関東大学春季大会で活躍した選手を中心にチームを編成し、対抗戦選抜とリーグ戦選抜の2チームが雌雄を決する関東大学オールスターゲーム。2回目の開催となる今大会には早大から6名の選手が選出され、負傷による辞退者2名を除く、ロック大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)、フランカー布巻峻介副将(スポ4=東福岡)、プロップ佐藤勇人(スポ4=秋田中央)、WTB荻野岳志(先理4=神奈川・柏陽)の四名が対抗戦選抜として出場を果たした。試合は布巻の挙げた2トライで前半をリードして折り返したが、後半2連続失点を喫し、17-21で悔しい逆転負けとなった。
先に敵陣へと攻め込んだのは対抗戦選抜だった。だが度重なるペナルティーでチャンスをつぶし、なかなか得点には至らない。試合が動いたのは11分。スクラムからの展開を受けたWTB磯田泰成(帝京大)が左サイドを駆け抜けビッグゲイン。これを起点にパスをつなぎ、左大外のギャップを突いた布巻が待望の先制点を挙げる。しかし直後にリーグ戦選抜の猛攻を受けると、そのまま止め切れずノーホイッスルトライを献上する。劣勢に立たされた対抗戦選抜。だが25分に敵陣インゴール5メートル前でラインアウトの機会を得ると、そのままモールを押し込みスコアは10-7に。その後は両チーム得点を奪えない時間が続き、対抗戦選抜の3点リードで前半を終える。
MVPに輝いた布巻
後半、開始2分で素早い連携プレーから追加点を奪い、幸先の良いスタートを切ったかに思われた対抗戦選抜。しかしフランカーのマルジーン・イラウア(帝京大)が故意の反則による一時退場処分を受け、数的不利な状況に。すると16分、隙のあるディフェンス網を突破され失トライ。点差を大きく縮められる。対抗戦選抜も反撃に出るが、小さなミスが続き得点機を見出せない。試合終盤、長い均衡状態を破ったのはリーグ戦選抜だった。対抗戦選抜の守備を抜き去りゲインを図ると、そのまま50メートル近く走り切り独走トライで逆転。最後まで諦めず粘りを見せた対抗戦選抜であったが、点を返せないままノーサイドを迎える。一進一退の攻防を切り抜けたリーグ戦選抜に軍配が上がった。
荻野の突破からチャンスが生まれた
試合後に行われた表彰式では、布巻が対抗戦選抜のMVPを獲得。勝利とはならなかったものの、早大選手は対抗戦選抜として得点に貢献する活躍を見せた。また「高いレベルで試合することができたのですごく良い経験になった」(荻野)と語るように、イレギュラーなチームでのプレーから得られた経験は大きい。個々の収穫を早大に持ち帰りチームの発展に生かせるか。関東大学ラグビー界が誇る精鋭たちが、夏を経てさらなる成長を遂げてくれることに期待したい。
(記事 大口穂菜美、写真 目黒広菜)
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コメント
後藤禎和ヘッドコーチ(平2社卒=東京・日比谷)
――ヘッドコーチとしてどのような言葉を選手にかけましたか
急造チームなので、基本的には楽しんでいこうということ。あと1つだけリクエストを出したのは、こうやって関東大学対抗戦と関東大学リーグ戦に分かれてやるので、過去の経緯を少しだけ考えて欲しいと伝えました。
――試合を振り返っていかがでしたか
相手が本気で勝ちに来ていることはタックルで感じられて、メンバー的に見ても戦力的に少し上だなと感じていました。
――早大選手の活躍ぶりについてはいかがでしょうか
布巻(峻介、スポ4=東福岡)なんかは割と目立っていたけど、個々で強引に突破することは(他の選手は)少ないかなと。こういうところではあまり目立つタイプではないのですが、目立たないところでは頑張っていたと思います。
――来季以降関東大学オールスターゲームはどのようになって欲しいですか
一番は選手が頑張ってここに選ばれたい、出たいと強くそう思える試合にしたいです。それで大学ラグビーだけでなくラグビー全体のレベルが上がって中身のある試合をやっていくべきだと思います。
ロック大峯功三(スポ4=福岡・東筑)
――この試合を振り返っていかがでしたか
選ばれたので、早大の代表としてしっかりプレーしようと思って臨みました。相手のリーグ戦選抜の人たちも一人一人が強くて、そこで食い込まれてしまった場面も僕自身あったのでそこを反省点として、しっかりこの試合で得たことをチームに持って帰れればなと思います。
――対抗戦選抜としての他大学との合同練習はどのくらい行いましたか
前日に明大の八幡山で3、40分くらい合わせて試合に臨みました。
――コミュニケーションの面ではいかがでしたか
やっていって試合が深まっていくにつれて少しずつ取れていったのではないかなと思います。
――リーグ戦選抜の印象はいかがでしたか
本当に一人一人が強くて前に出てくるディフェンスだったので、そこで受けてしまったかなというイメージです。
――他大学の選手と同じチームで戦うことで学べた点やチームに持ち帰って生かせる点はありましたか
中学校や高校で一緒にプレーしていた友達もたくさん出ていましたし、その人たちと一緒にもう一度ラグビーでつながってプレーできたことには本当に感謝しています。負けてしまいましたが得たことはたくさんあったと思うので、またここで得たことをチームに持って帰って、早大が強くなるように一緒に頑張れればなと思います。
――自分自身のプレーの評価はいかがですか
暑くて少しバテた部分があったのでそこはもう一度修正が必要ですし、あとはやはり強い相手にどうタックルするか、タックリングの仕方などをもっと考えないといけないかなと思っています。
――これから夏の間は特にどのような練習に力を入れていきたいですか
7月中は徹底的にフィジカルの部分を鍛え直そうということを話しているので、良い期間だと思って一人一人が徹底的に追い込んで頑張れればなと思います。チーム力を上げるためにはやはり個人の力を上げなければいけないので、最終的にチームに持っていくためにまず個人が何をしなければいけないのかということを部員一人一人が自覚した上で、良いトレーニングができればなと思っています。
――秋のシーズンに向けた意気込みをお願いします
これからフィジカルを鍛える期間を経て夏合宿に向けてやっていきます。ことしはやはりひたむきなプレーを続けて勝っていくチームなので、そこを忘れずにやっていきたいと思います。
フランカー布巻峻介(スポ4=東福岡)
――対抗戦選抜の逆転負けとなってしまいましたが、試合を振り返っていかがでしたか
負けたことは悔しいんですけど、個人的には勉強できた部分がたくさんあって、周りもレベルが高いですし収穫の多い試合になりました。
――具体的にどのような収穫がありましたか
お互い知らない人同士が集まって、コミュニケーションを取るのも難しい中でプレーするとなかなか思うようにもできないですし、改めてコミュニケーションの大切さであったり、自分がチームに何かすることの大切さに気付けたような気がします。
――2トライを決め、MVPにも輝いた感想をお願いします
トライのチャンスはみんながくれたものなので、オマケというか僕自身の力ではないです。
――試合を通して無得点の時間が続いてしまった原因は何だとお考えですか
やはりお互いレベルが高いので得点するのも難しいですし、ちょっとのミスを相手もちゃんとカバーしてきてミスにしないという点で特にレベルの高さを感じました。
――相手のタックルを受ける場面も多かったですが、体を当ててみての印象はいかがでしたか
外国人選手もいたので、ものすごく強かったですね。そういう面では接点が激しいチームだったと思います。
プロップ佐藤勇人(スポ4=秋田中央)
――試合を振り返って一言お願いします
選ばれたからには対抗戦代表としてのプライドを持ってプレーしようという気持ちで臨みました。
――出場された後半では苦戦しているように見えましたが、どのようなことが原因でしょうか
外国人選手がいるなかで、タックルなどが高く、突破されることが多かったために受けてしまったのが原因です。
――自身のプレーについての感想を教えてください
セットプレー、特にスクラムでのペナルティーがあったので、そこをレフリーとしっかり話していけたらなと思っています。
――全体練習はどれくらい行ったのですか
きのうからの2日間ですね。
――練習や試合を通じて印象に残った選手がいたら教えてください
MVPも取った流通経大のNO・8の選手(ジョージ・リサレ)は、パンチもあっていい選手だなと思いました。
WTB荻野岳志(先理4=神奈川・柏陽)
──試合を振り返ってみていかがでしたか
普段やらない人たちと一緒にできる機会だったので、いろいろコミュニケーションをとりながら楽しんでやろうというふうに臨みました。
──練習はいつごろ始められたのでしょうか
きのうからです。1時間くらいやって、みんなで同じところに泊まって。
──後半は劣勢に立たされてしまった印象がありますが、その原因はどのようなところにあるとお考えですか
ミスとペナルティーが重なってしまったので、そういったところは自分たちのチームと同じところだと思います。ペナルティーはしてはいけないと改めて感じました。
──チームメート以外の人とプレーするということで難しい部分もあったと思いますが、具体的にどういったところが難しかったですか
どういうプレーをするプレーヤーなのかということが分からないので、プレーしているのを見て判断しなければならないところが難しかったです。
──逆に楽しかったことはありましたか
あまり良いプレーというかボールを持ったプレーはできなかったのですが、本当に普段できない人たちと一緒にプレーすることができて、高いレベルで試合することができたのですごく良い経験になったかなと思います。
──個人としての課題があれば教えてください
自分はディフェンスの部分をもっとうまくならなければいけないと思いました。その部分を合宿までにはしっかり仕上げていきたいなと思います。