アジア5カ国対抗2014の香港代表戦から5日後の30日、日本代表はサモア代表と対戦した。「体の大きいフィジカルが強い相手との戦い方」を意識して臨んだWTB藤田慶和(スポ3=東福岡)。この日もスタメンに名を連ねると、前半から躍動。11分と25分にトライを決め、日本に勢いをもたらした。なお、この結果により通算トライ数が『21』となり、歴代5位に。チーム最年少ながら、藤田はまた一つ日本ラグビー界の歴史に名を刻んだ。
サモアに先制を許し、ビハインドの状況から試合を進めることになった日本。しかし11分、効果的にゲインを重ね敵陣深くに攻め込むと、BKに大きく展開。すると外に待ち構えていた藤田がサイドライン際を駆け抜け5点を返す。さらにFB五郎丸歩(平20スポ卒=現ヤマハ発動機)がゴールを決め同点に追いついた。15分にも五郎丸のPGでリードした日本は攻撃の手を緩めない。サモアの選手が危険なプレーで一時退場となるとその隙を見逃さなかった。25分、FWがラインアウトモールを形成すし、そこからBKがグラウンド幅を最大限使ったアタックを披露。「スピードに乗ってボールをもらえた」と言うように、パスを受けると藤田は真っすぐインゴールに走り込んだ。藤田の活躍もあり、前半を20-7で終える。後半はサモアに押し負ける場面も見られたが、五郎丸の2本のPGなどで着実に得点を積み重ねた。藤田も随所にディフェンス網を切り裂き、相手の脅威となる。トータルスコアは33-14。日本はサモアに4年ぶりに勝利を収めた。
この日もトライを奪った藤田
「良い仲間がいるのでトライが取れる」と試合後、藤田は感謝の思いを口にした。テストマッチ16試合という、驚異的なペースでその数を更新。春シーズンは毎回フル出場を果たしており、指揮官やチームメイトからの信頼も増してきた。だからこそ「トライを取ることでチームに貢献していきたい」と言う。日本の勝利のためにも、自身の成長のためにも。藤田はまだまだみずからの記録を積み上げていくはずだ。
(記事 御船祥平、写真 藤巻晴帆)
コメント
WTB藤田慶和(スポ3=東福岡)
――この試合はいかがでしたか
勝てたことが良かったです。これまでアジアのチームと対戦した後のオセアニア地域のチームとの対戦に良いゲームができていなかったので、その歴史を変えられたことが良かったです。
――サモア代表相手に勝てたことはご自身としてはどのような意味がありますか
昨年トンガ代表と対戦したときに、個人的にもボールを取られたりチームも負けてしまって、悔しい部分がありました。ことしはリベンジしたくて、体の大きいフィジカルが強い相手との戦い方をイメージしました。
――トライシーンを振り返ってください
すごい良いパスが来たので、相手が来ていましたが真っすぐ走るだけでした。トライになって良かったと思います。スピードに乗ってボールをもらえたので自信を持っていいと思います。
――この試合での収穫を教えてください
最初2本トライを取れたことで日本に勢い付けることができたので良かったと思います。
――春は毎試合フル出場となっていますがその中で手ごたえは感じていますか
自分の中ではスピードやその他の部分でも充実していると思います。このままどんどん成長して自分の夢の舞台で活躍ができるように成長できれば良いと思います。
――この試合での2トライで日本代表歴代トライ数が5位になりましたね
良かったです(笑)。良い仲間がいるのでトライが取れると思います。WTBなのでこれからもトライを取ることでチームに貢献していきたいと思います。