本年度も合宿先の菅平で夏季オープン戦が開幕した。初戦の相手は関東大学春季大会でも対戦した大東大。前半は相手の強靭(きょうじん)なフィジカルに押されながらも食らい付いたが、後半に入ると大東大の猛攻を防ぎきれず一方的な展開に。後半だけで計6トライを献上し、33-54で敗北した。
前半は一進一退の攻防となった。12分、早大はロック桑野詠真(スポ2=福岡・筑紫)がトライを決めて待望の先制点を挙げる。同点に戻された後の26分、ターンオーバーからCTB飯野恭史(商4=東京・早実)がタテに突破して大きくゲイン。そこからボールを受けたWTB本田宗詩(スポ2=福岡)が走り切り、12-7とリードを奪った。ところが34分にも失トライ。ゴールも決められ逆転されてしまう。終了間際に敵陣深くまで攻め込み得点のチャンスを得たがこれをものにすることはできず、2点ビハインドで試合を折り返した。
2トライと気を吐いた本田
迎えた後半、早大は序盤から大東大の波状攻撃の前に屈してしまう。10分までに3連続トライを許し、一気に突き放された。何としてでも追い付きたい早大は、17分に本田のパスインターセプトを起点に得点。さらに22分には相手ゴール前ラインアウトからFWがフェーズを重ね、最後はロック大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)が執念でボールをたたき込んだ。反撃ののろしを上げたかに思えたが、直後の24分にまたも手痛い失点。つかみかけた流れを完全に断ち切られる。33分にもパスミスに付け込まれてダメ押し点を奪われると、26-54と一時はダブルスコア近くまで離された。38分に相手ペナルティーから素早くリスタートし、フッカー清水新也(スポ4=宮城・仙台育英)がインゴールに突っ込み意地を見せる。何とか点差を縮めたが、『54』点を覆すには至らずノーサイドの笛が鳴り響いた。
力強い突破を見せた清水
次週に控えるはターゲットとしている帝京大戦。大東大戦の結果だけを見れば不安が残るが、「悲観はしていない」と大峯主将は語る。秋以降の関東大学対抗戦、全国大学選手権を見据えて取り入れた、新フォーメーションを初めて対人で実践し、多くの収穫を得たようだ。あと1週間でどの程度課題を克服し、どこまでプレーの精度を高めていけるのか。この試合で学んだことを確実に実力に還元し、実践で発揮できるようにすることがチームに求められている。
(記事 加藤千暁、写真 高柳龍太郎)
夏季オープン戦 | ||||
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早大 | スコア | 大東大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
2 | 3 | T | 2 | 6 |
1 | 3 | G | 2 | 5 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
12 | 21 | 計 | 14 | 40 |
33 | 合計 | 54 | ||
【得点】▽トライ 清水、大峯、桑野、本田2 ▽ゴール 小倉(4G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 高橋 俊太郎 | 社4 | 東京・早実 |
後半0分交代→17千葉太 | |||
2 | 清水 新也 | スポ4 | 宮城・仙台育英 |
3 | 庄村 光史 | スポ4 | 大阪・早稲田摂陵 |
4 | ◎大峯 功三 | スポ4 | 福岡・東筑 |
5 | 桑野 詠真 | スポ2 | 福岡・筑紫 |
後半7分交代→20山口 | |||
6 | 吉田 有輝 | 人4 | 大分舞鶴 |
7 | 布巻 峻介 | スポ4 | 東福岡 |
後半0分交代→18中尾 | |||
8 | 佐藤 穣司 | スポ3 | 山梨・日川 |
9 | 杉本 頼亮 | スポ1 | 京都・桂 |
10 | 小倉 順平 | スポ4 | 神奈川・桐蔭学園 |
11 | 本田 宗詩 | スポ2 | 福岡 |
12 | 飯野 恭史 | 商4 | 東京・早実 |
前半33分交代→19鶴川 | |||
13 | 勝浦 秋 | スポ2 | 愛知・千種 |
14 | 荻野 岳志 | 先理4 | 神奈川・柏陽 |
15 | 黒木 健人 | 教1 | 宮崎・高鍋 |
後半0分交代→22門田 | |||
リザーブ | |||
17 | 千葉 太一 | 教2 | 東京・早実 |
18 | 中尾 康太郎 | スポ4 | 福岡 |
19 | 鶴川 達彦 | 文構1 | 神奈川・桐蔭学園中教校 |
20 | 山口 和慶 | スポ2 | 福岡 |
22 | 門田 成朗 | 法3 | 埼玉・早大本庄 |
※◎は主将、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷) |
コメント
ロック大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)
――試合の振り返りをお願いします
アタックのところでなかなかゲインができなかったのと、大東大の強い選手にやられてしまいました。その2つで負けたので、課題はしっかりとしているのでそこを修正して、次の帝京大戦に備えたいと思います。
――アタックに関して何ができなかったのでしょうか
いま新しいことにチャレンジしているので、そこでまた課題が出ました。春の帝京大戦のときとはちょっと違いますね。この戦術を初めて対人でやったので、いろいろと感じることができました。この結果を受けてやめるというものではないので、悲観的にはなっていないです。もう一回やっていこうぜという雰囲気でいます。
――54失点というところについてはいかがでしょう
やられたのはキックオフのところとゴール前のスクラムだけです。ゴール前に持ち込まれた過程のところと、何でキックオフができなかったのかというのは課題ですね。でもやっぱり悲観的にはなっていないで、課題として取り組んでいきます。
――春の大東大戦でも相手の強いプレーヤーにやられてしまった印象があります
本当に強いプレーヤーがそろっていますし、そこで少しでもゲインを切られるとやられてしまいます。後半の最初の15分くらいは相手の好きなようにさせてしまいました。相手のキープレーヤーにゲインをされると結果はこのようになってしまうと思います。
――合宿が始まってから1週間が経ちましたが雰囲気はいかがですか
かなり練習もハードにやっていますし、もちろん万全の状態でできたわけではないですけど、それにしてもこの試合はうまくいかなかったです。
――7月の体づくりの期間の総評をお願いします
ウエイトと自重トレーニングの繰り返しでなかなか集中力が続かないこともありましたが、それでもみんなしっかり目標を持ってやってくれたので良い時間を過ごせたと思っています。
――帝京大戦までの期間はどのように過ごしていきたいですか
必ずこれまでなやってきたことを見つめ直して、足りなかったところを課題としてやっていくだけですね。
SO小倉順平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
――試合の振り返りをお願いします
夏合宿に入る前から新しいフォーメーションとかをやっていて、新しいことにチャレンジしたのですが、疲れているせいか分からないですけれど走れていなくて流れが悪いまま終わってしまったという感じです。
――オフェンスがあまりうまく機能していない印象を受けましたが何か原因がありますか
新しくやっているフォーメーションがまだしっくりきていないというか、チームになじみ切っていないからですかね。
――ディフェンス全体はいかがでしたか
声が後半の最後とかはほぼ出ていなくて、声が出ていないので相手の人数をみんな認識していないので相手にやられてしまいました。横の話し合いが全然足りていなかったです。
――相手選手はタックルしてもなかなか倒れませんでしたがフィジカル面はどうでしたか
外国人選手が多くて強いというのもあるのですが、帝京大とか他の学校でも強いところは強いので言い訳にはならないと思います。フィジカルは負けていたと思います。
――タックル自体の出来はどうでしたか
タックルに入って寝た後に起き上がるのが遅くて、相手の方が人数が多いのかなというのはありました。
――キックオフの際にダイレクトで出てしまう場面もありましたがキックの調子はいかがでしたか
悪くはなかったですが、ドロップは普通に苦手なんです。それに関しては要練習です。
――夏合宿はいかがですか
第1クールが一応終わっていま第2クールという位置付けでやっていますが、これから試合が入ってくるので、ガツガツ当てるというよりはチームのフォーメーションとかそういう部分にフォーカスしていくと思います。次は帝京大戦なので、それまでにしっかり修正していきたいと思います。
――帝京大戦まで1週間ありますがやっていきたいことはありますか
この試合でできなかった部分はビデオを見たらいろいろと出てくると思うのでそういう部分を、修正というよりは完全に克服していかなくてはいけない時期なので、そういうことをチームで考えてやっていきたいです。
NO・8佐藤穣司(スポ3=山梨・日川)
――この試合を振り返っていかがでしたか
フォーメーションを新しくして、自分たちのやろうとしていたことを初戦ということもあってかみ合わない部分がありました。あとディフェンス面で相手の外国人選手を抑えられなかったことが原因で、ああいう試合になってしまったのかなと思います。
――相手選手とのコンタクトの面に関してはいかがでしたか
体が強いことはわかってたのですが、早大は数で勝つというのをずっとやってきているので、1対1じゃなくても、1対2で、それでも無理だったら1対3で倒して、寝ているプレーヤーがすぐに立って数を増やしていく、常にそういうプレーで勝とうとしているので、そこができたら問題は無かったかなと思います。
――合宿ではどのようなことに取り組んできましたか
第1クールはフィットネス面を走り込みなどで強化して、あとはターンオーバーと追い上げとサインプレーを特に重点的にやってきました。FWはモールやスクラムの強化を続けてきました。
――次週に控えている帝京大戦に向けて意気込みをお願いします
次に向けてしっかり切り替えて反省をしっかりして、良いラグビーができるように、みんなで話し合ったり各自考えたりして改善していきたいと思います。
WTB本田宗詩(スポ2=福岡)
――大東大戦を戦ってみていかがでしたか
セカンドクールに入って疲れている状態でも大東大戦をターゲットにしていて、3人いる外国人選手を止めて帝京大戦に臨もうとしていました。でもその3人に良いようにやられてしまったのがチームの反省です。
――個人技で突破されてからピンチを招くケースが多数ありましたが、試合の中で対策はありましたか
外国人選手3人がいるというのは試合前から分かっていたことで、やられた後も話し合ったんですけど、結局修正しきれなかったのが現状です。
――WTBとしてのプレーを振り返っていかがでしょうか
2トライをとれたことは結果として自信になりましたが、なんといってもチームが勝たないことには…。ボールタッチ回数も少なかったですし、失点が重なったのはバックスリーが最後止めきれなかったということもあるので、ディフェンスが一番の課題です。
――後半で大きく崩れてしまいました。メンバーを入れ替えた影響もあるのでしょうか
普段Aチームは飯野さん(CTB飯野恭史、商4=東京・早実)がいるのですがアクシデントで変わってしまって、そこでずっとやっていたチームの連携が崩れてしまった部分もあると思います。
――以前、どこからでも仕掛けられる選手になりたいと語っておられました。本日の試合でその点はいかがでしたか
インターセプトも狙ってトライにつなげられたのは良かったですし、中央あたりにいってボールに絡めたので、そこは順調にきていると思います。
――本日の敗戦をどのようにとらええていますか
最後チームで集まって、この結果を受け止めて、目標としている次の帝京大に向けて落ち込まずに切り替えていこうということで、課題を改善していきます。
――試合の後にチームで集まって戦術の確認をされていました。具体的にはどのようなことだったのでしょうか
フェーズアタックを取り入れているのですが、そこが試行段階なので確認をしていました。
――次週の帝京大戦に向けて、一言お願いします
まだどのチームで出るかわからないのですが、どのチームで出ても1トライ以上とってチームに貢献したいです。