結果振るわずも個人技が光る

ラグビー男子

 7人制日本一を決める大会、ジャパンセブンズ2014が行われた。迎える初戦は、宿敵・帝京大が相手に。しかし力は1歩及ばず、コンソレーショントーナメントへと駒を進める。そのホンダ戦では4トライを奪い勝ち進むも、続く東芝戦では力の差を見せられ敗北。今大会、コンソレーショントーナメント2回戦敗退という結果で幕を閉じた。

 持ち味のフィジカルの強さを武器に自陣に攻め込み、立ち上がりから勢いが止まることのない帝京大。一方、早大は必死に食らいつくも、タックルを外され抜かれる場面が目立つ。序盤から立て続けにノーホイッスルトライを許すなど、相手の勢いにのまれる時間が続く中、ようやくチャンスが来たのは6分だった。FB門田成朗(法3=埼玉・早大本庄)が華麗に相手を抜き去りでボールを奪うと、そのまま約60メートルにも及ぶ独走トライ。早大にとって初めての攻撃での得点となった。ボールをキープできると勢いあるプレーを連発するものの、守備では相手に抜かれる場面が目立つ早大。後半にはさらに2トライを加えたが、帝京大の実力には及ばず失点を重ね、19-33という結果に終わった。

ゲームキャプテンを務めた荻野

 初戦の結果、コンソレーションへと進むこととなった早大。初戦はホンダが相手となった。前半には大外を走られ先制される。しかしその直後、自陣ゴール手前のラインアウトからWTB本田宗詩(スポ2=福岡)が裏にキックすると、反応した鈴木亮(教3=神奈川・桐蔭学園)が持ち込み決め同点に。後半に入るとさらに追加点を挙げるも、ホンダに追い上げを見せられる。残り3分には、WTB荻野岳志(先理4=神奈川・柏陽)がディフェンスラインを勢いよく突破すると、さらにこの日好調の門田が敵を寄せ付けずそのまま独走。社会人相手に24-19で勝利を収め、2回戦進出を決めた。続く東芝との一戦。開始直後ペナルティーからクイックスタートされ、いきなりゴールへと運ばれる。その後も体の大きく強い選手相手に対し、必死にタックルし止めに入ろうとするも、次々と交わされ失点を重ねる展開に。ターンオーバーからトライを奪うなど反撃を見せるも、結果的には12-31と大差での負けとなった。

キレのあるステップで会場を盛り上げた門田

 結果はコンソレーションカップ2回戦敗退に終わったが、今大会を通して各々の改善点を見つけられる良い機会となった。15人制も、残すところあと2試合となった春シーズン。王者帝京大との対戦も控えている早大は、課題を修正し万全の準備で次戦の慶大戦へと臨む。

(記事 栗田麻里奈、写真 目黒広菜)

コメント

WTB荻野岳志ゲームキャプテン(先理4=神奈川・柏陽)

──どういったことを意識して試合に臨まれましたか

初戦が帝京大、そして他のチームがトップリーグのチームだったので、どんどん1対1で勝負していこうとチームで決めて臨みました。

──帝京大戦は負けてしまいましたが、振り返ってみていかがでしたか

キックオフが取れなくて、前半ポンポンポンとトライを取られてしまったのが悔やまれますね。

──社会人チームのホンダには勝ちましたね

アタックやっている時はすごく良かったので、アタックの部分では自信になったのかなと思います。

──東芝戦は相手の外国人選手に苦戦を強いられていた印象でした

そうですね。やっぱり体が強い相手に行かれてしまったので、もっと人数をかけてやらなきゃいけないなと反省しています。

──3試合通して、通用すると思ったところはありますか

試合に出ていた門田(成朗、法3=埼玉・早大本庄)とか鈴木亮(教3=神奈川・桐蔭学園)とか、アタックではすごく良いプレーがいくつもありました。自分はいまいち良いプレーができませんでした。課題はディフェンスなのかなと思います。

──攻撃面での課題はありましたか

練習も1週間前くらいからという感じでした。とにかくいままでやってきた1対1の部分、アタックなどは良い部分を出せた人もいるんじゃないかなと思います。

──慶大戦に向けての意気込みをお願いします

しっかり切り替えて、いま15人制のほうはすごく良い練習ができているので、帝京大戦に向けて弾みのつく試合ができればと思います。

CTB飯野恭史(商4=東京・早実)

――普段と違うセブンズの試合でしたが、意識したことはありますか

セブンズといっても赤黒を着る試合だったので、自分としては、15人制の時と比べてディフェンスの幅が広いということで、一人一人に責任を持たせて、まずは帝京大戦で勝ちたかったんですが、負けてしまいました。

――思った通りのプレーはできましたか

全然できなかったです。まだまだ自分のスキルが足りないことがあったり、いろいろな部分で課題が見つかったので、それを自分で生かしてもっと成長できればなと思います。

――具体的にはどのような課題がありますか

ディフェンスのときにコースを抑えてるのですが、あまり前に出れていない、そしてハードヒットできていないことが自分の課題だと思うので、自分がしっかりハードヒットして、ボールに働きかけてボールを奪えるようにということが今後の課題だと思います。

――今試合で得られたことはありますか

視野は広くなったかなと思います。

――難しさはありましたか

スペースが広い分アタックでも仕掛けることがしたかったのですが、自分のスピードのなさとかキレのなさで、全然思ったようにアタックができなかったので、そこは少し難しかったです。

――残りの春2試合に向けて意気込みをお願いします

まだまだ修正できる部分であったり課題が山ほどあるので、そこをしっかりと修正して、両方とも最高の結果で終えたいです。

WTB深津健吾(スポ4=東京・国学院久我山)

――どのようなことを心掛けて試合に臨みましたか

格上の相手との試合が多かったので、しっかり自分たちの力を出し切れるように心掛けたのですが、帝京大とは最初の入りから自分たちのラグビーをすることができず、後手に回ってしまったので、修正しなければならないなと思います。

――帝京大のフィジカルの強さについてはいかがでしたか

トップリーグのチームの方が強かったので、そういう部分はあまり感じなかったです。

――早大のプレーに対する全体的な評価をお願いいたします

もっと自分たちがボールを持ってアタックする時間が増やせれば、チャンスが増えたと思うのですが、ボールをキープする時間が少なかったです。15人制にも共通する部分がありますが、しっかりマイボールをキープしていければと思います。

――マイボールをキープする時間が少なかった原因はどこにありますか

セブンズは相手にボールキープされやすいという性質があるので、相手のボールに仕掛けてターンオーバーできるようにしなければならなかったと思います。

――良かった点はありますか

あまりないですね。

――ご自身に対する評価をお願いいたします

フィットネスが足りず走れなかった部分があったので、シーズンに向けて自分が苦手とするフィットネスを向上させたいです。

――ディフェンス、アタック面に関してはいかがでしょうか

相手にすかされてしまうなど、タックルポイントに入れない所があったので、もっと踏み込んでタックルしていきたいと思います。アタック面に関しては、ボールを持った時に前に出ることができたので、もっとボールをもらえるようにしたいです。

――15人制に生きる収穫はありましたか

反省としてマイボールの時間が少なかったので、自分たちのボールをロスせず、ターンオーバーできるようにしたいですね。

――春は残り2試合ですが、今後意識したい部分はありますか

チームとして良くなってきたと思うので、自分たちの100パーセントの力をコンスタントに必ず出し切れるようにやっていきたいと思います。

WTB本田宗詩(スポ2=福岡)

――この試合を振り返っていかがでしたか

トップリーグの相手などと戦って、ホンダにはオールブラックスの選手などもいたので、とても良い経験になりました。

――初戦は帝京大との試合でしたが、何か特別な気持ちはありましたか

赤黒を着て戦う以上はやはり一番勝ちたいと思っていたチームだったのですが、最初に向こうに流れを持っていかれて、修正する前に3本もトライを取られてしまいました。なので、15人制では入りの部分を意識して戦っていきたいと思います。

――帝京大の印象はいかがでしたか

個人が強いしスピードもありました。しかし早大は展開力では負けていなかったと思うので、15人制ではそこで勝ちたいと思います。

――トップリーグのチームに対して通用していたと思う部分はどこですか

ディフェンスでやられてしまったのですが、アタックはどの試合でも、トップリーグ相手でも、個人で抜くところで抜き切れていたところがあったと思うので、アタックはかなり強みになっていると思います。

――個人的にこの試合でアピールできたところはありますか

1トライはできたのですが、なかなかボールが持てませんでした。抜けてからキックでアシストしたところは、いままでにないかたちだったので、引き出しが広がったのかなと思います。

――この試合での課題も含めて、次戦以降に向けた意気込みをお願いします

大きくて強い相手にハンドオフなどでやられてしまったので、特に来週からはディフェンスで抜かれないこと、1対1で負けないことを意識してやっていきたいと思います。

FB門田成朗(法3=埼玉・早大本庄)

――3試合に出場しましたが、試合を振り返って感想をお願いします

まずケガなく終われたことと、社会人と体を当てられたことがすごくうれしかったです。あと、赤黒を着て帝京大と戦えたのもすごく良い経験になりました。

――門田選手のステップからトライにつなげたシーンもありましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

きょうはフィジーのウィリアム・ライダー選手を意識してましたね。

――帝京大とは再来週15人制でも対戦しますが、戦ってみて手ごたえはいかがでしたか

通じたところもすごいなと思ったところもあったのですが、15人制になってくると全然違う話なので、生かせるものを生かしてあと2週間頑張っていきたいと思います。

――具体的に通用した部分というのはどこですか

アタックが決まってボールを取れればトライできるという自信があったので、アタックは通用するかなと思いました。

――改善点として見つかったところはありますか

体の強さとかですね。セブンズに関してはディフェンスでの内とのコミュニケーションとか、みんなで止めるたり、アタックをもっと深くすることとか、もっと広いスペースで勝負するとかそういう感じですね。

――社会人チームと戦ってみて感触はいかがでしたか

社会人と戦ったのは初めてだったんですけど、すごいなと思いました。最後東芝がトライをして残り20秒くらいしかなかったところで、もうワンプレーさせてくださいと頼んだら早く蹴ってくれたので、社会人はやはり心の余裕があって大人だなと思いました。

――セブンズを通して得たものや、今後に生かしていきたい点があれば教えてください

空いてるところを攻めるという点ではセブンズも15人制も同じだと思います。セブンズでやるようなプレーを15人制でもやれたら相手の予測してないところを突けると思うので、そういうところを15人制でも生かしていきたいと思います。