後半に追い上げシーズン開幕2連勝

ラグビー男子

 先週の招待試合で長崎ドリームチームに打ち勝ち、15人制白星スタートを切った早大。この日は大阪・花園ラグビー場で同大との定期戦に臨んだ。今試合では複数の昨季主力が今季初出場。それだけに早大ペースで進むことが期待されたが、前半はペナルティーの多発などにより流れをつかめない。ビハインドから始まった後半に徐々に勢いを付け、15分のモールトライで逆転。それを起点に得点を重ねて32-24でノーサイドを迎える。結果としては勝利だが、課題も多く残るものとなった。

 開始直後の2分、モールで押し込みフランカー池本翔一(スポ3=愛知・千種)が先制トライ。ファーストスクラムでは圧倒的な力強さでターンオーバーをするなど、立ち上がりは理想的だった。しかしそこからは「受け身のプレーになってしまった」(WTB荻野岳志、先理4=神奈川・柏陽)と語るように主導権を逃してしまう。じりじりと攻められた末に自陣でペナルティーを犯す。相手ラインアウトからの展開でディフェンスの間を抜かれ、12分に同点に追いつかれた。SH岡田一平(スポ3=大阪・常翔学園)が得点し再度リードするも、またも反則が発端となり失トライ。34分には同大にPGも許し、12-17で前半を折り返した。

今季初試合でもエースとしての仕事を果たした荻野

 ペナルティーからの失点続きという悪い雰囲気を何とかして断ち切りたい後半。ボールを保持する時間は長かったが、やはりチャンスを自分たちのものにできない。そんな中で反撃の起爆剤となるプレーが出たのは15分。相手ゴール直前でのラインアウトからモールに形成してそのまま押し、ロック大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)がインゴールにたたき込んだ。ここで逆転を果たすと22分にSO小倉順平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がこの日2度目のPG成功。その後すぐ、ディフェンスの穴を狙った荻野のキックを取ったFB滝沢祐樹(基理3=福島)がトライ。着々と点差を広げた。終盤は押される場面が目立ち再び相手に追加点を献上。それでも何とか逃げ切り32-24で伝統ある試合を制した。

小倉は正確なキックで得点を重ねた

 勝利という結果以上に、選手たちはこの内容を重く受け止めている。ディフェンスの崩れやペナルティーの多さという具体的な課題。そして「自分たちで流れを変えられない」(大峯)、「チームとして意識がまだ統一し切れていない」(小倉)という根本的な問題。それらを克服してすでに持っている強みと合わされば、いま以上に強い早大となるはずだ。来週から始まる関東大学春季大会では、よりすがすがしい快勝を見せてほしい。

(記事 大水渚、写真 栗田麻里奈)

☆PICK UP PLAYER

鋭い突破で攻撃のアクセントになった池本

 『荒ぶる』奪取のためには個々がレベルアップしなければならない。そこに当然あるのはポジション争いで、フランカーも例外ではない。池本は今季セブンズも含めオール早慶明以外の全試合で赤黒をまとい存在感をアピール。この同大戦でも力強いアタックを武器に何度も好機を演出した。「誰よりも多く走る」、「球をもらったら少しでも多くゲインする」。こういったところで自らの強みをアピールしたいと言う池本。昨年春シーズンはAチームで戦っていたものの、秋はケガもあってそれがかなわなかった。今季もフランカー布巻峻介(スポ4=東福岡)を筆頭に手ごわいライバルたちが存在する。この日のような活躍を続け、不動のレギュラーの座をつかめるのか。どこまでもどろ臭く、果敢な池本の挑戦から目が離せない。

定期戦
早大 スコア 同大
前半 後半 得点 前半 後半
12 20 17
32 合計 24
【得点】▽トライ 大峯、池本、岡田、滝沢 ▽ゴール 小倉(3G・2PG)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
光川 広之 スポ4 神奈川・公文国際学園
  後半0分交代→16高橋俊    
菅野 卓磨 教4 東京・早実
  後半39分交代→17周藤    
佐藤 勇人 スポ4 秋田中央
  後半13分交代→18千葉太    
◎大峯 功三 スポ4 福岡・東筑
河野 秀明 創理3 東京・早実
  後半0分交代→19桑野    
池本 翔一 スポ3 愛知・千種
小谷田 祐紀 文構4 東京・早実
  後半23分交代→20布巻    
佐藤 穣司 スポ3 山梨・日川
岡田 一平 スポ3 大阪・常翔学園
  後半0分交代→21平野    
10 小倉 順平 スポ4 神奈川・桐蔭学園
  後半28分交代→22浅見    
11 深津 健吾 スポ4 東京・国学院久我山
12 飯野 恭史 商4 東京・早実
13 勝浦 秋 スポ2 愛知・千種
  後半28分交代→23山本    
14 荻野 岳志 先理4 神奈川・柏陽
15 滝沢 祐樹 基理3 福島
リザーブ
16 高橋 俊太郎 社4 東京・早実
17 周藤 直也 社2 東京・早大学院
18 千葉 太一 教2 東京・早実
19 桑野 詠真 スポ2 福岡・筑紫
20 布巻 峻介 スポ4 東福岡
21 平野 航輝 スポ4 長崎南山
22 浅見 晋吾 スポ3 神奈川・桐蔭学園
23 山本 龍平 商4 東京・都武蔵
※◎は主将、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷)
コメント

ロック大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)

――試合を振り返っていかがでしたか

いまの実力が出た試合だと思います。

――具体的に教えてください

前半のペナルティーの多さだったり、後半にきつい時間が続いて相手のミスに助けられていたところです。自分たちで流れを変えられないということが、いまの実力かと思います。

――前半のペナルティーはなぜ多くなってしまったのでしょうか

スクラムのところなので何がいけなかったのかはまだビデオを見ていないので分からないですけど、セットプレーが崩れたのはそのせいだと思います。

――相手ボールスクラムのときは比較的良く組めていた印象ですがいかがですか

そうですね。でもマイボールスクラムでボールを出せないとだめです。

――そのペナルティーから生まれたラインアウトをきっかけに2回失点しましたが、ディフェンスについてはどう感じましたか

やっぱりまだ一人一人の意識の甘さがあったと思います。もっと良いセットをしてディフェンスができたら良かったです。

――きつい時間が多かったという後半ですがスコア的には良い結果だったと思いますがいかがですか

後半の後半に相手にアタックをさせる時間が長くなってしまいました。それを断ち切るための良いタックルだったりが無かったです。相手にアタックをさせ続けたのがそう感じた理由ですね。

――この試合に向けて意識したことはありましたか

練習でやっていることをそのまま出そうという気持ちでやってきました。

――翌週からは関東大学春季大会が始まりますが意識することはありますか

特に変わらず練習でやってきたことを試合で出す。そのために練習を試合以上の意識でやらないといけないと感じたので、それをみんなに伝えたいと思います。

SO小倉順平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――試合の振り返りをお願いします

受けるシーンが多くて、チームとして意識がまだ統一し切れていないのかなというのがあります。

――チーム全体としてペナルティーが多かった点についてどのように考えていますか

一人一人が疲れてしまって、妥協している部分がありました。練習がそのまま出ているという感じがしました。

――どのようなゲームプランを持って試合に臨まれましたか

主軸になる早大がやっていることがあるのですが、それをしっかり出そうという感じです。

――先週、次の同大戦ではディフェンスがどこまで崩れずにやれるかが重要になるとおっしゃっていましたが、ディフェンスについてはいかがでしたか

相手から受けた後、そのまま受け続けて良い展開がつくれないので、もっとみんなディフェンスで前に出るというのを次に向けてやりたいなと思います。

――次戦までに修正すべき点を教えてください

多いですね。春で最初なので多いのは当たり前なんですけれど。さっきも言いましたが、ディフェンスが全部受けてばっかりなので、前に出るというのを重点的にやりたいと思います。

フランカー池本翔一(スポ3=愛知・千種)

――この試合を振り返って、いかがでしたか

先週出場した(対長崎ドリームチームの)試合で出た課題をこの試合で克服できるように挑みました。前半はあまりアタックのライン参加という面でなかなかできなかったのですが、後半はもう一回意識して何回もポジショニングを工夫して挑んだら、やはり何回かチャンスが訪れたので、そういう面では今回は先週の課題を少し克服できたと思います。しかし、抜けてからの動きであったり、またこの試合では反則もいくつかしてしまったので、また来週の(対大東大の)試合の課題として練習に励んでいきたいと思います。

――トライも決められましたが、それについてはいかがですか

あれはモールだったので、チームで取ったという感じです。

――フル出場となりましたが、体力面などはいかがでしたか

今シーズン初めて80分やってやはりきつかったですが、全然走れないということはそんなになかったので、きつい時間帯にもっとどれだけ意識して走れるかが今後の課題だと思います。

――前半は押される場面もありましたが、ディフェンスの課題はどこですか

ダブルタックルの意識がまだチームとしても低かったと思います。ファーストタックルをもっと低くいくというのはもちろんチームで共有しているのですが、一人目がタックルで相手をとらえて二人目ももっと早く反応してディフェンスを整えられたら、もっと良いディフェンスができたのではないかと思います。

――フランカーのポジション争いをする上での自分の強みは何ですか

やはりスピードであったりフィットネスの面です。あまりうまい方ではないというか器用な方ではないので、誰よりも多く走るところや球をもらったら少しでも多くゲインするところなど、そういったところでアピールしていきたいと思います。

――逆に他選手と比べた自分の課題や、伸ばしていかなければいけないところはどこですか

状況判断であったりというところは布巻さん(フランカー布巻峻介副将、スポ4=東福岡)にすごく見習うところがあると思いますし、自分に足りていないと思います。試合の状況判断であったり、もっと周りを見てプレーをするというところだと思います。

――次戦以降に向けた意気込みをお願いします

ポジション争いも激しいので、一軍に定着できるように毎回毎回の課題をしっかり克服して、良いゲームにつなげられるように頑張っていきたいと思います。

CTB飯野恭史(商4=東京・早実)

――今試合に向けて、ご自身やチームで意識したことはありますか

練習からずっとアタックをやってきたので、しっかりBKやCTBがFWをコントロールして、良いアタックができるようにと意識してやりました。

――実際に試合を終えて、振り返ってみていかがでしたか

練習よりも全然成果が出ていて、良いかたちでやることができたと思います。

――CTB勝浦秋(スポ2=愛知・千種)選手とのコンビでしたが、いかがでしたか

練習からやっていたので、特に気になることもなくできたと思います。

――春の間に、取り組んだことはありますか

まずは体づくり、その後にチームが始動してからは、まずアタックのフォーメーション、昨年やってきたことを、同じようにできるようにとやっていました。

――ご自身やチームのいまの完成度はいかがですか

まだまだチャンスで取りきれないだとか、大事なところでミスをしてしまったりだとか、チームとしても多いですし、個人的にも何個かあったので、まだあまいなと思います。

――ラストイヤーとなる今季の目標をお願いします

『荒ぶる』です。

WTB荻野岳志(先理4=神奈川・柏陽)

――試合を振り返っていかがでしたか

チームとしては2試合目でしたけど、自分は最初の試合だったのでどんどんチャレンジしていこうと思ってました。

――この試合に対してどういったテーマを持って臨んだのでしょうか

同大は個々の力がすごくて一人一人が強く、速いっていうのを聞いていたので、そういった意味でこっちも一人一人が勝負していくっていうのをテーマにしていました。

――前半相手にリードを許しましたが、要因は何でしょうか

前半一番最初のトライまでは良かったんですけど、その後受け身のプレーになってしまったのが原因かなと思います。

――ペナルティーの数も気になる試合でした

早大が強みとしているスクラムなどのセットプレーなどでペナルティーが出たのは改善点だと思います。チームでもその点に関しては試合後に話をしました。

――ハーフタイムでの修正点は

相手のディフェンスが前に狙ってくるディフェンスだったので、しっかりタメをつくってタテに速く強く行こうとBKの中で話しました。

――後半は立ち上がりから圧倒しましたがその要因は

一回みんなで話をして、タテに速く行こうって意識統一できたのと、リフレッシュして臨めたのが大きかったと思います。ただその後また受け身の時間帯が続いてしまったので、まだまだですね。

――受け身になってしまった原因は何でしょうか

何ですかね。でもこの時期はまだ体力不足だったり試合勘といった点でもまだまだなので、そういったことが大きな要因だと思います。これからしっかりチームをつくっていきたいです。

――後半27分には見事なキックでFB滝沢祐樹選手(基理3=福島)のトライを演出しましたが、あの場面を振り返ってください

ちょうどキックの練習をしっかりやっていたとこだったので、うまく決まって良かったです。

――この日の試合で得た課題はありますか

後半相手に押されてる時間帯が続いてしまうので、そういうのを減らして常に早大が攻め続けているようなゲームを目指さないといけないと思いました。

――今季初の試合となりましたが、練習復帰されたのはいつごろだったのでしょうか

練習にはずっと入っていたんですけど、先週までは体作りの期間に充てていました。

――今季のトライなどに対しての目標などはありますか

大きな目標としてはまず帝京大を倒すことです。トライに関しては深津(WTB深津健吾、スポ4=東京・国学院久我山)とバックスリーで毎試合トライを取り続けていきたいと思います。

――春シーズンに向けての意気込みをお願いします

いろいろチャレンジできるのは春だと思うので、そういった意味であらゆることにチャレンジしていき、帝京大とやる時には自信をもって戦えるようにしたいです。