがでしたか
自分としては、体格でラインアウトやスクラムなどのセットプレーに期待されて上に上がれたと思っていて、そこまで競った試合ではなかったということもあるのですが、セットプレーの面では安定したプレーができたので、手応えはあると思います。
――積極的にボールタッチされているのが印象的でしたが、意識されていたのですか
よくコーチから「ボールタッチをもっと増やせ」ということを言われていて、いつもの練習だと全然触れないのですが、この試合では先輩方が前に前に出てくれたので、良い感じにボールタッチをすることができました。そのおかげで僕も前に出られたのではないかなと思います。
――自分のプレーの中で課題を挙げるとすれば何ですか
順目順目に走る運動量です。運動量も売りの一つなのですが、コンタクトをする度に疲れて後半はあまり走れなくなってしまったので、そこだと思います。
――大東大Bの選手と体を当ててみた感触はいかがでしたか
やはり普段、日本一を狙っているAチームとやらせていただいていて、その普段の練習が最高の相手なので、Aチームに比べれば全然平気で、負けることはないなと思いました。
――初めての夏合宿はいかがですか
僕と、2年生の山口さん(和慶、スポ2=福岡)と桑野さん(詠真、スポ2=福岡・筑紫)と後藤貞和監督(平2社卒=東京・日比谷)で練習が終わった後によく個人練習をしていて、厳しいですが、そのおかげで充実した夏にさせていただいているのではないかなと思っています。
――これからに向けた意気込みをお願いします
新歓試合でケガをしてしまって、僕はずっとC、Dチームでやっていたのですが、この夏合宿前にやっとBチームに上がらせてもらいました。BチームにいるということはAチームに上がるチャンスもあるし、赤黒を着られるメンバーに入るチャンスもあると思うので、貪欲にストイックに、自分の良いところを全面に出して、レギュラーを目指せるように頑張っていきます。
SH平野航輝(スポ4=長崎南山)
――この試合では好プレーが随所に見られましたが、ご自身で振り返ってみていかがでしたか
僕がどうこう前に出るというよりも、ディフェンスで相手を止め切れたというのが個人的にはすごくうれしいなと思います。
――試合前からディフェンスの意識を高く持って臨まれたということでしょうか
後藤さん(禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)が僕にプラス1で期待するとしたら、とりあえずディフェンスをもっと激しく行ってくれと言うと思うので、そこに少し最近はフォーカスを当ててやっています。
――では練習中からディフェンスを意識した取り組みを行っているのでしょうか
そうですね。アタックはさらに磨く部分もまだまだあるのですが、ディフェンスはこだわりを持ってやってきています。
――声の面でも目立っていたように思えましたがいかがでしょうか
練習中から見ていて盛り上げる人がいなかったので、ばか騒ぎでもいいので僕が盛り上げて、すこしでもみんなの気分と頭を前に向かせて、あとは千葉ゲームキャプテン(巧也、スポ4=宮城・仙台三)がまとめるかたちでこの一週間はやっていました。
――その効果は出てきているのでしょうか
練習のときはきつく言う事が多くあるのですが、それがどれだけ響いたかというのがきょうの結果だと思います。
――きょうは自身のトライも生まれましたが、あのシーンを振り返っていかがでしょうか
足の速さは自分の武器の1つでもあるので、それが活かせたのは良かったと思います。後半、観客の人たちの目の前でトライするとかっこいいなと思っていたので(笑)。
――菅平に入って1週間ほどですが、徐々に手応えも感じ始めているのではないでしょうか
来週は大一番の帝京大戦で、春シーズンは直前でリザーブになってしまい出場する機会を逃しました。人生でまだ40分ちょっとしか帝京大Aチームと試合をしていないので、ここでその2倍の80分出てどれくらい通用するかを試したいです。
――春シーズンの早大Bは帝京大Bと非常にいい試合を展開していました。やはり次は勝つという気持ちでしょうか
次もその後も、全部勝っていきたいです。
WTB鈴木亮(教3=神奈川・桐蔭学園)
――この試合を振り返っていかがでしたか
ゲームプランで、ボールを裏に蹴って敵陣でやろうと決めていたので、それがいい形にはまって敵陣で継続して得点できたと思います。
――大量得点することができましたが、どのようなところがよかったと思いますか
FWが前へゲインしてくれていて、BKもしっかり前に出て最後WTBで点を取りきれたところですかね。
――ご自身のトライシーンを振り返ってみていかがでしたか
いつもは外で要求してもボールが来なかったのですが、今回は外からコールを出してボールを呼び込めたので、いい形でトライできたかなと思います。
――ロングゲインもしましたが、振り返っていかがでしたか
本当は外で勝負したかったのですが、慎重になってしまって、練習からも外で勝負しようという意識はあったので、その部分はあまり良くなかったかなと思います。
――キックプレーが多かったですが、どのような意図でしたか
SOの浅見(晋吾、スポ3=神奈川・桐蔭学園)が右利きで、自分が左利きなので左右で揺さぶって、相手の陣形を見ながら裏をとっていこうと試合前から話していたので、それがうまくいって、エリアを取れてよかったなと思います。コンバージョンキックは、浅見が痛めていたので、自分が代わりに蹴りました。
――合宿ではどのようなことに取り組んでいますか
タックルの早く起き上がる部分や、追い上げの部分を毎日練習していて、それがいい形で試合に出たかなと思います。
――次週に控えている帝京大戦に向けて意気込みをお願いします
春、自分はBチームで出ていたのですが、キックの差で負けてしまったので、次は絶対勝てるように頑張っていきたいと思います。